JAPAN

2007年05月28日

OIL ON CANVAS/JAPAN

OIL ON CANVAS/JAPAN

本作は、1982年に行われたジャパン [ Japan ] の解散ツアーとなった「Sons of Pioneer Tour」の(英国ハマースミス・オデオンでの)模様を収めた、ジャパン唯一のオフィシャル・ライヴ盤です。

このツアーの武道館公演(12月8日)では、アンコールで、シルヴィアンの盟友、坂本龍一&矢野顕子(当時は夫婦ですね)や、スティーヴの師匠(?)、高橋幸宏氏がゲスト参加し、当時、坂本龍一氏がDJを務めた「サウンド・ストリート」というFM番組で枠を拡大して放送されました。

ちなみに、ジャパンとしての最後のライヴはこの年の12月16日の名古屋公演で、その模様を収録した、なぜかジャケットに大きく海老の絵が描かれた『Yebi』というタイトルの2枚組みのブート盤LPがあって、たまに聴いてみたりします(笑)。

しかし、音質的にはさすがにオフィシャル、本作に勝るものは存在しません。

ブート盤や、FMで放送されたもののような「うるさすぎる黄色い歓声」がほとんど入っていないため、楽曲に集中して聴くことができるのも魅力ですね。

特に、日本公演での黄色い歓声はものすごいですから、よほどの忍耐がなくては楽曲に集中できません。


収録曲は、実際のライヴの演奏曲から「Alien」や「European Son」などが数曲省かれているものの、ほぼ曲順通りで、それに3曲の小曲を付け加えることによって、単なるライヴ盤ではない、一つの作品として完成させています。

ただし、プロローグ的な役割の「Oil on Canvas」、エピローグ的な「Temple of Dawn」は良しとしても、CD化されて1枚ものの作品となってしまった今となっては、LPの1枚目と2枚目のつなぎ的な役割を持つ「Voices Raised in Welcome, Hands Held in Prayer」は意味がないように思います。

楽曲自体はガムラン風で、決して悪くはないのですが、あのやきこさん(矢野顕子さんの別名。笑)の存在感がスゴすぎて、CDで通して聴くには、あまりにも違和感があり過ぎます。

この3曲の小曲を除けば全12曲となるのですが、うち、7曲が『TIN DRUM(邦題:錻力の太鼓)』、4曲が『Gentlemen Take Polaroids(邦題:孤独な影)』、1曲が『Quiet Life(邦題:クワイエット・ライフ)』からの楽曲となっており、1st、2nd
からの楽曲は一切含まれておりません。

実際のライヴでも、初期2枚からの楽曲は演奏されていないのですが、『Quiet Life』の発表までの間にシングルと編集盤でのみ発表された「European Son」と「Life in Tokyo」(武道館公演のアンコール)だけはアレンジを変えて演奏されています。(原曲の方は、『The Very Best of JAPAN』などのベスト盤に収録されています。)

言うなれば、電子楽器中心の音作りに転身してからの曲目を『Tin Drum』をメインに見せてくれたライヴということになりますね。

自動演奏部分(恐らくマルチ・トラック・テープ)と生演奏が見事に組み合わさっているところも面白いところですが、オリエンタルな味付けが施された『Tin Drum』からの曲と、ヨーロッパ的な『Gentlemen Take Polaroids』『Quiet Llife』からの曲が同居しているにも関わらず、全体を通して聴いても違和感をほとんど感じないところも大きな見どころです。

これは、『Gentlemen Take Polaoids』に収録されていた、エリック・サティーのような楽曲「Night Porter」の、ピアノ部分がマリンバに変更されるなど、非常に『Tin Drum』寄りなアレンジが施されており、他の楽曲に関しても同様に、全体的なトーンを合わせる工夫をしていますので、違和感がなくて当然なのかも知れません。

逆に言えば、そういう細かいところにまで工夫を凝らしているのがジャパンなのです。

このツアーの合間に出演したTV番組での「Night Porter」のライヴ映像

多くのヴィジュアル系バンドのボーカルに影響を与えた デヴィッド・シルヴィアン [ David Sylvian ] のファルセットまじりの独特な歌唱法はもちろんのこと、スティーヴ・ジャンセン [ Steve Jansen ] の完璧なまでにジャスト・タイミングなドラミングと、それに絡むミック・カーン [ Mick Karn ] のクセの強い、歌うような変態フレットレス・ベース、さらにリチャード・バルビエリ [ Richard Barbieri ] の奏でるオーバーハイムの霧のかかったような空間的な音色や、プロフェット5を極限まで駆使した金属的な音色のシンセサイザーの音色、そしてツアー・サポートを務める土屋昌巳のエイドリアン・ブリューばりの個性的な変態ギター。
(この時の土屋氏のストラトと同じく、ブリューもストラトのボディーの塗装を剥がした状態で弾いていますね。こうすると、ギター・ケースの中の乾燥剤の威力が増して、乾いた音がでるんだとか!?)

