たかがいびきと言っている場合ではありません。将来に渡る健康のために、早めに対策を講じましょう。

家庭でできるいびき対策 減量・節酒・横向き寝…

産経新聞2011年1月18日(火)08:00

家庭でできるいびき対策 減量・節酒・横向き寝…
(産経新聞)

 睡眠中の「いびき」。身近な現象だが、あまりにもうるさいと家庭内不和やコンプレックスの要因になったりする。また、睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は突然死に至る危険性もある。いびきの原因や家庭でできるいびき対策などを専門家に聞いた。(小野田雄一)

 ◆SASは要注意

 東京都目黒区の「笠井耳鼻咽喉科クリニック」の笠井創(はじむ)院長によると、いびきの正体は粘膜が震える音。口からのど、肺に至る空気の通り道「気道」が何らかの原因で狭くなり、その気道を空気が無理に通ろうとする際に粘膜が震えて音が発生する。

 気道が狭くなる原因は、肥満による気道周辺の脂肪の増加のほか、加齢などで筋肉が弛緩(しかん)し、口蓋垂(こうがいすい)(のどちんこ)や舌が気道に垂れ下がることなどがある。このほか、鼻炎などで鼻呼吸ができなくなり、口呼吸で大量の空気を一気に吸い込む際に粘膜が震えたり、生まれつき気道が狭かったりと、いびきの原因は千差万別だ。

 笠井院長は「原因がどうであれ、いびきが一時的なものだったり、一定のリズムで起きたりしていれば心配ない。しかし、SASの場合は命にも関わる」と警告する。

 SASは、気道が一時的に完全にふさがる病気。特徴は、いびきをかいている途中に突然静かになった後、「ごわっ」と大きな音を立てて一気に空気を吸い込む点だ。体内への空気供給量が減るため、心臓や脳に負担が掛かって病気リスクが高まる。睡眠の質が低下して常に寝不足状態となるため、生活に支障が出たり、居眠り運転事故を引き起こしたりする場合もある。

 SASは寝ている本人が気付くのは難しい。笠井院長は「大きないびきをかいていたら、家族など周囲の人が観察してほしい。自分で調べる場合には、寝る前に録音機材をセットし、起きた後に再生して自分のいびきがどうなのかを調べる方法もある」と話す。

 ◆手術必要な場合も

 家庭でできるいびき対策はあるのか。笠井院長は、(1)減量する(2)飲酒を控える(3)横向きで寝る(4)寝る前に市販のいびき予防テープを口に貼る(5)鼻詰まり薬を活用する−を勧める。

 【減量】 気道周辺の脂肪を落とすことで気道を広くすることができる。これだけで劇的に改善する例も多い。

 【節酒】 アルコールによる筋肉弛緩を防ぐ。筋肉が弛緩すると口蓋垂や舌が気道に垂れ下がり、気道を狭めてしまう。

 【横向きで寝る】 口蓋垂や舌を気道からずらすことができる。

 【予防テープ】 口呼吸を妨ぎ、鼻呼吸を促す。鼻呼吸の方が吸い込む空気の量が少なく、粘膜の震えを押さえられる。

 【鼻詰まり対策】 口呼吸を防ぐために大切だ。

 笠井院長は「いびきの原因は人それぞれで、口蓋垂や鼻に対する手術が必要な場合もある。家庭での対策をしてもいびきが治らない場合は、早めに医師の診断を受けてほしい」とアドバイスしている。

 ■「無呼吸症」未治療 生存率が10%低下

 琉球大病院の井関邦敏准教授らが平成21年に発表した論文によると、重度のSASを治療しなかった患者は、治療した患者よりも8年後の生存率が約10%下がったという。

 井関准教授らは平成2〜15年、SASと診断された男女4千人を対象に生存率などの調査を実施。就寝時における、マスク型器具を使って空気を鼻に送る「シーパップ療法」で、治療した集団と治療をしなかった集団について生存率を調べた。その結果、重度のSAS患者の8年後の生存率は、治療した集団が約93%だったのに対し、治療しなかった集団は約83%だった。