2006年10月24日

The Collection/David Torn

David Torn the collection

デヴィッド・トーンはセッションミュージシャンとしても有名な、知る人ぞ知る、唯一無二なループ系のギターを弾く変態ギタリストです。

ちなみにループ系ギターというのは、多種多様なエフェクターを用い、通常のコードワークを主にしたギターではあり得ないエフェクティブな音色を奏でることで楽曲において幅広い役割を持つギターで、この手の音の一部分をループして同じ箇所を何度も再生するだけでもアンビエント系の楽曲になることからループ系という名称で呼ばれています。

私が彼の名を知ったのは、デヴィッド・シルヴィアンの初のソロライヴでのことで、その弦楽器としてのギターの使用範囲を遥かに超越した見事なプレイは、私の脳裏にくっきりと焼き付き、以来、彼の参加作品を買いあさるようになりました。

その後、ジャパンのシルヴィアン以外のメンバーと行動を共にするようになり、ミック・カーンのソロや、ミックも参加するビギニング・トゥー・メルト、JBKなどのアルバムにもかなりの部分で参加、キング・クリムゾンのビル・ブラッフォードやトニー・レヴィン、元ミッシング・パーソンズのテリー・ボジオらとのセッションでも変態ギタリストぶりを発揮しています。
中でも特にミック・カーンとは親密で、アルバムやツアーはもちろんのこと、数々のセッションで共に参加し、盟友ぶりを見せています。

今回紹介するアルバムは1998年に発表された作品で、ドイツのレーベルCMPからリリースされた80年代〜90年代の彼のセッションから代表的な曲を一枚につき1曲づつ収録したベスト盤的な内容のものです。
ある意味で、CMPレーベルのカタログ的な作品なので、こういった曲がお好きな方には非常にお得感もあるのではないかと思います。

1.「Shofar」は、94年に録音されたトーンのソロ『Tripping Over God』からの1曲で、全てトーンのギターの音だけで構成されたアンビエントな小曲です。

2. 「Jason and Martha」は、92年のAndy Rinehartのアルバム『Jason's Chord』からの1曲で、盟友ミック・カーンも参加しているわりにはアバンギャルドさがなく、しっとりと聴かせる落ち着いたボーカル入りの楽曲。Kurt Wortmanのドラム、パーカッションが民族的な響きで小気味良い味を出しています。

3. 「Thundergirl Mutation」は、ミック・カーンの名盤『Tooth Mother』からのド派手な1曲。これはまさしく変態ベース×変態ギターを象徴するすばらしい楽曲で、非常に音数の多いGavin Harrisonのドラムや、地味ながら雰囲気作りに貢献しているリチャード・バルビエリのシンセサイザー、中近東寄りな女性ボーカルまで、見事にコンビネーションを聴かせる一番のオススメ曲です。

4. 「Rope Ladder to the Moon」は、マーク・ナウシーフとMiroslav Tadic(ごめんなさい、読めません)の『Snake Music』からの1曲で、生楽器だけで構成されたジャズ〜ニューエイジ寄りなボーカル作品。インプロ(即興演奏)的な要素も感じ取ることができ、興味深い楽曲です。

5. 「Zavana」は、マーティー・フォーゲルの89年の作品『Many Bobbing Heads, at Last ...』からの1曲で、ニューヨーク系(ジョン・ゾーンのような)のフリージャズ的なインプロ曲。
アコースティック楽器の中にあって、トーンのエフェクティヴなギターが馴染んでいるのが不思議ですが、何よりアート指向な側面を感じさせてくれるアバンギャルドな楽曲です。

6. 「Snail Hair Dune」は、トーンが、ミック・カーン、テリー・ボジオと組んだ93年のPolytownという3ピースのユニットからの1曲で、究極の変態プレイヤーが3乗になるとこうなるのかと驚かされた楽曲です。意外にもそれぞれ見せ場を作り、その掛け合いによって成り立っているのでゴチャゴチャ感がなく、新しいフリージャズとでも言うべきシンプルでアバンギャルドなインプロ大作です。

7. 「Passenger」は、トーンがマイケル・ランバート、マイケル・ホワイト、そしてミック・カーンと組んだ88年のLonely Universeというユニットからの1曲で、実験的な要素を多分に盛り込んだニューエイジ的な楽曲。ミックのリバース・ベース(逆回転系の音色)が実に気持ちよく響きます。

8. 「Drowning Dream」は、92年のミック・カーンの傑作中の傑作『Bestial Cluster』からの1曲で、スティーヴ・ジャンセン、リチャード・バルビエリも参加し、無国籍な雰囲気のアバンギャルド・ポップスといった趣の楽曲。ボーカルもミックが担当しています。

9. 「Tiny Burns a Bridge」は、95年のトーンのソロ『What Means Solid, Traveller?』からの1曲で、これも全てトーン1人で制作した中近東的なものと、ブルージーなものが同居する不思議な楽曲です。

