デヴィッドボウイ

2007年08月04日

1.Outside/David Bowie

1.Outside/David Bowie

本作『1.Outside』は1995年に発表されたデヴィッド・ボウイ [ David Bowie ] の通算18枚目(ですよね)のアルバムです。

このアルバムは、数あるボウイ作品の中でも珍しい「架空の映画のサントラ」というコンセプトの元に、ブライアン・イーノ [ Brian Eno ] と組んで製作されたコンセプチャル・アルバムです。

正直言って、90年代に入ってからのボウイのアルバムにはかなり裏切られただけに、本作を手に入れた当時の期待はかなり薄いものでした。

しかし、聴いてみれば、これが実に良く出来たアルバムで、斬新なアイデアと、円熟味を増したボウイならではの渋さがにじみ出たとんでもなくすばらしい作品で、個人的には、90年以降のボウイのアルバムの中では最高傑作だと感じています。

イーノと組んでいるからすばらしいというわけではないのですが、本作の前後に発表されている作品とは比重の置き方が違います。

売れる楽曲という営業戦略的な部分に比重を置かず、コンセプトを忠実に再現することで、作品自体の完成度を上げることに比重が置かれた芸術性の高い作品なのです。

それは、トータル録音時間約75分、全19曲(ボーナストラックは除いて)というボリュームにも現れています。
もちろん、1分程度のインスト曲も含めての話なんですが、LPレコードなら、当然2枚組の大作扱いなわけですからね。

とはいえ、作品の完成度と売り上げは必ず比例するわけではありません。

私の音楽仲間の間では『Scary Monsters』以来の傑作だと絶賛されているのですが、難解なイメージを持たれたのか、セールスの方は世界的にイマイチだったようで、予定されていた続編(3部作〜5部作となるはずだったそうです)はお蔵入りとなり、作品自体は残念ながら未完のまま放置されています。
アルバム・タイトルの前に付いている「1.」というのは続編を予定してのことだったわけですね。

この架空の映画というのは、デヴィッド・ボウイが扮するロンドン芸術犯罪特捜部の探偵ネイサン・アドラー [ Nathan Adler ] の日記に基づく猟奇殺人「ベビー・グレース・ブルーの儀祭殺人事件」をテーマにしたサイコホラー(サスペンス?)もので、ライナーによれば「非線型ゴシック派超輪廻ドラマ」なんだとか。
何だか意味不明な日本語訳ですが、英語でも「A non Gothic Drama Hyper-cycle」と書かれています。

物語の内容に関しては、付属のブックレット(日本盤は対訳付)に載っていますので、あえてあらすじを書くことは控えさせていただきますが、雰囲気的に『ツイン・ピークス』や『ブルー・ヴェルヴェット』、『エンゼル・ハート』『羊たちの沈黙』『セブン』あたりをスタイリッシュにしたような映画を想像していただくと良いと思います。

つまり、やや芸術性の高い、難解な映画を想定して作られているわけで、音楽的にも、同じく難解なイメージを持たれたのかも知れません。

しかし、あくまでも歌ものの作品であるため、プログレ・バンドのコンセプチャル・アルバムのような難解さはなく、よく聴けば、『Scary Monsters』や、ベルリン3部作の中からシングル・カットされた曲のようなポップな曲が多数収録されていて、意外に聴きやすいことがわかっていただけると思います。

これがまた、カッコいいんですよ。

そういう意味では、『Let's Dance』でボウイは終わった、と言っておられる方にこそ聴いていただきたい作品ですね。
Low』『Heroes』『Lodger』『Scary Monsters』あたりのボウイが大好きな方は必聴です。


なお、本作から、シングル・カットされた楽曲のプロモ・ビデオも、同じコンセプトにあわせて作られているので、かなり見応えがあると思います。
本作のコンセプトであるストーリーも、ある程度はご理解いただけるのではないでしょうか。

「The Hearts Filthy Lesson」のプロモ映像
「Strangers When We Meet」のプロモ映像

「Hallo Spaceboy」のプロモ映像(Pet Shop Boys Remix)

「Outside」のライヴ映像
「I Have Not Been To Oxford Town」のライヴ映像
「The Voyeur of Utter Destruction(As Beauty)」のライヴ映像
「We Prick You」のライヴ映像
映画『Lost Highway』のタイトル・ロール映像

ちなみに、3曲目「The Hearts Filthy Lesson」はブラッド・ピット主演の映画『セブン』のエンディング・テーマ、4曲目「A Small Plot of Land」のリミックス・バージョンが映画『バスキア』の挿入歌、16曲目「I'm Deranged」はデヴィッド・リンチ監督の映画『ロスト・ハイウェイ』のメイン・テーマに使われています。

また、「The Hearts Filthy Lesson」のシングルにはナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーによるリミックス・バージョンも収録され、「Hallo Spaceboy」は、後にペット・ショップ・ボーイズのリミックスでシングル・カットされています。


