2006年10月11日

DARE!/The Human League

Human League DARE!

ヒューマン・リーグは1977年に、コンピューター・プログラマーであったマーティン・ウェアー [ Martyn Ware ] と、イアン・クレイグ・マシュー [ Ian Craig Marsh ] によって「デッド・ドーターズ」というユニットを結成したことから始まります。

その後、現在のフロントマンであるフィル・オーキー [ Philip Oakey ] とフィリップ・エイドリアン・ライト [ Philip Adrian Wright ] が加わり、バンド名を「フューチャー」と改名、さらに79年の1stアルバム『Reproduction(邦題:人類零年)』の発表に先立ち、現在の「ヒューマン・リーグ」となりました。

この時代は、エレクトリック・ポップとはいえ、ゲイリー・ニューマンやウルトラヴォックスのように、本来、楽器の知識や、演奏テクニックを持っている者がシンセサイザーを操るのが普通であり、まともに既存の楽器を演奏出来ないコンピューター・プログラマーがバンドとしてデヴューしたということはかなりのカルチャー・ショックでした。

このメンバーでは、次に発表した『Travelogue(邦題:幻の果てに)』まで活動しているのですが、考え方の相違からバンドの創設者であったマーティンとイアンが脱退、2人は新しくB.E.F.(The British Erectric Foundation)というプロジェクトを形成、さらに、フィル・オーキーをボーカリストに決定する際に候補に挙がっていたグレン・グレゴリー [ Glenn Gregory ] をボーカルに起用し「ヘブン17(Heaven Seventeen)」を結成しました。

一方、残された2人は、楽器はおろかシンセサイザーの知識すら稀薄であったため、新たにイアン・バーデン [ Ian Burden ] (Syn,B)、ジョー・キャリス [ Jo Callis ] (Syn,G)を加えサウンド面の強化をはかり、さらに、地元シェフィールドのディスコでナンパした当時女子高生ジョアンヌ [ Joanne Catherall ] とスザンヌ [ Susanne Sulley ] をコーラスに迎え、ビジュアル面での強化もしました。

結果的に、このメンバーで完成させた本作『DARE!(邦題:ラヴ・アクション)』(81年)は、シングルカットされた「Don't You Want Me(邦題:愛の残り火)」の大ヒットもあって商業的にも大成功を収め、この人気は米国にまで飛び火、あっという間に全英、全米ともにチャート一位となりました。

「Don't You Want Me」のプロモ映像
今年のTV番組での「Don't You Want Me」のライヴ映像

また、これが第2期ブリティッシュ・インベンションのきっかけとなり、続くシンセサイザーを使用した英国のニューウェーヴ勢の米国進出に大きな役割を果たしたことは偉大な功績でしょう。(詳しくは 『The Very Best of the Human League』の記事をご参照下さい)

なお、このアルバムからシングルカットされた「The Sound Of Crowd」「Love Action(I Believe in Love)」「Open Your Heart」も英国ではそこそこのヒットとなっています。

「Love Action」のプロモ映像
「Open Your Heart」のプロモ映像
「Darkness (Afront's Transuranic Mix)」のプロモ映像

この頃の雑誌のインタビューで、フィルは「うちのバンドにもやっと和音の弾けるキーボーダーが入ったからね、単音にこだわる必要がなくなったんだよ。」と自慢気に話し、新メンバーのジョーは「昔のヒューマン・リーグはエレクトリック・ミュージックを作るためにシンセサイザーを使っているって感じだったけど、今のヒューマン・リーグはたまたま全てをシンセサイザーで演ったポップスという風に聴こえるんだ」と的を得た話をしています。

このアルバムを今になってよく聴いてみれば、「Don't You Want Me」以外の曲でのシンプルすぎるほど音数の少ないアレンジや、リンドラム(当時最先端のドラムマシン)の音圧のあるダンサンブルな使い方など、当時としては非常に斬新な手法を取っていたのですが、言われてみれば、ジョーの言葉通り、既存のポップスを骨組みだけにし、シンセサイザーの音色で遊んでいるようにも感じます。

また、この当時、ギター系のロック・ミュージシャンから人間味のない機械音とまで言われたこのようなシンセサイザーの音色が、現在のデジタル化されたシンセサイザーの中でシュミレートされ、温かいアナログシンセの音として重宝されていることは、彼らの考え方が間違っていなかった証だといえます。

最近では、このアルバムジャケットに似せたパッケージのアナログシンセのサンプリング音源集も発売され、このアルバム自体が名盤扱いを受けるようになって来ていますが、これは2000年以降の80年代サウンドの再評価という流れを象徴していますね。

このアルバムを持っておられる方は、この機会に久しぶりにお聴きになってみてはいかがでしょう。
きっと何か新しい発見がありますよ。
/BLマスター

uknw80 at 19:33│Comments(0)TrackBack(0)The Human League 

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