☆ネオアコ系バンド
2010年04月03日
Dreamland/Aztec Camera
今日紹介するのは、1993年に発表されたアズテック・カメラ [ Aztec Camera ] の5thアルバム『Dreamland(邦題:ドリームランド)』。
アズテック・カメラ(=ロディ・フレイム [ Roddy Frame ] )と言えば、80年代初頭のポストパンクの流れの中、アコースティックなアプローチの楽曲をひっさげて地元グラスゴーのインディーズ、ポスト・カード・レーベルからデビューし、その後、ラフ・トレードから発表されたデビュー・アルバム(邦題:ハイ・ランド、ハード・レイン)『High Land , Hard Rain(邦題:ハイ・ランド、ハード・レイン)』で広くその名が知られるようになったネオ・アコースティック(ネオアコ)の旗手。
デビュー当時から多くの辛口の評論家たちにも賞賛され、エヴリシング・バット・ザ・ガール [ Everything But The Girl ] やオレンジ・ジュース [ Orange Juice ] 、ペイル・ファウンテンズ [ The Pale Fountains ] 、ロータス・イーターズ [ Lotus Eaters ] などと共にひとつのムーヴメントが誕生、日本ではフリッパーズ・ギターやカジ・ヒデキなどいわゆる渋谷系と言われるアーチストにも影響を与えました。
しかし、あらためてアズテック・カメラのアルバムを聴き直してみると、純粋にネオアコ的なアプローチでまとめられたアルバムは83年のデビュー・アルバム『High Land , Hard Rain』のみで、その後の作品はアコースティック・ギターがフィーチャーされた楽曲が数曲存在するものの、ロックやソウル、ファンク、ブルース、カントリー、ジャズ、パンクなど幅広いジャンルの要素が取り込まれており、ネオアコの枠に収まりきらなくなっていきます。
ま、ポスト・カード・レーベル時代からのファンやネオアコ・ファンに言わせれば、一貫性のない移り気なアーチストと言えなくもないわけですが、そもそも”ネオアコ”というカテゴリーは日本でのみ通用するジャンル名だったわけで、当のロディにしてみれば、そういった枠組みは全く意識しておらず、シンプルにただただ好きな音楽を演っていただけなのかも知れません。
しかし、アルバムごと、楽曲ごとのアレンジは変われど、ロディの作るメロディ・ラインと彼の歌声、そして彼自身の弾くギターはそこにあり続け、独特のロディ節(笑)を貫き通しているように感じます。
周りの楽器の音やエフェクトをそぎ落として聴いてみれば、どの楽曲でもロディがシンプルにアコギ一本で作曲をしている姿を見つけることができるはずです。
前置きが長くなってしまいましたが、今日紹介する『Dreamland』は、プロデュースに坂本龍一を迎え(ロディと共同名義)、意欲的に電子楽器を取り込んだ作品と言えるでしょう。
とはいえ、決してテクノポップやエレポップ的なものではなく、アコギやピアノといった生楽器のクリアな音色を際立たせるための脇役的な電子楽器の使い方をしていますので、聴感上の生楽器の音色に限って言えば、むしろこれまでの作品よりも透明感が増しているかも知れません。
言わば、主役はロディの歌声とロディのギターであり、電子楽器はあくまでも脇役。
浮遊感のある音色や空間処理によって、彼の持ち味の一つである透明感を強調するようなアレンジをしているのです。
アズテック・カメラのアルバムを順に私なりの言葉で解説するなら、1st『High Land , Hard Rain』が”シンプルな王道のネオアコ”、2nd『Knife』が”メジャー・レーベルのネオアコ系ギターポップ”、3rd『Love』が”黒いアレンジを施したロディ風ポップス”、4th『Stray』が”ロディの様々な個性を詰め込んだおもちゃ箱"。
特に、前作『Stray』は、良く言えばバラエティーに富んだ、悪く言えば一貫性のない作品で、楽曲ごとのクオリティー自体は決して低くはないものの、個人的にはジャンルの異なるアーチストの楽曲を寄せ集めたコンピレーション盤、もしくは時代の違うシングルをとりあえずまとめた素人編集のベスト盤的なイメージで、全体を通して聴くとロディの方向性に対する”迷い”を感じさせました。
ま、”Stray"を直訳すれば”迷い(さまよい)”ですから、それがテーマとも取れるわけですが(笑)、ひょっとすると、本当に方向性に迷いが生じて、一曲ごとのベストなアレンジにこだわるあまり”木を見て森を見ず”的な作品に仕上がってしまい、開き直ってそれをアルバム・タイトルにしたのかも知れません。
しかし、この”迷い”は傑作『Dreamland』を生み出すきっかけとなりました。
本作の先行シングルとなった「Spanish Horses(邦題:スパニッシュ・ホースィズ)」は91年のクリスマスに行われたライヴですでに演奏されており、この時点で坂本龍一とのコラボレーションは進行中だったんだとか。
