★その他(書籍など)

2009年08月14日

Ember Glance : The Permanence of Memory/David Sylvian and Russell Mills

Ember Glance


今日紹介する『Ember Glance : The Permanence of Memory(邦題:エンバー・グランス〜永遠なる記憶〜)』という作品は、1990年に東京品川の寺田倉庫F号倉庫で行われたデヴィッド・シルヴィアン [ David Sylvian ] とラッセル・ミルズ [ Russell Mills ] による同名のインスタレーション展をCD付き作品集という形でまとめた作品です。

実は、ラッセル・ミルズという名前はこれまで何度も当ブログに登場しているのですが(殆どシルヴィアン絡みですが…笑)、今日はまず、彼をご存知ない方のために簡単に紹介しておきたいと思います。

ラッセル・ミルズは英国ヨークシャー出身の現代美術系の芸術家。

大別すれば、いわゆる抽象画と呼ばれるジャンルの画家になるのでしょうが、彼の作品の多くは塗料で描かれた作品の中に、金属片やワイヤー、布、石、砂、鏡、木片、植物、動物の皮、骨、鳥の羽根などが組み合わされており、どちらかと言えばオブジェや彫刻に近いものです。

インスタレーション展ではさらに立体感が増し、これに動きのある照明や浮遊感のある音楽が組み合わされることで、有機的な要素が増幅され、異空間にトリップしたような摩訶不思議な錯覚に陥ります。

このような作品展をマルチメディア・インスタレーションと呼ぶそうですが、使われている素材に自然のものが多いせいか、ランド・アートやアース・ワークとよばれるジャンルの大規模な作品を小さく切り取ってコラージュしたような作風にも感じます。

いずれにしても唯一無二な作風ですので、彼の作品をご覧になられたことのある方なら、すぐにラッセル・ミルズのものであることがわかるはずです。

また、1980年代からは、彼自身が楽器を演奏するミュージシャンでもあるためか、ブライアン・イーノ [ Brian Eno ] とのインスタレーションや、ワイヤー [ Wire ] のグラハム・ルイス [ Graham Lewis ] と [ Bruce Gilbert ] のライヴでステージ・セットをデザインするなど、ミュージシャンとの親交を深め、数多くのアーチストのレコードやCDのカバー・アートも手がけています。

これまでに手がけた主なCDのカバーアートは、ハロルド・バッド [ Harold Budd ] &ブライアン・イーノ [ Brian Eno ] の『The Pearl』、ハロルド・バッドのソロでは『Lovely Thunder』、ロジャー・イーノ[ Roger Eno ] の『Voices』、マイケル・ブルック [ Michael Brook ] の『Hybrid』、ナイン・インチ・ネイルズ [ Nine Inch Nails ] の『The Downward Spiral』、マイケル・ナイマン [ Michael Nyman ] の『Decay Music』などなど…。

中でもデヴィッド・シルヴィアンとのお付き合いは長く、84年に発表したジャパン [ Japan ] の解散後のベスト盤的な内容の2枚組アルバム『Exorcising Ghosts』を始めとして、86年の2ndアルバム『Gone to Earth』、87年に発表したシルヴィアンの詩集『Trophies』、88年のワールド・ツアー『In Praise of Shamans』のステージ・セットと照明、及び、宣材やパンフレット、89年のCD5枚組ボックス・セット『Weather Box』、90年の共同インスタレーション展『Ember Glance』と今回紹介の同名のCD付き作品集、91年の『Rain Tree Crow』、前回紹介した94年のシルヴィアン&フリップのライヴ・アルバム『Damage』、99年のソロ『Dead Bees on a Cake』など、数多くの作品に関わってきました。

言い換えれば、坂本龍一、藤井ユカなどと同じく、ジャパン解散後のシルヴィアン(ヴァージン在籍時代)を支えてきた重要人物の1人であると言えます。

今のところ、『Blemish』以降のシルヴィアン作品(サマディ・サウンド以降)にはラッセル・ミルズのクレジットを見かけませんが、恐らく今後も何らかの形で関わってくることでしょう。


さて、『Ember Glance : The Permanence of Memory』の内容ですが、先述の通り、基本的には同名のインスタレーション展の回顧録的な作品であると言えます。

