マークホリス

2007年08月01日

Introducing…/Talk Talk

Introducing…/Talk Talk

本作『Introducing…』は、2003年に発表されたトーク・トーク [ Talk Talk ] のEMI独自編集もののアルバムです。

アマゾンではベスト盤的な扱いになっていますが、シングル・カットされた曲をまとめたベストヒット的ものではなく、恐らくは、選曲者の何らかの意図により選ばれた、ちょっと面白い選曲のアルバムです。

私の聴いた感じでは、全体を通して、ピアノやストリングスがフィーチャーされた叙情的な曲を中心に選んであるように感じるのですが、ポスト・デュラン・デュランという位置づけでニュー・ロマンティックの一派としてしてデビューした初期から、ジャジーでアコースティック感あふれる後期の曲まで収録されているにもかかわらず、1枚の作品としてまとまりを感じさせてくれるなかなかの秀作です。

本作を聴けば、彼らがニューロマの一派やポスト・デュラン・デュランなどではなく、ヒットチャートとは無縁のアーティスティックな個性を持ったバンドであったことがおわかりいただけるのではないでしょうか。

さすがに、初期の楽曲に使われているシモンズとおぼしきドラム音やアナログ・シンセの音は時代性を感じてしまいますが、シングル・カットされたメジャー指向なものばかりではないだけに、1枚を通して違和感なく聴くことができるのでしょう。

もし、ここに、彼らのデビュー・シングルである「Today」などが収録されていたなら、本作の持つ落ち着いたイメージはなかったはずですからね。

また、発表年順に並べてあったり、全曲デジタル・リマスタリングが施されているせいもあるとは思うのですが、それぞれの時代のミキシングの手法や音色もうまくバランスをとってまとめています。

この選曲をした方もすばらしいですが、デビュー当時からこのような売れ筋ではないアーティスティックな楽曲を制作してきたトーク・トークというグループの大人びた音楽センスにも驚かされてしまいます。

ちなみに、1,2曲目が1stアルバム『The Party's Over』(1982年)、3,4が2ndアルバム『It's My Life』(1984年)、5,6,9,11が解散後に発表されたリミックス&B面曲集『Asides Besides』(1998年)、 7,8が個人的に最高傑作と感じている3rdアルバム『The Colour of Spring』(1986年)、10,12が4thアルバム『Spirit of Eden』(1988年)からそれぞれセレクトされているのですが、オリジナル・アルバムとしては最後の1枚になってしまった『Laughing Stock』(1991年)からの楽曲だけは、英ポリドール傘下のジャズの名門レーベルVerveから発表されているため、本作には含まれていません。

メジャーな楽曲ばかりを集めたトーク・トークのベスト盤を求めておられる方には、以前紹介した『Natural History』をオススメしますし、トーク・トークが大好きでほとんどのアルバムを持っているという方には、シングルの12inchバージョンとそのB面曲まで収録した2枚組のベスト盤『Asides Besides』を手に入れられることをオススメします。

しかし、本作のように独自の編集をすることで、トーク・トークの本来持っていた個性を浮き彫りにしたアルバムは、他には存在しませんので貴重です。

フリージャズや、アンビエント系のニューウェーヴ、プログレ、アートロックなどがお好きな方に、トーク・トークのアルバムを1枚オススメするとすれば間違いなく本作ですね。

また、ソロになってからのデヴィッド・シルヴィアン [ David Sylvian ] がお好きな方にもぜひ聴いていただきたいと思います。

わかる人にはわかる、聴けば聴くほど好きになる、そんな1枚です。
/BLマスター

uknw80 at 18:41|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2006年11月14日

Laughing Stock/Talk Talk

Laughing Stock/Talk Talk

今作『Laughing Stock』は、1991年に発表したトーク・トークのオリジナル・アルバムとしては最後の作品で、前作『Spirit of Eden』まで長年にわたって在籍したEMIを離れ、英ポリドールに移籍、傘下のジャズの名門レーベルVerveの元でリリースされました。

この作品は、90年代に制作されたというのに、ほとんど電子楽器が使われておらず、通常であればサンプリングマシンで代用されることが多いストリングス・パートは15人編成の生オーケストラを迎えて録音されています。

これは、ポスト・デュラン・デュランとしてデビューした彼らの経歴を考えると不思議に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、1stアルバムから順に聴いていただければ、徐々にアコースティック寄りな音作りに変化を遂げる様を感じ取ることが出来るでしょう。
同時に、アルバム一枚ごとに、よりアート指向でマイナーなサウンドへと変化し、ヒットチャートとは無縁の世界へどっぷりとハマっていきます(それでも英チャートで最高26位まで上がりました)。

5thアルバムである今作は、かなりジャズ寄りなアプローチで、違うベクトルから見れば、かつてのプログレッシヴ・ロック、もしくはアコースティックなアンビエントものと取ることもできるでしょう。
言わば、非常に精神性の高い高度なアートロックなんです。

