第13回(昭和51年度)文藝賞受賞作「北帰行」を書いた外岡秀俊氏は、その後、朝日新聞社に入社し、新聞記者になりました。

国際報道で辣腕
 
 たしか、新人として新潟支局に配属されたあと、外信部に行き、国際記者として辣腕をふるい、ヨーロッパ総局長などを歴任。現在は朝日新聞編集委員になられていると思います。
 著書に「9・11」とメディアについて書いた「9月11日・メディアが試された日―TV・新聞・インターネット」(本とコンピュータ叢書・大日本印刷ICC本部) や「地震と社会―『阪神大震災』記 (上・下)」( みすず書房)、「アメリカの肖像」(朝日新聞社)、「国連新時代―オリーブと牙」(ちくま新書・筑摩書房)など―があります。

23歳で書いた啄木と青春の物語

北帰行 外岡氏が東大法学部4年在学中の23歳の時に書いた「北帰行」は、石川啄木の世界に憧れた主人公が、啄木の放浪の地を自らの足でたどって行くという小説。
 啄木の寂しく短い生涯に、主人公の生き方を重ね合わせ、青春特有の孤独な感傷をほろ苦く描いた作品です。外岡氏の叙情的な文体があまりに巧みで、そのタイトルのイメージのごとく、白い吹雪が舞う雪国の情景が頭に浮かんでくるようでした。
 ちょうど、私とほぼ同年齢の現役学生が書いたという衝撃もあって、羨望が混ざった複雑な心境で読んだことを覚えています。
 この本は私の青春の本の一冊であり、今も手元にあります(単行本)。いつまでも大切にしたい本です。