<東電OL殺人事件特集>

「東電OL殺人事件」特集〔3〕 <堕落>

堕落論 佐野眞一(以下・佐野、敬称略)はドキュメント「東電OL殺人事件」の冒頭、坂口安吾の「堕落論」「続堕落論」(いずれも角川文庫「堕落論」に所収)の一部を引用しています。
 佐野はここで、殺された東電OLは「安吾のいう、人間が生きるということは結局堕落の道だけなのだということを文字通り身をもってわれわれに示した」と書いています。
 しかも、彼女は堕落するということの「すごみ」をみせつけ、そこには「潔さ」さえあったといいます。
 「堕落」という言葉は、同書にも、また続編の「東電OL殺人事件症候群(シンドローム)」にもこの後、ひんぱんに出てくるキーワードです。

 はたして「堕落」とは何なのか。彼女は本当に「堕落」したのか。
 「堕落」について2回にわたって考えていきます。
 まずは安吾が語る「堕落」について…。続きを読む

「東電OL殺人事件」特集〔2〕 <心の闇>

東電OL殺人事件東電OL症候群 佐野眞一(以下・佐野、敬称略)のドキュメント「東電OL殺人事件」と「東電OL症候群(シンドローム)」の2冊をようやく読み終えました。しかし今の私は激しい脱力感とともに、何から手をつけたらいいのかわからないまま、ただ呆然と立ちすくんでいるということを正直に告白しなければなりません。
 文庫本で前者が約540頁、後者が約440頁という長大な文章群は、ノンフィクション作家・佐野がとてつもなく激しい情熱で、39歳で殺害された女性の孤独な<心の闇>を明かそうとした格闘の記録です。昼はエリートOL・夜は娼婦という二つの顔を持っていた彼女のあまりにも寂しい漆黒の<心の闇>。佐野はあたかもストーカーのような執拗さでその闇に迫り、そこに光をあてようとしました。続きを読む

「東電OL殺人事件」特集〔1〕 プロローグ <因縁>

東電文庫本 今から7年前の平成九年(1997)3月8日深夜、東京・渋谷区円山町の空きアパートの一室で39歳の一人の娼婦が何者かに殺されました。ところが、この娼婦が東京電力のキャリアウーマンだったことから一転スキャンダラスな展開となり、世間の好奇な目にさらされることになりました。犯人とされたネパール人は、無罪となりましたが、二審で逆転有罪となりました。昨年10月、最高裁は上告を棄却し、二審の無期懲役が確定しました。これは冤罪の可能性が高く、弁護団は再審請求中です。事件の根本的な解決には至っていません。
 この事件のキーワードの一つが<因縁>です。佐野眞一の先駆的なドキュメント「東電OL殺人事件」(新潮文庫)には、殺された女性を取り巻く不思議な因縁が書かれていますが、実は私もこの事件となった現場の街に、ちょっとした因縁があります。
 また、この本のほかに、桐野夏生「グロテスク」や久間十義「ダブルフェイス」などの小説もあり、文学からもこの女性の内面の「闇の迷宮」(佐野眞一の言葉)を巡ってさまざまな試みがなされています。
 今後、できれば2週間に一回位のペースで特集を組み、関係する本を読みながら私なりに事件を考えていきたいと思っています。

追記:冤罪の可能性が高いネパール人被告の裁判経過について事実誤認があったため訂正しておきました。(平成16年5月14日)続きを読む
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up down go go Book Off勤務
 …というのは冗談
 そのくらい通いつめているのですが、いまだに給料はいただいておりません♪
 
 生きがいは文庫本を中心に乱読・積読
 最近、仕事や生活に追われて
 読書の時間が取れないのが悩みです
 
 ★イラストは、ん?十年前の私(!)★
 ◎クリップアートファクトリーさんのフリー素材集より◎
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