Ember Glance 2.1

しかし、単純に同展をふりかえるだけの内容ではなく、それまでのシルヴィアンとのコラボ録や、デザイン段階でのスケッチ、インスタレーション展の会場では見ることのできなかったメイキング的な写真、アングルやライティングを変えた作品自体の写真、客入れ後の会場の写真なども時系列に沿って取り上げられているので、シルヴィアンやミルズのファンに限らず、インスタレーションに関心を持っておられる方や、個展、作品展を計画しておられる方などにも興味深くご覧頂けることでしょう。
(ただし、文章は、武満徹氏のコメント以外は全文英文のみ、日本版は原文を日本語訳したライナーノーツっぽいパンフレットが封入されています。)

Ember Glance 3.1

また、この作品集に加えて、会場で流れていたシルヴィアン制作の音源「The Beekeeper's Apprentice」(30分を超える大作)と「Epiphany」の2曲が同梱されているので、これを聴きながら作品集を見ることで、実際のインスタレーション展の雰囲気を少しばかり味わうことができると思います。

サウンド的にはホルガー・シューカイ [ Holger Czukay ] との共作『Plight & Premonition』や『Flax + Mutability』あたりに通じるいわゆるニューエイジっぽい楽曲ですが、クレジットによれば、本作はパーカッションにフランク・ペリー [ Frank Perry ] が参加している以外、すべてシルヴィアン自身による演奏のようです。

ホルガー・シューカイとのコラボが本作の前年と前々年のことですから、見方を変えれば、このコラボでシューカイから学んだ方法論をシルヴィアンなりに具体化した作品と読み取ることもできますね。

とはいえ、そもそもがラッセル・ミルズの作品ありきの音源であるため、シューカイとのコラボをさらに抽象的にしたような曲調で、もちろん、ポップス・フォーマットの楽曲ではありません。

ま、好き嫌いのはっきり分かれる楽曲だと思いますが、個人的には気に入っており、間接照明のみの薄暗い部屋でお酒を飲みながら少し大きめの音量で楽しんだりしております。

ちなみに、本作は数量限定で発売されたため、現在、新品で販売しているところはほとんどありません。

中古に関してもやや品薄で、それなりのプレミアがついていることが多いのですが(当時の日本盤の価格は7千円弱だったように記憶しています)、同梱された音源に関しては、99年にシルヴィアンのソロ名義で発表された『Approaching Silence(邦題:アプローチング・サイレンス)』に2曲とも収録されておりますので、音だけでもいいから聴いてみたいと思われた方はそちらを手に入れる方がお得かも知れません。

なお、『Approaching Silence』には『Ember Glance』収録の2曲の他に、「Approaching Silence」(38分強もあります)という曲が収録されているのですが、クレジットから判断するに、94年のロバート・フリップ [ Robert Fripp ] との共同インスタレーション展『Redemption』でのみ販売された(今や超入手困難な)カセットに収録されていた同名の楽曲ではないかと思われます。

実は私、シルヴィアン関連の作品で持っていないのが唯一このカセットだけでして、実際にこの2曲を聴き比べることができなかったのですが、雑誌「レコード・コレクターズ 2004年1月号」の田山三樹氏の記事によれば2曲は別ものとのことですので、ひょっとするとフリップの音のみを残してリレコーディングされたものなのかも知れません。

いずれにせよ、3曲中2曲が30分を超える大作ですので、この手のサウンドがお好きな方はぜひご一聴下さい。


最後になりましたが、ラッセル・ミルズはソロ名義で『Undark:Pearl + Umbra』(1999)、『Undark One:Strange Familiar』(2000) と2枚のアルバムを発表しているんですよ。

この2枚には、デヴィッド・シルヴィアン、ハロルド・バッド、ブライアン・イーノ、ロジャー・イーノ、マイケル・ブルック、ピーター・ガブリエル [ Peter Gabriel ] 、ビル・ラズウェル [ Bill Laswell ] 、エクトル・ザズー [ Hector Zazou ] コクトー・ツインズ [ Cocteau Twins ] のロビン・ガスリー [ Robin Guthrie ] 、エコー&ザ・バニーメン [ Echo & the Bunnymen ] のイアン・マッカロク [ Ian McCullough ] 、U2のエッジ [ Edge ] など、これまで彼と関わってきた著名アーチストが名を連ねており、シルヴィアンはそれぞれのアルバムに1曲づつボーカルで参加しています。

