2010年10月02日

Complite Explorers/Manzanera & Mackay

Complite Explorers


今日紹介するのはフィル・マンザネラ [ Phil Manzanera ] とアンディ・マッケイ [ Andy Mackay ] 名義のアルバム『コンプリート・エクスプローラーズ [ Complite Explorers ] 』です。

The Explorers 1st実はこのアルバム、ロキシー・ミュージック [ Roxy Music ] の83年の解散後(ほぼ自然消滅みたいなものでしたが…)、マンザネラとマッケイがジェームズ・レイス [ James Wrath ] という当時の日本ではほぼ無名のボーカリストを迎えて新たに結成したエクスプローラーズ [ The Explorers ] の1stアルバム『The Explorers』(85年)(写真左)に、同じくボーカルはジェイムズ・レイスなのにマンザネラ&マッケイ名義で発表された実質エクスプローラーズの2ndアルバム『Crack The Whip』(88年)、さらに、同メンツでシングルでのみ発表されていた曲や未発表曲までも収録した28曲入りの2枚組CD、要するに、エクスプローラーズの音源のコンプリート・ベストともいえるアルバムなんです。
(注:「ローレライ [ Lorelei ] 」と「Falling for Nightlife」の2曲については、12inchシングル・バージョンの方でのみ収録されており、アルバム・バージョン、エクステンデッド・バージョンは未収録です。)

なお、97年にエクスプローラーズ名義で発表されたライヴ・アルバム『LIVE AT THE PLACE』からの音源は収録されていませんが、エクスプローラーズ(=ジェームズ・レイス+マンザネラ&マッケイ)としてのスタジオ音源は本作で全て揃うはずです。



ところで、このエクスプローラーズというグループ、かなり認知度が低いんですよね。

というのも、エクスプローラーズの1stアルバムの発表と時を同じくしてロキシー解散後初のブライアン・フェリー [ Bryan Ferry ] のソロ『ボーイズ・アンド・ガールズ [ Boys and Girls ] 』が発表となり、レコード会社的にはそちらを猛烈にプッシュ、おかげで世界的な大ヒットとなったもんですから、すっかりその陰に隠れちゃったみたいなんですよ。

Crack The Whipそのせいか、実質エクスプローラーズの2ndアルバムとなる『Crack The Whip』(写真左)は、それなりに知名度のあるマンザネラ&マッケイ名義に変更となり、いつのまにかグループ名は消滅、同グループのコンプリート・ベストとなる本作も”マンザネラ&マッケイ”名義でのリリースされ、本来のグループ名は『コンプリート・エクスプローラーズ』というタイトルにかろうじて残るだけ。

ちなみに、その間に出したシングルでもエクスプローラーズ名義のものとマンザネラ&マッケイ名義のものがあるらしく、名義が違っても同じ曲が収録されていたりするようなので、どこから変更されたのかははっきりしないんですが、いずれにせよ、セールス的に伸び悩んだ故の変更だったのだと思います。

まあ、確かに、バンドが解散した後は、一般的に、知名度の点で有利なボーカリストのソロの方がセールスが見込めるでしょうし、『Avalon』の大ヒットでロキシー・ミュージックを知った新しいファンがどちらか1枚を購入するとすれば、恐らくエクスプローラーズのアルバムは選ばないでしょう。

さらに、フェリーの『Boys and Girls』は、デヴィッド・ギルモア、マーク・ノップラー、マーカス・ミラー、ナイル・ロジャース、デヴィッド・サンボーン、トニー・レヴィン、オマー・ハキムなど、超豪華なゲスト陣が参加しているというウリもありましたから、同時期の発表となればどう考えてもエクスプローラーズの方が不利です。

せめて発表時期が半年でもズレていれば、少しは事情が変わったはずなのですが…。


ま、本作は、そんな不遇な船出からスタートしたエクスプローラーズのコンプリート・ベストなわけなんですが、実は内容の方はなかなかイケてます。

簡単に説明するなら、ロキシー・ミュージックの『Flesh & Blood』『Avalon』あたりの音に、初期から中期のブライアン・フェリーの歌い方にそっくりのボーカルが乗っかっているという感じでしょうか。