ところで、本作をボウイと一緒に作り上げたブライアン・イーノのインタビューで、面白いことを知りました。

参加したアーチストに、このアルバムのコンセプトであるストーリーとは別の、音楽家としての役柄を与えて制作されているんですよ。

「私がやりたいのは、ミュージシャンそのものが体験を造り出すことなんだ。ボウイのプロジェクトで、私はミュージシャンに役柄と台本を書いた。全員で6人だったので、各々が役割を演じるわけだ。面白いのは、自分以外の役割については全く知らされていないという点。ある人の台本には、” あなたはネオ・M・ベイスの即興演奏集団のプレイヤーだ ” と指定されている。時は1999年(制作時は1995年なので近未来という設定)の大晦日。世界中が息を止め、どの国も緊張している。あなたが演奏するのは、無調の、空中に透明にぶら下がる氷のように薄いサウンドで、音楽の向こうにある背景の色合いも変化させる。すると自分は音楽の地質学者の気分になってくる…。」

つまり、音に関しても役柄とシチュエーションを与え、本来の自分の演奏ではないプレイをさせたというわけです。なかなか面白い発想ですよね。

もし、私がイーノのインタビューにある役柄を与えられたとしたら、きっと、表情やコスチュームまで凝って、普段の自分の個性を殺したかなりアバンギャルドなプレイに走るというベタなプレイをしてしまったことでしょう(笑)。

言わば、本作では、音楽的な実験だけではなく、人格的な実験も行われていたわけです。

自らの音響処理を「トリートメント」と表現し「非音楽家」と名乗っているイーノらしい発想なのかも知れませんね。

そんな録音の手法が使われていたことを知ると、ますます本作『Outside』を興味深く聴くことができます。

アマゾンに入れば全曲試聴可能ですので、未聴の方はぜひ、この機会に聴いてみてください。

決して、メガ・ヒット級のコマーシャルな楽曲が収録されているわけではありませんが、当ブログを読んでくださっている方なら、きっと期待を裏切られることはないと思いますよ。
/BLマスター


追記:
本作発表の数年後、短編TVドラマ・シリーズ『ザ・ハンガー・プレミアム』(カトリーヌ・ドヌーヴとボウイが共演した映画『ザ・ハンガー』とは別物)で、デヴィッド・ボウイがストーリーテラー(ナビゲーター)を務めておりまして(「奇妙な出来事」のタモリのような感じ)、1話目では主演もしているのですが、このドラマ自体が本作『Outside』のコンセプトの延長のような気もしなくはありません。

なお、こちらはDVDも発売されていますので、興味を持たれた方はチェックしてみて下さい。→『ザ・ハンガー プレミアム』『ザ・ハンガー プレミアム II

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2007年06月11日

Tonight/David Bowie

Tonight/David Bowie

本作『Tonight』は、1984年に発表されたデヴィッド・ボウイ [ David Bowie ] の通算16枚目(ですよね?)のアルバムです。

世界的にバカ売れし、ボウイ・ファンの間で物議をかもし出したアルバム『Let's Dance』の次に発表された作品であるため、この頃には初期からのファンの方には酷評を受けることが多いのですが、ベルリン3部作以降のファンである私にとっては、決して出来の悪い作品ではありません。

一般的な視点でボウイ作品を見れば、『Scary Monsters』まではカルト・ヒーロー的な扱い、『Let's Dance』以降はロック・ヒーロー的な扱いとなっており、これ以降の作品が初期グラム時代のファンから総スカンを食らったのを理解できないこともありません。

高額な契約金で米EMIと契約したせいか、結果的に『Let's Dance』で、チャートを意識したポップ・ヒーローへとシフトする形になったものの、長い目で見ればグラム・ロック〜ソウル・ミュージック(ボウイなりの)〜アート・ロック〜ニュー・ウェーヴへと変化を遂げてきたのと同じこと。

それまでにも「Fame」や「Young American」で、アメリカのTV番組「ソウル・トレイン」に出演したりしたことがあるわけですから、ボウイのスタンスに大きな違いがあるわけではなく、(Changes=変化)をウリにしているボウイであることには変わりはなかったんですね。

Soul Train出演時の「Fame」の映像

つまり、米EMIの営業戦略(プロデュースも含めた)によって『Let's Dance』はたまたま大当たりしたものの、それまでの作品も充分に大当たりする可能性は秘めていたのではないか、と思うわけです。

私の個人的な趣味でいうところのボウイの最高傑作『Scary Monsters』では、随所にマニアックなアレンジを施しながらも、すでに「Fashion」のような、当時のディスコを意識したような楽曲を作っており、『Let's Dance』への布石を感じさせます。

恐らく、こういった楽曲もプロデュースやアレンジ、宣伝の仕方によっては充分に『Let's Dance』並みの大当たりになる可能性はあったように思うのです。

要は、『Let's Dance』で大きく変化を遂げたのは、米EMIによるボウイの売り方の方で、ボウイ自身はこれまで通り徐々に変化をつけていただけ。
以前からのファンは、世界的に大ヒットしてしまったがために、その売れ方の変化を受け入れられなかった・・・ということではないでしょうか。

そう言う私も、グラム時代をよく知りもしないくせに、周りのロック評論筋の友人たちに同調して、『Let's Dance』以降の作品をゴミ呼ばわりしたことがあります(笑)。
実は、「Cat People」や、本作に収録の「Loving The Alien」は大好きで、聴きまくっていたのですが、そうは言えない雰囲気があったのです。


前置きが長くなってしまいましたが、本作『Tonight』は、出音的には前作『Let's Dance』の延長線上にある作品で、ボウイ作品の中では比較的ポップな作品に位置づけられるでしょう。

