やり過ぎは禁物です。

gooニュース記事より

無理な開脚・朝一番の前屈…してはいけないストレッチ

 ストレッチは体の柔軟性を高めるなどの利点があるが、実は間違ったストレッチにより筋肉や関節を痛める人は案外多い。そこでストレッチを行う際の注意点について、整形外科専門医でスポーツドクターのDr.KAKUKOスポーツクリニック(東京・代官山)院長、中村格子さんに聞いた。

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整形外科医・スポーツドクターの中村格子さん

 私のクリニックにも、ストレッチをやっていて体を痛めたと来院される方は少なくありません。最近目立つのは、体が硬いことに罪悪感や劣等感があり、ペターッと開脚できる体に憧れて無理をしてしまったという人。また、ヨガなどで痛みを我慢しながら無理な姿勢を続けたせいで、終わった後に痛みが出たと来院される人もいます。

 …というわけで、これまでの診察経験などを踏まえると、ストレッチの際に気を付けるべきことの一つは「痛みを感じるほど無理に伸ばさない」ということです。そのほか、朝起きたばかりの体が温まっていないときにいきなり前屈をしたり、ひどい筋肉痛のときにストレッチをしたりするのも良くありません。

× 痛みを感じるほど、無理に筋肉を伸ばさない

顔をしかめるほどの痛みを感じるようだと、筋肉やすじを痛める可能性がある。写真はイメージ=(c)Aleksandr Davydov-123RF

 筋肉はある程度引っ張られている感覚がなければ柔らかくはなりませんが、無理に伸ばすと筋断裂(肉離れ)を起こすことがあります。昔は、ストレッチは痛いほうが効果があると言われていたこともあり、特に50代以上の方は無理をしがちです。

 しかし、無理に伸ばすのはご法度。では、どのくらい伸ばせばいいかというと、痛みを10段階で表現し、10が想像できる最大の痛み、8、9が涙が出るほどの痛み、5が顔が歪むほどの痛みだとすると、ストレッチに適した痛みは2、3くらい。これは「笑って我慢できる程度の痛み」です。


 先に紹介した、開脚やヨガで体を痛めるケース以外に、ストレッチのお店で施術を受けて肉離れや疲労骨折を起こしたという事例もあります。体が柔らかくて、押すと難なく曲がるからといって施術者が一気に押したりすると、筋肉や関節を痛める場合もあるので、特に、人にストレッチをしてもらう場合は、一気に押したり、引っ張ったりしないよう注意してもらうことも大切です。

× 同じポーズを長くやりすぎない

 同じポーズを、長くやりすぎると伸ばしている箇所を痛めることがあるので、1回最大20秒程度にとどめるのがよいでしょう。

× 寝起きなどにいきなりストレッチをやらない 

寝起きにいきなりストレッチをすると、腰痛になることもある。写真はイメージ=(c)Anna Bizon-123RF

 寝起きに伸びをするのはいいですが、いきなり前屈などの大きな動きをするのはやめたほうがいいでしょう。起きてすぐは寝姿勢で体が固まっているので、いきなり脊椎を動かすと筋肉や腱がびっくりして、痛みを感じることがあります。

 立ち姿勢になり、歩いたりしているうちに徐々に腰椎がほぐれていきます。顔を洗ったり、いろいろな日常動作をしたりして徐々に体のエンジンをかけてから行うと安心です。体にエンジンがかかるまでの時間は年齢とともに長くなってきます。個人差はありますが、起きてから30分もすれば完全にエンジンがかかっているでしょう。

× ひどい筋肉痛のときは、ストレッチをやらない

 筋肉はトレーニングなどで刺激を受けると組織が破壊され、その後、新陳代謝により補強されてより強くなります。ですから、筋肉痛は悪いことではありません。しかし、筋肉痛のときにストレッチを行うかどうかは、痛みの程度によります。

 軽く張ったような感じがするときは、筋肉の内圧が上がっているので、ストレッチで血液を循環させてリラックスさせるといいでしょう。一方、きついトレーニングの後でひどく痛む場合は、筋肉を伸ばし続けると損傷した組織をかえって痛めてしまい、回復を妨げることがあるのでストレッチは軽めにするか、もしくは控えたほうがよいでしょう。

 以上、ストレッチを行う際に守りたい4つの注意点でした。よかれと思ってやったストレッチで体を痛めては元も子もありません。上記の点を守って安全にストレッチを行ってください。

(ライター 村山真由美)

中村格子さん
 整形外科医、スポーツドクター、医学博士。Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長。横浜市立大学医学部卒業。同大学附属病院、国立スポーツ科学センター医学研究部研究員などを経て、2014年より現職。トップアスリートから一般の人まで指導、治療。『実はスゴイ!大人のラジオ体操』(講談社)や『体のコリがすべて消える 究極のストレッチ』(日経BP社)など著書多数。