こんにちは。お久しぶりのブログ更新ですが、今回はトミカの紹介ではありません。
5月10日(金)に待ちに待った人も多いであろう、毎月恒例の2か月後のトミカの新商品画像がトミカ公式サイトで発表されました。特に、7月の新車の1つはこの記事にもあるように車種不明であったため、何の車が登場するのかワクワクしたものです。

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更新情報を見て、驚きなんと、隠されていた新車は、No.48  日産 スカイライン GT-R(BNR32)でした。2024年の7月になって、1989年に発売された車をトミカの新車として発売するのは前代未聞です。

それも、画像の限りは既にイベントモデルや組み立て工場等で多数起用されている金型の流用です。

当然、SNSでは賛否が大きく分かれました。スポーツカー好きやスカイライン好きにとっては、「気軽にR32のトミカが買えることが嬉しい!」的な意見が多く見られましたが、熱心なトミカコレクターやトミカにおいて国産現行乗用車を求める層からは、「タカラトミーおかしくなった」「手抜き」「もっとトミカにすべき現行車種があるはず!」といった批判の声も多く挙がっているのも事実です。

どちらかと言うと、私自身も後者の意見で、正直歓迎しない新車なのですが、このトミカにおいて、7月にNo.48  日産 スカイライン GT-R(BNR32)が登場することを巡って、トミカ好き・ミニカー好きで賛否両論・いらん喧嘩沙汰が起きている状態です。

正直、私も「この路線を本気で支持する人はアホか!これにOK出したタカラトミーの担当者バカじゃねーの」と思うのですが、今回は何故、2024年7月に通常品のトミカの新商品でBNR32が登場することを支持しない、問題視する人が一定数以上存在するのかを解説していきます。

1.大前提

そもそも、当初から2024年7月のトミカの新車は  日産 スカイライン GT-R(BNR32)であったのかという点を解決しないと、本件の議論は進みません。結論としては、おそらくは当初は別な車種で企画されており、その車種が何らかの事情で出せなくなったための代打としてBNR32を発売することにしたというのが正解かと思われます。

この裏付けとして、まず、当初2月時点で玩具店・問屋向けに配布された発注資料においては、2024年7月のNo.48 の商品名は新車の記載しかありませんでした。この裏付けは、ブログ記事においても確かなことです。仮にこの時点で、No.48をBNR32にするのであれば、わざわざ車種を伏せる必要性がありません。このような、トミカ新車表記での商品名は、玩具店・問屋向けに配布された発注資料時点では、基本的には実車がまだ未発表の新型車であることが通例です。もし、2月の時点で確定していたのなら、No.48  日産 スカイライン GT-R(BNR32)で載せれば良いだけのことです。

加えて、複数の筋に確認したところ、2月時点で玩具店・問屋向けに配布された発注資料のNo.48のパッケージサイズは、大箱(トミカのミニバンやSUV等で使われているサイズ)でした。BNR32は、通常の箱サイズで収まるため、わざわざ大箱にする必要性がありません。

しかしながら、反証として、過去4年間の6月~9月までの期間のトミカの新金型・流用金型割合を踏まえると、7月は新金型と流用金型の組み合わせの新車登場となるのが恒例化しており、比率も今回R32が流用金型であることを踏まえると、昨年同様となり、理にかなかった結果になりました。

2021年(6月:新×2・7月:新1・流1・8月:新×2・9月:新×2) 計:新7・流1
2022年(6月:新1・流1・7月:新1・流1・8月:新×2・9月:新×2)計:新6・流2
2023年(6月:新1・流1・7月:新1・流1・8月:新×2・9月:新×1・流×1)計:新5・流3
2024年(6月:新1・流1・7月:新1・流1・8月:新1・流1・9月新×2)計:新5・流3
※新金型→新・流用金型→流で表記。兄弟車やOEM車はボディが違うため、新金型で区分

2.メーカーの狙い

先述したようにおそらくは、何か予定していた別の車種が出せなくなったことによる、ピンチヒッターの役割として今回のR32の登場が考えられますが、金型流用を代打として考える場合、候補はいくらでもあります。

過去に代打選手として登場したトミカの新車は、No.85 三菱 パジェロ 機動救助隊指揮車・No.28 いすゞサインカー・No.106 スズキ ハスラー消防指揮車・No.93 マツダ CX-5 道路パトロールカーなど、乗用車金型+赤色灯等のパーツの追加で緊急車両仕立てにしたものが多くを占めています。

そのような中で、フルノーマルで現行車種でもない、BNR32がなぜ2024年7月のトミカの新車に選ばれたのかという可能性ですが、以下の説・それらの複合要因が考えられます。