恐らくは「Spanish Horses」も、様々な曲調、コラボを盛り込んだ前作『Stray』の制作過程の延長線上で生まれたセッションのひとつだったと推測するのですが、ここでロディは何か手応えのようなものをつかんだのではないでしょうか。
本作のライナーノーツにロディのこんなインタビュー記事がありました。
「単に僕が(坂本龍一の)ファンだったんだよ。85年に初めて日本にきてYMOを聞いたりした時からね。以前、スペインのイビサ島でテレビ出演した時、彼もちょうどそこにいたものだから、あいさつしに行ったんだ。いわゆる教授タイプなのかと思っていたのに、気さくで近づきやすい人だったんで驚いたよ。だから、僕のやりたいことをみんな打ち明けたんだ。」
「僕もそうだったんだけど、どうもみんなサカモトっていうと音楽に対してアカデミックなアプローチをする人って思ってるよね。まるで違うんだよ。彼がやることは全て直感的なんだ。ある日ね、彼がヒップホップのリズムでやってるもんだから、何やってるのって聞いてみたんだ(笑)。そしたら『ああ、ちょっとそんな気分だったものだから』って。時間ってことを意識してないんだよね。あー。いいなあって思ったな」
たまたま仕事で訪れたスペインで異郷の文化や風土を感じ取り、そこでたまたま異国のアーチスト坂本龍一と出会い、ちょっとしたきっかけでコラボレーションが生まれ、そのイメージは大きく膨らみ一つのアルバムが完成した…、ファンの間ではアズテック・カメラの最高傑作に挙げる人も多い本作『Dreamland』ですが、この傑作が誕生したいきさつはこんなところなのではないでしょうか。
逆に言えば、スタジオに缶詰になって必死でセッションを繰り返したところで傑作が生まれるとは限らないわけですね。
結果的に、スペインの風土と坂本龍一の手を借りることで一貫したイメージのトータル・アルバムが完成したわけですが、根本にあるものは我々の抱くロディのイメージそのもの。
ネオアコの旗手と呼ばれていたロディならではのメロディと詩に、主張しすぎない程度にスペインのムードと坂本龍一のエッセンスが加わることで、真に傑作と呼べるアルバムが誕生したのです。
本作に収録された楽曲のYouTube映像をいくつか見つけましたので、興味を持たれた方はご覧になってみて下さい。
「Birds」のライヴ映像
「Black Lucia」のライヴ映像
「Spanish Horses」のアコースティックTVライヴ映像
「Spanish Horses」のライヴ映像
「Pianos And Clocks」のアコースティックTVライヴ映像
「The Belle Of The Ball」のTVライヴ映像
う〜ん、30歳を目前に控えた当時のロディらしい、実にのびのびとした穏やかな楽曲ですね。
個人的には1stアルバム『High Land , Hard Rain』と並ぶアズテック・カメラの代表作だと思います。
未聴の方はぜひ一度お聴きになってみて下さい。
初期のファンで『Knife』『Love』あたりで見切りをつけてしまった方にも納得いただける作品だと思いますよ。
/BLマスター
2007年06月29日
The Camera Loves Me/Would-Be-Goods
今日紹介するウッド・ビィ・グッズ [ Would-Be-Goods ] は、1987年にネオアコの総本山と呼ばれるチェリー・レッド・レーベル [ Cherry Red Records ] 傘下のエル・レーベル [ el Records ] からシングル「Fruit Paradise/Hanging Gardens Of Reigate」でデビューした、ジェシカ・グリフィン [ Jessica Griffin ] (ジャケット左側)とミランダ・グリフィン [ Miranda Griffin ] (ジャケット右側)による姉妹デュオ。
本作『The Camera Loves Me』は、その翌年88年に発表された彼女たちのデビュー・アルバムです。
特に、関西方面のR35世代の方には、「劇団そとばこまち」や「劇団新感線」の面々が出演の、20年ほど前の深夜のシュールなコント番組(「TV広辞苑」「現代用語の基礎体力」「ムイミダス」のうちのどれかです。曖昧ですみません。)のテーマ・ソングに本作のタイトル曲「The Camera Loves Me」が使われていたので、馴染みのある方もいらっしゃると思います。
「The Camera Loves Me」のライヴ映像(ほとんど顔が見えませんが…)
「Too Old」のライヴ映像
姉のジェシカの当時の本業は銀行員、しかも日本関係の投資担当というエリートで、モデルの仕事もやっていたそうです。
また、妹のミランダは薬剤師をやっていたそうなので、2人とも音楽的なキャリアは全くないように感じるのですが、アルバム・クレジットには(All Songs Written by Griffin)と書かれており、この姉妹によって作詞・作曲はなされているようです。
そもそも、ウッド・ビィ・グッズとしてデビューすることになったのは、エル・レーベルのオーナー、マイク・オールウェイ [ Mike Alway ] が、モデルをやっていたジェシカに声をかけたことから始まったそうですが、なかなか面白い人材を発掘したものですね。