それぞれの個性がこの時点で完全に開花しており、まさに、どこをとってみてもジャパンというバンドの完成形と言えるのではないでしょうか。

デビュー当時に、ミーハー・バンドというレッテルを貼られたバンドが、ほんの4年少々という短い期間でここまで成長を遂げるとは、誰も想像できなかったことと思います。

かつての私がそうであったように、今でも「中身のないミーハーお化粧バンド」という認識のもとに誤解を受けることの多いジャパンですが、この完成形の姿から黄色い歓声を除けば立派な音響芸術系のバンドだったことがわかっていただけると思うのです。

同名の本作のビデオ版『Oil on Canvas』(現在はDVD作品『The Very Best Of JAPAN』に同時収録されています。)に関しても、やはり、単なるライヴ・ビデオではなく、『Tin Drum』のコンセプトに合わせたオリエンタルな映像が挿入されたり、その映像とバランスを取るためにライヴ映像にフィルターがかけられたりしており、そんなところにも彼らのこだわりを感じさせてくれます。
ただ、ファンの間では、ライヴ映像以外は必要なく、もう少しクリアですっきりした画像で見たかったという意見が多いのも事実ですが・・・。

以下が、そのビデオ『Oil on Canvas』からの映像です。
念のため断っておきますが、このミック・カーンの動きは電動ではなく、自身で動いています(笑)。

「Sons Of Pioneers」
「Gentlemen Take Polaroids」
「Swing」
「Visions Of China」
「Ghosts」
「Still Life In Mobile Homes」
「Methods Of Dance」
「The Art Of Parties」
「Canton」

この作品を最後にジャパンは解散、シルヴィアンはファルセットまじりの独特な歌唱法や、お化粧、前面だけをブロンドに染めた髪型(いわゆる「デビちゃんカステラ」ですね。笑)をやめ、まさに仙人的な音楽と芸術を中心にしたソロ活動を展開、スティーヴはリチャードと組み、ミックもソロに重点を置いた活動へとシフトしています。

以降、91年にレイン・トゥリー・クロウ [ Rain Tree Crow ] という、ジャパンとは別名義で事実上の再結成をしていますが、シルヴィアンのジャパン時代の歌唱法や、ミックらしい変態ベース・フレーズが無いという点、電子楽器を多用しながらもアコースティック・ライクな音作りをしている点などを考えると、明らかにジャパンとは別物、どちらかと言えば、シルヴィアンのソロの延長線上にある作品でした。

ヴァージンの望むジャパン名義での再結成盤を拒否して、別名義にしたのも頷けます。

Rain Tree Crow「Blackwater」のプロモ映像

シルヴィアンを神と崇める私としては、本格的な再結成ライヴを観たいという気持ちもないことはないのですが、それだけはやめて欲しいという気持ちの方が大きく、出来ることならタイムマシンで1982年に戻ってもう一度じっくり観てみたいと思っています。

ま、そうは言っていても、万が一再結成されることがあれば、間違いなく観に行ってしまうのですが・・・(笑)。


なお、『Tin Drum』のプロデュースはスティーヴ・ナイ [ Steve Nye ] が担当しているのですが、『Quiet Life』『Gentlemen Take Polaroids』でプロデュースを担当していたジョン・パンター [ John Punter ] が、ツアーに同行するライヴ・エンジニアに転向していたため、そのまま引き継いで、メンバーと共同で本作のプロデュースを行っています。

