gooニュース記事より
「今年は1枚も届かなかった!」完全な“脱年賀状”を達成した40代男性が感じた晴れ晴れしさ
2023/01/12 16:15
年賀状の届かない正月も「当たり前」になるのか?(イメージ)
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)元日に届く年賀状は、日本の正月に欠かせないものだったが、昨今では、SNSの普及や紙資源の節約の流れもあり、配達数も減少。日本郵便によると、2023年の元日に配達された年賀状は、前年から14%減ったおよそ8億8200万枚。14年連続で減少している。そんななか、完全な“脱年賀状”を達成した人も少なくない。年賀状がなくなって年始の挨拶はどうしているのか、また、その心境はどのようなものか。
フリーランスでウェブメディアや雑誌などの制作を手掛けるメディアプロデューサー・山本さん(仮名、40代男性)は、2023年に届いた年賀状は0枚。自身も1枚も出していないという。
「以前会社員だったころは、会社で作った年賀状を仕事の関係先に出していましたし、関係先からもたくさん届いていました。20年くらい前に独立してから、自分からは年賀状を出すのをやめたんですが、それでも取材した先の事務所、レコード会社、飲食店などからは、年賀状が届いていました。でも、今年はついに、そういったところからの年賀状もまったく届かなかったんです。いよいよ時代が変わってきたことを実感しました」(山本さん・以下同)
仕事の関係先からの年賀状が急激に減少したのは、コロナ禍以降だと山本さんは感じている。
「リモートワークが普及したタイミングで、いろいろな慣習が一気に終わってきているのかもしれません。『テレワークになると会社や事務所に年賀状が届いても見ないから、貰っても見るのがいつになるかわからず困るし、こちらも出さないことにした』と会社員の友人が話していました。
またあるプロダクションの幹部に聞いた話では、『コロナ禍で業績が悪化し、経費削減の意味合いで年賀状をやめた』とのこと。SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを示すという理由で、年賀状による紙資源の浪費をやめたという取引先もありました」
紙の年賀状ではなく、メールで年賀状を送る企業もあったが、最近ではそういったケースも減っているようだ。
「今年メールで年賀状が届いたのは2件。ほとんど付き合いのないところで、おそらく、名刺交換した相手を全員メーリングリストに入れ、一括配信しているだけかなという印象です。つまり、宣伝用のダイレクトメールのようなもの以上の意味はないということです」
新年の挨拶はSNSの投稿で
メールでの年賀状も送らないのであれば、年始の挨拶はどういった形でするのか。
「別に年始の挨拶をまったくしなくなったわけではありません。基本的には、個人が持っているSNSにそれぞれ挨拶的なメッセージを投稿する感じです。関わりが深い人であれば、その投稿に“いいね”をするし、そこまで関わりがなければ、見るだけで終わり。継続的に仕事をしている人であれば、年が明けて最初のやり取りの際に、“あけましておめでとうございます”と添えることはありますよ」
プライベートの友人とも、年賀状のやり取りはまったくないという。
「私の場合、友人に年賀状を出したのは小学生のときだけ。中学生になって以降は、友人に年賀状を出したことはありません。年に1回の生存確認のために年賀状を出すという人もいるみたいですが、基本的に友人とはSNSでつながっているので、年賀状の必要性を感じたことはないですね」
さらに今年は、よく利用している飲食店やファッションブランドからの年賀状も届かなかった。
「これまで年賀状でセールの告知をしたり、割引クーポンを送ってきたりするケースが多かったんですけど、最近はそれもない。告知やクーポンもメールやLINE、お店のアプリなどに代替されていますしね。ただ、裏を返せばスマホアプリを活用していないと、活用できないサービスも多いのだなと感じました」
1枚も年賀状が届かなかった今年の正月は、スッキリした気持ちになったという。
「もともと年賀状の慣習があまり好きではなかったというのもあるんですが、もらったはいいけど、簡単に捨てるわけにもいかず、始末に困っていた部分もあったんですよね。手書きで丁寧なメッセージを書き添えてくれている年賀状をいただくと、返事をしなきゃならないのかなあ、と申し訳ない気分になることもありました。
今年、ついに年賀状が0枚になって、多少の寂しさのようなものもありますが、“やっと変に気を遣わないで済む”と、なんともラクな気分になったのは事実です」
時代とともに慣習は変わっていくもの。紙の年賀状をやり取りするのが当たり前だった時代は、過去のものとなっていくのかもしれない。(了)