『Avalon』におけるAOR的な要素こそ薄いですが、逆に言えば、フェリーが『Boys and Girls』で表現できなかったロキシー的な要素はこのエクスプローラーズがしっかり継承しています。

しかも、そこにフェリーの声や歌い方にそっくりのジェームズ・レイスの歌声が乗っかっているわけですから、そりゃもう、これがロキシー・ミュージックだと言ってもおかしくないわけでして…。

なお、1st『The Explorers』のライナーによれば、ジェームズ・レイスはフィル・マンザネラと同い年で、75年にロンドンでフライング・タイガースというバンドでデビュー、その翌年にはオランダのギャラクシーズというバンドに加入、その後は大したキャリアはないようですが、それでもマンザネラ、マッケイとは75年頃から交流があったとのこと。

1stのジャケット写真を見る限り、マンザネラよりずいぶん若く見えたんですが、それなりの経験は積んでいるようで、パッと出の若造をオーディションで選んだり、レコード会社からソロ・シンガーを押し付けられたりしたわけではないようですね。

ところで、このジェームズ・レイスの声、よく聴くとフェリーより若干高くて細いんですが、あの独特の節回し(いわゆるフェリー節)がかなり忠実に再現できているので、にわかロキシー・ファンなら普通にフェリーが歌っている、もしくはロキシーの未発表曲かと思ってしまうくらい似ているんですよ(顔は吉本の外人芸人チャド・マーレン似ですが…。笑)。

これがもともとのジェームズ・レイスの個性なのか、わざと似せているのかは不明ですが、視点を変えれば、ロキシー・ミュージックからブライアン・フェリーが脱退し、新ボーカリストとしてフェリーに似た歌声を持つレイスが加入した…、そんな風にもとらえることができます。

さらに、本作には『Manifesto』以降のロキシー・ミュージックのアルバムで活躍したベーシストのアラン・スペナー [ Alan Spenner ] 、キーボーディストのポール・キャラック [ Paul Carrak ] 、アヴァロン・ツアーに参加しているダイヤー・ストレイツのガイ・フレッチャー [ Guy Fletcher ] なども参加していますので、メンツだけを見てもほとんど後期のロキシーで、ほとんどボーカリストが入れ替わっただけ。

ジャンルこそ違いますが、新生ジャーニーがスティーヴ・ペリーの歌声にそっくりのアーネル・ピネダを起用したようなものですね。

ま、ライヴではロキシー時代の楽曲も演っているようですから(『Live at the Palace』にも「Out of The Blue」が収録されています。)、実際、そういう意図があってフェリーに似た声質のボーカリストを迎えたのかも知れません。

ちなみに、本作の他のゲスト陣もなかなか豪華な顔ぶれで、ジャズやフュージョン界にとどまらず、ピーター・ガブリエルやエリック・クラプトン、ジェームズ・ブラウンなどのアルバムやツアーにも参加しているスーパー・ドラマー、スティーヴ・ガッド [ Steve Gadd ] 、キング・クリムゾンやピーター・ガブリエル・バンドでの活動が有名なスキンヘッドのベース/スティック(チャップマン・スティック)奏者トニー・レヴィン [ Tony Levin ] 、同じくピーター・ガブリエル・バンドやポール・マッカートニー・バンド、キング・クリムゾンのメンバーとのセッションやシルヴィアン&フリップなどでも活躍したドラマーのジェリー・マロッタ [ Jerry Marrotta ] 、同じくポール・マッカートニーのツアーにも参加した元ヘアカット100のドラマー、ブレアー・カニンガム [ Blair Cunningham ] 、他にもバック・コーラスとして10ccのエリック・スチュワート [ Eric Stewart ] やムーディブルースのジャスティン・ヘイワード [ Justin Hayward ] 、エディ・グラント [ Eddie Grant ] などが参加。

