ロキシーミュージック

2008年02月04日

The Thrill Of It All(DVD)/Roxy Music

The Thrill Of It All/Roxy Music

今年に入って、ロキシー・ミュージック [ Roxy Music ] のデビューから解散までの軌跡をたっぷりと収録した2枚組DVD『The Thrill Of It All(邦題:ヴィジュアル・ヒストリー 1972 - 1982)』が発売されました(輸入盤『Thrill of It All: A Visual History 1972-1982 [リージョン1仕様] は昨年末に発売されました)。

プロモーション・ビデオはもちろんのこと、これまで海賊版のビデオやYouTubeでしか見ることの出来なかったTV番組出演時の映像や、当時のライヴ映像など、貴重な映像をほぼ年代順に合計38曲(日本盤)も収録しており、この2枚のDVDでロキシー・ミュージックの軌跡を追うことができます。

このような企画の映像作品としては、1989年に発表された『Total Recall : A History 1972 - 1982』というビデオ(後にDVDでも発売されています)があったのですが、こちらは41曲も収録しているという体裁はとっていたものの、収録時間は約90分。
当然、全ての曲をフルに収録することはできず、短くカットされた映像を継ぎはぎしたダイジェスト的な作品となっていたのですが、それでも貴重な映像をきれいな画質で見ることができる唯一のオフィシャル作品であったため、ファンの間では必須アイテムとなっていました。

しかし、本作『Thrill Of It All』では、わずかに曲数は減っているものの、全曲フルバージョンで収録されているので『Total Recall』のような歯痒さはなく、しっかりと1曲1曲を堪能することができます。

ま、なにぶん、30年以上前の映像も含まれますので、最近のPVのようなきれいな画質は望めませんが、昔の裏ビデオのような画質の海賊版ビデオ(笑)に比べればかなりの高画質と言えましょう。

どちらかと言えば後期のファンの私ですが、初期の実験的な要素とパワフルで荒っぽい部分は非常に見応えがあり、そのスリリングなプレイは80年代のニューウェイヴ系アーチスト達に強く影響を与えていることが読み取れます。

初期のブライアン・フェリー [ Bryan Ferry ] の音程を無視するかのようなボーカル(いわゆるフェリー節)を始め、デビュー期のブライアン・イーノ [ Brian Eno ] が発する斬新で効果音的なシンセサイザーや、スマートなアンディ・マッケイ [ Andy Mackay ] がパワフルに吹きまくるサックス、フィル・マンザネラ [ Phil Manzanera ] のキンキラキンのファンキーなサングラスなど、見所は山のようにあります(笑)。

しかも、彼らのサウンドは、どのジャンルにも収まりがつかない新しいスタイル(=当時のニューウェイヴだったと言えるでしょう)だったのです。

そして、そんな彼らが腕を上げ、徐々に落ち着いていく様は実に興味深いところで、私にとっては、不朽の名盤『Avalon』が生まれるまでの歴史でもあるわけです。

ロキシーやフェリー、イーノのファンの方はもちろんのこと、彼らと共に時代を作ってきたデヴィッド・ボウイ [ David Bowie ] のファンの方、そして、彼らの影響を強く受けているであろうジャパン [ Japan ] ABCスパンダー・バレエ [ Spandau Ballet ] などのファンの方、また、その他のニューロマ系アーチストのファンの方にも、ぜひご覧いただきたいバイブル的な映像作品です。

なお、収録曲は下記の通りで、タイトルに下線の入った曲に関しては、可能な限り本作に収録されている映像をYouTubeから探しリンクしておきました(一部違うバージョンで紹介しています)。