プロデューサーは、前作のナイル・ロジャースに代わって、ポリスやフィル・コリンズ、ピーター・ガブリエルなどの作品でもおなじみのヒュー・パジャム [ Hugh Padgham ] と、本作ではベース、ギター、シンセサイザーのプレイヤーとしても活躍したデレク・ブランブル [ Derek Bramble ] 、そして、デヴィッド・ボウイ本人の3人で行われており、前作に続いて、ウェザー・リポートのドラマー、オマー・ハキム [ Omar Hakim ] 、ボウイの右腕ともいえるギタリスト、カルロス・アロマー [ Carlos Alomar ] なども、もちろん参加しています。

あと、前作の「China Girl」に続いて、全9曲中5曲が、ボウイの大親友(?)イギー・ポップ [ Iggy Pop ] との共作となっており、最後の「Dancing With The Big Boys」ではコーラスでも参加しているのですが、これは、ドラッグ中毒から立ち直ったイギーに印税が入るように差し向けているようにも感じます。

また、意外なところでは、セクシー・ダイナマイト(笑)の異名を持つティナ・ターナー [ Tina Turner ] とのデュエット曲「Tonight」や、ビーチ・ボーイズ [ The Beach Boys ] のカバー曲「God Only Knows(邦題:神のみぞ知る)」が収録されていたりして、ちょとどうよ・・・?、と思わせたりもするのですが、そこはボウイ様、アルバムの全体的な雰囲気を損ねることもなくうまくまとめています。

本作からシングル・カットされ大ヒットとなったのは「Blue Jean」(よく間違えられますが「ビリー・ジーン」ではなく「ブルー・ジーン」です。笑)が最も有名ですが、個人的にはニューウェーヴ指向の強い「Loving The Alien」が大好きで、特に、本作に収録されたフル・バージョン(シングル・バージョンはかなり短くなっています。)は鳥肌ものです。

内容的に、ある意味で宗教的な側面も持っているので、少々取っ付きにくい感はありますが、PVでは、どことなく「Ashes to Ashes」のビデオを思わせるダーク・ファンタジーっぽい演出が施されており、非常に印象に残る映像ですよ。(鼻血ブーもですが・・・。笑)

特に「『Let's Dance』でボウイは死んだ!」と言っておられる初期グラム時代からのファンの方には、「まあまあ、そう言わずに、聴くだけ聴いてみて下さい。」とお願いしたいくらいです。

「Blue Jean」のプロモ映像
「Blue Jean(Alternative MTV version)」のプロモ映像
「Loving the Alien」のプロモ映像

リアリティー・ツアー時の「Loving The Alien」のライヴ映像
ティナとのデュエット曲「Tonight」のライヴ映像

なお、最近は紙ジャケット使用のCDをお好みの方も多いようで、ボウイの旧作も一通り出揃ったようです。
合わせて紹介しておきますね。

本作の紙ジャケ盤はこちら→『トゥナイト(紙ジャケット仕様)

基本的に、内容に大差はありませんが、LPレコードのジャケットを忠実に再現しており、厚みが薄いので収納にも便利ですね。
/BLマスター

追記:
ボウイの映像をYouTubeで探していたら、グレゴリオ聖歌風のコーラスで「Heroes」をカバーしたものを発見しました。
この記事とは関係ありませんが、ちょっと面白かったのでついでに紹介させていただきます。

Gregorian「Heroes」のライヴ映像

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2007年01月08日

Best of Bowie/David Bowie

Best of Bowie

デヴィッド・ボウイ [ David Bowie ] は 1947年1月8日生まれ。
そうです、今日で60歳、還暦を迎えるんですよ。

そこで、今日はベスト盤の紹介ついでに、デヴィッド・ボウイの作品について書いてみたいと思います。

本作は一番新しいベスト盤で、以前紹介したDVD『Best of Bowie』と同時に発売された2枚組のもの。
内容的には各発売国によってまちまちなのですが、この英国盤が楽曲数も多く、彼の作品を発表順に収録しており、非常に分かりやすい構成となっていますので、これから聴こうという方にも、レコードは全て持っているという方にもお勧めできるお得なアルバムです。


デヴィッド・ボウイの本名はデヴィッド・ロバート・ジョーンズ [ David Robert Jones ] 、10代後半からキング・ビーズ [ The King Bees ] 、マニッシュ・ボーイズ [ The Mannish Boys ] 、ロワー・サード [ The Lower Third ] 等のバンドに在籍し、デヴィッド・ジョーンズとして活動するも、モンキーズのデヴィッド・ジョーンズと名前がカブることからデヴィッド・ボウイと改名したそうです。

バンドとしては一向にヒットに恵まれず、見切りをつけたボウイは67年6月に1stアルバム『David Bowie』でソロ・デビューを果すのですが、やはり殆ど反響はありませんでした。
この頃、舞踏家リンゼイ・ケンプに弟子入りし、パントマイムなど後のステージングの基礎を学んでいます。

しかし、69年7月に発表したシングル「Space Oddity」が、ちょうどアポロ11号の月面着陸で世界中が沸き返っていた影響で全英チャート6位となる大ヒット。
続いて発表されたアルバム『Space Oddity』もアルバムチャートで17位となり、ようやく日の目を見ることとなります。

「Space Oddity (original version)」のプロモ映像

その後『The Man Who Sold the World(邦題:世界を売った男)』(1971年)『Hunky Dory』(1971年)などの意欲作を発表し、その人気を保ちますが、彼をスーパースターにまで持ち上げたのは何と言っても 72年に発表した『Ziggy Stardust』でしょう。
今でもこの作品を最高傑作と支持するファンも多く、グラム系の派手な衣装やメイクと共に、そのコンセプチャルなアルバムは熱狂的に迎えられました。
この頃は、山本寛斎の衣装が多く使われているのが日本人としては誇らしいことです。

