チュルリョーニス(Čiurlionis, 1875-1911)はバルト海に面した小国リトアニアの国民的英雄である。作曲家としてだけでなく、画家としても活躍し、10年ほど前には池袋にあったセゾン美術館で展覧会が開かれた事もある。その時はまだこの作曲家を知らなくて観に行かなかったのだが、後で神田の古書店街で図録を買うことが出来た。

読んでみると丁度同時代に活躍したモスクワのスクリャービンとは接点が無かったように書かれていたが、それは俄かには信じがたい。作風の近似もさることながら(とはいえチュルリョーニスは過激ではないが)、当時リトアニアの高名な詩人バルトルシャイティス(1873-1944)がスクリャービン家のサロンに出入りしているのに、彼と親交のあったチュルリョーニスの話が出なかったのだろうか?

チュルリョーニスの音楽・絵画は、素朴でその地の民謡や紋様ではないのかと思う時もあるが、そこから発展して形而上的な宇宙観を表しているものもある。そして、何よりも不思議な感覚を与える。今まで、世界のどこに涙を流す山を描いた画家がいたのか。

夜想曲(Noctiurnas)嬰へ短調 Op.4-1 (VL178) は、静かに悲しみを湛えた音楽で、前期の代表作である。小さな国の作曲家が書いた大きな宇宙をしっかり聴いてほしい。そして、リトアニアという国を知ってください。


Ciurlionis: The Complete Piano Music, Vol. 1

このCDのジャケットに描かれた絵はチュルリョーニスのものです。

試聴リンク
トラック7

チュルリョーニス

「チュルリョーニス」の綴りは、リトアニア語の文字を正確に書けないので、「Ciurlionis」と表します。正確には最初の「C」の字の上に小さな「v」字形の記号が乗っかります。リトアニアは旧ソ連邦を構成する国でしたが、キリル文字(ロシア・アルファベット)ではなく、リトアニア語特有の文字はあるものの、基本的にはポーランドと同じようにローマ・アルファベットを使っています。宗教も大部分のリトアニア人がローマ・カトリックを信仰しています。

さらに追記(9月25日)
書けるようになりました。特殊文字のコードを使っています。大文字が「#268」、小文字が「#269」となるようです。

またまた追記(2006年9月)
この曲のMIDIを作りました。
チュルリョーニス/夜想曲 嬰へ短調 Op.4-1 (VL178)