Disc 1 1972-1976

1. Re-make/Re-model (The Royal College Of Art, London 1972)
2. Ladytron (The Old Grey Whistle Test, BBC Television 1972)
3. Virginia Plain (Top Of The Pops, BBC Television 1972)
4. For Your Pleasure (Full House, BBC Television 1972)
5. Do The Strand (The Old Grey Whistle Test, BBC Television 1973)
6. In Every Dream Home A Heartache (The Old Grey Whistle Test, BBC Television 1973)
7. Editions Of You (The Golden Rose Festival, Montreux 1973)
8. Pyjamarama (Musikladen, German Television 1974)
9. Amazona (Musikladen, German Television 1974)
10. Psalm (Musikladen, German Television 1974)
11. All I Want Is You (Top Of The Pops, BBC Television 1974)
12. Love Is The Drug (Supersonic, London Weekend Television 1975)
13. Both Ends Burning (The Empire Pool, Wembley, London 1975)
14. The Thrill Of It All (Konserthaus, Stockholm, Sweden 1976)
15. Mother Of Pearl (Konserthaus, Stockholm, Sweden 1976)
16. Nightingale (Konserthaus, Stockholm, Sweden 1976)
17. Out Of The Blue (Konserthaus, Stockholm, Sweden 1976)
18. Street Life (Konserthaus, Stockholm, Sweden 1976)


Disc 2 1979-1982

1. Dance Away (ABBA In Switzerland, BBC Television 1979)
2. Manifesto (Manchester Apollo, England 1979)
3. A Song For Europe (Manchester Apollo, England 1979)
4. Still Falls The Rain (Manchester Apollo, England 1979)
5. Ain't That So (Manchester Apollo, England 1979)
6. Angel Eyes (Promotional Video 1979)
7. Trash (Promotional Video 1979)
8. Over You (Top Of The Pops, BBC Television 1980)
9. Oh Yeah! (On The Radio) (Top Of The Pops, BBC Television 1980)
10. Same Old Scene (Promotional Video 1980)
11. Rain, Rain, Rain (Rockpop In Concert, German Television 1980)
12. Flesh And Blood (Rockpop In Concert, German Television 1980)
13. Jealous Guy (Promotional Video 1981)
14. The Main Thing (Frejus, France 1982)
15. While My Heart Is Still Beating (Frejus, France 1982)
16. Avalon (Frejus, France 1982)
17. My Only Love (Frejus, France 1982)
18. More Than This (Promotional Video 1982)

Bonus Tracks:

19. The Main Thing (Promotional Video 1982)
20. Avalon (Promotional Video 1982)

いやはや、こんな貴重な映像が手軽にDVDで見れるとは、実に便利な世の中になったものです。
昔、海賊版ビデオ屋を探しまわって質の悪いビデオを高価な値段で購入していたのはいったい何だったのでしょう(笑)。

そういう意味ではちょっと複雑な気持ちですが、できれば、他のアーチストの貴重な映像も、このような形で販売していただきたいものです。
/BLマスター

追記:
本作とは特に関係ないのですが、今日はロキシー・マジック [ Roxy Magic ] (笑)というイギリスのトリビュート・バンド(ロキシー専門のモノマネ・バンド?)を紹介しておきたいと思います。

恐ろしいばかりに完コピされたその演奏は、そっくり過ぎてとにかく笑えますので、ファンの方はぜひご覧になってみてください。

ボーカリストは何となく雰囲気が似ていますし、音だけを聴いていると本物と見分けがつかないくらいですよ(いや、そりゃ、もちろん違うんですけど…)。

ひょっとすると、以前、紹介したデヴィッド・ボウイのモノマネ・アーチストより完成度が高いかも知れません(笑)(ボウイのモノマネ・アーチストに興味を持たれた方はこちらの記事の追記をご覧ください)。

Roxy Magicの「Virginia Plain」
Roxy Magicの「Both Ends Burning」
Roxy Magicの「Re-make/Re-model」
Roxy Magicの「If There Is Something」

Roxy Magic のH.P.

実は、その昔、私もジャパンの完コピものまねバンド、ジャムパン [ Jampan ] を結成しようという企画があったのですが、ミック・カーン役(フレットレス・ベース)が見つからず企画倒れに終わってしまいました。