デビュー当時のイギリスのプレスには「初のヤッピー・ヒット・レコード」と紹介されたそうで、エリートであることがウリになったようです。
アルバムを通しての出音としては、チェリー・レッドっぽいネオアコ系サウンドを継承した軽いポップスなのですが、まるで何の電気的処理も施されていないかのような極端にシンプルな音色で構成されており、ドンカマを使わずに一発録りしたようにも聞こえます。
これは、今聴いても、むしろ新鮮な感覚の60年代テイストのアレンジなので、最近のTVCMに使われる旧い曲のようなムードを感じられるかもしれませんね。
ジェシカとミランダのボーカルに関しても、無表情な感じがいかにも素人くさく、腹式呼吸だのビブラートだの、ボーカリストとしての基礎的な勉強をする以前のヘタクソぶりですが、決して音痴というわけではなく、逆に素朴さという面でシンプルなバッキングによく合っており、どこか初期のアンテナ [ Antena ] にも通ずるフレンチ・ポップっぽい雰囲気も感じます。
デビュー曲の「Fruit Paradise」を、日本のフレンチ・ポップとして有名なカヒミ・カリィがカバーしていたり、フランス語で歌う曲が収録されていたりするので、そのイメージのせいかも知れませんが・・・。
ま、悪く言うなら、古くさくひねくれたスカスカの脱力系ロック、良く言うなら、お洒落で気取らないシンプルなギター・ポップという感じでしょうか。
そう言う意味では、親会社のチェリー・レッドではなく、エル・レーベル独特の古めかしくも新しい、また、どこかフランスっぽい雰囲気にピッタリ合っているように思います。
ボーカルを変えれば、一時期チェリー・レッドにも所属したモノクローム・セット [ The Monochrome Set ] っぽく聴こえなくもいないのですが、それもそのはず、ビド [ Bid ] や、元アダム&ジ・アンツ [ Adam & The Ants(Antz) ] にも在籍したベーシストのアンディー・ウォーレン [ Andy Warren ] 、エル・レーベルのほとんどの作品でジャケット写真を手掛けているドラマーのニック・ウェソロフスキー [ Nicholas Weslowski ] など、一旦解散する手前(85年頃)のモノクローム・セットのメンバーが完全にバックの演奏をしているのです。
また、本作のプロデュースは、デビュー・シングルに収録された2曲を除き、イエスのスティーヴ・ハウなどが在籍したことで知られる60年代のグループ、トゥモロー [ Tomorrow ] でボーカリストを務めたキース・ウェスト [ Keith West ] が担当しており、60年代テイストの再現に一役買っています。
本作の発表後、残念なことに私の好みであった妹のミランダが脱退し、以降はジェシカのソロ・プロジェクトとして活動しているのですが、93年に発表された2ndアルバム『MONDO(邦題:モンド〜素晴らしき世界旅行)』でも、やはりビドの力を借りて本作の延長線上にあるサウンドで制作しているため、雰囲気は変わりません。
その後、8年という期間をあけて、エル・レーベルからマチネー・レーベル [ Matinee ] に移籍し、3rdアルバム『Brief Lives』(2002年)、 4thアルバム『The Morning After』(2004年)を発表していますが、いかにもフレンチ・ポップのアルバムっぽいジャケットで、音的にも洗練された感はあるものの、基本的な雰囲気は継承しています。
モノクローム・セットやアンテナの初期がお好きな方にはぜひ聴いていただきたい素朴でかわいい作品です。
/BLマスター
2007年06月04日
Stray/Aztec Camera
本作『Stray』は、アズテック・カメラ [ Aztec Camera ] の1990年に発表した4thアルバムです。
前作『Love』(1987年) では、いわゆる「ネオアコ」路線から大きく飛躍し、アメリカの著名アーチストらを迎えて、ソウル・ミュージックやブラック・ミュージックを基調としたサウンドを展開しています。
前作の中に「ネオアコ」らしさを見つけるとするなら、ロディ・フレイム [ Roddy Frame ] らしいメロディー・ラインと、ネオアコ独特ともいえる音色のリード・ギターのみで、当時流行していたブルー・アイド・ソウル的なアプローチをロディなりのセンスで実践していました。
デビュー当時からアズカメの位置した、日本でいうところの「ネオアコ」路線から逸脱したとはいえ、ブラックやソウルという一貫したテーマの元にロディの個性が被せられた、まとまりのある作品であったと言えるでしょう。
しかし、それから2年半という期間をおいて発表された本作には、一貫したテーマを見いだすことは出来ません。
まず、1曲目からいきなりスローでムーディーな「Stray」が選曲されているのですが、ムリヤリ過去の作品と結びつけるとするなら『Knife』の最後に収録された美しいスロー・バラード「Knife」でしょうか。
どちらかと言えば、アルバムの中盤〜最後に収録されそうな曲と言えますね。