翌73年には『Aladdin Sane』『Pinups』などのジギー路線(グラム指向)の作品が続けざまに発表され、初の来日公演も行われています。
ちなみに、ボウイは極度の飛行機嫌いだったらしく、船で来日しシベリア鉄道で帰っているそうです。
しかし、自らが作り上げ一人歩きしだした『ジギー』の呪縛から逃れることができずに、ツアー最終日には一度ライブ活動からの引退を宣言しています。(すぐにまたやりましたけど・・・)

当時の「Ziggy Stardust」のライヴ映像

さらに翌74年には『Diamond Dogs』を発表、以降はアメリカのソウル・ミュージックに傾倒するようになり、『Young Americans 』(1975年)『Station to Station』(1976年)
そして、ジョン・レノンとの共作シングル「Fame」で初の全米チャート1位を獲得します。

78年の東京での「Fame」のライヴ映像

この頃はボウイの薬物依存が深刻になり、リハビリの意味と新たな音楽制作のためにドイツのベルリンで隠居生活(?)を始めるようになります。

そこで制作されたのが、ブライアン・イーノが制作に加わった、いわゆるベルリン3部作の『Low』(1977年)『Heroes』(1977年)『Lodger』(1979年)で、シンセサイザーなどの電子楽器がふんだんに使われた非常にアート志向の強い作品です。
この3部作はこれ以降の80年代ニューウェーヴと呼ばれるアーチストに多大な影響を与えており、個人的な感覚としてはこのブログの主旨である80's UK New Waveにとって非常に重要度の高い作品であると感じています。

78年の「Heroes」のライヴ映像

80年代に入り、キング・クリムゾンのロバート・フリップも参加した、私にとっての最高傑作『Scary Monsters』を発表、これに収録された過去の楽曲をいきなり根本から覆す内容(宇宙へ行ったトム少佐は実はジャンキーの妄想だったという内容)のシングル「Ashes to Ashes」は英国のみならず、ヨーロッパ各地で1位となる快挙を成し遂げました。

「Ashes to ashes」のプロモ映像

83年には長年所属したRCAと別れを告げ、高額な契約金で新たにEMIと契約し、ボウイのキャリアで最高のヒットとなった『Let's Dance』を発表、同年にはグラム時代を知らないファン層までも取り込んだ大規模なワールド・ツアー「シリアス・ムーンライト・ツアー」も行われました。
しかし、いきなりの商業的ポップ路線の作品であったために初期のファン層からは評判が悪く、以降の80年代の作品『Tonight』(1984年)『Never Let Me Down』(1987年)では徐々に人気が下降、同時にボウイの音楽制作にかける意欲も薄くなっているような気がします。
また、80年代は音楽よりも、俳優活動の方に重きを置いたのか、オフ・ブロードウェイの舞台「エレファント・マン」や、映画「クリスチーネ F 」「ハンガー」「戦場のメリークリスマス」「眠れぬ夜のために」「ビギナーズ」「ラビリンス/魔王の迷宮」「最後の誘惑」など多数の作品に出演しています。

89年になって、リハビリの意味か、シンセサイザー・サウンドから離れ、ストレートなロック指向のティン・マシーン [ Tin Machine ] というバンドを結成し、『Tin Machine』(1989年)『Tin Machine II』(1991年)を発表しますが定着することなく解散。

Tin Machine「Goodbye Mr Ed」のライヴ映像

その後、過去の曲の総決算的なツアー「サウンド&ヴィジョン・ツアー」が行われ、過去の曲を封印すると宣言。(今でもやってますけど・・・)

以降は、ナイル・ロジャースを迎えてのファンク要素を盛り込んだ『Black Tie White Noise』(1993年)、BBCのドラマのサントラとなった『The Buddha of Suburbia』(1993年)、イーノと再びタッグを組み、架空の映画のサントラというテーマのもとに制作されたコンセプチャル・アルバム『Outside』(1995年)、ドラムン・ベースの要素を取り込み新しい音楽に果敢に挑んだ『Earthling』(1997年)、自分自身を見つめ直し新たに生まれ変わった『Hours』(1999年)、再びトニー・ヴィスコンティーとタッグを組んだ『Heathen』(2002年)、同じくヴィスコンティープロデュースの元制作された『Reality』(2003年)を発表し、現在に至ります。

過去の作品をモチーフにしたCM映像
Reality Tourのライヴ映像


還暦を迎え、サラリーマンなら定年退職となるところですが、ボウイ様はこれからも第一線で活躍されることと思います。

まだまだ、彼から学ぶことは多そうですね。

ひとまずはお誕生日、そして還暦おめでとうございます。
これからもかっこいいオヤジぶりを発揮し、後に続く我々の良いお手本となっていただくことを心よりお願いします。
/BLマスター

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2006年11月30日

Club Bowie:Rare & Unreleased 12" Mixes/David Bowie

CLUB BOWIE

今日紹介するのは、2003年に発売された、デヴィッド・ボウイの12inch Mixのレア音源と未発表音源を集めた『Club Bowie』というアルバムで、オマケとしてPCで再生可能な映像も1曲収録されています。