もし、関西在住でミック・カーン役に立候補したいという方がいらっしゃいましたらご一報くださいませ(笑)(いや、マジです。)。
もちろん、眉毛の処理はしていただきますが、お化粧でごまかすのもアリです(笑)。



uknw80 at 18:39|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2006年10月26日

Bete Noire/Bryan Ferry

Bryan Ferry Bete Noire

このアルバムは1987年に発表した、フェリーのソロ名義では通算7枚目、ロキシー・ミュージック解散後の本格的なソロとしては2作目にあたる作品です。

タイトルの『Bate Noire』とはフランス語で「嫌な奴」という意味らしく、このアルバムの最後に収録された同名の楽曲の歌詞を読めば、逆説的なナルシズムの現れであることがよくわかるのですが、これもまた、フェリーなりの男の美学、ダンディズムなのでしょう。

アルバム自体の雰囲気としては、基本的にロキシー・ミュージックの『AVALON』、前作『Boys and Girls』を踏襲したものですが、よく聴き込めば、かなり緻密な音作りになっているように感じます。

そういう意味では、前作以上にお金を注ぎ込んで制作された大作と言うことも出来る本作ですが、プロデューサーが、先述の2作のレット・デイヴィスに代わってパトリック・レナードが担当し、半数以上の曲で作曲にも携わっています。

このパトリック・レナードという人物は、マイケル・ジャクソンのヴィクトリー・ツアーの音楽監督や、マドンナの『True Blue』のプロデューサーなどもやっていた人物で、良い意味でも悪い意味でもチャートを意識したポップス畑の人です。

本作では、そんなレナードがフェリーの右腕的な存在として加わっているせいか、シンセサイザーやサンプリングマシン、リズムマシン、そしてコンピューターなどのマシン依存率が高く、『AVALON』における崇高なイメージや幻想的な雰囲気が薄れ、代わりにポップ感が増しているように感じます。

もちろん、それが決して悪いというわけではなく、時代背景的に電子楽器のテクノロジーがかなり進化を遂げた時期であり、前作よりも緻密に音作りをするためにはこれらを駆使することは必要不可欠だったわけで、そのおかげで本作のようなフェリーらしいダンサンブルな作品が生まれたのだと思うのです。

それでも、『AVALON』からの方法論は活きており、前作と同じくナッソー・コンパス・ポイント・スタジオで半数以上を録音、そして前作と同じ顔ぶれで、ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアや、マーカス・ミラー、アンディー・ニューマーク、ニール・ハバード、そして、前作のプロデューサーであるレット・デイヴィスがプレイヤーとして参加しています。

さらに、本作からの1stシングルとなった「The Right Stuff」という曲は、元ザ・スミスのジョニー・マーとフェリーの共作であり、もちろんギタリストとしても録音に参加しています。
また、この曲の12inchではザ・ラテン・ラスカルズが編集を担当し、ダンス・ミックス的なアレンジに仕上げているのも面白いところです。

「The Right Stuff」のプロモ映像

このアルバムからは他にもダンサンブルな「Limbo」「Kiss & Tell」がシングルカットされており、フェリーの作品としてはかなりポップ感のあるダンサンブルな楽曲ながら、それなりのヒットとなりました。

「Limbo」のプロモ映像
「Kiss and Tell」のプロモ映像

この後、ワールドツアーが行われ、日本にも来日、ツアー終了後、星座の12天宮をテーマにした『HOROSCOPE』という名のアルバムを制作するということで、6年間に渡ってベスト盤の発表以外の主だった活動がなく、93年になって『Taxi』というカバーアルバムを発表、それ以降も3枚のオリジナルアルバムを発表してはいるのですが、未だに『HOROSCOPE』は発表されていません。

この『HOROSCOPE』というアルバム、いつ発表されるのかも待ち遠しいものですが(本当に発表されるのかどうかも怪しいところですが)、フェリーにとってそれだけ大切なアルバムというのがどういった作品なのか、非常に興味深いところです。

とはいえ、それだけ難産なアルバムとなったのは、本作『Bete Noire』の完璧なまでの作り込みの後だったから、と見ることも出来ます。

フェリー作品の中で、一番緻密に作り込まれている本作。
未聴の方はぜひこの機会に聴いてみて下さい。
/BLマスター

uknw80 at 18:23|PermalinkComments(4)TrackBack(1)

2006年10月13日

Boys and Girls/Bryan Ferry

Bryan Ferry Boys and Girls

このアルバムは1985年に発表した、ブライアン・フェリー [ Bryan Ferry ] のソロ名義では通算6枚目、ロキシー・ミュージック [ Roxy Music ] 解散後初のアルバムです。

