2017年01月04日

終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査に対応致しました

*:._.:*大分市萩原 宇野内科医院から医療情報を提供しています*:._.:*by 院長
宇野内科医院HP">http://unonaika.net


新年明けましておめでとうございます。
旧年中は皆様方に支えられ無事に一年間過ごす事ができました。
2017年も皆様方の期待に応えられるように頑張っていく所存であります。
どうぞ宜しくお願い致します。


さて今回健康情報として“睡眠時無呼吸症候群”についてお届け致します


この内容は昨年12月26日 大分FM「ハイカラ食堂」で放送させていただきました。
たまたま聴かれた方もいるのではないかと思いますが、どうでしょう?これまでに一度は聴かれた事ありますでしょうか?

いつもこの番組は月曜19時から放送なので時間帯が帰宅時間と一致するため結構車の中で聴いているようで、患者さんや、当院がお世話になっている方々など様々な反響があるようです。
LIVEなので結構緊張するのですが、終わった後の爽快感は格別なものがあります。せっかくFMで健康情報を流してもらえるのであれば役に立つ内容にしようと毎回心掛けています。

今回睡眠時無呼吸症候群(SAS)をテーマに選んだのは日常診療を通じて余りにも潜在的にこの疾患を持っている方が多いと感じているからです。それも自分では気が付いていないことも多く、謎の体調不良はこれだった!!なんて事はよくあることです。特に日頃診ている自分の患者さんは糖尿病、高血圧、脂質代謝異常、メタボリックシンドロームなど生活習慣病が多いのですが、生活習慣病の増悪因子や原因などを探るうちによく遭遇するのがこのSASなんです。

そんな背景からもう少し詳細にSASを検査したいという事で、昨年末当院で新たに睡眠時無呼吸の精密検査である終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査に対応できるようになりました。



これまでは家庭に検査機器を貸し出して行う睡眠時無呼吸簡易検査のみ当院では対応しておりました。簡易検査は主に口と鼻の気流、血中酸素飽和度だけ見ていましたが、今回導入したPSG検査では口と鼻の気流(空気の流れ) 血中酸素飽和度(SpO2)に加えて胸部・腹部の換気運動、筋電図、眼電図、脳波などから睡眠の状態も分析可能となりますまた心電図やいびきの音、睡眠時の姿勢 なども記録する事によって睡眠時無呼吸をより詳細に把握する事が可能になりました。検査は1泊2日で入院検査となります(個室完備しております)


という事で今回テーマ   睡眠時無呼吸症候群の基礎知識について(ここからは一部引用文用いています)

睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、眠っている間に呼吸が止まる病気です。
Sleep Apnea Syndromeの頭文字をとって、「SAS(サス)」とも言われます。
医学的には、10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸と診断されます。
寝ている間の無呼吸に私たちはなかなか気付くことができないために、検査・治療を受けていない多くの潜在患者がいると推計されています。
この病気が深刻なのは、寝ている間に生じる無呼吸が、起きているときの私たちの活動に様々な影響を及ぼすこと。気付かないうちに日常生活に様々なリスクが生じる可能性があるのです⇒糖尿病1.5倍、高血圧2倍、虚血性心疾患3倍、脳血管障害4倍、交通事故発生率7倍と言われています。

・日本人ではどれくらいの患者さんがいると推定されているか?
日本国内の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の潜在患者数についての報告は少なく、詳細は明らかになっていませんが、治療が必要な重症度の方に限定しても300万人以上と推計されています。
しかしながら、現在欧米や日本国内でもっとも普及している治療法であるCPAP療法でも治療者数は現在わずか20数万人程度と言われています。
SASは現代病 現代病と言われる所以は、私たちの生活環境、中でも食生活の変化
欧米的な高カロリー食により肥満が増えた事に関係しています。その他咀嚼回数の減少が顎の発達を妨げ、SASリスクを増大させていると考えられるのです。パッと喉を見てのどの奥まではっきり見える人はいいのですが、舌などで隠れて咽頭部が見えにくい人はリスクがあるかもしれません。

