2025213日、第6回オンライン憲法塾を、オンライン(Zoom)で開催しました。テーマは「障害者雇用について」で、報告者は、長谷川珠子氏(福島大学教授、行政政策学類)です。32名が参加しました。

メールにて寄せられたご感想・ご意見は、次の通りです。

 参考にしていただけると幸いです。今後とも、よろしくお願いします。

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 ★自身も、精神障害者であり、週20時間の勤務も難しいことがあり、時間的を配慮受けつつ、してもらっています。

就労支援などの福祉サービスと事業主との連携が進みつつあることも市民として実感があります。しかし、就労支援A型は閉鎖が多く、経営方針の改善を求められ続けているそうです。昨年までA型を利用しておりましたときには、補助金や助成金についての見直しについて議論されている話を伺いました。

また、現在の経済においては、実質賃金の低下が問題となっており、日本市場においてコスト増加の影響を強く感じます。中小企業の法人税の免除の利用率も高く、コロナ給付金の負債が焦げ付いた件数も多かったと聞きました。既存の経営体制では、企業の存続自体が厳しさを増す中で、IT市場の競争は複数企業による寡占と言っても良い状態で、構造転換も難しい経済となっています。

国際的にシェアの獲得競争が激しくなる中、構造転換に遅れた日本において、障害者の福祉は生活を維持するに足るものに出来るのでしょうか。

医療保障の利用頻度と納入金額の不公平や、年金制度の担い手不足があり、福祉制度を縮小し、小さな政府を目指していく声も少なくないと思います。

かといって、国債を歳入に充てることは、ばらまき政策との批判があります。財源問題は暗中模索の様相と見ています。

経済活性化と切り離せない問題だと思います。その中で、障害者福祉は、日本における労働を問い直す良い試金石にもなり得ると感じます。差別と格差の問題についての、手掛かりの一つともなり得ると思っています。

それ故に、障害者の社会参画は、利潤というスケールを用いたときに、成立し得るのか、という疑問があります。自分も当事者のため、社会貢献と自身の心身を優先した生活の両立の実現可能性は、大変気になります。

疑問を交えた感想とはなりますが、今回のご講演にて抱いた思いを述べさせて頂きました。またの機会には参加致したく存じます。寒の戻りがございますので、お体にお気をつけ下さいませ。(K.M

 

 ★長谷川先生への質問です。

法定雇用率の計算式では、分子に雇用者数だけでなく、失業者(ハローワークに手続きを執っている障害者?)も含まれるということになりますが、これでは純粋な雇用率ではないのではという疑問です。

「就業率」でも、15歳以上人口に占める「就業者」(従業者+休業者)の割合になっています。どうしてこれで雇用率や就業率になるのか疑問です。定義がそうなっているからと言われればそうですが。実態を反映していないのではという疑問です。(S.O

 

 ⇒報告者の長谷川珠子氏からのご回答

  ただ、簡単にお答えできるものではないので、読んでいただくのが一番だと思います。(県立図書館には入っていませんが、福大の図書館にはあります)

雇用率の計算式について問題があることは私自身も感じており、長谷川珠子ほか『現場からみる障害者の雇用と就労』(2021年、弘文堂)315頁以下で詳しく論じています。

失業障害者数の計算根拠等についても書いていますので、できれば、そちらをご覧になっていただければと思います。

 

 ★現在私は障害学生の対応を担当しており、在学中の合理的配慮だけでなく、出口支援につながる障害者雇用についても関心を持っています。

毎日の目の前の課題に右往左往していますが、関わっている学生が卒業するときに希望が持てるような進路が取れることを願い、様々な情報を収集したいと考えて参加させていただきました。

今日の長谷川先生のお話の中で、雇用と福祉の融合が課題とお聞きしました。そうした状況が制度的にもリテラシーとしても整っていくことを期待したいと思いますし、自分たちもできることを発想して試みていきたいと思います。今日はありがとうございました。

M.K

 

 ★長谷川さん、ご報告お疲れさまです。

障害者雇用に関する法律の簡にして要をえたご報告で、体系や内容について大変勉強になりました。ありがとうございました。

近年、労働者協同組合が健常者と共に障害者を組合員にし、一緒に事業に従事したり、一緒に経営したりしていますが、このような雇用ではない働き方は障害者にとってどのような意義があるのでしょうか。(M.T

 

 ★今回の長谷川先生の障害者雇用についての法律に関するお話は貴重な内容で大変勉強になりました。

障害者の雇用に関する法規は、1967年代から最初に身障者を対象として施行され、時代の進展と共に国際的な影響から知的障害者、そして精神障害者の方々を対象に法規が成立してきたことに関心を持ちました。

