HAIRCUT 100
2006年08月18日
Pelican West/Haircut 100
HAIRCUT 100(ヘアカット・ワンハンドレッド)は、デビュー当時、モダン・ロマンスや、ブルー・ロンド・ア・ラ・ターク、キッド・クレオール&ザ・ココナッツなどと共に、「ファンカラティーナ(もしくはファンカラティーノ)」という、ファンクにトロピカルフレーバー的にラテンの要素を足したような新しいジャンルで呼ばれました。
言わば、ニューウェーヴというなんでもありなジャンルの中のサブカテゴリーといった意味合いのものですね。
ヘアカットは、その中でもかなりネオアコ寄りなアプローチの曲作りをしており、後に日本ではフリッパーズ・ギターやカジヒデキなどの「渋谷系」と呼ばれるアーチストに深く影響を与えていて、特にフリッパーズの曲には、そのままズバリの「Haircut 100 / バスルームで髪を切る100の方法」なんていうのもあるくらいです。
また、アルバムジャケットにあるような、フィッシャーマンズ・セーターの裾をツイードのパンツの中に入れ、さらにサスペンダーを付けるという、今考えるととんでもなく恥ずかしい着こなしがファッション誌の表紙を飾り、当時のロンドンの若者たちの間で大流行し、また、日本のDCブランドにも影響を与えました。
ヘアカットは、ニック・ヘイワード(V,G)、グラハム・ジョーンズ(G)、レス・ネムス(B)の3人によって1980年の夏結成されました。
その後しばらくリハーサルを繰り返し、81年になって本格的に活動を開始、秋にはメジャーのアリスタと契約し、デビューシングル「Favourite Shirts(Boy Meets Girl)(邦題:好き好きシャーツ)」がいきなり英チャートで5位となり、一躍人気者となります。
「Favourite Shirts (Boy Meets Girl)」のプロモ映像
その際、レコーディングに参加したフィル・スミス(Sax,G)、マーク・フォックス(Per)、ブレアー・カミンガム(D)を正式メンバーとして迎え、この「PELICAN WEST」は制作され、もちろん大ヒット。
なお、本作のプロデューサーはツートーン系のザ・ビートのプロデュースでも知られるボブ・サージェント、一部ホーンセクションにはボニーMのホーンセクションも参加しています。
また、続くシングル「Love Plus One(邦題:渚のラブ・プラス・ワン)」も高セールスを記録しました。
「Love Plus One」のプロモ映像
「Fantastic Day」のプロモ映像
しかし、そんな人気絶好調の最中、ボーカルであり、ほぼすべての曲を作った、バンドの顔でもあるニック・ヘイワードが突然の脱退を表明します。
ヘアカットは、これが致命傷となり、わずか1枚の傑作アルバムを残して自然消滅の道を辿ります。
解散後は、ニックはソロで数枚のアルバムを出し、グラハムは音楽を辞め樹木のお医者さんに、レスはニックのアルバムやツアーのメンバーとして活躍、マークはエコー&ザ・バニーメンに一時的に参加後BMGに就職、ブレアは元ロキシー・ミュージックのフィル・マンザネラとの仕事を経てプリテンダーズに参加、その後はポール・マッカートニーのツアーメンバーなどもしています。
その後、英国の再結成ブームに乗ってか、ヘアカット 100も2004年に一時的に再結成されました。
2004年の再結成ライヴでの「Love Plus One」の映像(意外にきれいな老け方をしていて安心します)
彼らの残した青春を感じさせる(古っ!)甘酸っぱいメロディーと、さわやかなギターカッティングやホーンセクションは、今聴いても心地良く耳に響きます。
さらに、このアルバムには「Nobody's fool」や、「Favourite Shirts (Boy Meets Girl)」の12inch MIXなどのアルバム未収録曲が5曲も追加されており、しかも非常に安いので超お買い得です。
好きだった方は久しぶりに、未聴の方はこの機会にそんな彼らの残した名盤を聴いてみてはいかがでしょう。
/BLマスター
2006年07月09日
North of a Miracle /Nick Heyward
わずか1作で人気バンドヘアカット100を権利関係のトラブルにより脱退し、ソロ・デヴューを果した彼の1stアルバムが今作です。
所謂80,sネオアコ、ギターPOP、と今日カテゴライズされる中で、アズテック・カメラの1stと並び、胸キュン青春サウンドの金字塔と謂えるのではないでしょうか。
当時のシーンに措いて、思春期の初恋の甘酸っぱい想いを感じさせる音を奏でる音楽として、今作の右に出るモノは無いんじゃないかと思います。
そういったテイスト抜きにしても、小サビ大サビが津波の様に押し寄せる全ての曲の完成度は驚愕に値します。
それに加え、彼のルックス&ファッションセンスの良さは、もう駄目押しの様な感じで、女性は勿論の事、男の僕でさえKOでした。
陰鬱なファッションこそ当時「ナウい」という所の隙間、盲点を突いた思惑があったのかは判りませんが、とにかく、IVYなのです、トラッドなのです、プレッピーなのです!。
格好イイのです、フレッシュなのです、絵になるのです!。
今回のCD再発化において、9曲のボーナス・トラックの追加、及び、曲順の変更がなされています。
ボーナストラックを除く初回オリジナル曲順は、1・2・7・3・4・〜・6・10・5・8・9(アナログでは5までがA面、6からB面)という体裁でありまして、この曲順にプログラムして聴いて頂ければ!という想いがオリジナルに慣れ親しんだ私的に正直謂ってある所です。
とにかく、カテゴリーの枠を抜きにして、今や古典とも言えるPOPミュージックの名作の今作でありまして、胸トキメかしたい方々に是非聴いて貰いたいです!。
/星
uknw80 at 18:04|Permalink│Comments(3)│