Yahooニュース記事より
花粉症は早めの対策を、今年は飛散量の「表年」で過去10年で最多の可能性…寒気が緩むと一気に
花粉症のシーズンが、間もなく本格化する。今月中旬頃に寒気が緩むと、花粉の飛散量が一気に増える見通しだ。昨夏、好天続きで記録的な猛暑になった九州・山口では、飛散量が過去10年で最も多くなる可能性がある。ドラッグストアでは、薬や対策グッズを買い求める人たちの姿が出始め、専門医も症状が出る前の早めの受診を呼びかけている。(田中浩司) 【表】九州・山口の今年の花粉飛散量予想…福岡県は前年比2・47倍、山口県は3・82倍
大分県は前年の4倍予想
気象情報会社「ウェザーニューズ」は、九州地方の花粉シーズン(ヒノキを含む)を今月中旬から4月中旬と予想。同社は、九州地方の飛散量を前年の2・8倍、平年と比べても1・8倍になると見込む。中でも、大分県は前年比4・1倍、熊本県は同3・5倍と高く、福岡県も同2・4倍となっている。
スギは一般に飛散量が多い「表年」と、比較的少ない「裏年」が交互に訪れるとされ、今年は表年にあたる。さらに、飛散量が増える最大の理由として、昨夏の猛暑が挙げられる。花粉を作るスギの雄花は、夏場の気温が高いほど生育する特徴がある。
気象庁によると、西日本では昨年7、8月の月平均気温がともに平年より1・8度高く、特に8月は統計を取り始めた1946年以降、最も高かった。福岡県太宰府市では8月にかけて40日連続で猛暑日(35度以上)を記録。年間の猛暑日も62日に上り、最多日数を大きく更新した。
昨年まで症状がなかった人も
福岡市内では1月24日に、スギ花粉の飛散開始が確認された。ドラッグストア「大賀薬局長尾店」(福岡市城南区)では、同月下旬から花粉症対策の特設コーナーを設置。花粉症への免疫を高めたり、症状を抑えたりする薬のほか、鼻うがいや目薬などが並び、毎年症状に苦しんでいる人たちが早めに買い求めている。
昨年まで症状がなかった人に急に症状が出たり、風邪薬を買いに来た人に話を聞くと花粉症の症状だったりするケースもあったという。登録販売者の平川修也さん(24)は「眠くなるといった副作用が少ない薬もある。症状が出る前の対策が重要」と話す。
花粉症の症状がある人は、増加傾向にあり、戦後に植えられたスギ人工林が成長し、飛散する花粉が増えていることなどが影響しているとされる。日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会の調査によると、1998年に20%に満たなかった花粉症の人の割合は、2019年に42・5%に上昇し、倍増した。
毎日データ集約し予想
政府は、花粉が少ないスギへの植え替えを進めており、23年には、花粉を出すスギ林の面積を10年後に2割減、30年後に半減させる方針を打ち出した。雄花のみを枯らす飛散防止剤の開発も促進し、5年後に実用化のめどを立てるとした。
アレルギーの先進的な研究で知られる国立病院機構福岡病院(福岡市)の「花粉情報センター」は、九州の約50の医療機関から毎日、花粉飛散量の観測データを集約。過去のデータなどを基に分析し、福岡県医師会のホームページで4月15日まで、日曜祝日を除き、九州各地のその日や翌日の飛散予想を公開している。
センター主任の押川千恵医師(耳鼻咽喉科)は「寒気が緩むと、各地で一斉にスギ花粉の飛散が始まり、増加することが見込まれる。花粉症の症状が出現する前から内服薬などの治療を始めることで、ピークの症状を軽減させることができる。一刻も早く医療機関を受診して、対策してほしい」と呼びかけている。