知名度からすればフェリーの『Boys and Girls』のゲスト陣と比べて見劣りはしますが、こっちはこっちでなかなか通ウケのするメンツです。

さて、本来なら簡単に収録曲の解説をさせていただくところですが、百聞は一見にしかず、YouTubeで彼らの映像を見つけることができましたので、まずは、実際にエクスプローラーズ(=ジェームズ・レイス+マンザネラ&マッケイ)の音を聴いてみて下さい。

「Lorelei」のプロモ映像
「You Go Up In Smoke」の映像(音のみ)

「Lorelei」のライヴ映像
「Prussian Blue」のライヴ映像
「Two Worlds Apart」のTVライヴ映像

いかがでしたか?

ま、ジェームズ・レイスの歌声をフェリーのモノマネととるか、新生ロキシー・ミュージックにおいて過去の楽曲も再現できるボーカリストととるかで感じ方は違うと思うのですが、とりあえず、ロキシー・ミュージックが大好きだった方にはぜひぜひ聴いていただきたいアルバムです。

なお、DISC1が主に『Crack The Whip』から、DISC2が主に1stアルバム『The Explorers』からの曲を収録しているので、発表順に聴きたい方はDISC2から先にお聴きになるのが良いと思います。
/BLマスター


追伸:
2010年10月20日に日本先行発売でブライアン・フェリーのニューアルバム『オリンピア / Olympia』が発表されるんですが、ゲスト陣の名前を見てビックリ!

なんと、ブライアン・イーノ [ Brian Eno ] にフィル・マンザネラにアンディ・マッケイ!!

おおっ、これはもう初期のロキシー・ミュージックではありませんか!!

他にも、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドやストーン・ローゼス/プライマル・スクリームのマニ、レッチリのフリー、シザー・シスターズ、グルーヴ・アルマダ、マーカス・ミラー、そしてフェリーの作品ではほぼ常連となっているピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアらが参加しているそうです。

しかも、プロデュースはロキシーの『Avalon』も担当したレット・デイヴィス [ Rhett Davies ] がフェリーと共に担当!!

早速、ファースト・シングルとなる「You Can Dace」の映像などがフェリー本人のYouTubeチャンネルで公開されていますので、興味を持たれた方はぜひご覧になってみてください。(「You Can Dance」のイントロは、『Avalon』の某曲からのサンプリングを使ってるみたいですよ。ニヤリ。)
 ↓ ↓
フェリーのYouTubeチャンネル

あ〜、20日が待ち遠しい!




追伸2:
ブライアン・フェリーのモノマネ、ロキシーのトリビュートなどのキーワードで立ち寄って下さった方のために、以前も紹介したロキシーのトリビュート・バンド、ロキシー・マジック [ Roxy Magic ] のYouTube映像もリンクしておきます。

ロキシー・ミュージックの再結成が行われ、来日まで果たしてしまった今となっては、ロキシー・マジックの意味も薄れてしまった感はありますが、今度はロキシー・マジックの来日公演を夢見て過ごすのも良いかも知れません(笑)。

Roxy Magicの「Virginia Plain」
Roxy Magicの「Re-make/Re-model」
Roxy Magicの「Both Ends Burning」
Roxy Magicの「If There Is Something」

Roxy Magic のH.P.


uknw80 at 00:15|PermalinkComments(6)TrackBack(0)ROXY MUSIC 

2010年07月31日

The Lexicon Of Love : Deluxe Edition 2CD Set/ABC☆

The Lexicon Of Love Deluxe


今日紹介するのは、ABC☆のデビュー・アルバム『The Lexicon Of Love(邦題:ルック・オブ・ラブ)』(1982年)に当時の未発表曲、デモ・トラック、ライヴ音源などを追加、さらに32ページのブックレットを封入した豪華な2枚組の『The Lexicon Of Love : Deluxe Edition 2CD Set』(2004年発売)です。

なお、この記事を書いている時点でアマゾンの商品リンクに紹介されている写真がモノクロになっていますが、実際のジャケットはオリジナル盤に忠実な色調の4面デジパックに「DELUXE Edition」と印刷された透明のカバーがついています。