ロキシー・ミュージックのオリジナルアルバムとしては最後の作品となった『AVALON』の商業的大成功の直後で、なおかつ、解散を表明した直後の作品ということもあり、フェリーのソロ作品としては歴代最高位(英チャート1位、米チャート63位)のセールスを記録しています。

『AVALON』というアルバムは、それまでのロキシー・ミュージックのアルバムとは違い、スタジオミュージシャンを大胆に起用し、ほとんどフェリーのワンマンプロデュースによって制作されています。
逆に言えば、そういった個人の考え方を、他のメンバーの雑念を入れることなくトータルプロデュース出来たことが『アヴァロン』の完成度の高さを生んだとも考えることが出来ます。

私が思うに、バンドというものは数人のメンバーによって構成されてはいますが、各メンバーの意見を民主的に取り入れると焦点のはっきりしない作品になりがちです。
特に、バンド結成当時は同じ考えを持っていても、10年もすれば趣味指向もかわって来るものです。
ですから、私的には1人のアーチストの考え方を中心に、他のメンバーがうまくサポートすることができれば、作品としては非常に完成度の高いものになるように思います。

『AVALON』という作品は、そういう意味ではかなりフェリーのソロアルバム的な要素を持っており、その直後に発表したこのソロ作品『Boys and Girls』と非常に近い臭いを感じます。

それもそのはず、参加メンバーを見れば、アンディー・ニューマークやニール・ハバード、アラン・スペナー、ニール・ジェイソン、ガイ・フレッチャーなどの同じサポートメンバーがバックを固め、ミキシングはボブ・クリアマウンテン、プロデュースがレット・デイビスと、『AVALON』を構成するメンバーがかなりの部分で関与しています。
しかも部分的にナッソー・コンパス・ポイント・スタジオで録音されているため、機材や空間処理の部分においても似ているというわけです。

また、フィル・マンザネラとアンディー・マッケイがいない分、ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアや、ダイア・ストレイツのマーク・ノップラー、キング・クリムゾンのトニー・レヴィン、シックのナイル・ロジャース、他にもデヴィッド・サンボーンやマーカス・ミラー、オマー・ハキムなどの豪華なゲスト陣を招いており、アルバムに多彩な彩りを添えています。
中でも、デイヴ・ギルモアとの交流はこの後ますます強くなり、今作以降はまるで相棒のような付き合いになり、ライヴ・エイドに共演、PVにも出演するなど数々のセッションを行っています。

今までは、ロキシー・ミュージックという固定メンバーにゲストプレイヤーを招く程度の作り込みしかできなかったのが、ソロになってからは欲しい音色を出すプレイヤーを自由に呼ぶことができるようになったのです。
そういう意味でも、『Boys and Girls』が、フェリー信者にとって駄作であろうはずがなく、バンドという足かせがなくなった直後の一番いきいきしている作品であり、ロキシーも含めたフェリーの音楽キャリアの中で『AVALON』と並び頂点を築いていると言えます。

あと、それまでのソロアルバムではほとんどのアルバムにカバー曲を収録しているのに対し、今作では全てフェリーのオリジナル曲でまとめられており、彼の自信をも感じさせてくれます。

シングルカットされた「Slave to Love」はジミー・スコットなどにもカバーされるほどの名曲ですし、日本ではフジカセットのTVCMに使われ人気を得た「Don't Stop the Dance」はロキシーではありえなかったダンサンブルな楽曲です。
また、「Windswept」の浮遊感はこの頃のフェリーらしさが最も出ていますし、ファッションモデルの林マヤもカバーしている「Valentine」のけだるいダンディズムは最高にイカしています。

「Slave to Love」のプロモ映像
「Don't Stop the Dance」のプロモ映像
「Windswept」のプロモ映像

あと、アートディレクションに関しても大きく違っており、それまでのソロ作品のジャケットには必ず使われていたフェリーの顔写真が、今作で始めて別のイメージフォトになっているのも見逃せません。
今まではロキシー・ミュージックのボーカリストのソロアルバムだったのが、ブライアン・フェリーという1人の有名なアーチストのオリジナルアルバムなったことで、アートワークにまで気を使うようになったのではないかと思うのです。