決してノリノリのご機嫌なライヴではありませんが、ジャパンのファンの方は当然のこと、誤解して食わず嫌いだった方にこそ聴いていただきたい芸術的な作品です。

未聴の方は、上のYouTube映像の他、アマゾンでも全曲試聴可能ですので、まずはさらっとでも聴いてみて下さい。
/BLマスター

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2006年11月09日

QUIET LIFE/JAPAN

JAPAN Quiet Life

本作は 1979年に発表されたジャパンの3rdアルバムで、彼らがアート系ニューウェーヴ路線へ転身した記念すべき第一作とも言えます。

とはいえ、初期2枚のファンからは荒っぽさとロックっぽさが失われたことで酷評を受け、逆に本来このアルバムのターゲットとするべきリスナーからはミーハーなイメージを拭い去ることが難しかったために受け入れられず、アリオラ・ハンザ在籍中では初めてのチャート入りを果したものの(最高位53位)、セールス自体は決して良くははありませんでした。

実は、このアルバムを制作する少し前に、セールス不調を打開するため、レコード会社側がジョルジオ・モロダーをセッティングし、シングル「Life in Tokyo」を発表しており、この作品が彼らにとっての大きな転機となっています。

「Life In Tokyo」のプロモ映像

ジョルジオ・モロダーとは、この当時ドナ・サマーなどの作品で彼の十八番である16ビート・シーケンス・フレーズを使ったディスコ・サウンド(いわゆるミュンヘン・ディスコ)でヒットを連発しまくった大物プロデューサーで、後にヒューマン・リーグのフィル・オーキーとの共作や、リマールの「Never Ending Story」などでも注目された人物です。

ちなみに、この16ビート・シーケンス・フレーズは、ジョルジオの手を離れたジャパンのメンバーによって、本作からの第一段シングル「Quiet Life」や「Europian Son」にも方法論として活用され、その後、フォロアーであるデュラン・デュランのデビュー曲「Planet Earth」などにも活用されています。

このジョルジオとの出会いによって、エレクトロニクスという強い味方が出来たジャパンは、ついに自分たちの納得のいくスタイルを確立し、また、プロデューサーにブライアン・フェリーのソロ作『Another Time, Another Place』や、ロキシー・ミュージックの『Country Life』を手掛けたことで知られるジョン・パンターを迎え、この『QUIET LIFE』というアルバムが制作されたのです。

なお、後のシルヴィアンのインタビューによると、「僕たちのファースト・アルバムは『QUIET LIFE』さ。初期の2枚は消してしまいたい恥ずかしい過去なんだ。」というようなことを言っていたのを覚えています。

本作は、後期のロキシー・ミュージック的なヨーロピアン・スタイルの幽玄さと、ゲイリー・ニューマン的なシンセサイザー・ワーク、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド的な退廃的なアプローチを併せ持っており、ジャパンならではの音世界を作り上げています。

ミック・カーンがフレットレス・ベースを使い始めたのも、スティーヴ・ジャンセンがテクニカルなジャスト・タイミングのドラミングを始めたのも、リチャード・バルビエリがキーボードではなくシンセサイザー奏者となったのも、そして、デヴィッド・シルヴィアンの歌唱法が落ち着いた歌い方になったのも全てこの作品からなんです。
ついでに言えば、ロブ・ディーンのギターの影が薄くなったのもこの作品からです。

正直、個人的には、次作『Gentlemen Take Polaroids(邦題:孤独な影)』の完成度に比べてまだまだ荒っぽいところもあるように感じているのですが、ジャパンというバンドのスタイルは間違いなくこの時点で完全に出来上がっています。

先述のタイトル曲「Quiet Life」はもとより、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバー曲「All Tomorrows Parties」では原曲の退廃的なムードはそのままに、ヨーロピアン調の幽玄さを強調したいかにも彼ららしいアレンジでやってのけ、「In-Vogue」、「The Other Side of Love」、仏語で歌った「Despair」では絶望感を盛り込んだ彼らなりのデカダンスを見事に表現、さらに前作までの雰囲気もどこかに残しながらヨーロピアン・テイストを加味した「Fall in Love with me」や「Halloween」、そして個人的に大好きで、次作への布石とも感じられる「Alien」、う〜ん、どれを取っても唯一無二なジャパン・サウンドです。

「Quiet Life」のプロモ映像

ちなみに、一昨年のシルヴィアンのソロ・ライヴでは、珍しくこのアルバムから「The Other Side of Love」を演っていたのが記憶に新しいところです。

当初、このアルバムのタイトルは6曲目に収録された「All Tomorrows Parties」に決定していたそうですが、トラックダウンの段階で楽曲的に出来の良かった「Quiet Life」に急遽変更となったそうです。