なかなか面白いミックスが収録されているので、80's系のDJをやっておられる方や、80年〜90年代のボウイが好きな方にオススメしたいと思います。


早速ですが、収録曲の紹介をしますと、
1.「Loving The Alien」/The Scumfrog VS David Bowie
 『Tonight』に収録されていた「Loving The Alien」のミックスです。
昔の12inchのB面に収録していそうなバージョンですが、それでも単なるロングバージョンではなく、ちゃんと原曲のドラマティックさが出ていて、ダンスものとしても、楽曲としても楽しめることでしょう。

2.「Let's Dance(Trafictor VS Deeper Substance Remix)」/David Bowie
 当時の12inchもののパターンであった、パーカッションが少々クドめのリズムに延々とディレイのかかったシンセが乗っかり、一番のボーカルフレーズが繰り返されます。
歌に関しては、サビまで収録されていればホームリスニングでももう少し聴いていられるものになったのかも知れません。
まあ、クラブ・ユースのミックスなんでしょう。

3.「Just Foe One Day(Heroes)(Extended Version)」/David Guetta VS Bowie
 『Heroes』のタイトル曲のミックスですが、これは家で長く聴くのは辛いミックスかも知れません。
全体にワウのかかった原曲のイントロ部分が繰り返されるところは軽いトランス系で、お酒を飲んで聴くと悪酔いしそうです。
その後は原曲の一部分が延々としつこいくらいに繰り返されるので、クラブで爆音で聴くとトリップしてしまいそうですね。
自宅では聴きたくありませんが、アクセント的に使えるミックスだと思います。

4.「This is not America」/The Scumfrog VS David Bowie
 このアレンジは楽曲としては比較的聴きやすい部類に入ると思います。
しかし、ボウイの歌声は「This is not」しか使われておらず、やはりワンフレーズがクドいほど繰り返されますので、こちらもクラブ・ユースのミックスといったところでしょうか。
単調ではありますが、使い方によってはトリッキーなDJプレイも可能だと思います。

5.「Shout(Original Mix)」/Solaris VS David Bowie
 これは『Scary Monsters』に収録の「Fashion」のミックスで、ダンスものとしてはなかなかイカしたアレンジです。
メリハリもありますし、展開もちゃんとありますので自宅でも聴きやすいと思います。

6.「China Girl(Riff & Vox Club Mix)」/David Bowie
 この曲は、このアルバムの中で2番目にオススメの曲です。
例えて言うなら、あの「China Girl」を、ディープ・フォレスト [ Deep Forest ] が女子十二楽坊を招いてアレンジしたようなバージョンで、単純に気持ちが良く、自宅で聴く楽曲としても充分楽しめ、ダンスものとしても聴くことができます。
胡弓なのでしょうか、非常に優雅なソロパートもあって、ひょっとすると原曲よりチャイナガールという雰囲気が出ているかも知れません。

「China Girl(Riff & Vox Club Mix)」の映像(静止画像)

7.「Magic Dance(Danny S Magic Party Remix)」/David Bowie
 ボウイ自ら魔王ジャレスとして出演した、映画『Labyrinth(邦題:ラビリンス・魔王の迷宮)』のサウンドトラックに収録された「Magic Dance」のリミックスです。
これは楽しい感じが表現できていて、まさしくパーティー・ミックスと言った感じです。
途中で音が途切れるようなアレンジになっていますが、そのおかげでメリハリが利いているのではないでしょうか。
欲を言えば、ボウイ自らが出していた赤ちゃんの声もどこかに入れて欲しかったところです(笑)。

8.「Let's Dance (Club Bolly Extended Mix)」/David Bowie
 本作で一番のオススメ曲です。
このミックスをわかりやすく説明するなら、あの「Let's Dance」をディープ・フォレストがインドの歌姫ナジマをゲストに招いてインドのクラブ系ワールド・ミュージックに仕立てたという感じです。
この曲は本作の中でも抜群のクオリティーで、通常の「Let's Dance」がお嫌いな方でもまったく別の楽曲として楽しむことができると思います。
ドラマチックな展開もあるので何度聴いても飽きませんよ。
80’s系DJさんのマスト・アイテム(笑)ですね。

9.「Let's Dance (Club Bolly mix) (Video)」
 PCで再生できる、8曲目のショート・バージョンの映像です。
8曲目は8分ほどあるのですが、この映像は4分弱と短くなっています。

「Let's Dance (Club Bolly Remix)」の映像


本作は、よくある12inch MixをまとめたコレクターズCDとは少々趣の違うアルバムですが、正直言って、6.「China Girl(Riff & Vox Club Mix)」と、8.「Let's Dance (Club Bolly Extended Mix)」と、ボーナス映像だけでも充分に値打ちがあると思います。

恐らく、初期のボウイのファンの方にはウケが悪いでしょうが、中期以降のボウイの熱狂的なファンの方や、80's系のDJをされている方、80年代の12インチ・シングルのコレクターの方などにはオススメしたい、ボウイのアルバムとしてはかなり異端なアルバムです。

興味を持たれた方は、とりあえず上で紹介したYouTube映像をご覧になってみて下さい。
好き嫌いはハッキリ分かれると思いますが、好きな方にはたまらない魅力のアルバムですよ。
/BLマスター