もちろん、メインストリーム系のわかりやすいサウンドではありませんが、顔ぶれからも想像できるように、バラエティーに富んだなかなか面白いアルバムですので、興味を持たれた方はこちらもご一聴下さい。


しかし、80年代〜90年代のシルヴィアン作品は、それまでにブライアン・イーノと関わったアーチストを起用することが多いですね。

もちろん、シルヴィアンはイーノをリスペクトしているはずですが、ニューエイジ系の作品に限って言えば、同じアーチストを起用していてもそれぞれの個性が反映されているため、単なる焼き直しやモノマネ作品にはなっていません。

似たメンツで作っている作品を聴き比べてみると、それぞれ気持ちの良い浮遊感を持っているものの、個人的には、イーノ作品に無重力の空間に浮かんだ水滴のような透明感、シルヴィアン作品に晩秋の深い森のような良い意味で枯れた(乾いた)透明感を感じるのです。

場所でイメージするなら、イーノ作品が宇宙、シルヴィアン作品が秋のヨーロッパ、といったところでしょうか(あくまでも個人的に感じるイメージです…笑)。

ま、この手の音楽に興味のない方からすれば、どれも同じようなお化け屋敷の効果音でしかないのかも知れませんが…(笑)。

残念ながら、まだシルヴィアンとイーノの直接のコラボ作品は実現していませんが(オムニバス的なアルバムでそれぞれ曲を提供していたりはします。)、できればそろそろ2人の共作、もしくは競作を聴いてみたいものです。
/BLマスター

uknw80 at 22:39|PermalinkComments(1)TrackBack(0)

2008年09月16日

Retrofest 2008/レトロフェス2008

Retrofest 2008

今年4月に書いたリマール [ Limahl ] の記事でお知らせした通り、この8月30日、31日にスコットランドのストラスクライド・カントリー・パーク [ Strathclyde Country Park ] で当ブログとしては感涙ものの80年代に大活躍したアーチストが一堂に会するイベント『レトロフェス2008 [ Retrofest 2008 ] 』が開催されました。

それから2週間ほど経って、YouTubeにもこのイベントの映像が続々とアップされておりますので、今日はいつものアルバム紹介をお休みして『レトロフェス2008』の映像をお届けしたいと思います。

ただ、ホーム・ビデオで撮られた映像がほとんどですので、画質、音質、共に良くはなく、顔すらまともに判別できない状態のものが少なくありません。

また、このテのYouTube映像は削除されてしまうケースが多く、時間が経ってからは閲覧することができない可能性もあります。

これでは近況を知るために当ブログを訪れて下さった方に申し訳ありませんので、このイベントとは関係のない映像ですが、各アーチストの最近の映像も合わせて紹介させていただくことにします。


まず、今回の『レトロフェス』の目玉はカジャグーグー [ Kajagoogoo ] でしょう(個人的な目玉ですが…笑)。

名義上はわかりやすく「Kajagoogoo & Limahl」となっていますが、20年以上も不仲が報じられていたニック・ベッグス [ Nick Beggs ] とリマールが仲直りをし、ついにオリジナル・メンバーでの再結成ライヴが実現したんですよ。

今回のライヴは、ボーカルパートをニックとリマールのデュエット・スタイルで聴くことが出来たので、リマール脱退後の曲も違和感なく楽しめました。

ちなみに、前回、再結成されたのは、2004年に行われたアメリカのケーブルTVのイベントでのこと。
しかし、この時点でニックとリマールは仲直りは出来ておらず、一夜限りという条件だったんですが、今回の再結成は『レトロフェス』の主催者であるブラッドレイ氏 [ Bradley Snelling ] がオリジナルメンバーでライヴに出演する様に何度も働きかけた結果なんだそうで、現在、彼はカジャグーグーのマネージャー役を務めているのだとか。

現在、オリジナルメンバーで新譜が制作されているそうなので、うまくいけば来日公演も実現するかも知れませんね。

しかし、ニックはこのスカートがよほど気に入っているんでしょうか。
昨年、リマール抜きで「レトロフェス2007」に出演した時も、例のトレヴァー・ホーン [ Torevor Horn ] のイベントでABCのベースを担当した時もこれと同じ衣装でした(笑)。

