何となく予想はしていたが、家に帰ってくるとやはり隣の戸は固く閉ざされていた。
「やはり、誰かいたんだな。」
いつものように、よらば噛んじゃうもんね〜といった門構えに戻っている。
僕は少しほっとしながらも、さっき見た事を今一度確かめたい気持ちもよぎった。だがよぎっただけで、実際は生まれて初めての婆ーさん用語「くわばら、くわばら」を唱えていた。
目撃者は僕一人だ。こんな荒唐無稽な話しを信じてもらうには写真の一枚も必要だろうに、僕は舞い上がって何も記録する事が出来なかった。
僕はふいを付かれると全然頭が廻らなくなる。いつもそうだ、以前こんな事が有った。
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確か、東北新幹線の駅だったと思うが何処の駅かは定かでは無い。ライブを終えて正に列車に乗り込もうとした時いきなり横から話し掛けられた。
「これ大切にしてください!!」
「ああ?ど、どうも、、??」
縦20cm横20cmぐらいの箱をわたして足早にその人は消えて行った。
両手は既に旅行鞄等で塞がっていたので運ぶのに難義したが何とか座席まで移動して、直ぐその包みを開けた。気になったのだ。
大きな茶瓶だった、、結構重い、、、。
「いらない〜、、っていうか何で僕に茶瓶を??」
「っていうか、何でこれを大切にしなければならないのか??」
「っていうか、もしかして上等??」
「う〜ん捨てて帰りたいが、もし送り主が列車に同乗してたら、悲しむだろう。」
「いや、旅行中の人間にこんな重い茶瓶を渡すような人だ、別に傷付きはしまい。」
「ああ、でもこんな大きな茶瓶を列車に置いて行かれても、乗務員は困るだろうし」
ずっと、茶瓶のことを考えていた。茶瓶のことだけをずっと考えていた。
我に帰った時には、僕は茶瓶だけを大切そうに抱えて山手線に独り乗っていた。
「だあ!!!他の荷物全部新幹線に忘れて来たやんけ!!!」
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結局となりは蜘蛛の巣城であった。それ以上の事は僕には分からなかった。ただ、見たものをそのまま受け入れる事、その訓練を積んでいるのだと考える事にした。
今でも不思議に思う事がある。それはゴミ屋敷の近くに住んでいるのは僕だけではないという事だ。
何がいいたいかというと。毎日多くの人がゴミ屋敷の前を通る。中を見たのは僕が初めてである可能性は冷静に考えたら低いのでは無いか。にもかかわらず、周りの住人は本当に静かだ。ゴミ屋敷なぞ存在しないかのように、通り過ぎて行く。
何の事はない、理解出来ない事象に出会うと、わらう人、怒る人、否定する人、怯える人、等多々あるだろう。だが多くの人々はの場合、単にそれが見えなくなるのだ。
以前ホームページのfrom members(162ー師走どすえ)に書いたが、黒船がやって来た時下田の漁民にはそれが見えなかったという話しが残っている。
しかしながらその事とは別に、ぼくは、一度隣の住人に釘をさしておかなければならないと考えるに至った。衛生面の問題だ。とてもじゃ無いが、御自由にとはいえないと思った。
次回 第二次接近遭遇 fghwar〜!(1)