知られざる佳曲

   一. クラシックを中心とした音楽が好きです。
   二. 素人ですが、著作権や著作権法について考えたり、情報検索について書いたりしています。
   三. アマゾンの深層webや物流に関心があります。

タグ:ロシア

bortki_flyer_F




19世紀後半のロシア帝国。ラフマニノフ、スクリャービン、メトネルといったピアノを中心とするクラシック音楽の世界に大きな足跡を残した作曲家たちが生を享けていた頃。

大きな帝国の少し南の方、現在はウクライナ領になっているハリコフで一人の作曲家が生まれていた。

これが「もう一人のラフマニノフ」ことボルトキエヴィチ(Bortkiewicz, 1877-1952)である。


「未体験音楽をあなたに」を標榜して2013年に設立されたJK arts(ジェイケイ・アーツ)が、彼の生誕140周年を記念して、二つのコンサートを開催する。

まず、銀座のヤマハホールで開かれる四人の女性ピアニストによる「生誕140周年記念コンサート」を紹介します。


bortki_flyer_B




詳しい説明は添付したフライヤーに譲るが、石岡千弘、岩本きよら、上野優子、ナデジダ・ヴラエヴァの四名(アイウエオ順)。筆者は初来日となるはずのヴラエヴァだけは聴いたことがないが、他の三名は折り紙を付けて推薦できる腕前を持ったピアニストたちである。



ボルトキエヴィチ生誕140周年記念コンサート

2017年11月15日(水)  19:00開演 (18:30開場)
会場 ヤマハホール

コンサートの概要(ジェイケイ・アーツ内のページ)

チケット購入のページ(カンフェッティ内のページ)


音楽と一緒に出演者のメッセージが公開されているので、順番に紹介します。




石岡千弘ビデオメッセージ





岩本きよらビデオメッセージ





上野優子ビデオメッセージ





ナデジダ・ヴラエヴァ ビデオメッセージ



今からとても楽しみ。




by カエレバ



出ているCDは少ないけど、どれも素晴らしいので、見つければ必ず買う作曲家がいる。ゲオルギー・カトワール(Catoire, 1861-1926)はそんな作曲家の一人だ。

ソプラノとピアノのための歌曲集が出たので、早速買ってみた。「声楽とピアノのための詩曲集」と題されているだけあって、どの曲も詩のように重さを持たず、繊細というか、ともすると線が細すぎるかもしれないが、高雅で美しい。

今までに出たピアノ曲や室内楽曲のCDでも同様のことを感じたので、彼の線の細さは独特のものなのだろう。好き嫌いの分かれるところではあろうが、気に入る人はきっとそれなりにいるはずだ。



どうしてこれらの曲が今まで(少なくとも西側では)CDにならなかったのだろう? 勿論、「ロシア語」という最大の障壁はあるものの、それでも不思議だと思えるくらいに、素晴らしかった。



歌曲の試聴音源はどうしても見つからなかったので、
代わりに彼のピアノ三重奏曲 ヘ短調 Op.14 を聴いてみてください。






他にもYouTubeには沢山の彼の音楽がある。「Catoire」と検索してみてほしい。



上記CDでピアノを担当するモスクワ生まれのアンナ・ザッシモヴァ(Zassimova, 1976- )は、この独Antes Editionレーベル以外に、独CPOレーベルなどでもカトワール作品をリリースしている。




by カエレバ








チャイコフスキー

宮崎朋菜が来月、東京でチャイコフスキーの「四季」を弾く。


宮崎朋菜ホームページ






宮崎はイグームノフ(Игумнов/Igumnov, 1873-1948)の孫弟子に当たる。
イグームノフは、ズヴェーレフ(Зверев/Zverev, 1832-1893)の弟子に当たり、さかのぼればモーツァルトまで(!)行き着く流派に属している。