如何に我が国は障害者の政策や法規の定めが遅れていたことが分かりました。特にその知的障害者、そして精神障害者を対象とした法規に関心を持ちました。

そして社会復帰が促進され、普通の生活ができるような力の付け方などを周りの方々の協力が必要であり、そんな中で先ずは法律的な意識が必要であり、バイアスをなくし理解されるような環境作りが必要と思いました。

まともな感想ではありませんが、先生のわかりやすい講義に感謝します。以上(T.S

 

 ★多くの皆さんの努力で障害者雇用の基本的法ができていることを知る機会となりました。

質疑にもありましたように、若い障害者がいることを考えると、長期的問題であり、その将来は心配です。障害が多種、障害度が複雑なだけに、実態に即した法的、社会的しくみがより充実することを望みたい。

 それがないと事業主が過重な負担にならずに雇用することができないのではないかと思われた。相談体制の整備もなされているようですが、その実体はどうなのか、どこまで相談を受けアドバイスできるのだろうかとも思われた(ms)。

 

 ★今回のオンライン憲法塾は「障害者雇用について」と題し、福島大学行政政策学類教授の長谷川珠子先生から報告がありました。私は、長谷川先生と同学類の前身「行政社会学部」の出身であり、労働法も少し勉強したこともあり、親近感を覚えた次第です。

 事前に配布された資料から、広範な内容を簡潔にまとめられているという印象を受けました。講演に入るとスライドを用いながら、適宜、吹き出しでまとめて下さったので大変よくわかりました。ただ、法令の条文は簡易な記述になっており詳細は不明でした。

 日本の障害者施策は、国際的な動向にあわせ進められてきたので、ある意味で自然な流れだと感じました。私は職業がら数式で規定した「法定雇用率」に興味を持ちました。特に、「ブルカウント」や「ハーフカウント」も取り込んだ点は、実態を反映させているなと。ただ、雇用障害者数を増やすと法定雇用率が上がる(別の言葉を借りれば、同率のハードルが上がる)という点に関しては、違和感を覚えました。「法定雇用率」は何のために導入されたのか、この率をどうしたいのか、雇用者を増やしたいのか抑えたいのか等が不明だからです。あと、障害者雇用と憲法との関わりが少し触れられましたが、よくわかりませんでした。

 メディアでしばしば多くの障害者を雇用する企業が好意的に取り上げられているように感じます。ただ、今回のお話で、国や地方公共団体および民間の各事業主が雇用義務制度の義務を負っているので、法定雇用率の高低だけでは必ずしも事業主のこの制度への貢献度をはかれないと思いました。もっとも、個人的には当該企業は素晴らしいと思います。

 今回の講演を聞いて、障害者雇用は労働法や憲法など各法律に守られているように感じますが、未解決の問題も多々残されていると認識できました。幅広い見地からのご講演ありがとうございました。今後、障害者雇用について幅広い観点から見守っていきたいと考えております。(A.N

 

 ★障害者の「雇用」に限定したお話でした。私が障害者問題に触れた頃は、「障害」、「障碍」、「障がい」の違いが意識され議論された頃でした。

「障害者」は社会に存在する障害に立ち向かう人々と理解されることが多いようですが、説明いただいたように英語表記では disabledhandicapped などのように本人の「障がい」を指すことが一般的です。その場合でも障害者の社会的な障害を取り除くことが課題であり、「障害者権利条約」もこの趣旨で制定されているのでしょう。

 障害者雇用は障害者の権利の一部であり、権利条約の示す内容は極めて包括的であるために、質疑応答も障害者福祉などに広がっていました。一点、気になるのは、最近身近な存在になっている共同作業所などを運営しているNPOやそこでの障害者の活躍です。このような雇用形態も障害者雇用促進法の対象になっているのでしょうか?職場環境・作業環境が障害者にとっての障害にならないような改善が求められてきました。バリアフリーやユニバーサルデザインなどが本格的に議論されていきました。しかし、残念ながらわが国の伝統的な持家意識は住まいの改善にまで繋がっていきませんでした。現在でも高齢者・障害者などの室内での転倒事故は数多く報告されています。5階以上の公営住宅にエレベーターが設置されるようになったのはようやく1980年代ごろだったと思います。障害者が社会参加するための出発点は住まいの改善であるとも言えそうです。

 議論は広範な課題に広がりますが、前提は障害者の「生活の質」を具体的にどうとらえるかではないかと思います。もちろん、そこに労働、雇用が含まれます。福祉・医療、社会参加、住まいの問題などをある程度整理しながら、議論を進める必要があるのではないかと思います。今日はその整理をするきっかけをいただいたと思っています。

(追記)私のゼミ出身者が大学院DC在学中にかなり重度の難病を発症し、それから20年以上、寝たきりの生活をしています。雇用問題の対象外ですが、本人の闘病や家族のご苦労は筆舌に尽くしがたいものです。必死でリハビリに打ち込んでいる姿を見ると社会的な支援の更なる支援が必要であると痛感しています(H.S

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250213