この後、『Bete Noire』『Taxi』『Mamouna』と今作を踏襲した雰囲気の秀作を生んでいますが、ブライアン・フェリーがお好きな方で未聴の方には必ず聴いていただきたい名盤中の名盤です。
/BLマスター

追伸:
上のジャケット写真は左の大きなものがオリジナル盤、右の小さなものが現在入手できるものの一つで、なぜかアートワークが違っているものが何種類かあります。
曲順や楽曲のバージョンに関しての変更はないようですが、すでに持っている人にとっては少し違和感がありますね。

uknw80 at 19:24|PermalinkComments(2)TrackBack(2)

2006年09月18日

AVALON/ROXY MUSIC

ROXY MUSIC AVALON

ケルト神話アーサー王の伝説の孤島「AVALON」の名前がつけられたこのアルバムは1982年に発表されたロキシー・ミュージックのラスト・アルバムです。

一部の初期ロキシーのファンからは「軟弱」とけなされながらも、世間の評価は凄まじく良く「ロキシーの最高傑作」「ロック史に残る不滅の名盤」という声も多く聞かれるアルバムで、私にとっても「一緒に墓に埋めてもらいたい究極のお気に入り盤」の中の一枚となっています。

最近は一曲目の「More Than This(邦題:夜に抱かれて)」がTVCMに使われたことで再びのヒットとなり、再評価の動きも見られるようですが、アルバム全体に渡って感じる成熟した大人だけが持つ究極のダンディズム、ある意味でAOR的なものを感じさせる美しいメロディは、ブライアン・フェリーの美学の極致ともいえるのではないでしょうか。

「More Than This」のプロモ映像

ライヴ時のフェリーは、エアギターを弾いていたり、リズムの取れていない妙な踊りをしていたり、お得意のフェリー・ジャンプをして見せたかと思うとシャツがだらしなく出てしまったりと、非常にダサいイメージを持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、ファンにしてみれば、そんなかわいい一面をも持つ、セクシーでダンディーな「ちょい不良オヤジ」なんです。

このアルバムにおいてはフェリーの個性が強調され、フィル・マンザネラ(G)と、アンディー・マッケイ(Sax)の個性的なプレイすら脇役的な立場となっているような気がしますが、それが逆に功を奏し、焦点のはっきりした傑作が生まれたのかも知れません。

プロデュースにレット・デイヴィス [Rhett Davis] 、ミックスにボブ・クリアマウンテン [Bob Clearmountain] を迎え、楽園のムード漂うバハマ諸島のナッソー・コンパス・ポイント・スタジオで録音された本作は、一聴すると、いかにもヨーロッパの耽美的な雰囲気の音世界ですが、柱となるのはファンクやソウルのエッセンスをたっぷり含んだリズム感で、非常に滑らかな音処理が施されています。

構成されている音をよく聴けば、コンプレッサー(音を圧縮するエフェクト)を過剰にかけたドラムのミックスが若干、時代を感じさせる曲もありますが、この気持ちの良い楽曲の中においては、そんなことも気になりません。

一曲目「More Than This」から、波の音がゆっくりと消えてゆくラストの美しい小曲「Tara」までが一つのコンセプチャル・アルバムのような統一感を持ち、いつ聴いても、年代物のモルトを味わっている時のような、大人の至福のひと時を堪能出来ることでしょう。
「More Than This」の歌詞にあるように「もうこれ以上のものは何もない」と感じてしまいます。

「Avalon」のプロモ映像
「The Main Thing」のプロモ映像

ちなみに、このアルバムには収録曲は同じなのですが、曲順が変更となっていた盤があり、作品自体の流れが損なわれているような気がします。

オリジナル盤の曲順は下記の通りです。

1. More Than This(邦題:夜に抱かれて)
2. The Space Between
3. Avalon
4. India
5. While My Heart Is Still Beating(邦題:我が胸のときめきを)
6. The Main Thing
7. Take a Chance With Me
8. To Turn You On
9. True to Life
10.Tara