映画「ラフマニノフ愛の調べ」でもあったように、チャイコフスキーはズヴェーレフと親交があり、たびたびズヴェーレフ邸を訪れていた。

ちなみにその頃、ズヴェーレフ門下にはスクリャービンとラフマニノフがいて、一緒に学んでいた。

スクリャービン(前列左端)とラフマニノフ(後列右から二人目)










B001T0FGHMラフマニノフ ある愛の調べ [DVD]
ポニーキャニオン 2009-05-29

by G-Tools




正確には、宮あおいさんと同じく、「宮朋菜」さんですが、検索に引っかからないといけないので、「宮崎朋菜」と表記します。

B000TZPOLQHounds of Ecstasy ~スクリャービン歴史的録音集Vol.1 ロシアピアニズム編~
イグームノフ オムニバス(クラシック)
ディウ 2007-09-21

by G-Tools



ブログネタ
フィギュアスケート に参加中!


今年もフィギュアスケートの季節がやってきた。

その中で、良い曲、気になった曲を紹介したい。

まずは、ロシアのセルゲイ・ボロノフ選手(Воронов, 1987- )がフランス大会ショートプログラムで舞ったスクリャービンのエチュード嬰ニ短調 op.8-12「悲愴」を。

YouTubeでスクリャービンの「悲愴」を聴く


この曲のみならず、スクリャービンの曲がスケートに使われているのを初めて聴いた。彼の音楽院の同期であるラフマニノフはピアノ協奏曲第2番や、今シーズンの浅田真央選手の前奏曲「鐘」など、聴かない大会は無いくらいだが、いつかラフマニノフに追いつく日も来るだろうか。

残念なことに、映像のキャプションが「Revolution Etude by F. Chopin (ショパン:革命のエチュード)」になっているが、間違えてショパンを買わないように。


by カエレバ






ロストロポーヴィチ
ゴリデンヴェイゼル(Гольденвейзер, 1875-1961)の名は、ロシア出身のピアニストの略歴を見ていると必ずと言っていいほど名教師として登場する。


教師は現代から見た結果であり、次にロシアの作曲家たちの伝記を読むと、今度は同時代人としての彼のピアニスト、作曲家としての姿が見えてくる。


また、文豪レフ・トルストイ(Лев Толстой, 1828-1910)と親しく、彼が家を出るとそれに従い、最期を看取った。

トルストイはこのペンで、生涯で最後の言葉を、一九一〇年にアスタポヴォの小さな鉄道駅で横たわりながら、死を目前に書いた。この日、十一月六日の寒い朝に、その場所で窓を開けて、戸外に静かに集まっていた人々に、「レフ・ニコラエヴィッチ・トルストイが、たった今、亡くなりました」と告げたのがゴリデンヴェイゼルだった。

ドミトリ・パパーノ「回想・モスクワの音楽家たち」音楽之友社、2003年、156頁

4276217911回想・モスクワの音楽家たち
高久 暁; 原 明美
音楽之友社 2003-10-01

by G-Tools


後に、「トルストイの傍らで(Вблизи Толстого)」という回想録も残している。



19世紀末、ロシア銀の時代の作曲家の多くがそうであるように、ピアノ曲を多く残している彼であるが、今回は、ピアノ三重奏曲 ホ短調 Op.31 を採り上げることにしたい。

"一楽章形式の主題と変奏"と説明が加えられたこの大作は、チャイコフスキー(Tchaikovsky, 1840-1893)の同じ編成の名作、とりわけ同じように長大である第二楽章をイメージさせるものになっている。

まず、ピアノの独白があり、ヴァイオリンがそれに続き、チェロが応答するこの作品は、チャイコフスキーと同様に、亡き人を偲ぶために作られたものであるがゆえに、叙情と回想に彩られた変奏が続く。故人との間の様々な想い出とエピソードが散りばめられた変奏は、聴いていて全く冗長さを感じさせない。


