私が住宅会社の第一線で働いていた時、新規に家を建てたいという方は 圧倒的に30~40歳台が多かった。 つまり、マンションに住んでいるが最初の子供が生まれたとか、下の子供が生まれたので、今のうちにローンを組んで家を建てたいという人がほとんど。
なかには、現在は社宅に入っているので心配はないが、子供が持病を持っているので、なんとか車イスで生活出来る家を建てたい‥‥というような相談もかなりの比重を占めた。
そして、私がツーバイフォー工法に明るく、構造図やダクト図も書け、現場にも明るいということを知っていた多くの消費者は、地震に強く、防火性が高く、花粉対策も万全。 その上で、高気密・高断熱住宅のセントラル空調・換気システムを選択。
文字通り高気密・高断熱のモデルハウスを建てていたのだが、営業マンでは 細部まで納得できる説明が出来ない。 そこで呼び出されてお客と面談し、予算と希望を聞いて、基本プラン、構造プラン、配ダクト図を作成した。
しかしごく最近、子育てが終わった60歳台の夫婦にお会いして、住宅に対する要望が 大きく変化しているいることを知り、都内なのに強引に平屋建てを奨めたことがある。


そういって経緯があったので、この著の題名が気に入った。
つまり、最初から全資金を投入して完璧な家を造るという発想を捨て、子供が独立するなどの変化に対応して、住宅を変化させることを大前提にすべき。
今までの考えは、径年変化に伴い 住宅をメンテナンスしたり、リフォームをしたりしてきた。
ところが最近は、リノベーションという言葉がもてはやされている。 これはいままでのリフォームとは全く異なる概念と考えるべき。
つまり、いきなり完成した住宅を求めるのではなく、長い年月をかけて住宅を変化させてゆき、それぞれの家族構成や年代によって、相応しい完成度を求めてゆく。
それには、住宅建築に伴う基本的てなことを勉強し、設計の段階から積極的に参加して意見を述べるだけでなく、「共創」 という意識を持つことが重要だと筆者は説いている。
と同時に、工事はすべて工務店にお任せするという発想ではなく、ちょっとした大工工事や塗装工事などは、日曜大工店へ行ってどんな資材が売られているかを確かめ、ある程度のことは自分でトライをる心構えを持つ必要性も説いている。
つまり 「楽 (ら) く」 という言葉と、「楽しい」 という言葉は、漢字では同じ 「楽」 と書くが、全く意味が違う 「反意語」 だということを、知る必要があるという。


そして、家づくりの基本として求められるのは、「器」 としての頑丈さ。
まず、雨露をしっかり防いでくれることが第一の条件。 つぎは 地震や火災などの災害に対して100%というほど安全性があること。 なにしろ外敵から 「家族の命と財産」 を守ってくれる頑丈な器であることが絶対的条件。
そして、住宅は高気密・高断熱でなければならない。
断熱についてのは、多くの人々の意識は高まってきているが、高気密については 「息苦しい家」 だと、勘違している人が多すぎる。
また、「マンションは、1戸建ての家に比べて暖かい」 という印象を持っている人も多い。
コンクリート造のマンションは、木に比べて熱電動率は13倍以上も熱をよく通す。 きちんとした断熱材を施工した木造住宅だと、マンションの方が30倍以上も熱を逃がしている。
そのマンションが、「暖かい」 と感じられているのは、マンションの方がそこいらの一般木造よりも隙間が少ないから‥‥。
きちんとした換気がなされた 気密性の良い木造住宅は、決して息苦しくはなく、暖かいというのが現実。 この事実を捻じ曲げているのは、鉄骨プレハブメーカーなどの宣伝で一般消費者が惑わされているのと、住宅局が間違った表示をしているのが原因。


3階建の木造アパートなどについては、構造的な裏付けが求められているが、2階建ての木造住宅については、構造計算が義務づけられてはいない。 このため、そこいらの大工さんの建てる在来木軸では、疑問符がつく物件も少なくはない。
せめて金物工法であれば、それなりのチェックが入っていると考えてよい。 しかし、筆者は在来の木軸を推薦しているので、その点がやたらに気になった。
しかし、内外装の選択や部位ごとの記述については、筆者をほぼ信用して良い。