しかし、そんな秀作であったにもかかわらず、それまでの先行投資の回収をすることはできず、この後、最後の賭けとして発表したモータウンのカバー曲のシングル「I Scond That Emotion」も不発に終わり、アリオラ側から次の制作費は出せないと通告、契約問題で揉めることとなります。
結局、その後、移籍したヴァージンからもらった契約金の殆どをアリオラ・ハンザに支払うことで決着がついたものの、次作にはかなりのプレッシャーがあったことでしょう。

「I Second That Emotion」のプロモ映像

この作品以降、ジャパンはようやく本来のターゲットであるリスナーにもいくらか受け入れられるようになり知名度を上げました。
それに便乗してアリオラ・ハンザは過去の作品の編集盤を続々と発表し、後期のファンからは反感をかっているようです。

なお、紹介しているアルバムは今年発売になったもので「All Tomorrow's Parties」の12インチバージョンの1983リミックスと7インチバージョン、「Quiet Life」の7インチバージョンと、そのB面に収録されていた「A Foreign Place」、そして「Quiet Life」のプロモ映像がボーナストラックとして追加したノンCCCD盤です。

この機会に、シルヴィアンの言うところの彼らの1stアルバムを再評価してみてはいかがでしょう。
/BLマスター

uknw80 at 13:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年10月19日

Tin Drum/JAPAN

JAPAN TIN DRUM

1981年に発表された通算5枚目、そしてオリジナル作品としてはジャパン最後のアルバムとなったのがこの『TIN DRUM(邦題:錻力の太鼓)』。
一般的にも本人達的にも最高傑作と誉れの高いジャパン唯一のコンセプチャル・アルバムです。

このアルバムでは、メンバーひとりひとりの個性がはっきりと出ており、唯一無二なジャパン・ワールドを作り上げました。
なお、前作『Gentlemen Take Polaroids(邦題:孤独な影)』発表後、ギタリストのロブ・ディーンは脱退し、本作ではデヴィッド・シルヴィアンがギターも弾いています(ライヴ時は一風堂の土屋昌巳がギタリストとして参加)。

本作の特徴は、文化大革命時代の中にいる若い西洋人から見た中国という架空の設定のコンセプトに基づきトータルにまとめあげられた歌詞やサウンド、そして、シーケンシャルのプロフェット [ SEQENCIAL CIRCUITS PROPHET-5、T-8 ] やオーバーハイム [ OBERHIEM OB-X ] といったアナログシンセを極限まで使いこなしたその技術でしょう。

特に、PROPHET-5についてはリングモジュレーターというこのシンセの特徴的な機能を多用することで、アナログシンセであるにも関わらずノイジーで金属的なサウンドを作り上げることに成功し、本作では主にガムランの鐘やスチールパンのような摩訶不思議な音色として使用されています。

最近ではこのタイプの音色が、パソコン上に立ち上げるソフトウェアタイプのシンセや、サンプリング用のアナログシンセ音源などに、プロフェットの代表的な音色として収録されるほど特徴のある音です。
このようにプロフェットを極限まで使い込んでいるアーチストは、坂本龍一、デヴィッド・シルヴィアン、リチャード・バルビエリの3人以外、私は思い当たりません。
つまり、鬼に金棒、トレバー・ホーンにフェアライト、トニー・レヴィンにチャップマン・スティック、ジャパンにプロフェットと言うくらいの特徴的な愛用品なのです。

また、リチャードはプロフェット以外にもオーバーハイムのOB-Xを多用しており、目立ちこそしないものの、ふわぁ〜っとした浮遊間のある幽玄な音色で雰囲気作りに貢献しているのも重要なエレメントでしょう。

それと同じくらい重要性があるのが、この頃から使い出したミック・カーンのウォル [ Wal ] というメーカーのフレットレス・ベースです。
ウォルのベースはベース界のロールス・ロイスと呼ばれるほどの名品(高級品)で、ミックの愛用しているアフリカ産チューリップ・ウッドのベースは、ウォル側から変態ベーシストのミックにぜひ使って欲しいとの提案で特注された世界でたった1本のベースです(というか、1本作る分だけしかチューリップ・ウッドが無かった)。
これにエフェクトをかけることで、あのパオパオブニュ〜ンのような太くて存在感のある音色を出しているんです。
ミックは現在でもこのベースを愛用しており、ウォルの広告塔となっています。
そういう意味でも、鬼に金棒、ミックにウォルですね。