・自覚症状
本来、睡眠は日中活動した脳と身体を十分に休息させるためのもの。
その最中に呼吸停止が繰り返されることで、身体の中の酸素が減っていきます。すると、その酸素不足を補おうと、身体は心拍数を上げます。寝ている本人は気付いていなくても、寝ている間中脳や身体には大きな負担がかかっているわけです。脳も身体も断続的に覚醒した状態になるので、これでは休息どころではありません。その結果、強い眠気や倦怠感、集中力低下などが引き起こされ、日中の様々な活動に影響が生じてきます。


睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な症状をご紹介します。

寝ている間
いびきをかく、いびきが止まり、大きな呼吸とともに再びいびきをかきはじめる
呼吸が止まる、呼吸が乱れる、息苦しさを感じる、むせる、何度も目が覚める(お手洗いに起きる)
寝汗をかく

起きたとき
口が渇いている、頭が痛い、ズキズキする、熟睡感がない、すっきり起きられない、身体が重いと感じる

起きているとき
強い眠気がある、だるさ、倦怠感がある、集中力が続かない、いつも疲労感がある
自覚症状の感じ方や程度には個人差がありますから、可能であれば寝ている間のことについてぜひご家族やパートナーにきいてみてください。

見た目の特徴
やはり圧倒的に肥満者に多い疾患ですが、痩せているからといって安心は禁物
.太っていなくても、痩せていても、女性でもかかる病気です。
それは、顔や首まわりの形体的特徴がその発症と強く関連するためです。
SASになりやすい形体的特徴について
首が短い
首が太い、まわりに脂肪がついている
下あごが小さい、小顔
下あごが後方に引っ込んでいる
歯並びが悪い
舌や舌の付け根が大きい

・睡眠時無呼吸の疑いが無いかどうかチェックしてみよう!

○ほぼ間違いなく睡眠時無呼吸症候群である方
家族に睡眠中呼吸が止まっていると言われた。
○可能性がかなり高い方
いびきがかなりうるさい。 苦しくて目が覚める。日中眠気、倦怠感、熟睡感が無い
朝起きたとき、寝たはずなのに疲れが残っている感じや頭重感・頭痛がある
若い頃より、体重が増えて、顔つきが変わったと言われる
○可能性を考えたいとき
体重がかなり増加してきた。血圧治療中であるが下がらない。最近不安症状、抑うつ症状などメンタル不調が出現してきた。メタボリックシンドロームがある。


・治療について
大きく4つ 1)生活習慣改善 2)CPAP 3)マウスピース作成 4)外科治療

1) 生活習慣改善
生活習慣改善ではダイエット、横寝の多用(背中にテニスボール法など)、深酒禁止、枕を低くする。
枕を高くすると首が曲り気道も曲ります。枕を低くしたり首に枕をあててあごを突き出すようにすると気道がまっすぐになり空気の通りがよくなります。テンピュール枕のようにらくだ状になって沈むのは良いと思うがあまり低すぎてもダメだし、枕が高いと肩こりの原因にもなります。最近は計測して作成するオーダーメイド枕もありますよね。どれだけSASに効果的には自分はまだ分かりませんが、とても興味のある分野ではあります。今後リサーチしてみようと思います。

2)CPAP
「Continuous Positive Airway Pressure」の頭文字をとって、「CPAP(シーパップ)療法:経鼻的持続陽圧呼吸療法」と呼ばれます。
閉塞性睡眠時無呼吸タイプに有効な治療方法として現在欧米や日本国内で最も普及している治療方法です。CPAP療法の原理は、寝ている間の無呼吸を防ぐために気道に空気を送り続けて気道を開存させておくというもの。CPAP装置からエアチューブを伝い、鼻に装着したマスクから気道へと空気が送り込まれます。
CPAPの適応について(AHI:1時間あたりの無呼吸低呼吸の回数)
AHI5-19 軽症 ⇒CPAP療法の保険適応はない。
AHI20-39 ⇒中等症 標準型ポリソムノグラフィーを行った結果、AHIが20以上であれば鼻CPAP療法の保険適応あり
AHI40以上 重症 鼻CPAP療法の保険適応あり


