Frankie Goes To Hollywood

2007年02月10日

Welcome to the Pleasuredome/Frankie Goes To Hollywood

Welcome to the Pleasuredome/FGTH

本作『Welcome to the Pleasuredome』はフランキー・ゴーズ・トゥー・ハリウッド [ Frankie Goes to Hollywood ] (以降FGTHと表記)の1984年に発表したLPでは2枚組のデビューアルバム。

FGTHに関しては、以前ベスト盤『Bang!...The Greatest Hits of Frankie Goes to Hollywood』を紹介していますが、彼らは、1980年にパンク・バンドとして結成され、その後、ゲイであることを前面に打ち出したスタイルがトレヴァー・ホーン [ Trevor Horn ] の目にとまり、1983年にZTTレーベルからシングル「Relax」でデビューしました。
なお、グループ名の由来は、フランク・シナトラが音楽界から映画界に進出することを伝える新聞記事の見出しから「都へ出てきて堕落する」という意味をこめて名付けられたそうです。

トレヴァーの関与していないシンプルな「Relax」の映像(ビデオ版 BAND AID『VIDEO AID』に収録された映像)

当時のメンバーは、ホリー・ジョンソン [ Holly Johnson ] (V)、ポール・ラザフォード [ Paul Rutherford ] (V)、ブライアン・ナッシュ [ Brian Nash ] (G)、ピーター・ギル [ Peter Gill ] (D)、マーク・オトゥール [ Mark O'Toole ] (B)の5人。

デビュー・シングルの「Relax」は、性行為を描写した歌詞内容や排尿音などが問題となり、英国BBCだけでなく、多くの国の放送局で放送禁止となることで、逆に宣伝効果が高まり大ヒットを記録、彼らの名前は一躍有名になりました。

「Relax」のプロモ映像
夜のヒットスタジオでの「Relax」の衛星インタビューとライヴ映像

日本では英語に対する認識の甘さのためか、あまり歌詞の内容に触れられることはありませんでしたが、それでも当時のNHKでは放送を自粛するという措置をとっているそうです(まあ、基本的に当時のNHKではほとんど使うこともなかったはずですが・・・。)
最近では、この曲のインパクトが買われたのか、多くのTVCMや「水10! ココリコミラクルタイプ」のテーマ曲に使われていました。

これは、マルコム・マクラレンが、セックス・ピストルズの「女王陛下くそくらえ!」というメッセージを盛り込んだ楽曲をあえて放送禁止にすることで、逆に宣伝効果を狙って成功したのと同じタイプの手法で、スキャンダラスなイメージを持たせることでワイドショーやゴシップ誌に書き立てられることを逆に利用した宣伝術です。

最近では、タトゥー [ t.a.T.u ] がドタキャン騒ぎや素行の悪さで日本のワイドショーやゴシップ誌を賑わせ、逆に人気が出てしまったのと似ていますが、彼女達も同じくトレヴァー・ホーンのプロデュースであることから、もしかするとこれも計算ずくの演技だったのではないかと考えることもできます(真相は分かりませんが・・・)。

いずれにせよ、このスタイルのスキャンダラスな宣伝方法は、今でもそれなりのセールスを生み出すことができるのは間違いないようです。

しかし、ゲイのスキャンダラスなイメージだけではなく、楽曲の方も良く練り込まれており、デビュー前の単なるハード・ゲイ指向の強いパンクから、当時最先端のサンプリング技術を駆使した攻撃的な音色で、非常に豪華な最新鋭のダンス・ミュージックへと変化を遂げました。
ちなみに、「Relax」のバックには、レッド・ツェッペリンのドラマー、故ジョン・ボーナムのドラム音をサンプリングした音色が効果的に使われています。

別バージョンの「Relax」のプロモ映像

また、続く2ndシングル「Two Tribes」は、当時の米ソ冷戦と核戦争の危機を歌い、アメリカのレーガン大統領とソ連のチェルネンコ書記長のそっくりさんが取っ組み合いで闘うというPVが話題を呼び、全英で9週連続1位を記録しています。

「Two Tribes」のプロモ映像

本作は、このようなシングルと、当時のブームであった12inchシングルによる大量のリミックス盤による戦略が行われた後、満を持して発表されたデビュー・アルバム(LP2枚組の大作)で、シングルや12inchシングルによるダンス仕様、もしくは音遊び的な作品と比べれば、まるでプログレ系アーチストのコンセプチャル・アルバムのような趣を持つメリハリの利いた作品です。

ここから私が感じるテーマは、ずばり「戦争と愛(同性愛)」。
ある意味で重たい作品とも言えるのですが、実に完成度は高く、所々に挿入される効果音的な音色やボイスなどのおかげで物語性が全面に現れ、このアルバム全体で1つの作品であることを感じさせてくれます。