【仮説1】実車の知名度・人気の高さのため

GT-Rの中でもBNR32は1、2を争う人気の形式です。最初期は1989年の車両ながら、実車はとっくに生産終了になってから生まれた学生・子どもの知名度も高く、近年は外国人人気も高い車両です。したがって、通常のトミカとして発売しても、十分に売れるポテンシャルを秘めた車種であることは確かです。実車オーナー需要や車好きの外国人観光客のお土産にもなり得るでしょう。
この点で、下手に緊急車両を乗用車ベースで製品化するよりも、安定した売り上げは確保できるかもしれません。

【仮説2】トミカ歴代名車コレクションの没案の活用


奇しくも20号を以て実質的な打ち切りを食らった、トミカ歴代名車コレクションですが、21号以降も商品企画自体は確定されていたという可能性があります。その場合、以下のようなことが考えられます。

「当初No.48で出す予定の車種が出せなくなってしまった」
→「代わりの車種を考案しなければならない」
→「そういえば、トミカ歴代名車コレクションで出せなくなったのがあるから使おう」

今回のBNR32が元々歴代名車コレクションであった可能性についてですが、商品仕様を踏まえると無くもないと考えられます。

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上記のように7月発売予定のR32はホイールが黒です。R32のトミカのバリエーションは金型違いも含めて、かなりありますが、無地の黒・グレー系統×黒ホイールの組み合わせはこれまで存在しませんでした。今回起用される、新金型以降のR32のトミカにおいては、下記のドリームトミカがボディカラーも黒ですが、ホイールはシルバーメッキになっているのが決定的な違いです。

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そもそも、今回起用される、イベントモデルの新金型以降のR32のバリエーションには黒ホイールは存在していません。これが何を言いたいのかと言うと、トミカ歴代名車コレクションは、コレクターに向けた意図的な配慮としてなのか、毎回、必ずこれまでのトミカのバリエーションには存在しないボディカラー・ホイール色で登場しました。

仮にR32がトミカ歴代名車コレクションで登場する場合、基本的なボディカラーは過去のバリエーションで登場済みのため、おそらくはホイール色を変えることで、ボディ色×ホイールの組み合わせがまだバリエーションに存在しないものにしたと考えられます。したがって、今回7月の新車として登場する仕様が、歴代名車コレクションでそのまま登場した可能性はあり得ます。

【仮説3】同時期に他にバリエーションで登場予定
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仮説2を否定する論として、今回7月に発売されるR32は妙にタンポ印刷に気合が入っていることが挙げられます。上記画像のようにエンブレムやロゴがちゃんと再現されているんですよね。歴代名車コレクションの場合、一部の例外を除いては、当時物のトミカ風の雰囲気として、発売当時の通常品の彩色に準じた印刷・彩色量であったため、歴代名車コレクションの没案を主張する場合、この点で辻褄が合わなくなります。(ただし、歴代名車コレクションの20号のカウンタックは印刷・彩色がしっかりしていたため、20号以降は印刷・彩色を標準的なものにする路線変更を組んでいた可能性もある)

そして、これらの車名やGT-Rロゴは、これまで登場してきた同金型のR32のトミカでは使用例がなく、今回の通常品にあたって新たに用意した印刷です。そうなると、これだけのために用意したとは考えにくく、同時期に夏のトミカ博のイベントモデルやトイザらス・イオンオリジナル・イトーヨーカドーオリジナル・トミカショップオリジナル等でR32のバリエーションが発売される可能性も考えられます。この仮説3については概ね6月~9月頃までのトミカの新作バリエーションに今回の印刷が施されたR32が登場するか否かで立証可能と言えるでしょう。

3.問題点?

以上のようにやむを得ない大人の事情が今回の2024年7月になってR32が通常トミカに仲間入りする背景にはあるものと考えられますが、こうした事情を踏まえても今回のR32の登場を歓迎しない声もSNS上では多数みられます。かく言う私も、どちらかと言うと歓迎はしない立場です。その理由をまとめていきましょう。

1.見慣れた存在であり、熱心にトミカを集める層ほど歓迎しない

R32のトミカは1990年に発売以降、日本製・中国製・ベトナム製と歩み続け、通常品・ギフトセット・ミニカーショップ特注・イベントモデル・組み立て工場・ドリームトミカと無数にバリエーションがあります。イベントモデルだけでも、この20年間で何台登場したのだと思うほど、見慣れた定番中の定番の存在であり、ある程度のコレクターなら少なくとも既に1台はもう持っているトミカなのです。