この商品ページから私が購入したCDの写真を載せておきますので、興味を持たれた方は下記の写真をクリックして拡大の上ご覧ください。

The Lexicon Of Love Deluxe 2

さて、ABC☆について詳しいことは以前書いた記事(左サイドバーにある Artists Categories のABCをクリックすればご覧になれます)をご覧いただくとして、早速、本作に収録された曲の紹介からさせていただきます。

まず、本作は下記のような5つのセクションの分かれています。

☆DISC1

 PART ONE : THE ORIGINAL ALBUM
 ・オリジナルの『The Lexicon Of Love』をまるごと収録したセクション。

 PART TWO : THE ORIGINAL SINGLES
 ・シングルとして発表された音源とB面曲を収録したセクション。

 PART THREE : AN OUT-TAKE AND AN ODDITY
 ・『The Lexicon Of Love』の未発表曲を収録したセクション。

☆DISC2

 PART FOUR : THE ROUTE TO THE LEXICON
  ・デビュー前のデモ・トラックを収録したセクション。

 PART FIVE : THE LEXICON OF LOVE
 LIVE AT HAMMERSMITH ODEON,NOVEMBER 1982
  ・1982年にハマースミス・オデオンで行われたライヴを収録したセクション。


◆DISC1のPART ONE(M-1〜M-10)は基本的にオリジナルの『The Lexicon Of Love』と同じ内容なので個々の曲の解説は省かせていただきますが、旧盤に比べると(時代の流れで)録音レベルが大きくなっているためか、音圧が上がって迫力が増しているように感じました。

ちなみに、うちのカーナビについているオーディオは、ライヴ音源やメドレー曲など、切れ目なく録音された音源の途中にチャプターがふられている場合に限りわずかな空白(無音部分)が生じるのですが、残念ながら本作も旧盤CDと全く同じく、DISC 1の4曲目「Tears Are Not Enough」の頭に3曲目の「Meny Happy Return」の最後の残音が残っています(全く同じ箇所)。

つまり、切れ目の生じない一般的なCDプレーヤーでも「Meny Happy Return」だけを聴こうとすると前曲の残音から始まるわけですね。

元々が意図的に曲間を詰めてメドレー風に仕上げてあるため、曲の頭ピッタリでチャプターをふるのが難しかったのかも知れませんが、どうせリマスタリングをするなら、ついでにこういった箇所も修正していただきたかったところです。

あと、10曲目の「The Look Of Love(Part 4)」(オリジナル盤の最後の曲)のエンディングが微妙にフェードアウトしているのが気になります。

いや、間違いなく最後の一音まで収録されてはいるんですが、最後の最後で微かににボリュームが下がるんですよ。

ひょっとすると何か意図があったのかも知れませんが、レコードや旧盤CDに慣れた耳には違和感が残るところです。

これは旧盤にはなかった問題なので、旧盤と比較して欠点を指摘するとすればこの部分でしょうか。

ま、それでも全体的な出音としては旧盤よりヌケが良く気持ちいい音色になっているように思います。


◆続いては、シングルとそのB面曲で構成されたセクションPART TWO(M-11〜M-15)を紹介しましょう。

なお、このセクションは本作からのシングルを全て網羅しているわけではなく、「Overture」「Tears Are Not Enough 7"」「Alphabet Soup 12"」「Theme From "Man Trap"」「Poison Arrow Jazz Mix」という5曲を選んで収録しています。

ちなみに、アルバム・バージョンとほぼ同内容のシングル「Poison Arrow」「All Of My Heart」、日本でのみシングルカットされた「Valentines Day」、また、12inchシングル「The Look Of Love」に収録されていた「The Look Of Love Part 2」「The Look OF Love Part 3」、1999年に発表された「The Look Of Love 1999Mix」は省かれています。