☆Kajagoogoo
「Big Apple & Neverending Story & Too Shy」
「The Lion's Mouth」
「White Feathers」
「バックステージでのインタビュー映像」

今年のSOPOT FESTIWALに出演した再結成カジャグーグーの映像
昨年のレトロフェスでのリマール抜きの「Too Shy」の映像


さて、体型も名義も気になってしまうのはボーイ・ジョージ [ Boy George ]

数々の逮捕劇でカルチャー・クラブ [ Culture Club ] の他のメンバーから愛想を尽かされ、再結成の際には別のゲイにボーカリストの座を奪われてしまいました。

そんなわけで、個人名義での出演となったわけですが、当然ながら、カルチャー・クラブ時代の楽曲も演っています。

ま、声を重視すればこっちの方がカルチャー・クラブなんですけど…(笑)。

☆Boy George
「Church Of The Poison Mind」
「Victims」
「Do You Really Want To Hurt Me?」
「Everything I Own」

細身の新ボーカリストを迎えた新生カルチャー・クラブの映像
メタボなボーイ・ジョージの今年のTVライヴの映像


そして、同じように個人名義で出演したのはミッジ・ユーロ [ Midge Ure ]

しかし、こちらは再結成されていないだけのことで、やはり、ウルトラヴォックス [ Ultravox ] 時代の曲を中心に演奏したようです。

出来ることならジョン・フォックス [ John Foxx ] 、ビリー・カーリー [ Billy Currie ] らと一緒に登場して、ウルトラヴォックス・ヒストリー・ライヴみたいなことをやってくれると嬉しいんですが、この短い出演時間の中では難しいでしょうか(それ以前にあり得ない企画ですが…。笑)

☆Midge Ure
「Hymn」
「Vienna」

スキンヘッドになったミッジの今年のライヴ映像


ハワード・ジョーンズ [ Howerd Jones ] はデビュー当時のワンマン・スタイルではなく、バンド・スタイルでの出演でした。

ま、元々メロディーが良いだけにどんな風にアレンジしても悪くは聴こえないんですが、個人的には、20周年ライヴの時のように、ほぼワンマン・スタイルでパントマイムのおじさん(=ジェド)と一緒に出演して欲しかったところですね。

☆Howard Jones
「Pearl In The Shell」
「What Is Love?」

20周年記念ライヴで懐かしい機材を弾くハワード・ジョーンズの映像
ミッジ・ユーロ、フィル・コリンズ、ミック・カーン、ブライアン・メイなど、とんでもなくゴージャスなメンツの「What Is Love?」の映像


また、マリ・ウィルソン [ Mari Wilson ] がどんな髪型で登場するのかも気になっていたのですが、残念ながら往年の蜂の巣頭(ビーハイヴ・ヘアー)までは再現してくれなかったようです。

今でもそれなりに奇麗な人なんですが、おかげで、タイトルがなければ誰が歌っているのかわかりませんよね(笑)。

☆Mari Wilson
「Just What I Always Wanted」

BBCのトーク番組で過去を語るマリ・ウィルソンの映像
ちなみにこちらが蜂の巣頭の頃の映像


そして、同姓同名のアーチストの死去が報じられ、一時期は死亡説の流れたポール・ヤング [ Paul Young ] も気になるところです。

個人的には、彼のバンドでベースを担当していたピノ・パラディーノ [ Pino Palladino ] の出演を願っていたのですが、顔の判別ができないほどの画質の映像ながら、音を聴く限り、別のプレイヤーが演奏しているようです。

