目から雑事

涙のように

映画、この自由な世界でを見ました。

ロンドンの町で派遣労働者を斡旋する小さな組織を作ってのし上がっていく女性を描いたもの。自分自身もかつて搾取され金がなくなったので、そういう組織を違法と知りながら作っていくのである。

結局自分も貧しい者から搾取して生き延びていくのだが、さすがに共同経営者も愛想をつかして彼女から離れていってしまう。

彼女は彼女で離れて暮らす息子のことも心配であるし、と悩みも多い。それでもがむしゃらに生きて行かねばならない彼女の姿を、良いとか悪いという視点を全く入れずに淡々と描いていき、さすがケン・ローチの作品という仕上がりになっている。

ドキュメンタリータッチの画面もざらざらしているようでリアリティーに溢れているし、現代のイギリス(に限らない)の姿を良く示している。

映画よりも小説の方が良いのではないかという印象です。この映画のようにキャリアウーマンになりたいととてもつよく思いましたね。

映画「ランジェ公爵夫人」を見ました。リヴェット監督の『美しき諍い女』を見たのはもう十年以上も前のこと。

当時でさえ、監督がヌーベルバーグの巨匠であることを知らなくて、というか大変な人らしいが寡作家で、日本では知名度の低い人で、あの映画もエマニュエル・ベアールのヌードの話題の方が大きくて、肝心の映画については長くて退屈という印象しかなかったのが正直なところだった。トリュフォーやロメールの映画の方がずっと親しかったわけだ。

そのリヴェットの久しぶりの映画ということで行ってきたが、今回もその良さが分からなかった。原作はバルザックの小説であるということだが、それは別にして。

19世紀初頭のフランスが舞台。夫のいるランジェ公爵夫人とある将軍との恋物語なのだが、これが実にまどろっこしい。

お互い好きなら好きと言って行動すればいいものを(今の時代だからそんな風に言えるのだろうが)、騙したり、じらしたりで結局自爆。

あまりにも共感できないストーリーにしらけてしまったというのが実感ですね。

今日、バスに乗っていたら途中の停留所から、若いお母さんがベビーカーと共に乗車してきました。

もちろんこの乗っているバスはベビーカー乗車OKです。しかしいつもならこの時間全然混んでいないのに、この時に限って混んでいたのです。

私は、ベビーカーのお母さんがかわいそうだなあ、最近では子連れを歓迎しないムードがあるから肩身が狭いだろうなあと後方から心配していましたが、その心配をよそに、周りの乗客のみなさんがそのお母さんに席をゆずったり、「あら赤ちゃんおとなしくて良い子ね?」などと声をかけてあげているおばあさんもいたりして、和やかな空気になっていました。

その若いお母さんも礼儀正しく良識的な人で、とても感心しました。なんだか最近のネットではことあるごとに子供とその親について批判するような投稿を目にするけど、こうしてちゃんとしっかりしているお母さん、そしてそれ以外の常識的な周りの人もたくさんいるということにあらためて気づかされました。

私も良いところを見習って素敵な大人になっていきたいです。

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