2024年12月12日、第5回オンライン憲法塾を、オンライン(Zoom)で開催しました。テーマは「最高裁判所は『憲法の番人』たりえているか?」で、報告者は、塩谷弘康氏(福島大学教授、行政政策学類、法社会学)です。39名が参加しました。
メールにて寄せられたご感想・ご意見は、次の通りです。
参考にしていただけると幸いです。今後とも、よろしくお願いします。
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★報告者の塩谷さんから、「昨日はお世話になりました。質疑の途中で、なぜか貧血のような状態になってしまい、十分な回答ができず申し訳ありませんでした。夫婦別姓訴訟の合憲の理由付けのところだけまとめましたので、みなさんに送っていただけないでしょうか。」とのメールをいただきました。以下に掲載しますので、補足報告として、読んでください。
<夫婦別姓訴訟
○ 2015年(平成27)大法廷判決(多数意見)
・ 民法750条が憲法13条(個人の尊重、幸福追求権)に違反するという主張について
現行の法制度上、「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障されている人格権の一内容とはならない。
・ 同条が憲法14条(法の下の平等)に違反するという主張について 夫婦同氏制それ自体は、夫婦の姓の決定を両者の合意に委ねている以上、形式的な不平等が存在するわけではなく、憲法第14条第1項に違反せず、平等の問題は生じない。
・同条文が憲法24条に違反するという主張について 憲法第 24 条は、婚姻及び家族に関する法制度の構築を国会の立法裁量に委ねており、 当該制度が憲法第24条に適合するかは、当該法制度の趣旨や同制度を採用することにより生ずる影響につき検討し、当該規定が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量の範囲を超えるものであるかどうかで判断する。家族の呼称を一つに定めることには合理性があること、子が嫡出子であることを示すために両親双方と同氏である仕組みを確保することにも一定の意義があること、婚姻により氏を改める者の不利益は婚姻前の氏を通称として使用することが社会的にも広まっていることで一定程度緩和されていること等から、夫婦同氏制が直ちに個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠く制度であるとまではいえない。
○ 2021(令和3)年大法廷決定(多数意見)
・ 民法750条及び戸籍法74号の規定が憲法24条に違反しないことは、平成27年大法廷 判決の通り。
・ 女性の有業率の上昇、管理職に占める女性の割合の増加その他の社会の変化やいわゆる 選択的夫婦別氏制の導入に賛成する者の割合の増加その他の国民の意識の変化といった
諸事情等を踏まえても、平成27年大法廷判決の判断を変更すべきものとは認められない。
・「夫婦の氏についてどのような制度を採るのが立法政策として相当かという問題と、夫婦同氏制を定める現行法の規定が憲法24条に違反して無効であるか否かという憲法適合性の審査の問題とは,次元を異にするものである。」
「この種の制度の在り方は、平成27年
大法廷判決の指摘するとおり、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないとい うべきである。」
※ 経団連提言(20240618)や国連女性差別撤廃委員会勧告(20241029)を踏まえれば、選択的夫婦別姓の導入はまったなしではないか。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241030/k10014623351000.html>
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★自分のPCでZOOMの講演会に参加したのは初めてでしたが思ったよりうまくできました。資料もあらかじめ開いておいたのでスムーズでした。
1時間という短時間でこんなに密度の高いお話をきくことができて良かったです。
4月に「安保法制違憲訴訟の意義」という広田弁護士の講演をきいて、いろいろ問題点なりを指摘されていたことをより深く知ることができました。
今回は教室で受講しているような臨場感で、もっと多くの人に参加してもらうように広めたいと思いました。有難うございました。T.M
★塩谷先生のお話は、資料と相まって最高裁の問題点をたいへんわかりやすく指摘されたと思います。
教科書的な「三権分立-抑制と均衡の関係」、「司法の独立」、「裁判官の独立性の保障」などが、実は大いに危うい力関係のなかに置かれていて、権力の作用を「偽装」した説明でもあると強く感じるところです。