それをわざわざ2024年7月になって、通常品で登場したところで何も面白くしないし、欲しいとも感じない人が一定数いるのも事実です。今回のR32のトミカは既にイベントモデルや組み立て工場等で登場している金型の流用と考えられるため、手抜きと感じる意見も少なくありません。

2.わざわざ通常品のトミカで今になって出す理由・意義がない

R32は知名度の高い人気車であり、実車はとっくの昔に生産終了でも今もなおミニカー化が盛んです。
ホットウィールでも年に1回以上は何かしらのバリエーションが登場する車種ですし、近年はガチャガチャガチャでも登場しています。その上、トミカにおいてはトミカプレミアムで今回のNo.48の通常品と同じような色で未だに現役商品として発売されています。

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こうなってくると、特に造形に優位性もなく、新金型でもなく、開閉箇所も変わらない廉価版をわざわざ通常品で出すことの意味がどこにあるのだろうか?となりませんか。

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しかも、トミカとトミカプレミアムで同じ車種・同じ色を出すという、実質的には共食いになりかねない販売状況を自ら選んでいるのです。いったい何をしたいのでしょうか。価格差も定価で385円分しか差分がありません。そのため、そこまでトミカプレミアムもNo.48も出来は変わりませんので、どっちも買う人は熱心なトミカ好きを覗いては存在しないのでは?と感じてなりません。

3.わざわざ旧車を製品化するよりも最近の新型車でトミカにすべきものがあるのでは?

1・2で述べたように、ミニカーとしてトミカとしても有り触れた、更にはトミカプレミアムという上位互換も現役商品として発売されている中で、No.1~120という限られた枠に、R32を起用すること自体はおかしいという声も見受けられます。確かに、現行の国産車が多く並ぶ中でR32がいるのは異質ですし、意図的な路線転換であれば、タカラトミーも明確に公言すべきです。あるいは、番号や商品を拡張して、絶版名車をテーマにした550円の新シリーズを作るなども手段にはあるでしょう。

これらのことをせずに、国産の新型車のような顔をして、新車という装いで登場するのはやはり違和感があります。直近のトミカの新商品は、シエンタやセレナ、プリウス、デリカミニ、N-BOXと主要な人気国産車は抜かりなく製品化できているものの、ZR-Vやクロストレック のように製品化されない車種があるのもまた事実です。製品化やNo.1~120を構成させる優先度が、国産車の新型車よりも、30年以上前の旧車になっているという現実は何とも言えません。

確かに、これまで述べてきたようなR32の実車における人気度を踏まえると、ZR-Vやクロストレックをトミカにするよりも、トミカ・ミニカーで有り触れているR32を製品化した方が、確実に利益が取れるのは否めないのですが、これまでのトミカの製品化してきた車種から踏まえるトミカの役割を考えると、それでいいのだろうか?とは正直思う部分です。

ましてや名車のトミカは、トミカプレミアムやトミカリミテッドヴィンテージが既に役割を果たしている訳です。トミカプレミアムやトミカリミテッドヴィンテージの役割でもないし、ホットウィールが製品化することもない、フツーの国産の新型車を製品化できるのは、トミカしかないはずなのですが、そのトミカが、他ブランドの役割までも果たす必要性があるのか個人的には疑問ですね。

とはいえ、実車においては、半導体不足から始まった納期遅延が新型車の発売・開発に遅れが生じたり、某自動車メーカーの衝突実験不正で新型車が出せない状態になっているため、トミカで製品化できる新型車というのが、限られているのも事実です。また、少子化や若者の車離れ、車両価格の高騰等で、従来よりもフツーの国産車の新型車に興味を持たない人・トミカで遊ぶ子供にとって、おうちの車になる国産車の対象が狭まっているのもまた事実です。

フツーの国産乗用車ほど、トミカにおいては2年ちょっとで廃盤になってしまっているのも周知の事実であり、新型の国産乗用車を製品化したところで、売れる・熱心なトミカ好き・ミニカー好きを覗いても需要があるのは一握りに限られているのかもしれません。そうなると、穴埋めとしても名車を使った方が効率的なのも事実かもしれません。

とはいえ、今回限りで終わってほしいというのが私の本音であり、間違っても通常トミカのNo.1~120に、R32・AE86・FDがいるような状態は勘弁です。それは、トミカプレミアムなり、リミテッドヴィンテージなり、ホットウィールなり、ガチャガチャメーカーのお仕事であって、No.1~120のトミカが果たす必要性のある役割とはいえないでしょう。売上にプラスであってもそれは逃げの手段だと個人的には感じてしまいます。その選択にNo.1~120のトミカらしさも、トミカならでは強みもあるとは感じません。

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