ちょっと物足りない感じはピノのベースが入っていないからなんでしょうか。

☆Paul Young
「Come Back & Stay」

口パクのようですが、2005年のTVライヴの映像
クイーンのトリビュート・ライヴで歌うポール・ヤングの映像


他にも、この2日間で、太って妙に貫禄の出たDr.ロバート率いるブロウ・モンキーズ [ The Blow Monkeys ] や、今でも地味で哀愁漂うチャイナ・クライシス [ China Crisis ] 、おばちゃん化してもポップなバングルス [ The Bangles ] 、相変わらずトロピカルなモダン・ロマンス [ Modern Romance ] 、ちょっと太ってワイルドさの抜けたキム・ワイルド [ Kim Wilde ] 、やっぱりスキンヘッドのクリスチャンズ [ The Christians ] 、なぜか今になってモヒカンにしたニック・カーショウ [ Nik KerShaw ] 、オヤジ化しても美しいハーモニーの10cc、やっぱり国籍不明な音のボニーM [ Boney M ] 、わたしはよく知らないバックス・フィズ [ The Bucks Fizz ] とピーター・アンドレ [ Peter Andre ] 、そしてアバ [ ABBA ] の完コピトリビュート・バンドのビヨーン・アゲイン [ Bjorn Again ] と、ビートルズ [ The Beatles ] の名物トリビュート・バンドのブートレッグ・ビートルズ [ The Bootleg Beatles ] が出演しました。

残念ながら、このイベントでのブートレッグ・ビートルズの映像は発見できなかったのですが、それ以外のグループは画質が悪いながら、YouTubeですべて探し出しましたので下記の映像で雰囲気だけでも感じ取っていただければ幸いです(順不同)。

☆The Blow Monkeys
「Digging Your Scene」

ちなみにこちらがスレンダーな頃の映像

☆China Crisis
「Black Man Ray」

今年のチャイナ・クライシスのライヴ映像

☆The Bangles
「Eternal Flame」

今年のバングルスのライヴ映像

☆Modern Romance
「Ay Ay Ay Ay Moosey」

ちなみにこちらが同曲のプロモ映像

☆Kim Wilde
「You keep me Hanging On」
「Chequered Love」

今年のSopot Festiwalでのキム・ワイルドのライヴ映像

☆The Christians
「Hooverville」

ちなみにこちらが昔のTVライヴ映像

☆Nik Kershaw
「The Riddle」

今年のTV番組でのニック・カーショーのライヴ映像

☆10cc
「I'm not in Love」

10ccのグラハム、クラウデッド・ハウスのニール、アズテック・カメラのロディの3人によるアコースティックな「I'm Not In Love」

☆Boney M
「Rivers Of Babylon」

昨年のライヴでのボニーMの「Rasputin(邦題:怪僧ラスプーチン)」の映像

☆The Bucks Fizz
「Making Your Mind Up」

☆Peter Andre (and special guest backing band)
「Can You Feel It」

☆Bjorn Again(アバのトリビュート・バンド)
「Dancing Queen」

ドイツのTV番組でのライヴ映像

☆The Bootleg Beatles(ビートルズのトリビュートバンド)
「Medley」(今年5月のメドレー映像)


再結成組もさることながら、トリビュート組もなかなか面白いですよね。

ここまで完全にコピーしていると、モノマネ・バンドの域を超えています。

ひょっとしたら、イギリスではトリビュート・バンドだけのロック・フェスなんてのが行われていたりして…。

個人的には、最近気になっているロキシー・ミュージック [ Roxy Music ] のトリビュート・バンドのロキシー・マジック [ Roxy Magic ] も観てみたかったところですが、本家の出演も不可能ではなさそうですから意味がありませんね(笑)。


いや〜、それにしても、このライヴを会場でご覧になった方がうらやましいです。

ホーム・ビデオ・カメラの映像ばかりなので、会場のノリがうまく伝わってこないところもあるんでしょうが、恐らく、会場で生で観ることが出来たとしたら鳥肌が立ったことでしょう。

とはいえ、YouTubeが普及したおかげで、居ながらにしてこのような映像を観ることが出来るのですからありがたいことです。

できれば近いうちに日本でもこのようなイベントを企画していただきたいと切に願います。

ちなみに、「レトロフェス」は来年も行われるようですので、興味を持たれた方はレトロフェスの公式サイトをチェックしてみて下さいね。
例年通りなら年明けには次回の出演者が発表されるはずですよ。
/BLマスター


よろしければ、ランキングバナーのクリックで応援お願いします。
 ↓
にほんブログ村 音楽ブログ PV・CDレビューへ
ランキングバナー
人気ブログランキング【ブログの殿堂】

uknw80 at 00:01|PermalinkComments(4)TrackBack(0)

