かつて池ノ上にあり、いまは同じ世田谷区の若林にある古書店「十二月文庫」の店主を務めた田之上知子さんが、昨年(2017年)お亡くなりになっていたことを知りました。ご冥福をお祈りします。



初めて十二月文庫を訪れたのはいつだったのだろう。記憶にない。だが、その日のことは今でもよく憶えている。たしか寒い日で、入り口近くの書棚を見ていると、店の奥の方から若い女性が田之上さんに話しているのが聴こえてきた。棚には面白そうな本が多かったので最初は気にも留めなかったのだが、何しろ狭い店内なので、余程ヒソヒソ話でもない限り、容易に聴こえてしまう。どうやら就職の相談のようだった。


その女性は、たしかスペイン語だったか、ポルトガル語だったかの語学が出来るが、それを生かす就職先が見つからないと田之上さんに話していた。今だったら、そんなお節介はしないが、三十代そこそこで、まだ他人の相談に乗れるだけの余裕があった当時の私は、横から「地方公共団体に就職してみるのはどうか」と言ってみた。


南米からの出稼ぎ労働者が増えている時代で、彼らの話す言語を理解する自治体職員が必要とされている時代だったので、そう提案してみたのだが、あまり彼女は気乗りしない様子だった。まぁ、そうだろう。それでも、一応、自治体職員のやりがいみたいなものを話してみた。


そのうち田之上さんが「どうぞ」とコーヒーを出してくれて、一杯ご馳走してくれた。それ以来、何度か足を運んで、時には妻と一緒に行くこともあった。


まだ書き足りないことがあるのですが、それは後日書きます。





十二月文庫でたくさん聴いた曲の中から、印象に残った曲を紹介します。このレコードがかけられたとき、私が間違えて「ショーソンだ!」と言ってしまい、田之上さんから「フランクです(笑)」と笑われた曲。