この記事においては、
出身大学ごとの平均年収ランキングについて考察します。
DODAのキャリアコンパスのデータを参照して、
様々な視点から考えてみたいと思います。
意外と説明しにくいような並びになっているのが面白いですね。

大学別平均年収ランキング

1位東大729万
2位一橋大700万
3位京大677万
4位慶應大632万
5位東北大623万
6位名古屋大600万
7位大阪大599万
8位神戸大 8位北海道大590万
10位横浜国立大573万
11位早稲田大572万
12位九州大569万
13位東京理科大563万
14位上智大555万
15位横浜市立大550万
16位大阪市立大546万
17位中央大531万
18位埼玉大530万
19位筑波大527万
20位明治大 20位千葉大 524万

11位までに全ての旧帝大が入っており、
11位以上の私大は早慶のみとなっています。
何故国公立大が多いのかということを考えると、
医学部や薬学部に代表される理系の割合が大きいことが有利に働くのではないか、
という発想をする人も少なくないと思います。
実際のところ単科大学を含んだランキングにおいては、
京都薬科大、岐阜薬科大、明治薬科大がトップ3を占めており、
東大よりも上位となっています。
しかし、2位には文系大学である一橋大がランクインしています。
また、4位の慶應大も特に理系の割合が大きい大学ではありません。

受験難易度という視点で考えてみても、
12位の九州大まではそれらしい並びと言えるかもしれませんが、
理科大や横浜市立大の上位ランクインや、
埼玉大が筑波大より上位に来ていることを説明しにくいです。

旧帝大以外は首都圏の大学が多いことは、
1つの傾向と言えるかもしれません。
神戸大や大阪市立大も上位にランクインしていますが、
首都圏に次いで経済的に恵まれた立地であることが、
有利に働いているという捉え方もあります。
しかし、旧帝大+経済的に恵まれた立地の大学が有利であると考えるとしても、
何故首都圏の中で、埼玉大や中央大が上位にランクインし、
首都大や国際基督教大が20位以内にランクインしていないのか、
そのような点を説明することは難しいように思われます。
中央大や明治大は、理系の学部を有しており、男子学生の割合が多いと言う点は、
国際基督教大と比べた際に有利に働いているのかもしれません。

結局のところ、一橋大は例外的な存在であり、
基本的に理系の割合の大きい大学が有利であり、
また経済的に恵まれた立地の大学が有利であるという考え方が、
正解に近いように思われます。
また、女子学生の割合が大きい大学には不利になっているようです。
単科大を入れた大学ランキングトップ50にも、
お茶の水女子大のような難関大も含めて、女子大は一つもランクインできていません。
理系が強いことは、武蔵工業大や芝浦工業大が、
東京外大や同志社大などよりも上位に来ていることにも示されています。
それが理系に特有の強みの影響なのか、
それとも女子学生が少ないことが結果として理系に有利に働いているのか、
判断は難しいところです。

また、転職支援サービスを行っているDODAが作成したランキングであることも、
ランキングに影響を与えているのではないでしょうか。
私立薬科大が上位にランクインしやすい状況を見ると、
高給であるMRの転職者の存在が有利に働いていると判断できるかもしれません。
私立薬科大卒の方が研究職として採用されることは、
あまり多くないと考えられます。

様々な事情が影響を与えていると思われますが、
データとしては参考になるランキングなので、
気になる方はじっくり見てみると面白い発見があるかもしれません。

ところで、このランキングは総合大のみとしているようなのですが、
東工大や東京外大は単科大扱いで、一橋大は総合大扱いとなっているのは、
少し不思議な気がしますね。

DODA 出身大学別年収ランキング

コメントに対しての追記

①東工大>京大
②東北>名大
③名大>阪大
①~③について,このような結果になる理由をどう考えますか?

①は比較的説明しやすいように思われます。
東工大の平均年収についてはこの記事では触れていませんでしたが、
696万円であるとされています。これは京大よりも高いです。
しかし、東工大には文系学部が存在しないという分かりやすい特徴があるので、
京大よりも東工大が上になる理由としては、
人文系学部などによって平均年収が下がらないからというものが、
ある程度もっともらしく聞こえるのではないでしょうか。
個人的には、一橋大が京大を上回っている点のほうが説明し難いように思われます。
京大と比べて、経済的に恵まれた立地というであるという点は単純な相違点ですが。
一橋大も京大を上回ってしまっているために、
東工大が京大を上回っている理由も理系の割合が大きいこと以外にある可能性が、
示唆されています。

③については、不等号が成り立つだけの差であるのか微妙であると思います。
阪大の600万に対して名大は599万ですが、
600万は599万の約1.002倍です。
例えば、171.0の1.002倍は171.342ですが、
阪大生の平均身長が171.342cmで名大生の平均身長が171.0cmだったとして、
その差を生んだ理由を考えるというのはかなり微妙な問題であるように思われます。
しかし、阪大の受験偏差値や大阪という立地、薬学部の存在を高く評価し、
何故阪大が名大と同程度であるのかという考え方なのであれば、
それに対する答えは難しいです。
単純に思い浮かぶ答えとしては、
京大の近隣に位置する大阪大よりも、
名古屋大のほうが地元で優遇されやすいのではないかというものがありますが、
あまり説得力がありませんね。

②については、薬学部の有無という差異が、
ある程度もっともらしくその差を説明してくれるのではないでしょうか。
研究開発職であれ、MRであれ薬学部卒の年収は高いです。
岐阜薬科大学が東大よりも上の年収になっているランキングですし、
やはり薬学部の有無という点は大きな影響を与えるはずです。
学部学生数9893人の名古屋大に、
京都薬科大と同じ815万という平均年収である、
東北大と同じ360人という規模の薬学部が加わるとすると、
(9893×600+360×815)÷(9893+360)≒607.5となり、
7万円ほど全体の平均年収が上がります。
薬学部卒の平均年収を1000万とすると、大学全体の平均が614万になります。

厳密さに欠ける説明かもしれませんが、
考え方の一つとして参考にして頂ければ幸いです。