さらに、スティーヴ・ジャンセンのドラムで、音階があるかのように感じるパーカッッシヴな打楽器音は、日本のメーカーTAMA のオクタバンという、同じ大きさの小さな打面にグラスファイバー製の長さの違う胴のついたメロディック・タムで、これを数本並べることにより表現されています(ビデオではこちらから見て右側にある大砲のようなもの)。
また、スティーブのようなジャストタイミングでしかも手数(てかず)の多いテクニカルなドラマーは当時まだ珍しく、彼が師匠もしくは奥さんと呼んでいる高橋幸宏氏からの大きな影響を感じます。
そしてこのタイプのドラミングは、後に続くABCのデヴィッド・パーマーらにも引き継がれました。
ちなみに3人とも愛用のドラムはTAMA製です。

以上のようにはっきりとした個性が完成された4人それぞれの音色に、この頃のデヴィッド・シルヴィアンの低く湿った特徴的なボーカルが入っているのですから、唯一無二な作品にならないわけがありません。

普通に考えれば、似非中国的なテーマで作品を作り込むと下世話なイロモノになってしまうところを、それぞれがストイックな姿勢で楽曲に取り組むことで芸術作品の域にまで高めているのは見事です。

「Visions of China」のプロモ映像
「Still Life in Mobile Homes」のライヴ映像を使ったプロモ映像
「The Art Of Parties」のライヴ映像
TV番組での「The Art Of Parties」の生ライヴ映像
TV番組での「Ghosts」のライヴ映像(口パク)
TV番組での珍しい「Ghosts」の弾き語りライヴ映像

さらに今回紹介しているCDは、2003年に発売されたリイシューされたコピーコントロール盤(コピーガード入りでCCCDと呼ばれています)ではなく、通常盤(デジタルコピーも出来ますし、Macでも再生可能です)。
従来のものより音圧が上がり、細部まで輪郭がくっきりと浮かび上がるほどのリマスタリングが施されています。
既にこの作品をお持ちの方にもぜひヘッドホンでじっくり聴き比べていただきたいと思います。


しかし、ここまでの完成度の高い作品を発表しているというのに、初期のミーハーお化粧バンドのイメージを拭い去ることが出来ず、聴かず嫌いなままで誤解している音楽ファンがいることは、シルヴィアン・フリークの私としてはとても残念なことです(そういう私も初期のイメージがなかなか拭い去れず『孤独な影』まで聴かず嫌いでした)。

これからもシルヴィアン信者として布教活動に邁進する必要がありそうです。
/BLマスター

追伸:
infantjoy feat sarah nixeyというアーチストのなかなかムーディーな「Ghosts」のカバーを見つけましたのでオマケとして付け加えておきます。
カバーとしての評価は別として、このようにカバーされるということ自体、ファンにとっては嬉しいことであります。
infantjoy feat sarah nixey「Ghosts」のプロモ映像

uknw80 at 19:44|PermalinkComments(7)TrackBack(0)

2006年10月03日

The Very Best Of JAPAN (DVD)

JAPAN best DVD

今年、ジャパンの後期の映像作品が日本版(リージョン2)で発表されました。

これまで、ジャパン(JAPAN)関連のオフィシャルで発表された映像ソフトは実に数少ないんです(ブートではかなりの数が出回っています)。

発表された年の順に紹介すると、83年に発表の前年の解散ツアーの模様を収めたビデオ『OIL ON CANVAS』が意外なことに一番最初の作品となります。(同時にレーザーディスクでも発売されています)
あれだけミーハー的に人気があったというのに、解散までオフィシャル映像作品の発売がなかったのは不思議なことです。

この作品は、単なるライヴビデオではなく、英国ハマースミス・オデオンでの解散ツアーの映像に薄く霧がかかったようなフィルターをかけ、中国の軍隊や風景やタイ、ビルマ(現ミャンマー)などのオリエンタルな風景を挿入したイメージビデオ的なものです。
恐らくは、挿入したオリエンタルな映像と画質を合わせるためにフィルターをかけたものと思われますが、そのために発売当初から非常に画質の悪い作品で、評判はイマイチでした。
そんな作品でも、それまで高い値段で出回っていた、まるで裏ビデオのような画質のブートものに比べれば雲泥の差です。

