うづまクリニックブログ

栃木県栃木市で内科・外科・小児科の病気全般の治療を行っている「うづまクリニック」のブログです。

新型コロナで寿命は縮まったのか?

感染症はイヤです。

Yahooニュース記事より

新型コロナによって人類の寿命はどのくらい縮まったのか? 海外の研究結果から

倉原優呼吸器内科医
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(写真:アフロ)

世界の寿命を縮めた新型コロナ

世界規模で多くの命を奪った新型コロナ。2021年11月17日時点で全世界の死者数は約513万人と報告されています(1)。これによって平均寿命がどのくらい縮まったのかを調べた研究が発表されました(2)。

これは、2005年〜2025年のヒューマン・モタリティ・データベース(3)を用いた37か国を対象とした死亡データの解析で、国ごとにどの程度の生命の損失があったのか推定したものです。調査期間に詳細なデータが得られた国に限定しており、アジア、アフリカ、南アメリカのほとんどの国は含まれていません。

解析の結果、新型コロナは多くの国で平均寿命を押し下げる結果となりました(図1)。平均寿命の減少幅が大きかったのは、ロシア(-2.32歳)、アメリカ(-1.98歳)、ブルガリア(-1.75歳)、リトアニア(-1.61歳)、ポーランド(-1.36歳)です。ニュージーランド、台湾、ノルウェーのように、感染対策が功を奏している国はむしろ平均寿命が延びました。

図1. 平均寿命の変化その1(参考資料2より引用)
図1. 平均寿命の変化その1(参考資料2より引用)

2005年から2019年までは、男女ともに平均寿命はゆるやかに増加していたのですが、新型コロナの流行でガクンと急減したことがグラフから読み取れます(図2)。

図2. 平均寿命の変化その2(参考資料2より引用)
図2. 平均寿命の変化その2(参考資料2より引用)

31か国で2800万年以上が失われた

たとえば、残り10年の平均余命が予測されていた5人が何らかの原因で早死にしてしまうと、「10×5=50年」が失われたという計算になります。これを「早死にで失われた年数(years of life lost)」と呼びます。寿命が減った31か国でこのかけ算をおこなうと、なんと合計2800万年以上が失われた計算になります。

人口10万人あたりの「失われた年数」が大きかったのは、ロシア、ブルガリア、リトアニア、アメリカ、ポーランド、ハンガリーでした(図3)。2020年の新型コロナの世界的流行に関連する「失われた年数」は、2015年の季節性インフルエンザによる超過影響の5倍を超えていることも示されました。

図3. 人口10万人あたりの「失われた年数」(参考資料2より引用)
図3. 人口10万人あたりの「失われた年数」(参考資料2より引用)

以上のことから、多くの国で寿命が短縮した理由は、新型コロナによる高齢者の早期死亡によって「失われた年数」が多かったためと考えられます。

受診控えも間接的な死亡リスクに

新型コロナの影響により、人間ドックなどの受診も減少して、がんや慢性期疾患の同定が遅れてしまうことが懸念されています。これによって、間接的な死亡者が今後増える可能性があります。

日本対がん協会によると、回答があった国内105施設では、2020年における5つのがん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん)の診断数は、2019年よりも9.2%少なく、外科的・内視鏡的治療件数も減ったことが報告されています(4)。特に、胃がん、大腸がんは、前年比それぞれ13.4%減、10.2%減と2ケタの減少です。早期がんの診断数が減ってしまうと、残念ながら進行期に入ってがんが発見される事例が増えてしまいます。

写真:PantherMedia/イメージマート

がんだけでなく、高血圧や糖尿病などに関しても受診控えの傾向がみられており、本来健診レベルで発見できるはずだった疾患の早期発見・早期治療が遅れてしまうリスクがあります。病院を受診するのをすっかり控えてしまい、持病の糖尿病が悪化したことから、新型コロナが重症化してしまった事例もコロナ病棟で経験しました。

結核などの慢性感染症の受診閾値も上がっており、コロナ禍で結核死者数が世界的に増加したことも報告されています(5)。

まとめ

新型コロナは、直接的に500万人以上の命を奪いました。しかし、さらに今後、間接的にたくさんの命を削る可能性があります。

「医療機関に行って、新型コロナをうつされたらどうしよう」と受診を控える人は少なくありません。治療できる病気の発見が遅れないよう、適切に検診を受け、困っている症状があれば病院を受診するようにしてください。

(参考)

(1) Coronavirus Cases - Worldometer(URL:https://www.worldometers.info/coronavirus/

(2) Islam N, et al. BMJ 2021;375:e066768

(3) The Human Mortality Database(URL:https://www.mortality.org/

(4) 2020年のがん診断件数 早期が減少 進行期の増加を懸念 日本対がん協会とがん関連3学会が初の全国調査(URL:https://www.jcancer.jp/news/12418

(5) WHOが警鐘 コロナ禍で増加に転じた結核死者数(URL:https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20211020-00263908

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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高齢化が進み、病気とうまく付き合いながら生活してゆくことが、より大切になってきました。また、若いうちから健康を保つ事の重要性が増してきました。

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