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2006年10月23日

Labyrinth: From The Original Soundtrack/David Bowie,Trevor Jones

Labyrinth Soundtrack

1986年に公開された、セサミ・ストリートのパペット製作で有名なジム・ヘンソン監督のファンタジー映画『Labyrinth(邦題:ラビリンス・魔王の迷宮)』のサウンドトラック盤。

映画としては賛否両論で、「子供向け映画」「セサミストリートみたいな映画」などの否定意見に対し、「夢のある最高のファンタジー映画」「ダーク・クリスタルに継ぐジム・ヘンソンの傑作映画」などの意見も聞かれます。

個人的には『ダーク・クリスタル』や『ストーリー・テラー』シリーズなどの頃からジム・ヘンソンが大好きだったので、もちろんこの映画に関しても嫌いになりようがなく、映画館でもしっかり見たというのに、先日やっと発売になったDVD『ラビリンス 魔王の迷宮 コレクターズ・エディション』まで買ってしまったほどです。

当時は、この映画に魔王ジャレスとしても出演しているボウイのタイツ姿の”モッコリ”が噂となり、何かを詰めているのではないかという話まで出たほどですが、よく見れば、映画自体のエッシャーのだまし絵的なアートワークのすばらしさもわかってもらえるのではないかと思います。

また、このサントラには、ボウイがこの映画のために書き下ろした楽曲が5曲も収録されており、約半数の曲でボウイ節を聴くことが出来るという隠れた秀作です。
プロデュースに関してもトレバー・ジョーンズ、アルフ・マーディンと共にボウイ自身も参加しており、そういう意味ではボウイのアルバムといってもおかしくはない作品です。

サウンド的には『ノッティングヒルの恋人』『ラスト・オブ・モヒカン』などのサントラで知られるトレヴァー・ジョーンズによる打ち込み系の楽曲なので、グラム時代からのボウイ・ファンにはあまり人気がないようです。

しかし、ファンにとってはあの気持ちのよいボウイ節が聴くことが出来るまぎれもないボウイの曲が収録されており、未聴の方にはぜひとも聴いていただきたいアルバムです。

映画をご覧になった方はご存知かと思いますが、映画のオープニングシーンで使われたバージョンの「Underground」(ボウイの歌も入っています)を1曲目に収録、3曲目には魔王ジャレス(ボウイ)とゴブリン、それに赤ちゃん(実はボウイが赤ちゃんの声まで出しており、そう考えると笑えちゃったりします)の掛け合いによって楽しく歌われる「Magic Dance」が収録されており、12inchシングルも発表されました。
ボウイの意外な一面を垣間みることが出来る名曲です。

映画中の「Magic Dance」の映像

そして5曲目の「Chilly Down」はボウイの作曲によるものではありますが、森で出会うセサミストリート系のクリーチャーが歌っている設定となっており、ボウイ自身は歌っておりません。

続いてレコードではB面1曲目、CDでは7曲目に収録された「As The World Falls Down(邦題:世界が崩れる時)」。
映画では仮面舞踏会のシーンでムーディーに流れたバラード曲で、ボウイの声域に良く合っており、非常に幻想的で個人的にはかなりのお気に入りです。

「As The World Falls Down」のプロモ映像

9曲目の「Within You」は映画のクライマックス・シーンで使われたドラマチックかつ、重たい楽曲で、ボウイの低いトーンでの持ち味が特に活かされた、この映画ならではの名曲です。
この作品の中ではボウイ自身が一番気に入っている曲だそうで、曲中での歌い方のバリエーションの多さと表現力の広さに驚かされてしまいます。

映画中の「Within You」の映像

12曲目はシングルでも大ヒットとなり、ベスト盤にも収録された「Underground」。
打ち込みがメインとはいえ、バックコーラスにチャカ・カーン、シシー・ヒューストン、ルーサー・ヴァンドロスなど、総勢14名のR&Bシンガーを迎えての賑やかなゴスペル調の曲に仕上げられており、この映画のテーマ曲にもなっています。

「Underground」のプロモ映像

以上のように、ボウイの歌を中心に考えれば、ボウイ自身のオリジナルアルバムにも負けない傑作ぞろいの作品、バックのサウンドを中心に考えれば、80年代を象徴するような打ち込み系のニューウェーヴ作品と言うことができ、同じ頃のボウイのオリジナルアルバムや、同じく映画のサントラ『Absolute Beginners』などがお好きな方には特におすすめできるアルバムです。

未聴の方はぜひ一度、試聴だけでもしてみて下さい。
ギターがメインの楽曲ではありませんが、間違いなくボウイのおいしい声を堪能できるはずです。
/BLマスター

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2006年09月28日

Let's Dance/David Bowie

BOWIE Let's Dance

デヴィッド・ボウイの83年発表のアルバム「Let's Dance」。
この作品は、それまでのアルバムに比べ、かなりポップで、アメリカっぽくなっており、以前からのボウイ・ファンや評論家筋からは最も駄作と評され、その一方で、新しいファンを取り込み、全米全英共に1位という最高の売り上げを記録した、まさに賛否両論のアルバムです。
私にとっても、前作が大好きだっただけに、発表当時は期待はずれであまり聴いていませんでした。

ボウイはそれまでほぼ1年おきに新作を発表していたというのに、前作「Scary Monsters」から約3年、ベスト盤やライヴ盤の発表はあったものの、オリジナル・アルバムの発表はありませんでした。

