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Piotr Anderszewski
ネット黎明期の1995年から開設され、多くの人々がブックマークしてきた「クラシック界のヤフー」こと飯尾洋一さんの「CLASSICA」の記事から。

ある気鋭のピアニストの不運

ポーランドが生んだ偉大なピアニスト、アンデルシェフスキの表記がバラバラであることを憂えている。検索エンジンによって、キーワードさえ正しければ何でも情報が出てくる時代になったが、その反面、一歩間違うと、何も出てこないという事態も有り得るのか。

確かに、ポーランド語は難しい。昔、ワルシャワに行く前に短期間だけポーランド人の先生に言葉を習ったが、そこで得た最大の財産は「ポーランド語は難しい」という実感だった。

例を出すと、どうしても、Szymanowski が「シマノフスキ」に聞こえない。先生の発音は「シェマノフスキ」に聞こえた。ポーランドで何人かに訊ねてもやはり「シェマ〜」だった。それ以前の問題だが、初版のクラシック音楽作品名辞典では「シマノスキ」だった(これホント)。

確かに飯尾さんの言うように、「日本語として取り込みやすくて、かつ広く使われている表記がいい」し、営業という視点はプロである以上重要だが、「原語に近いカナ表記を心がける必要などまったくない」という一文にはやや引っ掛かる(飯尾さん、ごめんなさい)。とはいえ、ひとことで「原語に近いカナ表記」と言っても、色々なものを指すので、恐らくは飯尾さんと私の見解はそれほど違わないのだと思う(そう信じたい)。

(12月19日追記:最初に書き始めた時から時間が経過して、今ではそれほど違わないと思っています。飯尾さんと私では置かれている社会的な責任と境遇が全く違いますが、共に表記については思いを巡らしているということでは同じです。うまく表現できずにすみません。)

カナ表記にも様々な「派閥」がある。例えば、逐字派(アルファベット一字一字をカナに置き換える、Vietnam をヴィエトナムなど)と音長派(音の長さを重視し適度に字を省く、knowledge をナレッジなど)の違い。慣用派(日本社会での受け入れを尊重する、Wagner をワーグナーなど)と現地派(現地の人の発音を重視する)、文字派(書いてある文字を尊重しカナから文字を類推しやすくする)の違い。英米派(意図的であるかどうかはともかく英語の読み方で読む)なんてのもある。言語学(?)に詳しくないので、適当な分類です。

Anderszewskiマーツァル」の時にも思ったのだが、原語を尊重するというのは、そのアーチストの母国語や生まれた国を尊重することだと思っているので、個人的には経済性だけで選び取ることには躊躇してしまう。でも、売れるかどうかもアーチストにとって重要なことだから、悩むなぁ・・・。

それでは、一つ一つ見てみよう。
アンデジェフスキ・・・子音が母音と結びついて長くなりやすいカナ表記を考慮したのだろうか? 他にも「ジェ〜」が多く見えるが、「z」の文字に引きずられたか。
アンデルジェフスキ・・・上記に「ル」が付いた形。結構多い。
アンデルジェフスキー・・・さらに語尾が伸びた。通常日本におけるポーランド人の人名表記では伸ばさない場合が多いが、本当は伸ばす方が正しいという見解もある。ただ、それが長音記号を入れるほどかどうかについては議論の余地がある。私の経験から言うと、長音記号が入るほどには聞こえなかった。ただ、消え入りそうな音で伸びていると言われれば、そうかも知れないが。
アンデジェフスキー・・・一番目の「長語尾」版。一字一字発音に反映させた方がいいのか、それとも多少省略したほうがそれらしく聴こえるか、難しい所。
アンデルシェフスキ・・・「sz」を「シュ」と読む系統。「ジェ〜」という発音が多いのは、「sz」が馴染み深い英語・仏語では見慣れない文字列だからだろう。
アンデルシェフスキー・・・上記の「長語尾」版。


私自身は「アンデルシェフスキ」を選ぶのが尤も妥当だと思うのだが、勿論、錯誤もあるだろうし、完璧なカナ表記が出来るわけも無いので、他の表記も尊重しなければならない。もしかしたら、近未来にはこれも間違いだと笑われるのかも知れない。

こちらは、音楽評論家渡辺和さんのブログ「やくぺん先生うわの空」の記事。
同じ問題を扱っています。

「ゴリジョフ」は俺のことかと…

ドイツ・グラモフォンは確かに偉大なレーベルだけど、その昔、プレトニョフが初めて同レーベルに登場した時に「プレトニェフ」って書いてたんだよな・・・すぐ直したけど。

アンデルシェフスキのファンの方のブログ