なお、この後、本作から「The Power of Love」と「Welcome to the Pleasuredome」がシングルカットされました。

「Welcome to the Pleasuredome」のプロモ映像
ホリー・ジョンソンのソロでの「The Power of Love」のライヴ映像

さらに、この頃行われたワールドツアーでは、あえてナチス・ドイツのような装飾を施した舞台セットを使うことで、このアルバムのテーマ性をより強靭なものとし、音楽的に世界征服を目論んだ(笑)のではないでしょうか。

実際、こういったセンセーショナルなイメージ戦略により、FGTHは一躍人気者となったわけですが、逆に「トレヴァー・ホーンの操り人形」「ライブではテープを流すだけで演奏もできない」など、彼らを皮肉る声も多くあったそうです。
(ちなみに、実際、ライヴではテープをバックに流していましたが、メンバーはそれに合わせてきっちり演奏はしていたようです。)

しかし、これだけ世間を賑わわせると飽きられるのも早いというのが世の常、この後86年に発表した『Liverpool』はほとんど話題にのぼることもなく、87年にホリー・ジョンソンがグループを離れると共に解散への道を辿りました。

そして、2004年、トレヴァー・ホーンの音楽生活25周年記念コンサートに合わせて再結成の話が持ち上がりますが、ホリー・ジョンソンはそれを拒否、新たにライアンというボーカリスト(やはりゲイ?)を迎えて再結成が行われました。

トレヴァー・ホーンの音楽生活25周年記念コンサートでの「Welcome to the pleasuredome」のライヴ映像
同じく同コンサートでの「Two Tribes」のライヴ映像

恐らく、90年初頭に公の場で公表した持病のエイズのせいではないかと思うのですが、実際のホリーの拒否の理由はわかりません。

なお、新生FGTHはその後もライヴ活動を行っており、今年中には新メンバーでのニューアルバムを発表する予定があるとか・・・。

怖いもの見たさというんでしょうか、カルチャー・クラブの新ボーカルと同じようにちょっとだけ興味を感じてしまいました。
/BLマスター

uknw80 at 18:15|PermalinkComments(2)TrackBack(1)

2006年07月05日

Bang!...The Greatest Hits of Frankie Goes to Hollywood

Frankie GTH best

Frankie Goes To Hollywood(以降フランキー)は元々ゲイのお兄ちゃんたちのシンプルでパンキッシュなバンドでした。
今で言うなら本物のゲイがレイザーラモンHGのような格好をして腰を振りながらセクシャルなメッセージを曲にしていたわけです。

そんな彼らを見つけて金儲けを企てたZTTの面々は、彼らの曲に強力に派手で大袈裟なアレンジを施し、しかも彼らがゲイであることを武器にしたスキャンダラスな戦略を打ち出して、当時の英国に一大旋風を巻き起こし、小学生くらいの子供までもが、意味もわからず「RELAX」と大きな文字で書かれたTシャツを着るほど有名なバンドになりました。
しかも、政治的なメッセージまで織り込むことで、メディアへの露出もかなりのものとなり、フランキーはZTTの稼ぎ頭となったのです。

まるで、ピストルズを売り出したマルコムの戦略ですね。
しかし、これが当たったのは間違いないわけで、ゲイのお兄さんたちは日陰の存在から、一躍スターダムにのし上がることとなったのです。
ZTTの見事なまでの営業戦略が大成功に導いたのでしょう。
彼らの打ち出した12inchのバージョン違いの量産という手法や、派手な演出は少なからず今の音楽シーンにも影響を与えていますので、その功績は勲章ものです。

元々のシンプルでパンキッシュなゲイバンドの姿は、BANDAIDのビデオにプロレスのリングの中で「RELAX」を演奏している姿で見ることができますが、実はそちらの方がかっこいいという話もよく聞きます。
BAND AIDのものではありませんが、そんな時代の「RELAX」のプロモはこちらで観ることができます。

フランキーは正式には、2枚組の「Welcome to the Pleasuredome 」と「Liverpool」という2種のアルバムと数々のリミックスを残して解散しています。
その後、ヴォーカルのホリー・ジョンソンは、90年初頭に自らがエイズにかかっていると公の場で宣言し、ソロ活動を中断するも、2000年頃からの英国での再結成ブームのあおりを受け、2~3年前にフランキーを再結成しライヴ活動もしているという噂を耳にしました。

このベスト盤は、「Relax」「Two Tribes」「Welcome to the Pleasuredome」「Power of Love」などのシングル曲や、ブルース・スプリングスティーンのカバー「Born to Run」、2ndから「Warriors of the Wasteland」など数曲を、非常に聴きやすいミックスのものから選曲してコンパクトにまとめてあるので、おすすめの1枚といえます。
もちろん試聴可能ですから、この機会にぜひもう一度聴いてみて下さい。
/BLマスター

追記
再結成は、トレヴァー・ホーンの音楽活動25周年記念コンサート出演のために、2004年の10月にされたそうで、その際、ホリー・ジョンソンは参加拒否しているとようです。
昨年末の時点の情報によれば闘病中(エイズ)ということで参加拒否したのかもしれません。

uknw80 at 13:15|PermalinkComments(38)TrackBack(0)
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