まだ眉毛のないミック・カーンの「カニ・ウォーク」と呼ばれる奇妙な動きや、土屋昌巳のアクティブで陶酔しきった動きと対照的に、デヴィッド・シルヴィアンの落ち着いた歌唱、リチャード・バルビエリのまるでミシンで縫い物をしているかのような寡黙なキーボードプレイ、スティーヴ・ジャンセンの腕だけが小刻みに動くジャストタイミングなドラムプレイを鑑賞出来るのは、ファンにとって最高の喜びでした。

「Sons Of Pioneers」のライヴ映像
「Gentlemen Take Polaroids」のライヴ映像
「Swing」のライヴ映像

続いて84年に発表されたのが、ヴァージン時代のプロモ集『INSTANT PICTURE』で、これには、アルバム『Gentlemen Take Polaroids(邦題:孤独な影)』と『Tin Drum(邦題:錻力の太鼓)』から7曲のプロモを収録されました。
とはいえ、『OIL ON CANVAS』からのライヴ映像やオリエンタルな風景を使ったものも多く、目玉は「Gentlemen Take Polaroids」「Swing」「Night Porter」「Visions Of China」のプロモ映像が見れるということだけでした。

「Gentlemen Take Polaroids」のプロモ映像
「Swing」のプロモ映像
「Night Porter」のプロモ映像
「Visions Of China」のプロモ映像

その後、2001年に悪名高いアリオラ・ハンザがDVDで初期〜中期の作品のプロモ集を発表しましたが、これも、すべて70年代の作品ということもあって画質はイマイチで、スタジオライヴ風のプロモが多いため、あまり出来はよくありませんでした。

「Life In Tokyo」のプロモ映像
「Quiet Life」のプロモ映像
「I Second That Emotion」のプロモ映像

以上が去年までのジャパンというバンド名義で販売したオフィシャル映像作品のすべてです。
驚くことに、たったこれだけなんです。


今年発表された、この『The Very Best Of JAPAN』というDVD作品は上の3作品からプロモのおいしいところ取りをし、『OIL ON CANVAS』とまとめたものであり、画質が良くなっているということもありませんし、特に新しく追加された曲もありません。
すべてを持っている方からすれば、DVD化されたことにより曲ごとにチャプターを飛ばせたり、コンパクトに収納できるといったことくらいしかメリットはないと思います。

しかし、我々ファンからすればこれは貴重です。
ジャパンファンで、ライヴ未体験の方には特にお勧め出来る逸品です。
ライヴで動いている後期ジャパンの映像を見れるDVDはこの作品だけなんですから。
また、当時の『OILON CANVAS』のビデオが1万円以上、『INSTANT PICTURES』が 5800円であったことを考えれば、この内容で3000円弱であることは驚きです。

何といってもすべて20年以上前の映像ですから、画質がそれなりに悪いのは仕方ありません。
それでもくたびれたVHSビデオ映像よりはよっぽどマシですから、映像作品をお持ちでないジャパン・ファンの方はぜひ割り切ってご覧下さい。

他にもまだまだ発売されていない映像はたくさんあるはずなので、ヴァージンさん、小出しにしないでそろそろ残りの映像もオフィシャルで発表して下さいよ。
もう、ブートで買ったりしませんから・・・。
/BLマスター

uknw80 at 18:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年09月14日

RAIN TREE CROW/Rain Tree Crow

RAIN TREE CROW

英国では、2000年前後から再結成ブームのようなものが起き、80年代に活躍したバンドが次々に再結成されています。

ジャパン(JAPAN)というバンドが解散したのは1982年。
彼らは1991年に、昨今の再結成とは違う形でアルバムの発表をしました(ただし、ロブ・ディーンは参加していません)。

メンバーのインタビューによると、86年頃から毎年、「もう一度一緒に演ろう」的な話が誰かから出ていたそうなのですが、具体化したのは89年で、このプロジェクトに関しては「ジャパン」は名乗らず、全く別のユニット(=レイン・トゥリー・クロウ)として作品を作るということになったそうです。

しかし、ヴァージン・レコードが出した「ジャパン名義で発表」という提案を巡り、シルヴィアンと他の3人との間でトラブルとなり、しばらくの間、不仲となる原因を作り出すことになってしまいました(現在ではシルヴィアンとスティーヴが一緒にナイン・ホーセズ[Nine Horses]というバンドを結成しており、この頃のような険悪感はないようです)。