続いて、2曲目は、最近のパワー・ポップ的なアプローチの「The Crying Scene」、3曲目は少々ハードで重たいイメージの「Get outta London」、4曲目にはウェス・モンゴメリーを意識したという、とんでもなくジャジーな名曲「Over My Head」、そこから一転して、5曲目には、元クラッシュ [ The Clash ] のミック・ジョーンズ [ Mick Jones ] をゲストに迎え、まるでビッグ・オーディオ・ダイナマイト [ Big Audio Dynamite ] のバッキングでロディ・フレイムが歌っているかのような「Good Morning Britain」、6曲目は全盛期のキッスを思わせるバッキングの「How it is」、7曲目は唯一ネオアコ臭さの残る「The Gentle Kind」、8曲目ではまたしてもジャジーなフレーバーを散りばめた「Notting Hill Blues」、ラストはギター1本による弾き語りで、ネオアコと呼ぶにはフォーキー過ぎる「Song for a Friend」。
以上のような非常にバラエティーに富んだ内容で、まるでロディがボーカルをとっているコラボ作品をまとめた編集盤のような趣のアルバムです。
「Good Morning Britain」のプロモ映像
2作目『Knife』までは、バンド形式であったのに対し、前作『Love』ではそれを解体、アメリカのセッション・ミュージシャンを起用したアメリカ録音を行っており、本作では再び英国の新顔セッション・ミュージシャンを集め、録音からミックス・ダウンまで、全てをホーム・グラウンドであるイギリスで完結させています。
ちなみに、本作のメンバーはロディ・フレイム [ Roddy Frame ] (V,G)、ポール・パウエル [ Paul Powell ] (B)、フランク・トントー [ Frank Tontoh ] (D)、ゲイリー・サンクチュアリー [ Gary Sanctuary ] (Key)。
前作の好調な売り上げを考えれば、もう少しお金をかけた作品になっても良さそうなものですが、あえて原点に帰るかのようにメンバーに新顔を起用、プロデュースに関しても、前作で数曲エンジニアを担当していたエリック・カルヴィ [ Eric Calvi ] とロディ本人の共同名義であり、ゲストのミック・ジョーンズを除けば、特に参加アーチスト的なウリはなく、手作り感覚すらも感じさせます。
考えてみれば、アルバム・タイトルの『Stray』とは、「迷う、さまよう」といった意味があり、「Stray Cats」=「野良猫」のように使われます。
本作のタイトル『Stray』と、この内容をそのまま安易に解釈すれば、ロディ自身の「迷い」がダイレクトに表現されたものであり、「迷い」自体をテーマにしたと考えることも出来るわけですね。
何だか、「ポリシーがないというのがポリシー」みたいな話ですが、正直言って、当時26歳という、この頃のロディ・フレイムの「迷い」がストレートに表現されている作品だと思います。
事実、日本盤のライナーに載っていたロディのインタビューによれば、
「新作(本作)には方向性なんてないよ。とっちらかってるだけだ(笑)。今回は自分でプロデュースもしたから、本当に好き勝手やったって感じだね。ウェス・モンゴメリーを聴いたら、ジャズの曲をやる、ストーンズを聴いたら、ロックン・ロールをやるって感じさ。意図的なものじゃなくて結果的にそうなっただけなんだよ。マーケティングとしては良くないかもしれないけど、かといって他にどうしようもないからね。とりあえず、今のロディ・フレイムはこれです。ってわけなんだ。」
と語られています。
悪く言えば、散漫でまとまりのない作品なのかも知れませんが、メロディー・ライン自体はロディ自身の作詞・作曲によるいつもの延長線上にあるアズテック節であり、バッキングに様々な試行が凝らされているだけなんですね。
そういう意味では、良くも悪くも、紛れもなくアズテック・カメラの(ロディ・フレイムの)作品です。
個人的には1枚の作品として通して聴く価値は感じませんが、アルバム・コンセプトに縛られていない分、1曲ごとにその時の気持ちが完結されており、気楽に聴くことができます。
つまり、コンセプチュアル・アルバムを聴く時のような気構えは必要ありませんし、通して聴かないと意味を成さない曲(単体では意味を成さない曲)がないということになります。
ロディ曰く、「結果的にそうなっただけ」なのでしょうが、実に割り切った発想の聴きやすいアルバムです。
1st『High Land, Hard Rain』でアズテック・カメラのファンになった方は、2nd『Knife』前後で見切りをつけてしまっていることが多いと思うのですが、本作は、どちらかというと、ネオアコ・ファンではなく、これ以降のギター・ポップ好きの方にお勧め出来るアルバムですね。
もちろん、ロディ個人のファンの方は要チェックです。
上に紹介した日本盤では試聴はできませんが、輸入盤の中古(こちら→)『Stray』で全曲試聴可能です。
まずは、一度聴いてみられてはいかがでしょうか?