この3年の間、ボウイはブロードウェイに乗り込み「エレファントマン」の舞台で主役を務め、ロンドンではBBCのTVドラマでベルトルト・ブレヒトの処女戯曲「バール」の主人公を演じ、映画「ハンガー」で主演のカトリーヌ・ドヌーヴの相手役として特殊メイクで老人にまでなり、大島渚監督の映画「戦場のメリークリスマス」では準主役として土に埋められました。

それまでにも、ミュージシャンとしての活動を中心に置きつつも「地球に落ちて来た男」や「ジャスト・ア・ジゴロ」などの映画で俳優としても活躍し、リンゼイ・ケンプの元で学んだパフォーマーとしての才能も発揮してきたわけですが、この3年間はそれまでと違い、俳優活動に重きを置いています。

大島渚監督から「戦場のメリークリスマス」のための楽曲を依頼された時も、俳優に徹したいという理由で断っており、代わって坂本龍一が担当、テーマソングとしてデヴィッド・シルヴィアンの歌うボーカル入りの「Forbidden Colours」が製作されましたが、結局映画本編では使われませんでした。
もしボウイが担当していたらどんな曲になったのでしょう?
ひょっとすると、坂本龍一とのコラボもあり得たのかも知れませんね。

しかし、完全に俳優活動に徹していたわけではなく、先述のTVドラマ「バール」のサントラや、ナスターシャ・キンスキー主演の映画「キャット・ピープル」のサントラに楽曲提供もしており、この「Let's Dance」には別のバージョンで「Cat People(Putting Out Fire)」が収録されました。
ちなみに、個人的にはこの映画自体が大好きなせいか、サントラ盤収録の「Cat People」がかなりのお気に入りです。

「Cat People(Putting Out Fire)」のライヴ映像
映画のサントラバージョンの「Cat People (Putting Out Fire)」を使ったショーの映像

今作より、長年在籍した(約10年間)RCAを離れ、米国EMIに移籍しており、前作まで名コンビと言われたトニー・ヴィスコンティーに代わって、シックのナイル・ロジャースが担当、今回、タイトルからして要となっているドラムには同じくシックのトニー・トンプソンとウェザー・リポートのオマー・ハキムを起用することで、よりタイトでファンキーなリズムを演出、そこへ、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのブルージーでアメリカ寄りなギターと、ナイル・ロジャースのファンキーなギターを導入することで、アメリカ受けするサウンドを意識しているように感じます。

それでも、エンジニアにロキシー・ミュージックなどでも活躍したボブ・クリアマウンテンを起用することで、英国臭さもどこかに残しているのはさすがです。

また、前作までには殆ど使われることのなかったブラスセクションをフューチャーし、あえてこの時代の花形であるシンセサイザーなどの電子楽器の使用度を大幅に減らしているのは、ボウイなりのエレクロ・ポップへの解答だったのではないでしょうか。

今になってよく聴いてみれば、確かにアメリカナイズされた作品ではあるものの、ボウイの計算ずくのアイデアが盛り込まれ、立派にボウイ作品としての風格を感じることができます。

なお、この「Let's Dance」からは、映画「戦場のメリークリスマス」のロケ地で撮影されたPVのタイトル曲「Let's Dance」の他、ボウイの大親友(?)イギー・ポップの「イディオット」に収録されていた二人の共作を再演した曲「China Girl」や、この後のライヴの模様を使ったPVで有名な「Modern Love」がシングルカットされ、いずれも英、米ともにヒットチャートを賑わしました。

「Let's Dance」のプロモ映像
「China Girl」のプロモ映像
「Modern Love」のプロモ映像
落ち着いたイントロアレンジの「China Girl」のライヴ映像(フューチャリング:マイク・ガーソン)

今更ながら、この大ヒットアルバムを聴くと、当時はわからなかったいろんなものが見えてくるものですね。

今作をお持ちの方は、久々に聴いてみられてはいかがですか。
/BLマスター


追記:どこの国にもモノマネタレントがいらっしゃるようで、ボウイのモノマネタレント(?)の映像を発見しました。
似ているかどうかはご判断に任せるとして、なかなか面白いのでオマケで紹介します。
「Fame」のモノマネ映像
「Modern Love」のモノマネ映像
「Space Oddity」のモノマネ映像
「China Girl」のモノマネ映像

uknw80 at 14:52|PermalinkComments(8)TrackBack(1)

2006年08月09日

Scary Monsters/DAVID BOWIE

スケアリーモンスターズ

もし、デヴィッド・ボウイの最高傑作を挙げろと言われれば、私的にはこの「スケアリー・モンスターズ」を選びます。

80's New Wave好きな私からすれば、このアルバムが最もニューウェーヴなアルバムと感じておりまして、シンセサイザーの使い方や、音の処理の仕方、ギターの音色、そしてもちろんボウイの歌い方、そのどれをとっても文句なくカッコいいと断言します。

デヴィッド・ボウイは、この後に発売されたベスト盤のタイトル「Chenges」が物語っているように、このアルバムくらいまでは時代に合わせて(時代を先取って)常に音楽スタイルやルックスを変化させて来ました。