2007年11月29日

UK New Wave/Shinko Music Disc Guide Series #11

UK New Wave/Disc Guide Series #11

今日紹介するのは、シンコー・ミュージックから2003年に発行された書籍『DISC GUIDE SERIES #11 UK NEW WAVE』です。

このディスク・ガイド・シリーズは、それぞれの大ジャンルに詳しい音楽評論家や音楽ライターの方の監修の元、各小ジャンル、アーチストに詳しいライターの方がアルバム1枚ごとに簡潔に解説を書くという方式がとられており、これまでに(恐らく…)32冊ものジャンル別ガイドが発売されています。

ちょうど、当ブログの内容に合致するこの『UK NEW WAVE』という号は、このシリーズの11号目にあたり、「宝島」の「ロックランドインターナショナル」という洋楽コーナーを仕切っておられた小野島大氏の監修の元、石井秀仁、石川真一、石田昌隆、岡村詩野、久保田稔人、佐藤英輔、中野康博、松山晋也、宮子和眞、油納将志、吉村栄一というライター陣が執筆にあたっておられます。

本書は、単なるニューウェイヴCDのカタログではありません。

もちろん、そういう使い方もできるのですが、それぞれのライターの主観が多分に入った簡潔な解説がされているため、自分の持っている音源に対する他の方の評価や、欲しい音源の客観的な評価を知ることができるため、記事を読んでから聴き直すことで新たな発見をすることができます。

ただ、ライターによっては、記事の内容が薄かったり、内容に誤りがあったりするので、書いてあることを完全に鵜呑みにすることはできないのですが(笑)、それでも「UK NEW WAVE」という狭いジャンルについて600枚弱もの音源を解説した書籍はそうそうあるものではありませんから、我々にとっては貴重な一冊です。

ご自分の大好きなアーチストの作品に関する記事には多少異論もあることでしょうが(笑)、ま、当ブログをご愛読いただいている方なら、間違いなく買って損をするようなことはないでしょう。

恐らく、ジャケット写真を眺めているだけでも。あっという間に時間が過ぎてしまうと思いますよ(本書の2 / 3はカラー・ページです)。


では、簡単に内容の紹介をさせていただきましょう。

本書のアルバムごとの解説は10章に分かれており、ニューウェイヴをさらに細分化した小ジャンルごとの解説とともに、代表的なアルバムの紹介がされています。

10章のタイトルは下記の通りです。

1 . ELECTRONIC POP
 Ultravox、New Order、ABC、Japan、Buggles等
2 . NEO ACOUSTIC / GUITAR POP
 Aztec Camera、Felt、Moumus、Smiths等
3 . POP / POWER POP
 Culture Club、Squeeze、Nick Lowe、Skids等
4 . SOUL / JAZZ
 Sade、Style Council、Simply Red、Paul Young等
5 . ETHNIC / FUNK
 Adam & The Ants、Bow Wow Wow、Pop Group等
6 . REGGAE / SKA / DUB
 Aswad、Madness、Specials、Mark Stewart、UB40等
7 . NEO PSYCHEDELIC
 Cure、Echo & The Bunnymen、Joy Division、Shamen等
8 . GOTHIC / POSITIVE PUNK
 Bauhaus、Killing Joke、Virgin Prunes、Cult等
9 . ALTERNATIVE
 Fall、Flying Lizards、P.I.L.、Slits、Wire、Josef K等
10. NOISE / INDUSTRIAL / AVAN-GARDE
 Cabaret Voltaire、This Heat、Throbbing Gristle、Coil等

う〜ん、この各章のタイトルをみていると、ニューウェイヴというジャンルがいかに幅広い定義づけであったのかがわかりますよね(笑)。

テクノ・ポップやエレポップに関しては、シンセサイザーの登場によって生まれた80年代の新しい音楽であっただけに、「ニューウェイヴ」と呼ぶことに異論のある方は少ないと思うのですが、ネオアコはフォーク、ブルー・アイド・ソウルはR&B、ゴシックやオルタナティヴあたりはパンク、という具合に、広い枠組みでのジャンル分けをすることもできるわけです。

