もう一週間以上経ってしまったが、田代慎之介のリストに圧倒されて、何を書こうかずっと考えていた。

前半最後のスペイン狂詩曲(Rhapsodie espagnole)S.254 と、プログラム最後のソナタに、それぞれ圧倒されて言葉が出なかった。
そのため、演奏会が終わって何も言葉を発することなく、つまり誰にも挨拶しないで上野駅の電車に飛び乗ってしまった。

ソナタに感銘を受けることはある程度自分の中で想像できたので、心の中で準備が出来ていたが、スペイン狂詩曲のようなタイプの音楽に自分が感銘することは無いと思っていたので、自分自身に対して狼狽した。


そして、震災後、クラシック音楽が何を与えてくれるのか、あるいは伝統音楽として直接的にクラシック音楽を受け継いでいるわけでない日本人がクラシック音楽から何を受け取れるのだろうかという問いに、一つの回答を与えてもらえたような気がした。

それは、意志の強い力を信じることである。

底知れない自然の威力に畏敬の念を持つと同時に、復興への強い意志を持つことである。


日本の風土から遠く離れた西洋で生まれたクラシックは、人間の意志が強く書き留められた音楽であると思う。勿論、そんな間単に類型化することはできないが、ある程度には言えると思う。


音楽には、言葉ではあらわすことのできない何か底知れない力がある。
田代以外にも、音楽の力で、皆を力づけようとしている演奏家が日本には数多くいる。

そのことをとても嬉しく思うし、そんな彼らを私は誇りに思う。



B005IMG93Cリスト ピアノ作品選集
田代慎之介
ALM RECORDS 2011-09-07

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