解散後(自然消滅的な解散でしたが)、「AVALON」で完成されたフェリーの美学は、その後の数枚のソロアルバムに継承され次々とヒット、マンザネラとマッケイは、フェリーの声にそっくりなジェームズ・レイスと「EXPLORERS」というバンドを結成し、非常にクオリティの高いアルバムを発表するも地味な評価となり解散、2001年にはロキシー・ミュージックが再結成され、ロキシー名義でのニューアルバムの発表はないものの、現在も精力的にツアーを行っているようです。

今年のツアーでの「More Than This」のライヴ映像
今年のツアーでの「Avalon」のライヴ映像

次は東京だけでなく大阪でも再結成ライヴをお願いしたいと思っております。
/BLマスター

uknw80 at 16:52|PermalinkComments(13)TrackBack(0)

2006年08月02日

Slave to Love: Best of the Ballads/Bryan Ferry

Bryan Ferry BEST OF BALLADS

ブライアン・フェリーはご存知の通りロキシー・ミュージックのフロントマンであり、ボーカリストだけでなく、時にはキーボードも弾きこなすミスター・ダンディー。
彼は1945年9月26日にイギリスの北西部に位置するワシントン州で生まれ、ニューキャッスル大学美術科を卒業した芸術家でもあります。

有名な話ではありますが、フェリーはキング・クリムゾンのボーカリスト・オーディションに落ち、どうしても音楽をやりたくてロキシー・ミュージックを結成しました。
結果的には、どちらも大御所バンドになったのですから、落ちて良かったということになりますが、フェリーがボーカルをやっているクリムゾンもちょっと聴いてみたいものですね。

彼のソロ作品は、ロキシー在籍時に「These Foolish Things(邦題:愚かなり、わが恋)」(1973年)を発表したのが始めてで、これはボブ・ディラン、ビートルズ、ローリング・ストーンズといった大御所から、マニアックな50sロック・ナンバーまでを収録したR&B/ロック色が濃厚なカヴァー・アルバムでした。

その後もカバー曲を含む「Another Time, Another Place(邦題:いつかどこかで)」(1974年)や「Let's Stick Together」(1976年)、全曲フェリーのオリジナル曲でまとめた「IN YOUR MIND(邦題:あなたの心に)」(1977年)、「THE BRIDE STRIPPED BARE(邦題:ベールを脱いだ花嫁)」(1978年)など精力的にソロ活動をこなし、ロキシー解散後の1985年にはデヴィッド・サンボーンやデイヴ・ギルモア、マーカス・ミラーなどをゲストに招き、傑作「BOYS AND GIRLS」を発表、シングル「Slave to Love」と「Don't Stop The Dance」が大ヒットとなり、日本ではFUJIのビデオテープのTVCMにフェリー自身が出演までしてくれました。

「Slave To Love」のプロモ映像
「Don't Stop The Dance」のプロモ映像

続いて前作の延長線上にある「Bete Noire」(1987年)、再び全曲カバー曲でまとめ亡き母に捧げた「TAXI」(1993年)、ブライアン・イーノとの復縁アルバム「Mamouna」(1994年)、ジャズのスタンダードをフェリー調にアレンジした「As Time Goes By」(年)、再びロキシー時代のフェリー節が復活した「Frantic」(年)を発表しています。

最近はロキシー・ミュージックの2度目の再結成ツアーが行われているのですが、大阪にもぜひ来ていただきたいものです。
今年7月の再結成ツアーでの「More Than This」の映像

私がシルヴィアンとフェリーについて語り出すと長くなってしまいますので、詳細はいずれ各アルバムのレビューを書く時にさせていただきますが、フェリーという人は実にダサかっこいいダンディーなオヤジなんです。

ライヴでも、タキシードをきちっと着て出て来たかと思うと、次のシーンでは上着を脱ぎ、続いて蝶ネクタイはぶら下がり、お得意のフェリー・ジャンプで曲を締めくくった時にはシャツの裾がスラックスから出てしまう。
陶酔して歌っているときのエアギターや、首を振りながら半笑いを浮かべている奥眼気味なフェリーは、ん〜もうダサカッコいいの極みです。