ま、2000年以降にデビューしたアーチストを「ニューウェイヴ」というジャンルに区分することはまずないと思うのですが、80年代は今ほどジャンルの細分化が進んでいたわけでもありませんでしたので、新しければ何でも「ニューウェイヴ」と言われ、おかげで、こんなに大ざっぱな区分けがなされたのでしょうね。

しかし、ポジティヴに考えれば、ニューウェイヴというジャンルは既存のスタイルの殻を破ろうとしたチャレンジ精神旺盛なジャンルという見方もできます。

いや、80年代は、そういった行動がもてはやされた時期だったのです。
どのアーチストも、他のアーチストと違うことをやろうとしていたのです。

言い換えれば、後に(〜現在)新しくジャンル名がつけられたジャンルのプロトタイプの宝庫というわけですね。

中には、後に続くアーチストが育たなかったため、新しいジャンルとして成熟しなかったものもあるのでしょうが、彼らのチャレンジがあったからこそ成熟した、というジャンルは少なくないのではないでしょうか。

80年代の洋楽を知らない若者に、「君たちが今聴いている音楽のルーツはここにあるのだからこれを聴きなさい」というような押し付けがましいことは言いたくありませんが、リアルタイムでニューウェイヴを聴いて来られた方ならジャケット写真を眺めるだけでご理解いただけると思います。

本書は、そういう意味でもかなり面白い内容ですので、80‘s UK New Waveのお好きな方には、ぜひ、じっくり読んでいただきたいオススメの一冊です。

ニューウェイヴのバイブルとまでは言いませんが、一家に一冊持っておいて損はない本だと思います。
/BLマスター

uknw80 at 21:42|PermalinkComments(4)TrackBack(0)

2006年11月06日

Famouz Photographs 1975 88/Anton Corbijn

Anton Corbijn Famouz

今日はちょっと気分を変えて写真集を紹介します。
これはアントン・コービン [ Anton Corbijn ] というオランダ人写真家の写真集で、80年代に活躍した数多くの著名ミュージシャンを、彼ならでは視点で撮った独特のモノクロ写真が収められています。

アントン・コービンの作品は、彼の名前を知らない方でも、音楽好きなら一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

アントンは、父親が牧師だったこともあって敬虔なプロテスタントで、作品にはどこか宗教的な色を感じさせる、モノクロの粒子の粗い写真を撮っています。

もともとは、イギリスの音楽新聞N.M.E.の専属フォトグラファーだったそうなので、そこで作品が認められ、下記のように数多くのミュージシャンとのセッションが生まれたようですね。

また、プロモーション・ビデオ・クリップも数多く手掛けており、彼が監督を務めたプロモをまとめたDVD「Directors label/Anton Cobijn Best Selection」も、以前紹介させていただきました。

特に、U2やデペッシュ・モードはアルバムジャケットから、写真集、プロモーションビデオに至るまで、ビジュアル・アートの部分ではかなり長い付き合いのようで、この写真集にも何枚かの写真が収められています。
↓ ちなみにU2の写真集はこちらで確認して頂けます。
U2 & I: The Photographs 1982-2004

これらの写真をそのまま掲載するのはいささか気が引けますので、アントン・コービンのオフィシャルサイトでご確認下さい。
なお、「Photography」のところにある「Black」の5枚はすべてこの写真集に収録されており、他の作品も風合い的には同じような臭いを持っています。
それぞれのアーチストのファンの方なら、どこで使われた写真なのかはっきりお分かりになるものもあると思いますが、始めて見るものもあるので嬉しくなっちゃいますよ。

なお、私の所持しているものは同じタイトルで「1976,88」となっており、今回紹介しているものは「1975,88」ですので、若干作品数が増えている可能性があります。