B000006BB8Goldenweiser: Piano Trio in Em Op31; Catoire: Piano Trio in Fm Op14
Mstislav Rostropovich
Russian Revelation 1998-04-21

by G-Tools



当ブログがいつもお世話になっている高橋健一郎札幌大学准教授も指摘するように、ロシアには、親しい人を偲ぶための作品としてピアノ三重奏曲を書くという伝統が確立している。

ニコライ・ルビンシテインのためにチャイコフスキーが書き、
ダヴィドフのためにアレンスキーが、
チャイコフスキーのためにラフマニノフが書き残した。



この曲は、ラフマニノフの想い出に捧げられている。







続きを読む

ブログネタ
クラシック に参加中!
Catoire
最近、カトワール(Catoire, 1861-1926)の音楽を夢中で聴いている。アムラン(Hamelin, 1961- )の弾くピアノ曲集が一時期我が家の棚の中で埃を被っていたことを思えば、今の自分がこんなに聴いているのが信じられない。


カトワールの良さを私に教えてくれたのは国立スクリャービン研究会を主宰する山下真悟というピアニストだった。彼の弾く瞑想(Op.12-2)は、私のゲオルギー・リヴォヴィチ(・カトワール)に対する評価を一変させた。

ロシアの有名、無名ピアノ曲選集「TOCKA(タスカー)」

それから、アムランの盤も繰り返し聴くようになった。

Georgy Catoire: Piano Music
Georgy Catoire: Piano Music


カトワールの繊細な音の世界は、今まで無視されていたのではなく、単に気が付かれなかっただけなのだ。

ピアノ曲だけでなく、室内楽に聴き進んでますますその思いが強まった。ソ連の巨匠オイストラフ(Oistrakh, 1908-1974)が同じくロシア・ソ連の伝説的なピアノ教師・ピアニストのゴリデンヴェイゼル(Goldenveizer, 1875-1961)と組んだヴァイオリン・ソナタ集が残っていて、繊細でかつ伸びやかな音楽が今も楽しめる。

David Oistrakh Collection Vol.5
David Oistrakh Collection Vol.5

依然として無名な作曲家だが、最近話題となった6枚組み「ロシア室内楽の至宝」ボックスの中にも、ショスタコーヴィチ、タネーエフ、アレンスキーらの影に隠れず、カトワールがしっかり2枚分収録されていることは特筆したいと思う。レーベルはご存知ボックス物の雄、オランダのブリリアント(Brilliant Classics)である。
ヴァイオリン・ソナタ第2番「詩曲」Op.20
弦楽四重奏曲 Op.23
弦楽五重奏曲 Op.16
ピアノ四重奏曲 Op.31

ロシア室内楽曲集(6枚組)
ロシア室内楽曲集(6枚組)

弦楽四重奏曲について作曲家・音楽評論家の玉木宏樹氏(Tamaki, 1943- )が自身のブログ「日記的雑記帳」に短いが的を得た評価を書いている。
原稿書きながら聴いたCD

弦楽四重奏曲、これは驚いた。シェーンベルクの「浄夜」の気分に非常に似ている。


最近、少しずつカトワールが再評価されているようで嬉しい。CDが一枚一枚増えているのもその証拠だろう。冒頭にジャケットを出したツァック兄弟(Zack)の一枚も今年になってからリリースされたものである。

Catoire: Complete Works for Violin and Piano; Ravel: Pièce en forme de Habanera; Tzigane
Catoire: Complete Works for Violin and Piano; Ravel: Pièce en forme de Habanera; Tzigane


ようやくYouTube にもカトワールの音源が現れたので、是非聴いてみてください。詩曲ソナタ Op.20 です。



他のCDも採り上げたいので、この続きは、また書きます。



ミュラー・カトワール

といっても、こういうものではありませんので、ワイン好きの方にはごめんなさい。

ブログネタ
クラシック に参加中!
アーニャとミトン
高橋先生が紹介されている「ミトン(Varezhka)」がすっかり気に入ってしまった。

ロシアブーム到来?

