2007年12月06日

Love : And A Million Other Things/Claudia Brucken

Claudia Brucken

今日紹介するのは、元プロパガンダ [ Propaganda ] の歌姫、クラウディア・ブルッケン [ Claudia Brucken ] が1991年に発表したソロとしてのデビュー・アルバム『Love : And A Million Other Things(邦題:愛は万華鏡のように…)』です。

実は、このアルバム、前々から取り上げたかったのですが、廃盤になっている上、アマゾンでもずっと品切れ状態だったため記事にできず、中古でも入荷してくれないかなと心待ちにしていたんですよ。

先日、アマゾンで、久しぶりに「クラウディア・ブルッケン」と検索してみたところ、もちろん中古品ではあるものの、妙なプレミアが付くこともなく2枚も入荷しているではないですか。

恐らく、本来ならプレミアがついていてもおかしくないCDだけに(私の価値観ですが…)、このチャンスを逃してしまっては二度と記事にすることはできません(笑)。

そんなわけで、緊急に記事を書かせていただくことにしました。


クラウディア・ブルッケンは、先述の通り、元プロパガンダのメイン・ボーカリストとして84年にZTTレーベルからデビュー、ドイツ特有の重厚な雰囲気と、ZTT特有の派手なサンプリング・サウンドが見事に融合し、緊迫感に満ちた独自の音世界とそのキャラクターで確固たる地位を築き上げています。

ま、プロパガンダについては、以前の記事、『A Secret Wish』、『Wishful Thinking』、『Outside World』のところで取り上げておりますので、詳しくはそちらをご覧下さい。

クラウディアは85年に、ZTTレーベルの中核を成す人物の一人、ポール・モーリィ [ Paul Morley ] と結婚(ちなみに、プロパガンダが送ったデモテープを聴いて気に入り、ZTTに勧誘したのもポールです)。

それが引き金になったのかどうかはわかりませんが、彼女は86年10月にプロパガンダを脱退、その後、夫ポールの企画で、トーマス・リアー [ Thomas Leer ] と87年にアクト [ Act ] というユニットを結成、『Laughter, Tears and Rage』というアルバムを発表しています。

アクト「Absolutely Immune」のプロモ映像
アクト「Snobbery & Decay」のプロモ映像

しかし、軽いポップス指向の曲やジャジーな曲がシングルカットされているため、重厚なプロパガンダのイメージとのギャップが大き過ぎたのか、ごく一部のファンに受け入れられただけで、これといったヒットも無く、1枚こっきりであっという間に姿を消してしまいました。

その後、89年には、自らのアイデアによる『Primadonna(プリマドンナ)』というアルバム・タイトルでソロ・プロジェクトの構想が固まり、それが形を変えて本ソロ作『Love : And A Million Other Things(邦題:愛は万華鏡のように…)』となったようです。

とはいえ、本作の発表までの間には、いろんな紆余曲折があったのでしょう。
クレジットをよく見ると、異なる2つのユニットによって制作されていることがわかります。

一つは、プロパガンダの初ライヴに、ドラマーとしてゲスト出演した元ジャパン [ Japan ] のスティーヴ・ジャンセン [ Steve Jansen ] から派生したと考えられる、ジャパン系の人脈で構成されるスティーヴ・ナイ [ Steve Nye ] と、もう一人の共作者ジョン・ユリエル [ John Uriel ] を中心とするユニット( 2,6,9 )、もう一つは、ボム・ザ・ベース [ Bomb The Bass ] 、イレイジャー [ Erasure ] 、ニュー・オーダー [ New Order ] などの作品で知られるパスカル・ガブリエル [ Pascal Gabriel ] を中心とするユニット( 1,3,4,5,7,8,10,11 )です(11は日本盤のみのボーナス・トラック)。

2つのユニットの大きな違いは、スティーヴ・ジャンセンの生ドラムが入っているかどうかという点ですが、全体を通して聴く限り特に違和感はなく、一つの作品として自然な流れが形成されているように感じます。

ちなみに、クレジットによれば、本作で言うクラウディア・ブルッケンとは、クラウディア・ブルッケン&ザ・シルヴァー・オブ・フラワーズ(スティーヴ・ナイ+パスカル・ガブリエル+ジョン・ユリエル)というグループのことだそうで、この4人で作曲が行われているとのこと。