/BLマスター
2006年12月29日
Listen On: The Best of the Railway Children/The Railway Children
■04年発表bestアルバム
レイルウェイ・チルドレンはGary Newby(当時の日本語表記は、
ギャリー・ニュービー)Vo/Guitarを中心に、84年マンチェスター近郊ウィガンで結成された4人組バンドです。
86年ファクトリーよりシングル「gentle sound」でデヴュー、87年には1stアルバム『Reunion Wilderness』を発表。
当時はスミス・フォロワーとして捉えられていた記憶がありますが、リリシズムで共通する所はあるものの、スミスの様に屈折した所は無く、軽快な青春胸キュン的なサウンドを奏でる、謂うなればネオアコ・ギターPOPバンドです。
現在初期オリジナル・アルバムが廃盤の様でして、一応カテゴリー、ネオアコ系にしました。2nd、3rdは中古でamazonに出品されておりまして、今後再発された折には個別カテゴリーにし、レヴューしたいとも考えております。
レイルウェイ・チルドレンは後述する映像でも判る通り、ニック・ヘイワードと並ぶ好青年美形のギャリーが全作詞・作曲、ジャケット・デザイン、ライヴに措いてはVoとともにリード・ギターだそうで、彼のワンマン・バンドという印象です。
アズテック・カメラやニック・ヘイワードの1stの様な突出したモノは無いのですが、ポジティブでひねりの無いストレイト直球勝負の希望に満ちた力強い楽曲群は青春POP的魅力満点であります。
映像を紹介します。現在You TubeにUPされているのは下記の2曲のみの模様です。
「Every Beat of the Heart」のPV
「In The Meantime」のPV
amazonのレヴューで知りましたが、ギャリーは現在は東京に在住し、V6や土屋アンナなどのアイドルに曲を提供したり、さまざまなアニメやドラマの音楽に関わるなどのワーキングだそうです。
そのレヴューでは3rd『native place』以降、レイルウェイ・チルドレン名義で2枚アルバムを発表と記されてますが、the railway children オフィシャルHPを見ても97年の『dream arcaade』がオリジナル・アルバムとしては最期です。93年に『The Radio One Evening Show Sessions』というスタジオ・ライブ盤は発表されていますが。
『dream arcaade』の共演ミュージシャンが日本人でして、憶測ですが、日本人女性と結婚しての日本移住ではないかと。
私、英語に堪能で無いので上記HPを熟読していないのですが、
その辺りの真相は書かれているとは思います。
ちょっと余談ですが、大御所ミスター・チルドレンのネーミングはこのバンドからの引用では無いかと個人的に憶測しております。
今bestは前述1st、2nd『RECURRENCE』/88年、3rd『native place』/90年、までの曲と、未発表曲、別ヴァージョン、デモ・トラック等で構成されています。故にオリジナル・アルバムを揃えてらっしゃる方にも御勧めのアルバムです。/星
2006年10月05日
A Distant Shore/Tracey Thorn
トレーシー・ソーン(Tracey Thorn)は62年ブルックマンズ・パーク生まれ、80年にクラスメイトのジーナ,ジェーン,アリスの4人で結成したグループ、マリン・ガールズ(Marine Girls)でデビュー、80年発表の1st「BEACH PARTY」と82年発表の2nd「LAZY WAYS」という2枚のアルバムを残して83年に解散しました。
その後、ご存知、エブリシング・バット・ザ・ガール(Evrything But The Girl)の歌姫として活躍することになるのですが、その前に発表した最初で最後のソロ・アルバムがこの「A Distant Shore(邦題:遠い渚)」です。
今ではお洒落なカフェなどでも定番BGMとして流れるほど有名なアルバムとなりましたが、当時の評価は今ほど良くはなく、一部の評論家筋から絶賛される程度のものでした。
このアルバムは基本的にトレーシーの歌とアコースティック・ギターだけで制作されており、とにかくナチュラルな透明感のあるイメージの作品です。
今思えば、パンク以降に生まれたニューウェーヴというムーブメントは、ある意味で、パンクの「歌が下手でも構わない」「楽器が下手でも構わない」というスタイルを引きずり、アイデア勝負で「ブラック」「ファンク」「ジャズ」「民族音楽」「クラシック」「レゲエ」「テクノ」「キャンディーポップ」などの要素を無作為に吸収し、大きく膨れ上がったものだという気がします(それがまた、面白いところでもあるわけなんですが・・・)。
つまり、装飾品が重要であった音楽なんだと思うわけです。
そんなニューウェーヴ・ムーブメントが動き出した頃に、まだ学生であった彼女が、いち早くボサ・ノヴァに着目し、ここまでシンプルな作品を発表したのは驚きです。
同じ頃、イギリスではウイークエンドやワーキング・ウイーク、フランスではアンテナなどが、同じくボサ・ノヴァやジャズの要素を盛り込みアルバムを制作していますが、この作品ほどシンプルなものは無かったように思います。
それもそのはず、なんと180ポンドという超低予算で制作されたということで、ゲストを招いたり、機械的な作業などする余裕がなかったのでしょう。