ちなみに「1976,88」で、収録作品の被写体となっているアーチストは下記の通りです。

1.John Cale 1983
2.Peter Gabriel 1986
3.Johnny Rotten 1977
4.People(New York) 1986
5.Tom Waits 1985
6.Alan Wilder & Dave Gahan(Depeche Mode) 1988
7.Nina Hagen & Ari Up(Slits) 1980
8.U2 1986
9.David Bowie(The Elephant Man) 1980
10.Lou Reed 1983
11.Clannad 1985
12.John Martyn 1978
13.Sting 1985
14.D.A.F. 1982
15.John Hiatt 1981
16.Peter Gabriel 1986
17.Kate Bush 1981
18.Don Van Vliet(Captain Beefheart) 1980
19.Bobby Womack's Writing Paper and Glasses
20.Bobby Womack 1984
21.Miles Davis 1985
22.Bono(U2) 1985
23.Shane MacGowan(The Pogues) 1988
24.Foever Praying 1982
25.David Byrne(Talking Heads) 1981
26.Willy DeVille(Mink DeVille) 1981
27.Gavin Friday(Gavin Friday and The Man Seezer) 1988
28.Frank Tovey(Fad Gadget) 1983
29.A Cuban Lady 1985
30.Elvis Costello 1981
31.One of Fela Kuti's Wives 1981
32.Sinead O'Conner 1988
33.Morrissey 1987
34.Ry Cooder 1976
35.Leonard Cohen 1985
36.Rev. Al Green 1986
37.David Sylvian 1983
38.Frankie Goes To Hollywood 1985
39.Marc Almond 1985
40.Nick Cave 1988
41.Jack Bruce 1977
42.Ian Curtis(Joy Division) 1980
43.Howard Devoto(Magazine) 1977
44.Peter Hammill 1986
45.Stevie Wonder 1980
46.Peter Gabriel 1986
47.View from Window 1986
48.Dieter Meier(Yello) 1982
49.Peter Case 1986
50.John Martin 1986
51.Suggs(Madness) 1980
52.David Sylvian 1984
53.Les Pattinson(Echo & The Bunnymen) 1984
54.Jim Kerr(Simple Minds) 1985
55.Roy Orbison 1980
56.Bono(U2) 1986
57.An English Lady 1985
58.Kim Wilde 1980
59.Lux Interior(the Cramps) 1986
60.Siouxsie Sioux(Siouxsie & The Banshees) 1987
61.Brian Eno 1980
62.David Bowie 1980
63.Wynton Marsalis 1987
64.Siouxsie Sioux 1985
65.Claudia Bruecken(Propaganda) 1985
66.Ry Cooder 1979
67.Billy Bragg 1984
68.Blixa Bargeld(Einsturzende Neubauten) 1983
69.Boris Blank(Yello) 1985
70.James Brown 1982
71.Stanley Clarke 1977
72.Joy Division 1979
73.Viv Albertine(The Slits) 1980
74.Julian Cope 1984
75.Ian McCullough(Echo & The Bunnymen) 1982
76.Robert Wyatt 1985
77.Tom Waits 1985
78.Elvis Costello 1977
79.Steely Dan 1976
80.Siouxsie Sioux 1982
81.Van Morrison
82.Cabaret Voltaire 1983
83.John Lydon and Nora 1986
84.Kraftwerk Dummy 1981
85.People 1988
86.Grace Jones 1983
87.Pete Townsend 1982
88.John Lydon 1983
89.Bryan Ferry 1982
90.Frankie Goes To Hollywood 1985
91.UB40 1986
92.Joe Cocker 1979
93.Debbie Harry 1986
94.Holger Czukay 1984
95.Don Van Vliet 1980
96.Jullian Lennon 1984
97.Adam Ant 1981
98.David Bowie 1980
99.Tom Waits 1983
100.Tom Waits 1985
101.John Hiatt 1988
102.Sinead O'Conner 1988
103.Jim Kerr 1982
104.Rev. Al Green 1986
105.Self Portrait 1987

興味を持たれた方は、まずアントン・コービンのオフィシャルサイトで作品をご覧になって見て下さい。
アーティスティックで美しく、時にはグロテスクな彼の作品に触れることが出来ますよ。

なお、この写真集は重量感のあるハードカバー仕立てになっており、360×270×20mmという大きなサイズで、各作品は1ページに1枚使われております。
ちょっと高価な気もしますが、間違いなくそれだけの価値はあると思います。

永久保存版としてお手元に置かれてはいかがですか?
/BLマスター

uknw80 at 14:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)
来場者数
Artists Categories
amazonでサーチ
amazon
CM-Click
BOSE
ボーズ・オンラインストア

クワイアットコンフォート

L1 model I system
石橋楽器店


Sony Music Shop
Sony Music Shop

Sony Music Shop
Tag Cloud
amazon