恐らく、別々のユニットで制作された楽曲をこの4人でまとめたのでしょうね。
そう考えると2つのユニットの出す音に違和感が無いことにも納得がいきます。

なお、クレジットによれば、7曲目のみ、アクトで相方を努めたトーマス・リアーの作曲のようですので、ひょっとするとこの曲だけはアクト時代のアウト・テイク(未発表曲)なのかも知れません(本作にトーマスは参加していません)。

曲調的には、ZTTレーベルの関与がなくなったせいか、プロパガンダ時代に比べると若干重厚さに欠ける気もするのですが、その分ダンサンブルな曲が増えているように感じます。

とはいえ、あくまでもプロパガンダ時代と比較しての話でして、当時流行していたポップな曲に比べれば、充分に重たさは感じていただけると思います。

アルバムに先駆けて発表された第一弾シングル「Absolut(e)」は、しっかりと踊れるテンポのディスコライクな曲ですが、第二弾シングルの「Kiss Loke Ether」に関しては、若干ムーディーながら、プロパガンダ時代を思い出させる重たさも併せ持っています。
(シングル「Kiss Like Ether」のカップリング曲「I, Dream」が一番プロパガンダっぽいのですが、残念なことに、このシングル以外には未収録です。)

「Absolut(e)」のプロモ映像
「Kiss Like Ether」のプロモ映像
(なぜか、この曲にはクレジット上、参加していないはずのスティーヴ・ジャンセンが後ろでドラムを叩いています。笑)

そして、何より、彼女独特の鼻にかかった声からはプロパガンダの面影も感じられますので、本作の前年に発表された新生プロパガンダの『1-2-3-4』を聴くよりは、よほどプロパガンダらしい雰囲気を感じ取ることができることでしょう。

しかし、いくら優れたアルバムとはいえ、あくまでもプロパガンダ名義のアルバムではありません。

プロパガンダの全盛期の音を期待して購入するのはやめたほうが良いと思います。。


この後、クラウディアは、同じく元ZTTレーベルに在籍したアーチスト、アンドリュー・ポピー [ Andrew Poppy ] との共作『Another Language』(2005)や、元O.M.D.のポール・ハンフリーズ [ Paul Humphreys ] と結成した新ユニットワントゥー [ OneTwo ] で『Instead』(2007)というアルバムを発表するなど、今でも精力的に活動しているようですが、個人的にはプロパガンダのアルバムの次に好きなのが本作『Love : And A Million Other Things』です。

ワントゥー「Cloud9」を使った映像
(デペッシュ・モードのマーティン・ゴアがギターを弾いている曲です)
アソシエイツのビリー・マッケンジーのトリビュート・ライヴでのワントゥーの映像

残念ながら、本作をアマゾンで試聴することはできませんが、プロパガンダが、いや、クラウディアの声が大好きだったという方には、ぜひ聴いていただきたいアルバムです。

なお、アマゾンで曲目が紹介されていませんでしたので、下記に紹介しておきました。
欲しいと思われた方は、妙なプレミアが付かないうちに手に入れて下さい。

1. Kiss Like Ether
2. Baby Sigh
3. Absolut(e)
4. Suicide - Song For a Ghost
5. Unforgivable
6. Moments of Joy
7. Fanatic (The Nail in My Soul)
8. Love: In Another World
9. Always...
10.Surprise
11.Absolut(e)〜Shooting Star(日本盤のみ)


ところで、いつだったか、音楽系のブログを書いている方が、クラウディアの声がエヴリシング・バット・ザ・ガール [ Everything But The Girl ] のトレーシー・ソーン [ Tracey Thorn ] の声に似ているという話を書いておられるのを読んだことがあります。