それがかえってこの作品の「飾らなさ」を生み、名作と呼ばれる一枚になったのですから、結果的には大成功ですね。
現在、日本ではネオアコ(ネオ・アコースティックの略で日本でのみ通用する言葉)というジャンルの中に入れられることが多いのですが、この作品は、ヘタクソでフォーキーな要素もあるものの充分良質なボサ・ノヴァであると言えます。
また、EBTGになってからの声質と比べてみると幾分線が細く、シンガーとしては完成される前のものではありますが、それ自体がこの作品の小気味の良い味となっているように思います。
これを書いていてふと気がついたのですが、EBTG結成までのトレーシーとベンの作品は随分「海」に関するキーワードが多いんです。
今作が「A Distant Shore」で、マリン・ガールズの「Marine」と、1stの「BEACH PARTY」、ベン・ワットのソロが「North Marine Drive」と、みごとに「海系」のキーワードで固められています。
日本で「海系」と言えば、サザン・オールスターズやTUBEなど、元気で汗を感じさせるものがほとんどであるのに対し、イギリスではこういった静かな「海」のイメージで想像されることが多いようですね(もちろん、元気なイメージのものもありますが・・・)。
4曲目のベルベット・アンダーグランド&ニコのカバー「Femme Fatale」も原曲とは違ったどこか哀愁を感じるアレンジですごく気持ちが良いです。
すでに、定番化した感のあるこのアルバムですが、未聴の方はぜひ一度聴いてもらいたいすばらしいアルバムです。
/BLマスター
2006年09月13日
High Land, Hard Rain/Aztec Camera
アズテック・カメラ(Aztec Camera)は、スコットランドのイースト・キルブライド出身のロディ・フレイム [ Roddy Frame ](V, G)を中心とした3人組として1980年に結成されました。
ロディ・フレイムの他のメンバーは実に流動的で、結成当時は、アラン・ウェルシュ(B),デイヴ・マルホランド(D)という3人組でしたが、80年8月にはアランが脱退、代わってキャンベル・オウエンス(B)が加入しました。
このメンバーで同年の暮れにグラスゴーのインディ・レーベルであるポストカードと契約し、翌年、「JUST LIKE GOLD」「MATTRESS OF WIRE」という2枚のシングルを発表しています。
しかし、82年にはデイヴが脱退し、デイヴィッド・ラフィ(D),クレイグ・キャノン(G)が加入、そして、クレイグはすぐに脱退し、バーニー・クラーク(K)が加入、4人組となったアズテック・カメラはロンドンに進出、ラフ・トレードと契約を果たし、83年にこの1stアルバム「High Land, Hard Rain」を発表しました。
その後、バーニーが脱退し、元ジョセフ K のマルコム・ロス(G)が加入、英ワーナーに移籍し発表した2ndアルバム「Knife」のツアーまではこのメンバーでのバンド編成をとっているものの、3rdアルバム以降は、ロディ・フレイムのソロ・プロジェクトとなり、7thアルバムからは、ロディ・フレイムの個人名義でアルバムを発表しています。
これは私の勝手な思い込みかも知れませんが、ロディ・フレイムは非常に我が強いのではないかと思うのです。
善く言えば、完璧主義で、作品に対して自分の思いを曲げることがなく、それが元で、他のメンバーと衝突し、メンバーが落ち着くことがなかったのだと想像します。
そのおかげで、上質のネオアコ・サウンドを聴くことができたのですから、リスナーにとっては大歓迎なわけですが・・・。
この1stアルバム発表当時のロディは19歳という若さで、ギターをメインにした透明感のあるポップスを発表し、評論家やミュージシャンから好評を得て、一躍人気者となりました。
また、エルビスコステロから「イギリス最高の若き詩人」と大絶賛され、コステロの米国ツアーのサポートも務めています。
「Oblivious」のプロモ映像
TV番組での「Walk Out To Winter」のライヴ映像
「Oblivious」の別バージョンのプロモ映像
この頃のロンドンでは、ポスト・パンクの時代で、なんでもありなニューウェーヴというムーブメントが全盛になりかけている時期であり、アズテック・カメラもまた、その一端を担う一つの流れを作りました。
特に、日本においては、エブリシング・バット・ザ・ガールやペイル・ファウンテンズ、オレンジ・ジュース等と共に、ネオ・アコースティック(ネオアコ)という呼び名が付けられ(ネオアコという造語は日本でしか通じません)、その中心的なバンドとして有名になりました。
フリッパーズ・ギター(小山田圭吾、小沢 健二)や、カジヒデキなどは、アズテック・カメラからの影響を強く受けており、歌詞の中に「カメラ」というキーワードを頻繁に使っているほどです。
この1stアルバムでは特に音がシンプルなせいか、今聴いても旧さを感じさせず、今でもギターポップ系のバンドに愛聴されており、昨年のサマー・ソニックでもアレンジをほとんど変えることなく演奏されたようです。
また、ソロ名義になったとはいえ、今でも変わらぬ歌声で精力的にライヴツアーも行っています。
今年6月のライヴ映像(ずいぶんM型に後退しているような気がします)
ロディは私と同い年で、今年42歳。
まだまだ現役で頑張ってもらいたいものです。
/BLマスター
2006年09月11日
No Sence Of Sin/The Lotus Eaters
