2006年08月30日

●体験記 8/30「see you in a dream --- in concerts」

seeyou京都 同志社大学寒梅館ホール
 
日本の歌謡史に残る数々の名曲を残した作曲家、中村八大の作品を、大友良英がアレンジ&プロデュースし、さがゆきが歌った2枚組CDボックス『see you in a dream』。そのレコーディングに参加した主要メンバー全員参加による、コンサート・ツアー。

日本では滅多に体験できない「リスペクト」の精神が舞台上で伝わり、単なるナツメロ・コンサートになることもなく、フリージャズ・ノイズ表現を含めていろいろな味付けで名曲たちが楽しめた極上の舞台になった。

去年見に行ったブライアン・ウイルソンの「スマイル・ツアー」を思い出したのは私だけはなかったらしい。古き良き時代のグッド・オールド・ミュージックを連想させるようなゆったりとした曲調から、一挙に狂気をはらんだワイルドな展開になる部分があったので、そう感じることはあったのかもしれない。

「上を向いて歩こう」のようなノホホン系スタンダードの作者が、「太陽と土と水を」のような激しいサイケ・ロック!を作曲した方と同一人物だったりするのだ。

しかしなんといっても渋谷毅のピアノだけでの伴奏による、デュオには参った。さがゆきの細かいボーカル・ニュアンスが伝わってくる歌唱。感情が高ぶって気がつけば私は大粒の涙を流してしまっていた...。演奏中に泣いてしまうことなどめったになかったのに。決してリアルタイムで聴いていた曲ばかりではない。でも過去にあった楽しい思い出だけが脳の奥から引っ張り出されるのだ。エンディングで歌われた「夢で会いましょう」でも、さがゆき・大友良英・山本精一の3人による心のこもった歌に私の涙腺は止まらずじまい。

なぜ私たちはウタを歌うのか?なぜウタを歌わずにはおれないのか?人間はみな一人一人孤独に生きていくにはつらいことが多すぎる。すばらしいウタには楽しい思い出がたくさん詰まっており、生きる痛みを一瞬だけでも取り除いてくれる。そのことが理屈なしで改めて確認できただけでもうれしかった。

付き添いなしでは今回駆けつけることができなかったし、これまでの様々な方々のご縁で実現した京都行き、幸せな気分でいっぱいだ。

さがゆき:vocal
大友良英:guitar, guitar-banjo
渋谷毅:piano
山本精一:vocal, guitar
近藤達郎:organ, harmonica
栗原正己:bass, mellophone, recorder
関島岳郎:tuba, recorder
坂本弘道:cello, musical saw 
高良久美子:vibraphone, percussion
芳垣安洋:drums, percussion, trumpet

参考:http://d.hatena.ne.jp/otomojamjam/20060902

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メモ
9月末に再移植決定。それまで毎日のように放射線治療、無菌室での治療も予定されているので痛みのためにブログの更新ができなくなるかもしれません。面談もむずかしくなるかも。メールはukulala@nifty.comへ。