木村拓也出演のTV番組「ギフト」というドラマに、親友・今野雄二(ホモ疑惑あり)のことを歌った「Tokyo Joe」が使われた縁で、バーでキムタクに声をかけるも人違いという意味のない役で友情出演した時も怪しい外国人としてハマり役でした。

実は、フェリーは今まで、何度か映画出演の話もあったんですよ。

面白いところでは007のジェームズ・ボンド役で、ティモシー・ダルトンの前か後で、候補として挙がったものの話だけで終わったり、「クリフハンガー」の悪役として出演が決定したものの、撮影直前になって主演のシルベスタ・スタローンの猛反対で降板になったりなんてことがあったようです。

それが最近になって、公開が終わってから知ったのですが、「クライング・ゲーム」や「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」で知られるニール・ジョーダン監督の映画「プルートで朝食を」に悪役(変質者らしいです)で出演しているのです。
還暦を迎えたフェリーの初の映画出演ですからぜひ観てみたいものですね。

興味のある方は「プルートで朝食を」のHPをご覧下さい。

やっぱり長くなってしまいましたが、このベスト盤は「 Best of the Ballads」というタイトル通り、UK版AORとでも呼べるようなバラード系の曲ばかりをまとめたもので、フェリーの官能的な大人の色気を感じるボーカルを堪能するには最高なアルバムです。

上に挙げたソロ作品からの曲に加え、未発表カヴァー「This Love」や、映画「レジェンド」のテーマ曲で盟友ギルモアも参加のアルバム未収録曲「Is Your Love Strong Enough?」や、ロキシー時代の「More Than This」や「Avalon」「My Only Love」、ジョン・レノンの名曲「Jealous Guy」などを18曲も収めたまさにベスト・オブ・バラッドと言えるでしょう。

「Kiss & Tell」のプロモ映像
「Is Your Love Strong Enough?」のプロモ映像

なお、日本盤には「Tokyo Joe」も収録されているのですが、これがあまりにも雰囲気を崩してしまうので、輸入盤の方を紹介させていただきました。

ぜひ一家に一枚持っていただきたいアルバムですので、最後までこの記事をお読みになった方でお持ちでない方はぜひお買い上げ下さい。
損はさせませんよ。
/BLマスター

uknw80 at 15:43|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2006年06月20日

The Best of Roxy Music

roxy best

ロキシー・ミュージックのベスト盤って、とんでもなくいろんな種類が出てるんですよね。
ブライアン・フェリーのソロとぐちゃまぜにしたものや、前期だけのもの、後期だけのもの、バラードコレクションなどなど、すべてを挙げるとキリがありません。
そこで、決してマニアックに走らず、ロキシーのアルバムをもっていない方がどうせ買うならこの一枚というのを私なりに選出してみました。

このアルバムは2001年の再結成ツアーに合わせてリリースされたもので、新しい曲からほぼ年代順に旧い曲になって行くという通常とは逆の収録方法をとっているため、始めてロキシーを聴く方や、CMの曲で気に入ってベスト盤が一枚欲しいという方にはおすすめです。
ジャケットのデザインがフェリーの作品っぽいイメージなので、ロキシーのベスト盤としてはちょっと残念ですが、センスはいいのでヨシとしましょう

ブライアン・フェリーのイメージといえば、後期のロキシーの頃(80年代頃)から「ダンディー」という言葉が似合うようになりましたが、70年代初頭にデビューした時のイメージは、お化粧をしてキンキラキンの衣装を着た派手なバンドのボーカリスト/キーボーダーでした。

グラムロックや、プログレが全盛の時代、ロキシーはアートロックとしか説明できないアバンギャルドで、かつ知的なサウンドを聴かせてくれたものです。

今、始めてお聴きになる方からすれば、前期の作品はただの古くさいロックなのかも知れませんが、ロキシーの培った手法が現代の音楽に多大な影響を与えたということは間違いありません。

これも、アマゾンですべての曲を試聴することができますので、興味を持たれた方はぜひ試聴してみて下さい。
/BLマスター

uknw80 at 16:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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