メンバーは前作までいたベーシストのポール・ウェブ が抜け、マーク・ホリス [ Mark Hollis ] (V,G,Piano,Organ)、リー・ハリス [ Lee Harris ] (D) に加え、前作同様、プロデューサーでもう1人のメンバーとも言えるティム・フリーズ・グリーン [ Tim Friese-Greene ] (Piano,Organ)、それにハーモニカ奏者とパーカッション、アコースティック・ベース、ストリングス・パートを迎え、非常に繊細なアコースティック・サウンドを構築しています。

ゆっくりとしたギター・ストロークから始まる1曲目「Myrrhman」は、ある意味で、デヴィッド・シルヴィアンの『Blemish』でのデレク・ベイリーとシルヴィアンの絡みを思わせるところもあり、ストリングスの持続音が流れる静寂の中、ほどよい緊張感を感じさせてくれます。

2曲目「Acension Day(邦題:昇天祭)」では多分にジャズ的なアプローチが行われ、静寂と激しい音の洪水が交互に姿を見せる中、良い意味で乾いたマークのボーカルが楽曲のバランスを取っています。
オルガンとハーモニカのフレーズに、かつての『The Colour Of Spring』的な臭いを感じ取ることも出来るでしょう。
最後に、このテの楽曲では珍しいカットアウトで終わり、音の洪水の緊張感がプツッと着れる感覚は非常に気持ちがよいものです。

3曲目「After The Flood(邦題:大洪水のあとで)」は、前作『Spirit of Eden』の流れを汲む、マークらしい歌声が堪能できる私の大好きな曲です。
一曲を通してフューチャーされるオルガンと、間奏で聴かれるギターと思われるノイジーなソロパートが印象的で、このアルバムからの1stシングルにもなりました。

4曲目「Taphead」は再び静寂の中、ギターとマークの囁くような掛け合いから始まり、フリューゲル・ホーンが入るあたりからある意味で宗教的な側面が顔を出し、どっぷりとトーク・トークの精神世界の沼にハマって行きます。

5曲目「New Grass 」は、このアルバム唯一のおだやかでやさしい楽曲。
どこかブルージーなところもあり、明るい光が差し込んだ春の草原といった雰囲気で、それまでの緊張感から解放してくれることでしょう。

そして、トーク・トーク最後の楽曲となる6曲目「Runeii」。
ドアーズの「The End」を思わせるギターとマークの囁くようなボーカルが宗教的な精神世界を表現しているようで、短い楽曲ながら「永遠」を感じさせてくれます。
非常に繊細で、トーク・トークというバンドの終息を予言しているような意味、もしくはこれから始まる新しいスタートという意味も取ることが出来るのではないでしょうか。

この後、マーク・ホリスのソロ『Mark Hollis』ではこの流れを引き継ぎ、非常に精神性の高い作品を発表しています。

こういったスピリチュアルな作品は、デヴィッド・シルヴィアンの最近の作品にも通じるところがあり、『Blemish』などがお好きな方にはぜひ聴いて頂きたいすばらしいアルバムです。

アマゾンで全曲試聴可能ですので、未聴の方はぜひ聴き込んで頂きたく思います。
/BLマスター

uknw80 at 14:31|PermalinkComments(0)TrackBack(1)

2006年06月17日

Natural History: The Very Best of Talk Talk

TalkTalkBEST

このトークトークというバンドは、本国イギリスではそれなりに知名度があるんですが、ルックスがいまいち良くなかったせいか、日本ではあまり売れませんでした。
しかし、ボーカルのマーク・ホリスのソングライティングの技術はかなりの腕で、特に3枚目の「Colour of Spring」においてはオーガニックな匂いのするニューウェーヴとして芸術的なまでに成長しました。

ちなみに、マーク・ホリスの声をわかりやすく説明すると、加藤和彦がブライアン・フェリーのモノマネをしているところを想像していただくといいかと思います。(中期が特にそんな感じです。)

このベスト盤は1990年に発表したもので、アルバム4枚目までのシングルカット曲を中心に発売順で構成した、非常にわかりやすく聴きやすい内容となっています。

1枚目は当時流行のシモンズなどを使ったエレクトリック・ポップといったイメージなのですが、2枚目、3枚目と、なぜかアルバムを出すごとにアコースティック感が強くなり、曲のテンポがゆっくりになり、収録曲数も減るという特徴を持っています。

最近になって、豪華2枚組のベスト盤?もリリースされましたが、リミックスものとアルバム未収録曲だけで構成されているので、まずは今回紹介したベスト盤を聴かれることをおすすめします。
アマゾンの商品ページに入ると全曲試聴できますので、ぜひご一聴下さい。
/BLマスター

uknw80 at 12:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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