M-11「Overture」
「All Of My Heart」のB面に収録されていた楽曲で、言わば『The Lexicon Of Love』のオーケストラ版メドレー曲。
ところどころにマーティンの声も入ってはいますが、基本的にはインスト曲で、初来日公演ではタイトル通り前奏として幕が開く前にこの音源が流され、開幕後の「Show Me」のイントロ部分の生ストリングスに引き継がれるというタメの利いた演出がなされました。
なお、DISC 2に収録されているロンドン・ハマースミス公演では生オケ+ピアノで演奏されています。

M-12「Tears Are Not Enough 7"」
アルバム『The Lexicon Of Love』に先駆けて発表された7inchのデビュー・シングルに収録されたバージョンで、ドラムにキツめのコンプが掛けられている反面、ZTTっぽいゴージャスな空間処理がなされていないせいか、アルバム・バージョンとは明らかに雰囲気の違うミックスになっています。
言わば、ZTTレーベルのプロトタイプといったところでしょうか。
アルバム・バージョンが完成形だとすれば、まだまだ粗い部分を感じますが、これはこれでホーン・セクションがより引き立ってファンク色が強く感じられるのでカッコ良くもあります。

M-13「Alphabet Soup 12"」
彼らのデビュー作となった12inchシングル「Tears Are Not Enough 」のB面曲で、かなりファンク色の強い楽曲です。
アルバム『The Lexicon Of Love』とは少々毛色の異なる楽曲ですが、トレヴァー・ホーン[ Torevor Horn ] がプロデュースする前のABC☆はこういうファンクっぽい曲を演るバンドだったのだろうと想像させてくれます。
この曲は、恐らく、スタジオ・ライヴの一発録りなのでしょう、少なめの観客の歓声の中、マーティン・フライ [ Martin Fry ] のシャウトと各楽器の掛け合いが楽しめる臨場感たっぷりの録音で、ライヴ時のノリノリの雰囲気を感じ取ることができます。
ちなみに、来日公演時、3幕目の最初にこの曲が演奏されているのですが、恥ずかしながら、つい最近までこの音源を聴いたことがなかったため、ライヴ用に制作されたメンバー紹介用の楽曲だと思っていました。

M-14「Theme From "Mantrap"」
ABC☆のビデオ作品『MANTRAP』のテーマとして使われた楽曲で、簡単に言えば「Poison Arrow」のしっとりとしたジャズ・バージョン、もしくはラウンジ・シーケンス・バージョンです。
実はこの曲、昔から疑問に感じていることがあって、12inchシングルに限らず、これまでに収録された盤全てに、イントロの4小節目の最後あたりに”ジリッ”という短いノイズが入っているんですよ。
最初は12inchシングルで聴いたので、レコードの盤面のキズだろうと思っていたんですが、その後、何度かCD化された時にも全て同じ箇所に同じノイズが入っていたので、マスターテープの時点から混入しているのだと思われます。
しかし、ボーカル・パートを抜いただけの同曲インスト・バージョンにはこのノイズが入っていません。
つまり、問題のノイズはボーカル・トラックに混じってしまったと考えられるわけなんですが、ボーカルが始まる前のイントロ部分なのですから、トラックごとミュートして消すこともできたのではないかと思うのですが…。
曲自体がムチャクチャ渋くてカッコいいだけにもったいないところですが、一瞬のことですので目をつぶってやってください(笑)。
ちなみに、来日公演では、2幕目の最初にこの曲が演奏されました。
未聴の方にはぜひ聴いていただきたいクールなアレンジの「Poison Arrow」です。

「Theme From "Mantrap"」のYouTube映像

M-15「Poison Arrow Jazz Mix」
ロング・バージョンの「Poison Arrow」に別メロの管楽器(フルートかな?)と少々細かな技の入ったピアノとギターがミックスされた1985年発表のジャズ・ミックス。
個人的には初めて聴くバージョンだったんですが、ブックレットの表記を見る限り、1985年にリリースされている既出の音源のようです。
なお、Jazz Mixということで、M-14の「Theme From "Man Trap"」と勘違いされることも多いのですが、こちらは通常バージョンの「Poison Arrow」に手を加えたリミックスっぽい作りの曲で、原曲のファンクっぽい要素はしっかりと残っています。

