背景:食品加工業を営んでいる方からの依頼事例を紹介します。
加工していない生肉に一部黒色の付着物が認められました。ハムなどを製造している納入先から付着物の成分を確認するように求められユニケミーに相談にこられました。

①実体顕微鏡で外観観察をしたところ、微小な黒色物質が生肉表面に付着している様子が確認されました。
②付着物を採取し、生肉(豚肉)の油分を有機溶媒により除去後、顕微FT-IRによる分析(透過法)を数箇所行ったところ、大部分は1700cm-1付近にC=O基による強い吸収(図1.b)がみられましたが、一部にセルロースのスペクトル(図1.a)が得られました。付着物は、熱による変質物質(何らかのこげ等)と予想されましたが、変質前の特徴的な成分であるセルロースが確認できました。この情報のみでは、植物から作られる紙、セルロイド(セロファン)、綿(ほこり、糸)など各種考えられますが、さらに物質を絞り込むため、走査電子顕微鏡(SEM)による形態観察を試みました。
③SEMで観察したところ、維管束植物の葉や茎の表皮に多数観察される気孔を形成する孔辺細胞らしき形状が確認されました(図2)。

図1_1~1
  図1 FT-IRチャート



図2_1_~1
  図2 SEM画像


・これらのことから付着物は黒色で一見解析が困難になると予想されましたが、FT-IR分析を数箇所実施した結果、セルロースを主体とする物質であることが確認されました。
・またSEM観察をした事で、孔辺細胞らしき形態が確認され、付着物はセルロースという物質の中でも葉や茎などの植物成分と推定されました。

 食品の異物混入問題は、人体に有害な成分かどうかという点が非常に重要な調査事項になります。複合的な調査を実施する事で、異物が特定される様な情報が得られる場合があります。 
  ユニケミーでは、分析結果を踏まえ追加分析のご提案を日常的に行っております。今回は、EPMAのSEM像を利用した事例を紹介しました。

 EPMAの本来の機能である元素分析・カラーマッピングを利用した異物の無機成分把握、金属異物等の材質判定など各種調査も実施しております。





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