このアルバムは、バンド名を違うものにしただけあって、作曲方法から録音方法までジャパンとはまったく違うもので、基本的に、リハーサルをまったく行わず、ほとんどインプロヴィゼーション(即興)という手段で制作されており、コマーシャリズムを感じる楽曲はほとんどありません。

また、デヴィッド・シルヴィアンのソロにはスティーヴ・ジャンセンとリチャード・バルビエリがかなりの楽曲で参加しており、特にスティーヴの個性的なドラムの音に関してはもはやシルヴィアンのソロ作品も重要なパーツとなっていますから、このメンツで制作されたレイン・トゥリー・クロウは、シルヴィアンのソロやインストものに近いイメージの楽曲が多く、聴感上はほとんど区別がつかないかも知れません。

特に、ミック・カーンのベース(ウォル [ Wal ] )の音は鳴っているものの、存在感のある独特のフレーズは抑えられ、ジャパンらしさの要となる一つの要素は失われています。
これは、4ヶ月と言う短い期間で即興により作曲から録音までされていることから、ミックの個性が出し切れなかったのではないかと思われます。

シルヴィアンのソロ作品においては、ホルガー・シューカイや、ジョン・ハッセル、ロバート・フィリップなど、彼にとっては先生や師匠と呼べる楽器の名手たちを招きアルバムを制作してきたのですが、レイン・トゥリー・クロウに関しては対等な立場の同級生的なメンバーと制作されているため、シルヴィアンだけでなく、他の3人にとっても久しぶりのことで、かなりテンションに違いがあったことは想像出来ます。

シルヴィアンは元々、楽器の名手というわけではなく、ボーカリゼーションや曲の構造を作り出す名手であって、ミックや、スティーヴ、リチャードとは根本的に考え方が違うと思います。
いわば、ディレクターとプレイヤーの違いです。

このレイン・トゥリー・クロウというプロジェクトにおいて、シルヴィアン以外の3人にとっては不満の残る作品となったようですが、作品としてみれば、ジャズや現代音楽、環境音楽寄りなインプロヴィゼーションと、ポップスライクな部分とのバランスが見事に取れており、かなりの秀作だと感じています。

シングルカットされた「Blackwater」や、ジャパン時代の「Life Without Buildings」という曲を思わせる「Big Wheels In Shanty Town」などはその最たる曲で、この4人でなければあり得なかった名曲と呼べるのではないでしょうか。

他にも「Every Colour You Are」「Pocket Full of Change」「Blackcrow Hits Shoe Shine City」など、個人的に大好きな曲がたっぷり詰まっています。

「Blackwater」のプロモ映像
シルヴィアンのワンマンライヴでの「Blackwater」のライヴ映像(かなり辛い映像ですが)
シルヴィアンのワンマンライヴでの「Every Colour You Are」のライヴ映像(これも辛い映像です)

また、ギタリスト不在のため、ビル・ネルソンや、マイケル・ブルックという個性的なギタリストを招き、作品にスパイスを効かせたことも、秀作となったひとつの勝因でしょう。

なお、ジャケットの写真は日本人写真家の藤原新也、コラージュは「Gone To Earth」のジャケットも手掛けたラッセル・ミルズ、封入したメンバーの写真はダグラス・ブラザーズによるもので、発表当時の初回限定版のみに封入されていた折りたたみのポスターも追加し、特製6面デジパック仕様デジタル・リマスター盤として音質もかなり向上してのリイシューとなりました。

残念ながら、インタビューによればジャパンや、レイン・トゥリー・クロウの再結成は全くあり得ないとのこと。

とはいえ、現在はシルヴィアンとスティーヴがナイン・ホーセズで頑張っていますので、新作、来日公演を楽しみに待つこととしましょう。
/BLマスター

uknw80 at 16:50|PermalinkComments(4)TrackBack(0)

2006年07月07日

Gentlemen Take Polaroids/JAPAN

孤独な影

ジャパンというバンドは大きく分けて3つの顔があります。
一つはデビューしてから2枚目までのハードロック/パンク/レゲエが混じった荒っぽさが魅力の第1期、一つは3枚目、4枚目のヨーロッパ耽美主義的な作品の第2期、一つは5枚目のアナログシンセの音を極限までいじり倒し、東洋風無国籍旋律とパーカッシブな音色で独自の世界を完成させた第3期。

