ウォルターベッカー
2007年02月16日
FLAUNT THE IMPERFECTION/CHINA CRISIS
■85年発表3rdアルバム
チャイナ・クライシスは79年、ギャリー・デイリー(vo、bass、synth)とエディ・ランドン(g、vo、synth)の2人によりリバプールで結成されました。グループ名の由来はエディーが学生時、「CHINK(中国人への軽蔑的なスラング)」と呼ばれた事からとの事です。
ゲイリーギャザ・ジョーンズ(b)、ケヴィン・ウィルキンソン(dr)が加入し、1stアルバム『DIFFICULT SHAPES&PASSIVE RYTHMS,SOME PEOPLE THINKING IT'S FUN TO ENTERTAIN』をVirsinから82年にリリース。シングル・カットされた「CHRISTIAN」がUKチャート12位のヒットに。
1stアルバム当時は、アコースティック感覚のエレPOP、という認識で個人的に捉えて愛聴していました。
しかし2nd『Working with Fire and Steel』(84年)を当時買わなかった事は悔やまれる事です(POPで良いアルバムなのです)。
リードVoはエディー、ギャリー、作詞した方が担当している様でして(共作詩曲もあるのですが)、
ギャリーのVoはトム・ヴァーレイン(テレヴィジョン)やデビッド・バーン(トーキング・ヘッズ)のNY・PUNK独特?な声裏返る"シャックリ″唱法とでも言いましょうか、あのクセのある抑揚が見受けられます。反対にエディーはクセの無い透明感あるVoスタイルですね。
ポスト・パンクとしての過激な波が頭打ちになった感のあった80's中期、英NW界は一つの転換期を迎えたと思います。
ネオ・アコースティック・ムーブメントがその顕著な例だと思うのですが、プリファブ・スプラウトがその先陣を斬った観もある?スティーリー・ダンを指標モデルとするバンドも多数現れました。
最たるモノは″ディーコン・ブルー″でしょうか?グループ名が、
ダン『aja』の「ディーコン・ブルース」からの引用が丸判りでして。
彼らの1st『レイン・タウン』も良く出来た秀作でして愛聴しておりました。
という事で、
当時OMD、デペッシュ・モード等いわゆるエレ・POP・バンドという位置であったチャイナ・クライシスも、バックボーンとしてあったであろう、スティーリー・ダンのクールなAORスタイルとの融合への道に転化して行きました。
そして大胆にも今作3rdに措いて、プロデューサーに当時は元、現
スティーリー・ダンのウォルター・ベッカーを迎え、英エレ・POPと米AORが融合した美しい結晶となった素晴らしい名盤を産みました。
私御恥ずかしながら今作、2ndを買い漏らしてたのもありまして、
当時輸入盤屋で500円投売りされていたLPを購入したのですが、
いざ針を落として見てホント感動しました。
それは私この当時、NWに飽き足らず色々と手を染め出した頃でして、スティーリー・ダン、ドナルド・フェイゲンソロ等の良さも判り出したと謂うのもありますが、YMOファンなので坂本龍一の『音楽図鑑』も良く聞いてまして、ナチュラリズム感に措いて共通するものを感じました。勿論音色もそうなんですが、″歌″(たとえインストであっても)を第一意義にしたコンセププトの音楽という事で。
所で今作後もウォルター・ベッカーはチャイナ・クライシスのプロデューサーとしてアルバム・フルでは無いにしろ関与し、
その後'94年に自身のソロアルバム『11 Tracks Of Whack』をリリースているのですが、私の思い込みの性かも知れませんが、結構チャイナ・クライシスっぽかったりして面白い所なのです。
今作からの映像紹介をしようと思ったのですが、見事に?YouTube
では見当たりません・・・。
しかし、amazonで全曲RealPrayerで試聴出来ますので、是非とも
御聞きになって欲しい所です。
とにかく今作、ほんとリラックス出来るアルバムです。
ネオアコが100%果汁のフレッシュ・ジュースだとすると、
聴くナチュラル・ウォーター、とも形容出来ると思います。
上記しましたが、スティーリー・ダン、ドナルド・フェイゲン、坂本龍一『音楽図鑑』辺りが好きな方には特にお勧めしたい作品です。
/星