2006年11月25日

Picture Book/Simply Red

Simply Red Picture Book

シンプリー・レッドの輝かしいデビュー・アルバムが85年に発表したこの『ピクチャー・ブック』です。

当時のメンバーは、元フランティック・エレベーターズのボーカルだったミック・ハックネル [ Mick Hucknall ](V) を筆頭に、元ドゥルッティー・コラムのリズムセクション、トニー・バウワース [ Tony Bowers ](B) とクリス・ジョイス [ Chris Joyce ](D)、それにフリッツ・マクリンタイアー [ Fritz McIntyre ](Key)、シルヴァン・リチャードソン [ Sylvan Richardson ] (G)、ティム・ケレット [ Tim Kellett ](Tp) の6名で、ミックの特徴的な赤毛にちなんで "Simply Red" と名付けられました。

彼らは、ジェームズ・ブラウンの全英ツアーのオープニング・アクトを務めたことで評判になり、デビュー・シングル「Money's Too Tight (To Mention)」が英チャートで13位といきなりのヒット、続く「Come to My Aid」はイマイチだったものの、3rdシングル「Holding Back the Years」は英チャート2位、米チャート1位となる大ヒットとなり、人気を不動のものとしました。

「Money's Too Tight (To Mention)」のプロモ映像
「Come to My Aid」のプロモ映像
「Holding Back The Years」のプロモ映像
最近のライヴでの「Holding back the years」の映像

実は、かく言う私も「Holding Back the Years」がガツンと来てしまい、翌日にはこのアルバムと12inchシングルを手に入れたのを覚えており、今ではカラオケの十八番となってしまいました(笑)。
今思えば、大人に憧れ、背伸びしていた私の趣味指向に、同世代である彼らの大人っぽい楽曲がぴったりと合致していたのでしょう。

しかし、これだけの名曲を当時まだ20代のパンク上がりの若者が書いたというのですから驚きです。
最近では、デル・アモーレや大御所ジミー・スコットなど、数々のアーチストがカバーするほどのスタンダードなナンバー(特にジャズ・シーンでは)となりましたが、発表当時からそれだけの風格は持っていたように思います。

Del Amoreのカバーする「Holding Back The Years」のプロモ映像

なお、このアルバムからは他にも「Jericho」「Open Up the Red Box」がシングル・カットされており、いずれも100位までにチャートインしています。

彼らのデビュー当時は、チャートの上位を占めていたエレクトリック・ポップ勢の影で、密かにジャッキー・グラハム、ルース・エンズ、ラー・バンドなど、英国産のソフトなブラック系サウンドが注目を集めていた時期であり、そういった流れも汲んでか、ブラック・ミュージックの要素をたっぷり盛り込んだ白人のグループがちらほらと頭角を現し始めました。
シンプリー・レッドはもちろんのこと、スタイル・カウンシルやブロウ・モンキーズ、ソロではポール・ヤングなどがそうで、ブルー・アイド・ソウル(青い目のソウル)やホワイト・ソウルなどと呼ばれていました。

今となっては、この手のサウンドも珍しくはなく、普通に正統派ポップスにカテゴライズされるようになりましたが、当時としては白人によるブラック・サウンドは珍しいものであり、立派に新しい波、すなわちニューウェーヴだったわけなんです。

特に、この1stは、モータウン・サウンドを始め、ジャズや、ファンク、フィラデルフィア・ソウルの臭いを感じさせながらも、本場アメリカとは違うイギリスらしさが盛り込まれており、汗臭くない(土臭くない)都会的でジェントリーな作風となっているところが見事です。

現在、この当時のメンバーはミック以外残っておらず、参加ミュージシャンの力もあってか、サウンド的にはよりタイトでグレードが上がっているように感じられ(レゲエっぽい曲調のものもあります)、それはそれでもちろん好きなのですが、個人的には、若干リズムが緩慢ではあるもののこのデビュー・アルバムの頃の方が好きです。

なお、本作のプロデュースは、古くはB.B.キング、クルセイダーズ、ランディー・クロフォードらを手掛けたことでも知られるスチュワート・レヴィン [ Stewart Levine ] が担当しています。

R&Bやソウルが見直されている今だからこそ、ぜひ聴き直してみて欲しいアルバムです。
本作もアマゾンで全曲試聴可能です。
/BLマスター

uknw80 at 14:02│Comments(2)TrackBack(2) Simply Red | ☆ブルー・アイド・ソウル系

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2. シンプリー・レッド 2  [ まい・ふぇいばりっと・あるばむ ]   2010年09月08日 14:43
NO.00256 シンプリー・レッドのデビュー・アルバム『ピクチャー・ブック』(1985年) 「金、金、世の中金だよ!金をくれー!」 OZZYの心の叫びではありません。(笑) これは、シンプリー・レッドのデビュー曲(6)「マネーズ・トゥ・タイト」の....

この記事へのコメント

1. Posted by koba   2006年11月26日 23:04
こんばんわ。
僕は、グラミー賞の初っ端で演奏した『MONEY'S TOO TIGHT』を見てから一時はまりました。

BLマスターさんのカラオケ十八番がシンプリィ・レッドとは(笑)わたしは良くDURAN DURAN歌ってました(汗)
2. Posted by BLマスター   2006年11月27日 20:36
kobaさん、まいどです。
グラミー賞のお話、友人から聞いて知ってはいたのですが、見逃しているんですよ。残念です。

ところで、カラオケの話ですが、最近はJOY SOUNDにジャパンの「QUIET LIFE」が入ったんで嬉しくて歌うこともあるんですが、何しろマニアックな曲は入っていないもんで、これが十八番になっています。
せめて「Forbidden Colours」(戦メリの歌入り)くらいあると、浪速のシルヴィアン(笑)としては嬉しいんですが・・・。
他には、ボウイの「アッシーズトゥーアッシーズ」や「ジギースターダスト」、「スターマン」、ロキシーの「モアザンディス」や「アヴァロン」、もちろん、デュラン2なんかも歌っちゃいますし、意外なところではボズスキャッグスなども・・・。
う〜ん、洋楽限定でやるカラオケ大会もいいもんです。

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