だから、結論的には「最高裁は『憲法の番人』たりえていない」ということになるのでしょうが、だからこそ、それで諦めるのではなく、私たち国民がどうあるべき姿に近づけていくかという問題になります。それは、国民世論の動向、あるいは現状改革に対する国民の政治的な力の高まりということになるように思いました。外国の最高裁の判事の選定方法や問題について勉強してみたいと思いました。ありがとうございました。(T.S)
★大学の数コマに相当する内容を、50分で簡潔にお話しいただきありがとうございました。北海道長沼町の長沼事件で、札幌地裁の福島裁判官が、日本の自衛隊は、憲法9条に違反するとの自衛隊違憲判決を下し、その過程で、裁判所の上司が、裁判官の独立に反する指揮命令を下されたことを思いだしました。その結果、福島裁判官は、福島家裁の部長として島流し(笑)になった、ということを思い出しました。
婚姻の問題、家族問題等、最高裁は違憲立法審査権を発動するようですが、沖縄問題や自衛隊問題、在日米軍の問題については、極めて消極的であることが理解できました。
最高裁が、司法の砦として、内閣(行政)や国会(立法)に物申すように、本来の役割を果たすためには、国民の批判・運動が、ますます必要なのかなと感じました。(T.K)
★今回のオンライン憲法塾は、「最高裁判所は『憲法の番人』たりえているのか?」と題し、福島大学行政政策学類・法社会学の塩谷弘康先生から報告がありました。私は、塩谷先生とは同学類の前身「行政社会学部」の時代から一緒に仕事をさせていただき、今もたまに顔を合わせる間柄です。
事前に配布された資料を拝見しましたが、緻密かつ簡潔にまとめられ、しかも分量も結構多く、奥深い内容で、事前に十分な予習をしないと理解できないのではないかと感じました。実際、講演に入ると切れ味鋭い論理が展開されました。私はまるで聞き逃すまいと真剣に耳を傾ける受講生のようでした。難解な専門用語が続出し難しい講演でしたが、レジュメに沿った説明かつ専門用語の解説もあったので助かりました。お陰で講演概要はかなり理解できたような気がします。
「最高裁判所」に関して、個人的にはメディアで触れるか国民審査や選挙で関わる程度で、その存在自体を深く考えることはありませんでした。私は、漠然と法律に従うよう教育され、最高裁判所に関する話題を口にするのも難しい環境で育ちました。今回のお話で、最高裁判所を憲法との関わりで考察すると、多くの論点や問題点があることを認識した次第です。
罷免の問題一つをとってもそうです。最高裁判所の各裁判官の活動を日頃から注視しつつ、法や政治などの関連知識を援用することで問題点を議論できるのだと思います。ただ、忙しい現代社会においてはそのようなスタンスを持ち続けることは難しいと思う反面、独裁的な裁判官が居座り続けないように注視していくのも一人の国民としての責務だと考えています。
今回の講演を聞いて、私も「最高裁判所は十分に憲法の番人にたりえているとは言い難い」と感じました。幅広い見地からのご講演、ありがとうございました。今後、最高裁判所の活動にも関心を払っていきたいと考えております。(A.N)
★昨夜は貴重な学びの機会を提供していただき、ありがとうございました。
憲法記念日前後は多くの地域で憲法講演会・学習会が開催されますが、年間を通じた学習会開催という福島県9条の会の英断に深く敬意を表します。
塩谷先生のレジュメにもありますが、司法に対する私たち主権者の関心度合いが国民審査に表れると思います。
近年、夫婦別姓、性差別、生活保護・年金削減、辺野古基地建設、原発事故被害者訴訟等で司法への関心も高まりつつある反面、これら訴訟当事者以外の関心は、決して高いとは言えないように思います。私たちは憲法を含む司法問題は専門的知識が要請され、日常生活との接点を見出すことに困難を感じ、「法は厄介]と感じているのが現状でないでしょうか。
法学専門家である今野先生のイニシアで「県民参加オンライン憲法塾」が開設されたことは極めて貴重な試みであると思います。主権者=法の当事者でもあるとの思いを地域に住む方々で共有できるようにして行きたいと思います。(H.D)
★はじめて参加させていただきました。
塩谷先生のお話しは、簡潔で初学者にもとてもわかりやすかったです。
司法消極主義から司法積極主義へ、変わりつつあるのかどうか、今後の最高裁の憲法判断を注視していきたいと思います。ありがとうございました。(M.I)
★学生時代、針金浩太先生の「一般法学」の単位しか取らなかった私にはちょっと難しかった部分がありました。「生業裁判」の弁護士さんから最高裁の判決に関わって、判事が「大きい法律事務所」出身という話は聞いていました。裁判が政治に忖度していては何が正義か分からなくなります。「虎に翼」の様に疑問があったら、「はて?」の精神が法学界にはいつも必要ですね。(K.W)
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