ロータス・イーターズは、元JAZZ BABIESのピーター・コイル[ Peter Coyle ](V)と元WILD SWANSのジェレミー・ケリー[ Jeremy Kelly ](G)によって、1982年にリバプールで結成されました。
そもそものなれそめは、JAZZ BABIESのデモ録音の際にジェレミーが参加したのがきっかけだそうです。
ちなみに、WILD SWANSのアルバムも大変すばらしい出来ですので、機会があれば試聴してみて下さい。
彼らをサポートする他のメンバーは、元キュアーやアソシエイツにもいたマイケル・デンプシー[ Michael Dempsey ](B)と、ステファン・クリーズ[ Stephen Creese ](D)、ジェラルド・クイン[ Gerard Quinn ](恐らくエレクトロニクス担当?)。
バンド名の由来は、なんとギリシャ神話からとったそうで、神話の中で人々は、忘憂樹(ロトス=ギリシャ神話でロータスのこと)の実を食べて眠りに就き甘い夢を見て、眼を醒ませばまた実を食べ甘い夢を見るという繰り返しで暮らしていたといいます。
そこから安逸を貪る人という意味で「ロータス・イーターズ=蓮を食らう人」と名付けられ、それをバンド名にしたそうです。
彼らのこの84年に発表された1stアルバム「No Sence Of Sin(邦題:青春のアルバム)」は、ロータス・イーターズが残した唯一のアルバムです。
実は、最近2001年になって再結成され、2ndアルバム「Silentspace」が発表されたのですが、17年という歳月がまったく違うバンドかのように作り替えてしまったようで、明らかに別物であるため、あえて唯一のアルバムと書かせていただきます。
このアルバムは、たった1枚しか発表していないにもかかわらず、80'sネオアコシーンを語る上で決して外す事の出来ない重要な1枚という評価を受けており、内省的でありながら繊細で透明感あふれるピーターの声と、心地の良いテクニカルなジェレミーのギターワークが、 リリカルでロマンティックな正に名盤と呼ぶのに相応しい演奏を聴かせてくれます。
しかし、意外なことに、アルバム全体を通してシンセサイザーなどのエレクトロニクスを多用しており、メロディーやギターの使い方的なもので正統派のネオアコという雰囲気をかもし出しているのかも知れません。
収録曲は、彼らの代表作「The First Picture Of You」のほかに、二人の掛け合いボーカルによる「German Girl」、ドラマティックな展開が見事な「You Don't Need Someone New」メロディーラインの美しい「Set Me Apart」など、どれをとっても心地良く、ピュアで叙情的な雰囲気の曲です。
「The First Picture Of You」のプロモ映像
「You don't need someone new」のプロモ映像
TV番組での「The First Picture Of You」のライヴ映像(口パク?)
「The First Picture Of You」のライヴ映像
LP盤においては長らく廃盤となり、一部のコレクターの間で高値で取引されていたようですが、幻の2ndに収録される予定だった曲や、12inchシングルの曲をボーナストラックとして追加して、1998年に日本盤で初CD化され、入手し易くなりました。
この機会に幻のネオアコバンド、ロータス・イーターズを再評価してみてはいかがでしょう。
/BLマスター
2006年09月01日
Acoustic/Everything But the Girl
エヴリシング・バット・ザ・ガール(Everything But The Girl)(以降ETBG)は、ロンドン出身のベン・ワット(Ben Watt)とトレーシー・ソーン(Tracey Thorn)によるデュオで、二人とも1962年生まれの今年44歳。
元々は、ネオアコの総本山とも言われるチェリー・レッド・レーベル(Cherry Red)に、ベンはソロアーチストとして、トレーシーはバンド「Marine girls」として契約するアーチストでした。
当時まだ学生だった二人は、偶然にも同じ大学に在籍していて、チェリー・レッドのオーナーであるイアン・マクネイに紹介され、デュオを組むことになったそうです。
EBTGの魅力は、初期のまったく飾らないアコースティック感溢れる天然素材的なサウンドと、トレーシー・ソーンの素朴で哀愁を帯びた澄んだ歌声だと感じています。
今日紹介するアルバムは92年に発表された「Covers e.p.」というタイトルの4曲入りミニ・アルバムに、7曲を追加し、ジャケットはそのままでタイトルを「Acoustic」と改めた作品です。
この作品は、約半数がカバー曲で構成されており、ETBGをご存じない方でもこのデュオの魅力を堪能していただける心地良いアルバムでしょう。
実は、トレーシー・ソーンの82年に発表したソロ・アルバム「A Distant Shore(邦題:遠い渚~ディスタント・ショア)」の中でも、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバー「Femme Fatale」を彼女のギター1本による弾き語りで、フォーキーなアコースティック作品に仕上げてみせたのですが、EBTGでのカバー作品ではベン・ワットのギターが入ることで、それよりもジャジーな雰囲気がぐっと出て大人っぽく仕上がっています。
