セルゲイ・タネーエフ(Taneev, 1856-1915)は優れた教師であり、19世紀後半に生まれたロシア人の作曲家の生涯に「モスクワ音楽院でタネーエフに師事」と書かれることが多いが(筆者も最初はそれで知った)、自身も優れた作曲家であった。

前奏曲とフーガ 嬰ト短調 Op.29 は、題名が表すとおりに偉大なポリフォニーの先達への尊敬が込められている。しばしばロシア的でないと言われるが、私には特に前半の前奏曲の部分の繊細さがやはりロシアの憂愁を謡っているように思う。

この曲は、リーリャ・ジルベルシュテインのCDで初めて聴いた。当時、天下のドイツ・グラモフォンのアーチストであった彼女が出したCDであり、買った人も多いと思うが(カップリングは展覧会の絵)、少なくともこの曲は全く話題にならなかった。

現在は廉価盤になって再発されている。

ムソルグスキー:展覧会の絵 [LIMITED EDITION]


タネーエフ

最近では、同じくロシアが生んだ名ピアニスト、ミハイル・プレトニョフがタネーエフの作品を積極的に録音しており、「タネーエフ・ルネッサンス」が来る日も近いのではないかと密かに願っている。

「タニェエフ」や「タニェーエフ」という表記もありますが、最も一般的だと思われる「タネーエフ」を用います。
ローマ・アルファベットの方は、キリル文字を逐語的ににすると「Taneev」になります。でも、「Taneyev」の方が一般的なようですね。

タネーエフ