Yahooニュース記事より
学校健診に相次ぐクレーム 「下半身を見られた」「下腹部を触られた」…確認したい三つの病気
学校健診の際、医師に体を触られ不快な思いをしたなどと子どもが訴える事例が、各地で報告されています。体の状態を調べるために、子どもの服を脱がせたり体に触ったりする必要はあるのでしょうか。長年、学校健診に携わっている奈義ファミリークリニック(岡山県奈義町)所長の松下明さんに聞きました。(聞き手・利根川昌紀) 【図解】側彎症の検査はどうやる?
持病の受診継続、確認することも
――学校健診を実施する意義を、改めて教えてください。
学校で生活を送る上で、支障が出ないかどうかを確認するのが目的です。健診を実施することで、今まで気づいていなかった病気を見つけられたり、就学前に診断がついていた病気の治療を継続しているかどうか確認できたりします。学校健診は、6月末までに実施することが、学校保健安全法施行規則で定められています。
――具体的にはどのような検査を行っているのでしょうか。
検査項目は、この施行規則に定められています。例えば、身長や体重を測りますが、肥満ややせ、低身長であるかどうかが分かり、栄養状態も把握できます。低身長であれば、成長ホルモンが不足している可能性があり、程度が強い場合は、公費でホルモン注射を受けることにつながります。
胸に聴診器を当てれば、心音によって、心臓の弁膜症や奇形を見つけることができます。そのほか、側彎(そくわん)症を診断したり、アトピー性皮膚炎であることを指摘できたりし、受診するよう促せます。
――一部報道によると、下着をめくって下半身を見られたり陰毛の有無を調べられたりしたという訴えもあるようです。
通常、女児では10歳くらい、男児では12歳くらいで思春期に入り、体に変化が見られます。小学校低学年の段階で陰毛が生えていたり乳房が膨らんでいたりすると、「思春期早発症」の可能性が高くなります。この病気だと、年齢の低いうちに体が成熟してしまって、身長の伸びが止まってしまうため、男性・女性ホルモンの分泌を抑える治療を行うことがあります。
陰毛の有無を調べるなどの行為は、この病気が疑われて医療機関に受診した際に実施されることはありますが、学校健診の場では、そこまでしないでしょう。あらかじめ、養護教諭から指摘があり、個別に対応することはあると思います。ただ、非常にまれなケースではないでしょうか。私は、今いる地域で23年間、学校健診に携わっていますが、こうしたことは一回もありませんでした。
服は脱がせることは必要?
――子どもたちの体に触ったり服を脱がせたりすることは、正確な診断のために必要なことでしょうか。 学校健診で最低限、調べておきたいのは、(1)心雑音(2)側彎症(3)貧血――の有無だと思っています。 心雑音は、心臓の異常が分かり、左右のそれぞれ鎖骨の下辺りなどに聴診器を肌に直接当てて調べます。服を脱がせる必要はなく、私は服の首の部分を少し開けてもらい、聴診器を入れさせてもらっています。 側彎症は、肩の高さに左右差があるかどうか調べる必要があります。そのため、後ろを向いてもらい、背の全体が見えるように服をまくってもらいます。その際、アトピー性皮膚炎などがないかどうかも目で見て確かめています。 貧血は、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンが減る状態です。目の下の皮膚をひっぱらせていただいて「あっかんべ―」の状態にし、露出した部分を確認します。貧血であれば白くなっています。ここでは、直接肌に触れていることになりますね。 ――長年、学校健診に携わってこられて、難しさを感じることはありますか。 ここ10年くらいは、肌を見せることに抵抗を感じるという子どもが増えたように思います。ただ、服を脱がなければ正確に診断できないのは、側彎症の検査くらいです。私がいる地域では、皆さん協力的で、困ることはありません。 中には、発達障害の自閉スペクトラム症だというお子さんもいます。肌を触られたり、見知らぬ人と話したりするのが苦手なので、こうしたケースは個別に対応しています。 学校健診は、プライバシーに配慮しながらも、診るところはきちんと診る。実施する時間が限られている中でも、「質の担保」はしっかりする――ことが大切だと考えています。