どれも間違いなくジャパンの顔であることは間違いありませんが、本人たちのインタビューによれば、3枚目「QUIET LIFE」がぼくらのデビューアルバムと語っているように、1、2枚目は消し去りたい恥ずかしい過去であるようです。

本人たちもメディアも絶賛するのは決まって5枚目「TIN DRUM」(邦題:錻力の太鼓)なのですが、確かにその独自の音世界は唯一無二であり、芸術的とまで言えるほど完成された作品だと言うことができるでしょう。

しかし、私個人にとってのジャパン時代の最高傑作は第2期にあたる1980年に発表した、この「GENTLEMEN TAKE POLAROIDS」(邦題:孤独な影)なのです。

完成度的には「錻力の太鼓」にひけをとっているものの、このヨーロピアンテイストなシンセの音色と、耽美的でどこか病的ですらある独特の世界観は、ジャパンというバンドの個性を一番うまく表現できているのではないかと思います。

デヴィッド・シルヴィアンの粘るような低い、しかしファルセット部分では非常にセンチな歌唱法、ミック・カーンのレンジの広いウネウネのフレットレス・ベース、スティーヴ・ジャンセンのジャストビートで音数の多いテクニカルなドラミング、リチャード・バルビエリの空間を感じさせるパッド系のシンセプログラミング、このアルバムの時点で、4人(ギターのロブ・ディーンはこのアルバムを最後に脱退)それぞれのスタイルもすでに完成されているのがわかります。

プロデュースは「QUIET LIFE」同様、ロキシー・ミュージック等を手がけたことで知られるジョン・パンターで、その出しゃばらないプロデュースの手法が彼らの個性をうまく引き出すことに成功したのではないかと思います。

また、とても原曲がモータウンとは思えない「Ain't That Peculiar」や、「Methods of Dance」ではスティーヴとミックの絶妙のリズムセクションを聴くことができますし、坂本龍一が「デヴィッドが作ったエリック・サティみたいな曲」と呼ぶ「Night Porter」や、「Swing」、「My New Career」、タイトル曲「Gentlemen Take Polaroids」などの名作も詰まっています。

「Gentlemen Take Polaroids」のプロモ映像
「Swing」のプロモ映像
「Night Porter」のプロモ映像
TV番組での「My New Career」の生ライヴ映像

あと、「Takinng Islands in Africa」という曲は、このアルバム録音中にたまたま隣のスタジオで「B-2unit」の制作をしていた坂本龍一と意気投合し参加することになったもので、これ以降YMOとの親交が深くなりました。

なお、この、アルバムは最近デジタルリマスタリングされたものなので、ジャケットが当時のものと少し違うのですが、ボーナストラックとして、リチャードの気持ちのいいシンセの音が印象的なインスト2曲と、「Takinng Islands in Africa」を「錻力の太鼓」をプロデュースしたスティーヴ・ナイがリミックスしたものが追加されています。

未聴の方は、この機会にぜひぜひ(いや必ず)試聴してみて下さい。
決してただのミーハーお化粧バンドではないことが良くわかっていただけるアルバムですよ。
/BLマスター

uknw80 at 15:49|PermalinkComments(5)TrackBack(0)

2006年06月15日

THE VERY BEST OF JAPAN

japan best

これは2006年3月に発売になった一番最近のJAPANのベスト盤です。
数多い他のベスト盤と大きく違うのは、3枚目までのアリオラ期の作品と、それ以降のヴァージン期の曲が初めて1つのパッケージにまとめられたということです。

ただ、初期2枚のアルバムの曲は入っておらず、その頃シングルとして発売したアルバム未収録(2,8,10)の曲が入っています。

また、評価がかなり高いにもかかわらず入手困難だった「Art of Parties (Single Version)」が収録されているのは大きな魅力ですね。

他には、最近リイシューされたCCCDものの「Gentlemen take polaroids」にボーナスとして追加された「Taking Islands in Africa [Steve Nye Remix]」も収録されています。

デビュー当時にミーハーお化粧バンドのレッテルを貼られ、解散するまでそのイメージを拭い去ることができないにもかかわらず、最後には音楽を芸術の域にまで作り上げたJAPANの進化の過程を再評価してみてはいかがでしょう。
/BLマスター

uknw80 at 18:12|PermalinkComments(2)TrackBack(0)
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