「Poison Arrow Jazz Mix」のYouTube映像


◆続いては、DISC1の最後となるPART THREE(M-16〜M-17) は『The Lexicon Of Love』のアウトテイク曲(未発表曲)を収録したセクションです。

M-16「Into The Valley Of The Heathen Go」
この曲は1stアルバムの頃のABC☆とはちょっと違った印象のヘビーな曲です。
さすがにアウトテイクですので、私も本作で初めて耳にした曲なのですが、いかにもデモテープっぽく、フェードインで始まり、尻切れとんぼなカットアウトで終わるという珍しいミックスが施されています(笑)。
ま、良く言えばパワフル、悪く言えば雑な印象ですが、それなりに手を施せば2ndアルバム『Beauty Stab』に収録されていても違和感はないかも知れません。

M-17「Alphabet Soup - BBC Swanpshop Version. 29/11/81」
こちらは基本的に M-13の「Alphabet Soup 12"」と同じ曲ですが、録音場所が違うのか、各楽器のアレンジ、バランスが微妙に異なっています。
13と17をじっくり聴き比べてみると確かに違うことはわかりますが、さらっと聴き流す分には同じ曲が2回収録されているようにも感じますので、個人的には少々蛇足な気もします。



◆続いて、DISC 2の最初に収録されるPART FOUR(M-1〜M-3)は、彼らのデビュー前のデモ用に録音された3曲です。

M-1「Tears Are Not Enough」
この曲に関しては、デモの段階でほとんど完成されていたのか、アレンジに関してシングル・バージョンと大きな違いはありません。
アルバム・バージョンの間奏で聴かれるバロックっぽいハープシコードのフレーズや全編に流れるヴィブラホン風の音色など、ZTTの面々によるゴージャスな飾り付けが施されていないためかファンク色が引き立っています。
やはり、完成形がアルバム・バージョンだとすれば、デモはデモでしかないのでしょうが、それでも若さを感じさせるマーティンの歌声は魅力的です。

M-2「Show Me」
これは面白い音源です。
確かにあの「Show Me」ではあるのですが、ベースラインが全く異なっており、歌詞やメロディーラインもサビの♪ショウミーショウミーショウミザッツ〜の部分以外は別モノになっており、もちろん、イントロ部分のストリングスはありません。
簡単に言えば、ファンク色が強くてメロディーにキャッチーさがない「Show Me」なのですが、これがZTTの手に掛かるとあの「Show Me」になることを考えると、整形手術の術前と術後を比較した写真を見ているようで、ある意味、超貴重な音源ではあります。
アルバム・バージョンは前奏のストリングスありきのアレンジですが、ライヴの途中にこの曲を演るのならこういったアレンジも良いかも知れません。
しかし、この音源のステファン・シングルトン[ Stephen Singleton ] のサックス・ソロは素人耳で聴いてもかなりヘタクソです(笑)。

M-3「Surrender」
この曲はひょっとするといわゆる未発表曲なんでしょうか、私は初めて聴きました。
正直言ってあまり印象に残らない曲ですが、きっちりZTTがミックスを施した後であれば『The Lexicon Of Love』の中に収録されていても違和感のない佳曲にはなったことでしょう。
音痴なシンセのフレーズが若干気になりはしますが、それなりにファンキーで無難な楽曲ですから、B面曲にも使えたと思います。



◆そして、最後は本作の目玉とも言えるPART FIVE(M-4〜M-14)、ABC☆が1982年に英国ハマースミス・オデオンで行ったライヴの超貴重な音源です。

MANTRAP彼らのライヴ音源は、オフィシャルでは1982〜1983年のワールドツアーの映像にストーリーを加味しサスペンス映画仕立てにしたジュリアン・テンプル監督のビデオ作品『MANTRAP』(現在廃盤、現在のところDVD化の予定はないようです)と、1997年のロンドン公演の模様を収めたCD『Lexicon of Live』のみ。