子犬が飼いたい女の子の話。暖かく、機知に飛んで、それでいて幻想的な作品で、ホロリときてしまう。高橋先生の研究室には「おすわりミトン」もいて、これが結構似ているので、来年は流行るのではないかと思う。


名匠ロマン・カチャーノフ(Kachanov, 1921-93)監督は一連のチェブラーシカ作品のメガホンもとっている。

あまり重くなるといけないので今回はリンクだけに留めるが、YouTube で観ることができた。

ミトン(YouTube)

4309266983ミトン フィルムブック
ミトン制作委員会
河出書房新社 2003-11-23

by G-Tools


21世紀はキャラクターなどのコンテンツ産業の時代だと言われる。ロシアは天然ガスや鉱物資源だけでなく、パペットアニメによって豊かになるのかも知れない。

4309266746ミトン
ジャンナ・ジー ヴィッテンゾン Janna Z Vittenzon Leonid Shvartsman
河出書房新社 2003-09

by G-Tools




B00016OYLOミトン
ロマン・カチャーノフ
ジェネオン エンタテインメント 2004-07-23

by G-Tools



クラシック - livedoor Blog 共通テーマ

ブログネタ
クラシック に参加中!
Tchaikovsky
チャイコフスキー(Tchaikovsky, 1840-1893)のピアノ曲「熱い告白(Aveu passioné)」のMIDIを作りました。もう二年も前に紹介した曲です。

知られざるMIDI

その時の記事:チャイコフスキー/熱い告白(1892)

よくチャイコフスキーの他のジャンルの曲と比べて、ピアノ曲は詰らないという意見を耳にするが、それは詰らない曲を聴いているというより、熱意の籠められていない演奏を聴いているからだと思う。少しマイナーな部類のチャイコフスキーの曲は途端にCDが見付からなくなる。有名曲なら誰もが知っているのに。

そうした演奏者の少ない曲は、参考にするものが少ないだけに気を付ける必要がある。という訳で、参考にするものが少ない私のMIDIも注意してください(苦笑)。


だから、CDもお薦めしておきます。
チャイコフスキー:「四季」/瞑想曲 他


クラシック - livedoor Blog 共通テーマ


続きを読む

ブログネタ
クラシック に参加中!
Korzukhin
最近、MIDIをなかなか紹介できなくて、すみません。
ラスコフスキーの「おばあさんのお話(Old Woman's Tale)」Op.33 を聴いてください。

MIDIファイルは以下のページにあります。
知られざるMIDI

おばあさんはどんな話を聞かせてくれるのだろう? その土地に伝わる英雄の冒険譚だろうか。それとも、自分が若かった頃の話だろうか。だらだらと自分の感想を書く愚は避けたいのですが、この曲を聴くと、いつも遠い日のことを思い出します。多分、多くの方にはどうってことない曲だと思いますが、個人的にはグッと泣けてくる曲です。

CDは今のところ、BRIOSO レーベルから出ているポターニナ盤しかないようです。楽譜は世界大音楽全集・ロシアピアノ曲集1(音楽之友社)から。


クラシック - livedoor Blog 共通テーマ

続きを読む

ブログネタ
クラシック に参加中!

二年生のピアノ曲集

楽譜でしか出会えない音楽というものもある。例えば、ここに挙げた大作曲家の残した子供のための小品集。ゲディケ(ゲジケ)、ミャスコフスキー、リャプノフ、アナトリー・アレクサンドロフ、カバレフスキー、グレチャニノフ、エレーナ・グネーシナ(グネーシン音楽学校の創設者)、そしてチャイコフスキー・・・といった大作曲家の作品だが、CDで聴いたことがない。


題名も今はなき「ソ連児童音楽学校」で、20世紀の残照が感じられる。

もっとも子供用の作品を収めた楽譜ではあるのだが、案外、掘り出し物が出てくる予感が・・・

続きを読む

このページのトップヘ