お〜、言われてみれば、確かに似たところを感じます。

どちらも個人的に大好きなシンガーなのですが、そう考えてみれば、私の好きな女性シンガーのツボは「鼻にかかっていること」なのかも知れません(笑)。
/BLマスター

uknw80 at 21:43│Comments(7)TrackBack(0)PROPAGANDA | ◆ZTT レーベル

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この記事へのコメント

1. Posted by しお加減   2007年12月08日 00:34
こんばんは♪
私は残念ながら、プロパガンダは素通りでした。
このジャケの写真を見て、一瞬、マークアーモンド? 等と思ってしまったフトドキ者です、ゴメンなさい。
プロパガンダっていうと、何故か渋谷陽一さんがラジオで語っていたなぁ。。。という記憶が。。
(勘違いかもしれない)
ところで、こちらのBlogですが、私のblogにお気に入りとしてリンクさせて頂いても宜しいでしょうか?
音楽とは関係ないOL日記なんですけれど、、、。
宜しくお願いいたします。
2. Posted by しお加減   2007年12月08日 10:10
今日は。
昨夜コメント入れたつもりだったんですが、入ってないみたいで。。(悲)。
気を取り直してもう1回。
こちらのBlogの大ファンのしお加減と申します。
もし宜しければ、自信のBlogに、こちらのリンクを貼らせて頂けないでしょうか?
普通のOL日記なんですけど、80's大好きだ!と主張したいもので。。^ ^
宜しくお願いいたします。
3. Posted by BLマスター   2007年12月09日 00:07
しお加減さん、まいどです。
公開とお返事が遅れて申し訳ありません。
まだまだスパムが多いので、チェックを入れてから公開するように設定したんですよ。
スパムではないコメントやトラックバックに関しては、1日〜2日お時間をいただくこともありますが、必ず公開の上、お返事を書かせていただいておりますのでお許し下さいませ。

ところで、リンクのお申し出、光栄に思います。
ありがとうございます。
もちろん大歓迎です(嬉)。
早速、こちらでもリンクさせていただきますので、これからも末永いお付き合いをよろしくお願い致します。
4. Posted by しお加減   2007年12月09日 09:19
BLマスター様

ありがとうございます♪
2回目の投稿の時、そのようにメッセが出たのに気付きまして >< 。
しつこくてゴメンなさい。
そして許可してくださって、ありがとうございます。
更新、楽しみにしております。
宜しくお願いいたします ^^
5. Posted by BLマスター   2007年12月09日 13:14
しお加減さん、まいどです。
こちらこそありがとうございます。
 
ここのところ、更新ペースがかなり落ちているんですが、実は、続ければ続けるほど本文を長く書いてしまうようになってしまい、自らそのプレッシャーに押しつぶされそうになって来たんですよ(笑)。
最初から字数を決めて挑めば良かったんですが…。

とはいえ、まだまだ紹介したいアルバムは山のようにありますので、これからも頑張るつもりです。
どうぞ、よろしくお願い致します。
6. Posted by OZ1984   2008年01月14日 04:42
はじめまして。じつは私も今年で43歳になります。ずっと80年代のテクノポップ(クラブ系テクノでは無く)/ニューウェイブが好きで、大学時代からZTT系、MUTE系もよく聴いたものです。ノイエ・ドイチェ・ヴェレのDAFやジャーマン・プログレetcにも興味が広がっていきました。(NEW ORDERとDEPECHE MODEがフェバリットですが)どうも、暗めというか憂いを帯びてるような重い曲調が好きみたいですね、私は。で、当然PROPAGANDAも愛聴してきました。ただ私の周りで知ってる人間に会ったことがない・・・。マイナーな存在なのかなと思ってましたが、けっこうWEBやBlogで取り上げられてるんで、なんだか嬉しいです。AMAZONの中古「Love : And A Million Other Things」、私がいただきました。情報ありがとうございました。このBlog続けてくださいね。私みたいなニューウェーブ親父には、とてもありがたい存在ですので。
7. Posted by BLマスター   2008年01月19日 15:44
OZ1984さん、初めまして。
コメントありがとうございます。
そして、お買い上げありがとうございます。

う〜ん、確かにプロパガンダはマイナーな存在ですよね。
FGTHやAONと比べると、かなり知名度はが低いように思います。
しかし、オリジナルアルバムをたった一枚しか発表していないグループなのにも関わらず(新生プロパガンダは別物と見なして…)、今でも根強い人気があるというのもすごいことですよね。
私もそんなカルト・ファンの一人ですが(笑)、最近は『Outside World』(http://blog.livedoor.jp/uknw80/archives/51063934.html)というアルバムを愛聴しています。

これからも頑張って続けていくつもりですので、どうぞよろしくお願い致します。

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