しかも『Lexicon Of Live』の方はほとんどマーティンのソロ的ライヴなである上、黄金期といえる『The Lexicon Of Love』からの曲は5曲だけ…、もちろん、このライヴはライヴで1997年までの活動を総括した興味深い音源ではあるのですが、どちらも品薄で入手困難となっていますからこのライヴ音源のCD化はまさに涙もの、特に、1984年の日本公演をご覧になった方なら当時の感動が再びよみがえってくることでしょう。

さて、肝心の内容ですが、個々の楽曲は、尺を長くしたりフレーズをいじってみたりと、それなりにライヴ用のアレンジは施されていますが、基本的にはアルバム『The Lexicon Of Love』に忠実な演奏でZTTらしいゴージャスな雰囲気が活かされています。

録音状態も非常に良く音質はクリア、ちゃんとしたオーディオで聴けば各楽器の定位までわかるバランスの良いミックスです。

曲目は以下の通り。
いつものようにYouTube映像(ビデオ作品『MAN TRAP』からの映像、本作からの音のみのものも含む)をリンクしておきましたので、興味を持たれた方はタイトルをクリックしてご覧になってみて下さい。

4. Overture
5. Show Me
6. Many Happy Returns
7. Tears Are Not Enough
8. Date Stamp
9. The Look Of Love
10. All Of My Heart
11. Valentine's Day
12. 4 Ever 2 Gether
13. Alphabet Soup
14. Poison Arrow (Encore)


蛇足ですが、日本公演はこのライヴの一年半後だったので、恐らく、ほとんどメンツやセットは同じだと思うのですが、本作のM-4「Overture」は日本公演とは違って生ストリングス+ピアノで演奏されており、そこから「Show Me」のイントロのストリングス部分をカットしてM-5の本編へと突入しています。

M-4からM-5の間で幕が開いたのかどうかはわかりませんが、個人的には日本公演バージョンの「Overture(テープ音源)」〜開幕〜生ストリングスによる「Show Me」のイントロ〜「Show Me」の方が気に入っています。

あと、日本公演ではいちいち幕が閉まる3部構成となっており、第2部ではセンターにピアノが移動してマーティンと2人で「Theme From "Man Trap"」を聴かせてくれたのですが、残念ながら本作にはこの曲のライヴ音源は収録されていません。

そういえば、ちょうどABC☆の来日公演と前後して、彼らのルーツとも言えるロキシー・ミュージック [ Roxy Music ] の来日公演があったのですが、この時点でスタジオ・アルバムだけでも8枚も発表しているロキシーがアンコール込みで1時間半の演奏だったのに対し、まだアルバム1枚しか出していないABC☆が2時間強のショーを見せてくれたんですよ。

しかも、ロキシーのシンプルなセットに対してABC☆のセットは超ゴージャス、内容を比較してもABC☆の方がトータルイメージが統一されており、仕掛けや見せ場が盛り込まれたショーはかなり満足のいく仕上がりでした。

ちなみに、ABC☆の方は3部構成でいちいち幕が閉まったため、そのたびごとにアンコールを求める拍手がわき上がり、本当のエンディングには誰もアンコールを求めなくなってしまいました(笑)。

ひょっとすると日本公演でもアンコール用の曲が用意されていたのかも知れませんが、だとしても3部目が終わった時点でショー全体の流れは完結していたので、あれはあれで正解だったように思います。

ま、いずれにせよ、私の観たライヴの中ではかなり上位にランキングされるライヴで、今でも脳裏に鮮明に焼き付いております。

もし、このライヴの映像が残っているのであれば、ぜひDVD化をお願いしたいところです。


そんなわけで、今回もまた話が長くなってしまいましたが、本作は80年代を代表する名盤の一つであり、80年代を象徴するZTTレーベルのルーツ的な意味でも重要な作品です。

彼らのファンの方はもちろんのこと、ZTTレーベルやトレヴァー・ホーンが大好きな方にも聴いていただきたいと思います。

/BLマスター

uknw80 at 18:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0)ABC 
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