田代慎之介
田代慎之介(Tashiro, 1960- )リサイタルが近づいてきた。

8月25日に札幌コンサートホール Kitara(キタラ)で、
9月1日に東京文化会館で開かれる。


田代慎之介のピアノ室



 <プログラム>

バッハ(ブゾーニ編曲) :  コラール前奏曲「来たれ、異教徒の救い主よ」BWV.659
ベルク           :  ソナタ op.1
ベートーヴェン      :  ピアノソナタ 第32番 ハ短調 op.111
バルトーク        :  10のやさしい小品 より、No.5「田舎の夕暮れ」
                             No.10「熊の踊り」
               :  民謡による3つのロンド Sz.84
ブラームス        :  パガニーニの主題による変奏曲 op.35


今回は、三大Bを中心に据えたプログラムであるとともに、鍵盤音楽の歴史も分かるような仕掛けになっている。
18世紀のバッハ。19世紀前半のベートーヴェンと、後半のブラームス。20世紀前半のベルクとバルトーク。




アントン・ルビンシテイン

聴衆に対して専門家が音楽の歴史を実感できるように示唆することは、リサイタルの選曲の意義の一つだと思う。これは、レコードを個人的に掛けていたのでは絶対に分からないことだ。

アントン・ルビンシテイン(Anton Rubinstein, 1829-1894)が19世紀後半のペテルブルクで、当時までに知られていた鍵盤音楽を七回の連続演奏会にかけた(今回のベートーヴェンの最後のソナタもその時に採り上げられた)。





ソフロニツキー


同じレニングラードの街で、ヴラジーミル・ソフロニツキー(Sofronitsky, 1901-1961)も、第二次大戦前夜に十二回の演奏会でブクステフーデ(Buxtehude, 1637-1707)から当時三十になったばかりのショスタコーヴィチ(Shostakovich, 1906-1975)までの歴史を聴覚に訴えた。



移り変わりの激しい、そして聴衆が飽きっぽくなってしまった現代では、このような音の一大絵巻を観ることはできないが、一夜に凝縮されたこのプログラムで充分に味わおうと思っている。

4121013700バルトーク―民謡を「発見」した辺境の作曲家 (中公新書)
中央公論社 1997-07

by G-Tools




三大Bは、大指揮者ハンス・フォン・ビューロー(von Bülow, 1830-1894)の言葉で、ドイツ音楽の「古典」を作曲した三人の偉大な作曲家(ブラームスは当時まだ生きていた)を纏めた言葉だが、同じ用語でブラームスの代わりに、バルトークを入れるものもある。

それを初めて聞いた時、私は憤慨したが、意図を知ればまだ納得できる。三人の作曲家は全て中欧(概ね現在のドイツからポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、オーストリアまで)の音楽を纏めあげ、そこから後世に残るべき芸術として発表している。勿論、ブラームスだって、そうだ。


つまり、三大Bとバルトークには、ドイツ音楽の歴史のみならず、中欧のそれを聴くことが出来る。


ハンガリーのリスト音楽院に留学した田代がどう聴かせてくれるか楽しみにしている。





田代慎之介の真摯な情熱




CDが発売されると聞いたので、それも楽しみ。
バルトーク集1

これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。