これからの時期、気をつけたいですね。

Yahooニュース記事より

肩車をしていてなぜ溺れた?崩れ砂が招いたかもしれない沖縄・那覇のビーチでの出来事 #エキスパートトピ

水難学者/工学者 水難学会理事/長岡技術科学大学大学院教授
(写真:イメージマート)

 4月27日午後、沖縄・那覇の波の上ビーチで10代と40代の親子が溺れ、父親が一時意識を失いました。肩車でバランスを崩したことが溺れた原因とみられます。肩車をしていて溺れるとは、どのようなことが原因としてありうるのでしょうか。現場の写真を見ると手がかりがあって、原因がある程度推論できます。
 今回の事故では、ビーチ監視員と医師の連携によって親子の命が救われたと考えられます。救出が早いと呼吸が止まっていても心拍があることがあり、その場合「気道確保」と「人工呼吸」が生還のための重要なキーワードとなります。

ココがポイント

肩車をして遊んでいたのを見ていた。親の方が溺れかけて、子どももそのまま溺れかけていた
出典:RBC琉球放送 2026/4/28(火)

湖底の崩れ砂が、謎解きのキーワードとなります(中略)一度沈むと人は崩れ砂とともにより深い湖底にずり落ちていきます
出典:斎藤秀俊 2023/9/23(土)

近くの人の服を借りて首の下に入れ気道も確保した。男性は呼吸が戻り、到着した救急隊員によって病院に搬送された
出典:読売新聞オンライン 2026/4/27(月)

気道確保 頭部後屈あご先挙上
出典:日本赤十字社

エキスパートの補足・見解

 現場の監視員の証言によると、父親がお子さんを肩車して入水していました。「ココがポイント」の第一記事には写真が掲載され、現場と考えられる砂のビーチが写っています。汀線から沖に向かって進むと急に深くなっているように見えます。

 このような水底で考えられるのは第二記事に示した「崩れ砂」による溺水事故です。急な斜面をもつ底砂は「安息角」と呼ばれる崩れるか崩れないかのギリギリの角度で安定していることが多く、安息角部に足を踏み入れるといっきに砂が深い方に向かって崩れていきます。でも一人で安息角部に足を踏み入れても身体が浮くのですぐに深い方に引きずり込まれるわけではありません。

 現場を見ていないのでここから推論です。崩れ砂上で肩車をしていると、上にのっているお子さんの身体がすべて沈むまで、下の父親の身体はお子さんの体重で深い方に落ち込むことになります。お子さんを投げ出さない限り、浮き上がることができません。

 溺者を水中から引き上げたら溺水の場合は気道確保が優先かつ重要です。一人で胸骨圧迫を始めるのであれば、第三記事のように物理的に気道を確保します。躊躇がなければ直ちに人工呼吸。それぞれの手技については第四記事を参考に。

  • 160
  • 257
  • 163
水難学者/工学者 水難学会理事/長岡技術科学大学大学院教授

ういてまて。救助技術がどんなに優れていても、要救助者が浮いて呼吸を確保できなければ水難からの生還は難しい。要救助側の命を守る考え方が「ういてまて」です。浮き輪・救命胴衣・単純な背浮きであろうが、「物理に基づいて」浮いて呼吸を確保し救助を待てた人が水難事故から生還できます。水難学者であると同時に工学者(材料工学)です。水難事故・偽装事件の解析実績多数。風呂から海まで水や雪氷にまつわる事故・事件、津波大雨災害、船舶事故、工学的要素があればなおさらのこのような話題を実験・現場第一主義に徹し提供していきます。オーサー大賞2021受賞。講演会・取材承ります。連絡先 jimu@uitemate.jp