1980年に発表された今作は、まさに何でもありな曲作りで、ニューウェーヴ時代の幕開けを感じさせてくれる傑作中の傑作です。

まずは1曲目の「It's No Game, Pt. 1」で我々日本人の耳に飛び込んでくるのは、日本語のナレーションです。
恐らく、日本語に馴染みのない外国人からすれば、Deep Forestの曲などに収録された原住民の言葉のように意味がなくオリエンタルな雰囲気をかもし出すための効果音的なものでしかないのかも知れませんが、日本人にとっては少々気恥ずかしいものです。
この日本語のナレーションを収録することになったのは、京都のボウイの馴染みの料亭でのことらしく、この歌詞を日本語にするとどうなるのかというボウイの素朴な疑問に、その場にいた三浦久氏が答えたところ、それを聞いて気に入ったボウイが遊び心で盛り込んだそうです。
しかし、バックのサウンドやボウイの歌唱法は、最近のボウイにはなかなかみられない極めてパワフルなもの。

2曲目「Up the Hill Backwards」ではイギー・ポップの「ソルジャー」を思わせるぶっきらぼうなユニゾンのコーラスと、7/8拍子に4/4拍子のドラムがからむというちょっと変わり種の曲。

アルバムタイトルにもなっている3曲目「Scary Monsters (And Super Creeps)」はフィリップのギターとアクセントの効いた電気的なパーカッション、それに低めの悪魔チックな歌唱法のボウイの声がすばらしい、いかにもニューウェーヴな曲。

そして4曲目は、デヴィッド・ボウイ・ファンの間でもかなり評価の高い「Ashes to Ashes」。
私にとってもボウイの最高傑作となっている曲です。
チョッパー・ベースとフランジングの効いたキーボード、不安定で線の細い部分と伸びやかな部分を対比させるようなボーカルが、ボウイの2nd「Space Oddity」で宇宙に行ったトム少佐が実はジャンキーだったことを物語っています。
また、プロモーションビデオも幻想的でしかも退廃的なイメージのする名作で、Visageの紹介でもふれた、スティーヴ・ストレンジの出演も印象深くめに焼き付きます。

「Ashes to Ashes」のプロモ映像
最近の「Ashes to Ashes」のライヴ映像
「Ashes to Ashes」のピエロのふん装も見ることができるVittelのTVCM

他にも、このアルバムの中では最もコマーシャルな曲でシングルカットもされたニューウェーヴな意味でのディスコティックな佳曲「Fashion」や、どこか「Heroes」を思い出させる本来のボウイらしい歌唱力を堪能出来る「Teenage Wildlife」、力強いワンパターンなバッキングとハーモナイザーを使用した変則的なボーカルパートが印象的なパワフルな「Scream Like a Baby」など、ある意味で戦闘的なとんがったボウイを満喫できるアルバムです。

2002年のTV番組での「Fashion」のライヴ映像

また、ほぼレギュラー参加のカルロス・アロマーの他、プロデュースもしているトニー・ヴィスコンティー自ら2曲ギターを弾いていたり、キング・クリムゾンのロバート・フィリップがほとんどの曲でフィリッパートニクス演奏していたり、ザ・フーのピート・タウンゼントも「Ashes to Ashes」でギターを弾いていたりするので、そのあたりも聴き逃せないところです。

まさにロック史に残る名盤と言っても過言ではない名作ですので、未聴の方はぜひ一度は聴いてみて下さい。

うっ、そういえば来年はボウイ、還暦なのでは?
/BLマスター

uknw80 at 16:45|PermalinkComments(8)TrackBack(1)

2006年06月26日

Best of Bowie (2DVD)

Bowie DVD
70年代から現在に至るまで常に第一線で活躍してきたデヴィド・ボウイ。
MTVの放送開始以前からビジュアルにこだわり、プロモーションビデオの制作に力を入れていたことを考えると、CDのベスト盤だけでは彼を語ることはできません。
あらためてその軌跡をプロモーションビデオで見ると、その時代に合わせた(時代の方が彼に合わせたのかも?)彼の変貌ぶりに驚かされます。

彼の作品には「Ziggy Stardust」や「Cat People」「Absolute Biginners」「Underground」「As the world falls down」「Buddha of Suburbia」など、映画に関与した作品が多く、ヴィデオの中でも映画のワンシーンを挿入する手法がとられていることがあり、その時代を感じさせてくれます。

また、TVショーのゲストとして奇妙なダンスをみせるクラウス・ノミや、「Ashes to Ashes」の小脇に顔を出すデビュー前のVISAGEのスティーヴ・ストレンジ、BAND AIDの企画もの「Dancing in the Street」でのデュエットで楽しそうに踊るミック・ジャガー、「Absolute Biginners」の映画の中に登場するエイス・ワンダーのパッツィー・ケンジットとクラブのようなところで歌手として登場するSADEなど、よくみればゲスト陣も豪華な顔ぶれで興味をそそります。
他にも、有名人が登場しているかも知れませんから探してみるのもおもしろいのでは・・・?

昔、ブートヴィデオの裏ビデオのような荒い画質で必死に観ていた映像が、この価格できれいな映像で観ることができるのですから初期のファンの方にも超おすすめのDVDですね。
1972年から1999年の作品まで年代順に2枚のDVDにまとめられ、47曲もの作品を収録してCD2枚分くらいの価格に抑えられているのはまさに驚きです。

ただし、DVDの場合はCDと違ってリージョンコードというのがあり、日本製のDVDプレーヤーは「リージョン2」に設定されていることが多く、輸入もののDVDが観れないことがありますのでご注意ください。
ちなみに、紹介しているDVDはリージョン2の国内仕様の商品です。
/BLマスター

uknw80 at 12:46|PermalinkComments(12)TrackBack(0)
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