これはすごい、と言う他ない。

gooニュース記事より

カルテ1ページで1万円!? 精神科の高すぎる「情報開示料金」を問う

11/3(日) 9:01配信

現代ビジネス

耳を疑うほどの高額料金

 自分の病状や受けている治療内容について、医師の説明に納得できない時は、カルテ開示を行うのがお勧めだ。だが、その料金は医療機関ごとの差が激しく、数百円の実費程度しか取らない病院もあれば、数千円の手数料を上乗せする病院もある。

「7分の1の確率でダウン症」家族から反対された出産を決断した母

 開示料金が高額な病院に対しては、以前から「患者の知る権利を妨げている」などの厳しい指摘があり、それを受けて手数料を値下げする医療機関もみられるようになった。

 ところが先日、私は法外な開示料金を設けている病院に出くわした。カルテ1ページのコピー代が、500円(税別)だというのだ。コピー用紙が高級手すき和紙なのかと思うほどの値段だが、さらにコピー枚数に関係なく「手数料」として基本料金1万円(税別)が上乗せされる。

 つまり、カルテ1ページのコピーだけで1万500円(税別)取られるのである。

 患者の知る権利や社会の趨勢などどこ吹く風で、我が道を行く超高額料金を設定しているのは、東京都八王子市の緑雲会多摩病院。ベッド数332床の民間精神科病院だ。

 精神科の医療訴訟を多く手掛けてきた弁護士の佐々木信夫さんも、この料金には「耳を疑う」と驚き、こう語る。

 「基本料金が3000円や5000円、コピー代が1枚50円や100円といった高額料金は、社会の目が届きにくい精神科病院では珍しくありません。ですが、ここまで高いのは聞いたことがない」

 全医療機関を対象としたカルテ開示手数料の調査は存在しないが、筆者が知り得た範囲の情報では、緑雲会多摩病院の開示料金が近年では最高額だった。この記録を塗り替える病院があれば、ぜひ教えていただきたい。

 緑雲会多摩病院での開示費用がいったいいくらになるのか、ざっと計算してみよう。カルテ類20ページで2万円、100ページで6万円、200ページで11万円、300ページで16万円(以上、すべて税別)になる。まさに「おいくら万円?」の世界だ。

なぜこんなに高いのか

 精神科病院では長期入院患者が多く、開示対象のカルテ類が数百枚に及ぶことは珍しくない。患者は自分の病気や治療についての情報を詳しく知りたいだけなのに、ケースによっては月の収入を超える料金を払わされることになる。

 この驚くべき高額料金の理由について、緑雲会多摩病院の事務長に取材したところ、「カルテに他の患者さんの名前が載っていたり、家族や友人との関係に悪影響が出かねない記載があったりする場合は、その部分を黒塗りにします。このチェック作業を院長、主治医、看護部長、私の4人が各自行い、最後に4人の会議ですり合わせをするので、時間がかかる。料金を下げることは考えていません」と説明する。

 緑雲会多摩病院のカルテには、病院幹部らが寄って集って目を凝らさなければいけないほど、不都合な記載が溢れているのだろうか。

 このような高額料金には、カルテ開示を妨げる働きがある。患者の開示請求権を高額料金で事実上抑制すれば、個人情報保護法違反の可能性もある。緑雲会多摩病院のカルテ開示件数は、事務長によると「年に2、3件しかない」という。

個人情報保護法違反の可能性も

 大学病院など主要87病院(多くは特定機能病院)のカルテ開示費用については、厚生労働省が昨春、調査結果をまとめた。それによると、白黒コピー1枚を請求した場合の費用は、999円以下が67%、2000円〜2999円が2%、3000円〜3999円が15%、5000円以上が16%。基本料金の最高額は5400円で、コピー代は50円台が最高額だった。

 この調査結果を知った立憲民主党の阿部知子衆議院議員から、「依然として高額を徴収する病院が多い」「(法外な請求をする病院は)個人情報保護法違反に当たることは明らか」との指摘を受けた政府は、個人情報保護法の規定をもとに「実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、その手数料額を定めなければならない」「調査結果を踏まえ、必要な対応を行ってまいりたい」などと答弁した。

 上記の調査で基本料金の最高額だった慶応大学病院の開示料金は現在、基本料金5500円+A4白黒コピー代1枚55円(いずれも税込)。日本を代表する名門私大病院らしい高額設定だが、それでも緑雲会多摩病院と比べると、破格のバーゲン料金に見えてくるから恐ろしい。

 厚生労働省は、精神科病院も対象とした実態調査を一刻も早く行うべきだ。そして明らかに常識から逸脱した開示料金を掲げる病院に対しては、個人情報保護法違反の観点から、厳しく対処する必要がある。


佐藤 光展