10. 「Kids」はマーク・ナウシーフというドラマーの83年の作品『SURA』からの1曲で、かなり中近東寄りな(というか、本編はそのもの)楽曲です。部分的に環境音楽的なパーツとジャズ的なパーツがコラージュされているところが粋ですね。

11. 「Merciful」もマーク・ナウシーフのユニットDarkの88年の作品『Tamna Voda』からの1曲で、やはり中近東っぽい雰囲気(シタールのような奏法の部分もあります)のあるインプロ的なアコースティック・ギターの上にトーンらしいエフェクティブなギターが絡みます。

12. 「Nursing Emphysema」は、ウェス・マーティンの93年の作品『Three Pound Universe』からの1曲で、ピンク・フロイドでギルモアのギターの代わりにトーンが弾いているところを想像してもらえるとわかりやすいと思います。落ち着いたプログレっぽい歌ものの名曲ですね。

デヴィッド・トーンは、92年に聴神経腫を患い、現在でも右の耳に聴覚障害を持っているのですが、それでも頭の中で出来上がったステレオ感のある音を想像することが出来るそうで、それ以降も実に完成度の高い作品を残し、現在では他のアーチストのプロデュース業もこなしています。

好き嫌いのはっきり分かれる作品ですが、興味を持たれた方は聴いてみられてはいかがでしょう。
アマゾンで5曲目まで試聴することが出来ます。
/BLマスター

追記:
トーン氏の闘病の様子について、ブルースターさんがこちらの記事で詳しく書いておられます。
彼のプレイに関して興味を持たれた方はぜひご覧になっていただきたいと思います。

uknw80 at 16:18│Comments(6)TrackBack(1)David Torn |  - Mick Karn

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1. 扁桃腺といっても  [ for My Soul Love Russianblues! ]   2006年11月11日 16:53
ギタリストのトーン氏のコト

この記事へのコメント

1. Posted by ブルースター   2006年10月31日 16:37
5 とっても参考になりました
ありがとうございます
でも何故彼を変態ギタリストと
言うのでしょうか?
2. Posted by BLマスター   2006年10月31日 19:38
ブルースターさん、初めまして。
コメントありがとうございます。
特に性癖が変態というわけではないのですが(そこまでは知りませんが)、通常のギタリストでは考えもつかない変わった奏法をされているので、そういう言い回しをさせていただきました。
ミック・カーンもよく変態ベーシストとして語られています。
私の中では、エイドリアン・ブリュー、ヴァン・ヘイレンと並んで大好きな3大変態ギタリストなんです。
とにかく、一般的なギターの概念とはかなり違っていて、とにかくすばらしいです。
3. Posted by ブルースター   2006年11月03日 11:59
こんには
今日頼んでいたDTのアルバムが3枚がやっと
届きました!
おっしゃる変態な感じがその中のアルバム
『What Means SOLID,Traveller?』一曲目
spell breaks with the weatherで理解で来た様に思いました!
私は猫のロシアンブルーのブログをやってますたまに好きなものとして音楽や絵画の事も書きます(その時の記事のURL残しますネ)
猫がお嫌いじゃなくてお時間があって
気が向いた時があったら遊びにいらして下さい
PS
ヴァン・ヘイレンは相方が好きなので一緒に
バランスツアーの時コンサートに行きました!
4. Posted by BLマスター   2006年11月03日 13:30
ブルースターさん、お返事ありがとうございます。
少しでもお役に立てたようで光栄です。
トーン先生の作品はミック・カーンと一緒に演っている楽曲が特に強烈に変態臭さが出ていておすすめです。

早速ブログ拝見させていただきました。
私は犬も猫も大好きですので楽しく読ませていただきました。
たくさんの猫ちゃんと同居されているんですね。
行方不明の猫ちゃんが心配です。
また、ちょくちょく拝見させていただきますので、これからもよろしくお願い致します。
5. Posted by ブルースター   2006年11月11日 11:29
こんにちは
この記事がきっかけで
こちらを知ってから
最近は更新を楽しみにしております

コメントとTBありがとうございます

私もTBさせて頂いて宜しいですか?
私の方は猫ブログなのでTBは不思議な関係ですが・・・♪
でも〜ロシブル好きな方は意外と音楽やアートに精通している方が多いのですよ
6. Posted by BLマスター   2006年11月11日 14:42
ブルースターさん、まいどです。
そう言って頂くと非常に嬉しく思います。
ありがとうございます。
あつかましくも本文にブルースターさんの記事をリンクさせて頂きました。
いろんな方にトーン氏のギタープレイを聴いて頂けたら嬉しいです。

もちろんTB大歓迎です。
私も以前、猫を3匹飼っていましたので、実は大好きなんですよ。
息子がまだ小さいもので、もう少し大きくなったらまた、飼いたいと思っています。

これからもよろしくお願い致します。

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