こういったカバー曲もEBTGの魅力の一つですね。
収録曲は、50年代のアメリカの男女デュオ、ミッキー&シルヴィアの57年のヒット曲で、映画「ダーティー・ダンシング」にも使われた美しい曲「Love Is Strange」や、汗を感じさせないクールなイメージに仕上げたブルース・スプリングスティーンの「Together than the Rest」、今や、ジャズ・アーチストの定番カバーとなったシンディー・ローパーの代表曲「Time After Time」、エルヴィス・コステロの1977年のバラード曲で、ホリー・コールなどもカバーしている「Alison」、その他、トム・ウェイツの「Down Town Train」などの他、当時のシングルカップリングやセルフカバー、ライブ曲等で、実に気持ちの良いオーガニックな音を聴かせてくれます。
TV番組での「Love Is Strange」のライヴ映像
「Driving」のシングルバージョンのプロモ映像
「Come On Home」のシングルバージョンのプロモ映像
特に個人的には「Time After Time」が大好きで、オリジナルのシンディー・ローパーや、タック&パティー、マイルス・デイヴィスらがカバーした作品も含めて、中で一番の傑作であると思っています。
TV番組での「Time After Time」のライヴ映像
こういったアコースティカルなカバーを聴いていると、オリジナルである原曲が丸裸にされ、コード進行とメロディーラインだけになりますので、非常に慎重にアレンジしなくてはならないはずです。
原曲のメロディーラインが美しいことはもちろんのこと、単なるフォーキーな弾き語りで終わらないのは、ベンとトレーシーの表現力と個性の賜物なのかも知れませんね。
EBTGをご存じない方にも、ぜひ一度聴いていただきたい秀作です。
/BLマスター
2006年07月16日
EDEN/Everything But The Girl
マリン・ガールズの元メンバーであり、ソロアルバムも発表していたトレイシー・ソーンと、こちらもソロとしても有名になってきたベン・ワットが82年に結成したのが、このエブリシング・バット・ザ・ガール(以降EBTG)。
このアルバムはEBTGの84年に発表した1stで、プロデューサーのロビン・ミラーの出世作としても有名です。
シンプルな音作りなので、2人きりで作ったのかと思いきや、ウイークエンドのサイモン・ブースや、ディス・ヒートのチャールズ・ヘイワード、ブリティッシュジャズ界のピーター・キング、ブラジル出身のボスコ・ジ・オリヴィラなど、実は多彩なゲストが参加しているんです。
彼らが参加することにより、ネオ・アコースティックというジャンルに収まりきらず、ジャズや、ボサノヴァなどの要素が取り込まれているのも本作の魅力でしょう。
また、所属していたチェリー・レッドレーベルも当時はいろんなジャンルのアーチストをかかえていたのですが、EBTGのヒットをきっかけに「ネオアコの総本山」的なイメージが出来、彼らに続いてモノクローム・セットや、フェルトなどとも契約し、ネオアコブームを盛り上げました。
もちろん、EBTGの魅力といえば、トレイシー・ソーンの個性のある澄んだ歌声と、ベン・ワットのギターと素朴な歌声であり、それぞれの個性が出来過ぎなくらいうまくブレンドされているこのアルバムは、汗を感じさせず、恐ろしいくらいクールで気持ちがいい作品です。
しかも、気持ちがいいだけでなく、歌詞の中にさりげなく皮肉や風刺の要素を盛り込んであり、小気味の良い毒を感じることもできるのです。
当時は盤がすり切れるくらい聴きまくったものですが、発表から20年以上経った今聞いても新鮮なのはこのシンプルなアコースティック感のおかげなのかも知れません。
前半5曲はアマゾンで試聴できますので、知らない方はぜひ一度聴いてみて下さい。
この暑い季節には最適なクール感ですよ。
/BLマスター
2006年06月19日
Deep and Wide and Tall: The Platinum Collection/AZTEC CAMERA
80年代のネオアコ、懐かしいですねえ。
このアズテックカメラというバンドは、ほとんどロディ・フレイムのソロユニットだったわけなんですが、当時ネオアコというカテゴリーの中ではダントツの一番人気でした。
なんだかおしゃれの代名詞のような時期もあって、後に「渋谷系」といった言葉や、「フィリッパーズギター」などのフォロワーを産んだのもアズテックカメラがあってのことでしょう。
さて、このアルバムは2005年に発売になったデジタル・リマスターもので、レコード会社を移籍してからの作品まで網羅したなかなか良いセレクトのベスト盤だと言えます。
熱狂的なファンからすると、初期のネオアコ的な一番いい時期の曲がものたりない気もするのでしょうが、ビッグ・オーディオ・ダイナマイトとのコラボの「Good Morning Britain」や、坂本龍一とのコラボ「Spanish Horses」などの、ネオアコという言葉ではかたずけられない佳曲も一枚のアルバムに収録している以上、こういった選曲がベターであると言えます。
アズテックは1stで終わったと言って、それ以降のアルバムを聴いておられない方にもこのベスト盤だけは聴いてもらいたいと思います。
ロディ・フレイムは1964年生まれですから、今年42歳になります。
彼の22年間の集大成とも言えるベスト盤ですから、なかなかのお値打ち品なのではないでしょうか。
/BLマスター