私も定期的に歯医者さんにかかっています。

gooニュース記事より

歯医者さんでの「無痛治療」とはどういうものなの?

歯医者さんでの「無痛治療」とはどういうものなの?

歯医者さんでの「無痛治療」とはどういうものなの?

(Mocosuku Woman)

 
執筆:影向 美樹(歯科医師)
 
 
歯科治療に伴う痛みは歯医者さんが嫌われる大きな要因の1つです。
 
また、いかに素晴らしい治療であっても、痛みが伴えば患者様からの信頼はなかなか得られないため、歯科医師にとっても治療中の痛みは悩みの種なのです。
 
そのため、近年では治療に際して痛みを最小限に抑える「無痛治療」に取り組む歯科医院も多くなってきました。
 
今回は実際に歯科医院で行われている無痛治療にはどのようなものがあるのか、詳しくご紹介していきたいと思います。
 
 
◆歯科麻酔に関する無痛治療

歯科治療時の痛みについて訴えが最も多いのが、麻酔の痛みです。
 
本来、麻酔は治療中の痛みを抑える目的で使用されているのですが、その麻酔自体が痛みの原因になるのは術者にとっても悩ましいところです。
 
ただ、近年では歯科機器や器具の発展によって、麻酔時の痛みもかなり軽減できるようになりました。また術者である歯科医も、麻酔時の痛みを少しでも和らげるように様々な工夫を行っています。
 

◆麻酔注射を刺す際の痛みを和らげる
 
注射針を刺す時の痛みは、麻酔部位の歯ぐきにあらかじめ表面麻酔を行うことで軽減できます。表面麻酔にはジェルタイプやスプレータイプがあるほか、近年では歯科用レーザーの麻酔効果を利用した表面麻酔法などがあります。
 
また注射針が太いことも、刺す際の痛みの原因です。
 
以前は太さが0.3〜0.4mmの注射針が多かったですが、近年では0.26mmと極細の注射針が使用され、麻酔時の痛みがかなり軽減されています。
 

◆麻酔薬を注入する際の痛みを和らげる
 
注射針を刺した後、次に麻酔薬を歯ぐきの中へ注入する際に痛みを感じやすくなります。
 
この痛みをなくすためには、麻酔薬の温度と注入するスピードが肝心です。
 
まず麻酔薬の温度ですが、麻酔薬は冷たいまま注入すると痛みを感じます。そのため無痛治療を行う歯科医院では、必ず術前に麻酔薬を痛みのでない適切な温度まで温めて使用します。
 
次に麻酔薬は歯ぐきの中にゆっくりと注入していくと痛くありません。その分麻酔の時間はかかりますが、歯科医師の多くはこのスピードに注意しながらゆっくり麻酔を行っています。
 
また近年では、痛みのでない注入スピードをコントロールできる電動麻酔器を使用している歯科医院も多くあります。
 
 
◆麻酔をしているのに痛みを感じるのはなぜ?
 
先にも述べたように歯科治療は麻酔を使用することが多いため、基本的には治療中の痛みは感じないはずです。
 
しかし麻酔を行っても、治療中にやはり「痛い!」と訴える方もいらっしゃいます。その原因は何なのか、またそのような場合にどう対処すべきか、以下にご紹介していきます。
 
 
〇麻酔が効かない
 
大きな虫歯や親知らずの腫れなど、その部位に強い炎症がある場合は麻酔が効きづらくなります。その場合はまず炎症を抑える応急処置を行い、炎症が引いた段階で麻酔治療を行います。
 
また、男性で顎の骨が硬くてしっかりしている方は麻酔が効きにくい傾向にあります。
 
このような場合は伝達麻酔(でんたつますい)や歯根膜麻酔(しこんまくますい)といった、通常とは異なる強めの麻酔を行うことが必要です。
 
 
〇不安感や不信感が強い
 
麻酔はしっかり効いているはずなのに、それでも痛みを感じるのは心理的な要因も少なくありません。そこで大切なのでは、歯科医師との信頼関係です。
 
安心できる歯科医の下で治療を受けることが、無痛治療の第一歩といえるでしょう。
 
また患者様の中には痛みのほかに、極度な緊張や恐怖心などで治療を行えない方もいます。
 
このような方の場合は、笑気吸入鎮静法や静脈内鎮静法といった特殊な無痛治療が必要となります。
 
 
・笑気吸入鎮静法
 
笑気吸入鎮静法は、不安感や緊張を和らげる効果のある笑気ガスを鼻から吸入して治療を行う方法です。すこしぼんやりとした感じはありますが、眠ったり意識を失うということはありません。
 
 
・静脈内鎮静法
 
静脈内麻酔法は、静脈に鎮静薬を点滴して治療を行う方法です。浅い眠りの中にいるような感覚はありますが、呼びかけには応じられる程度の意識はあります。
 
 
◆痛みが苦手な方は事前に歯科医に相談しよう
 
多くの歯科医は治療中の痛みを軽減するよう、様々な工夫を行っています。
 
しかし痛みの感じ方には個人差があり、同じ治療でも痛みを感じる方とそうでない方がいます。
 
そのため「ちょっとした痛みも苦手」という方は、その旨を事前に歯科医に伝えることをお勧めします。そうすることで、歯科医の方も痛みに対するより細かい配慮を意識しやすくなるでしょう。
 
 
<執筆者プロフィール>
影向 美樹(ようこう・みき)
歯科医師。歯科医師免許取得後、横浜と京都の歯科医院にて勤務を経て、現在は医療系ライターとして活動中