常行堂

先月、平泉の毛越寺で摩多羅神が奥殿に祀られている常行堂に参拝した。ちなみに写真に写っているご本尊は宝冠阿弥陀如来である。



摩多羅神(またらじん)という神はどこから来たのか、よく分かっていないのだと言う。


伝承によると、毛越寺を開いた慈覚大師円仁(En'nin, 794-864)が唐から帰る船の中でその声を聞いたとあり、それが始まりのようである。

ウィキペディア「摩多羅神」
『渓嵐拾葉集』第39「常行堂摩多羅神の事」では、天台宗の円仁が中国(唐)で五台山の引声念仏を相伝し、帰国する際に船中で虚空から摩多羅神の声が聞こえて感得、比叡山に常行堂を建立して勧請し、常行三昧を始修して阿弥陀信仰を始めたと記されている。



ミトラその名を聞いた時、語感からミトラが頭に浮かんだ。

ミトラは広くインドからペルシャの神話や、ゾロアスター教にも登場する契約や光明の神で、その後――といってもローマ時代だが――ローマ帝国においてミトラを崇める宗教ミトラ教が発展した。かなり広く信仰されていたようであり、その証にキリストの誕生日を知らなかった初期キリスト教徒たちが、ミトラ神の誕生日である12月25日に、こっそりとキリストの誕生日を祝うことにしたくらい信仰されていた。ミトラ教徒のお祭りに合わせていれば、当局の弾圧を気にする必要がなかったのである。

やがてミトラ教は廃れ、人々の記憶から消えていき、クリスマスだけが12月25日に残った。


手持ちが無く未だに入手していないが、京都造形芸術大学の渡辺豊和教授(Watanabe, 1938- )が「扶桑国王蘇我一族の真実―飛鳥ゾロアスター教伝来秘史」を著している。同じ大学で教えていらっしゃるgintacatさん(1958- )のブログから知った。

法隆寺再建の謎

4404031955扶桑国王蘇我一族の真実―飛鳥ゾロアスター教伝来秘史
新人物往来社 2004-06

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そのことが頭の中に入っていたので、すんなりとミトラを思い浮かべられたのかもしれない。




弥勒菩薩(広隆寺)

東に目を転じれば、ミトラはマイトレーヤとして仏教に入った。我々に馴染み深いお名前では、弥勒菩薩になる。


この有名な弥勒菩薩像があるのは、秦氏の菩提寺である京都の広隆寺で、渡来人秦氏は弥勒菩薩と縁が深いらしいが、摩多羅神はこの古刹の牛祭に登場する。筆者も最初は半信半疑だったのだが、もしかしたら繋がっているのだろうか。




4309224946闇の摩多羅神
河出書房新社 2008-11-19

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