3)マウスピース作成
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を歯科装具(マウスピース)で治療するケースもあります。スリープスプリントとも言われています。下あごを上あごよりも前方に出すように固定させることで上気道を広く保ち、いびきや無呼吸の発生を防ぐ治療方法です。
作製は、SASについての知識があり、マウスピースや口腔内装置を作り慣れている専門の歯科医にお願いするのが良いでしょう。当院でも歯科への紹介実績はあり良好な結果を得られている患者さんもおりますので是非ご相談ください
マウスピースをつけて寝るだけ、と思うと手軽に思えるかも知れませんが、必ずしも全ての症例に効果的な治療方法というわけではありません。中等症(心疾患、脳梗塞の既往無いAHIで15程度)までの閉塞性睡眠時無呼吸タイプに対しては比較的効果が見られやすい一方で、重症の方の場合には治療効果が不十分とされる報告もあります。重症度をきちんと把握し、主治医とよく相談した上で治療を始めるのが良いでしょう。保険診療の適用になるかどうかは歯科医にご相談下さい


4)手術療法
気道を塞ぐ部位を取り除く根治療法
.小児の多くや成人の一部で、SASの原因がアデノイドや扁桃肥大などの場合は、摘出手術が有効な場合があります。
UPPPという扁桃摘出後、口蓋弓・口蓋垂をトリミングして中咽頭腔を拡大する手術法もありますが、数年後に手術をした部位が瘢痕化してSASが再発することもあるようで耳鼻科の専門医とよく相談をすることが必要です。当院でも手術を希望された患者さんもおりましたが、耳鼻科に紹介させていただいたところ手術までには至りませんでした。



・検査や治療の費用について
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査には健康保険が適用されます。

3割負担の方の検査費用の一例
睡眠時無呼吸簡易検査
2,700円(当院では2日間機器を貸出し夜睡眠時患者さんに装着してもらう)

終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査
15000-20000円(1泊2日:入院基本料や自費差額ベッド代などで差がある)

3割負担の方の治療費用の一例
CPAP治療
月4,500円程度


睡眠時無呼吸症候群は思ったよりも身近な疾患であり、慢性的な睡眠障害からメタボリックシンドロームやメンタル不調、慢性疲労状態から作業効率の低下、集中力の低下、学力の低下など様々な体調不良を引き起こす事がわかっています。思い当たる方は是非検査を受けてみてください。特に危険作業をされる方、重機オペレーターや公共交通機関の運転業務、長距離運転など行う方は放置すると重大事故に繋がる場合があるので注意しましょう



「宇野内科医院からのお知らせ」

デイケア、デイサービス利用者募集を行っております

利用を希望される方、まずは体験だけされたい方などお気軽にご連絡ください
またボランティアでレクレーションやエンターテイメントのSHOWなどを行ってくれる方を募集しています。

デイケア パワースポット  TEL:097-529-8585
デイサービス ルームス   TEL:097-574-8131 

まずはお電話をいただき、体験など予約を取ってください。
TEL097-552-2600(宇野内科医院)もしくは直接上記へご連絡お願い致します

【求人情報】当院では一緒に働いてくれる職員を募集しています

・日勤のみの介護職員募集(常勤、非常勤)NEW!
現在老人ホームで入所者や一部当院近隣の在宅の利用者さんのお世話をしてくれる介護職員の募集を行っております。日勤でのヘルパー業務が出来る方を求めています。勤務時間は都合により調整させていただきます
上記すべてハローワークに募集要項を掲載しておりますので参照してください

・健康診断業務 管理職(常勤)
当院の健康診断業務の管理職を募集致します。
業務内容は健康診断関連業務、ストレスチェックを含む産業衛生活動全般の管理、事務作業実務、契約業務、請求業務、一部営業業務も含みます。
可能であれば保健師などの有資格者や健診業務の経験者を希望致します。他職種でもこの業界へ真剣に転職を考えている方であり、前職でのスキルがしっかりした方であれば採用を検討したいと思います


TEL097-552-2600 担当:事務長 重光です


unonaika_oita at 09:36│ 医療情報 | 生活習慣病