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【車両行進-3】
[後方支援隊]
前線で活動する戦闘・支援・情報関連職種の部隊に対し万全な状態で活動することを助ける役割がある「後方支援隊」は武器科・需品科・輸送科(・衛生科)の部隊から構成されています。中部方面後方装備品の整備・補給・陸上輸送を専門に行なっており、方面隊直轄部隊の所在する各地の駐屯地(隊本部は桂駐屯地)で活動を行なっています。

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〈重レッカ(2019年)〉
大型トラックなどの大型車両の牽引・吊り上げを担う車両であり、特大型トラックをベースとする。戦車の整備でも使用されることがあり、砲塔やエンジンの吊り上げ整備には必須の車両となっています。
この車両が所属する第107全般支援大隊は桂・善通寺・明野・今津の各駐屯地に配置されている車両・装備整備部隊で、中部方面隊直轄の部隊に対する全般的な後方支援を担当します。
(2019年は「第104施設施設直接支援大隊第2中隊(大久保・富山に所在する第7施設群の支援を担当する整備部隊)」が参加)

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〈浄水セット(2019年)〉
野外入浴セットにしろ、野外炊具にしろ、清潔な水がなければ何もできません。断水環境などでも河川水などから清潔な水を製造・供給できるのがこの「浄水セット」だ。水道施設の被害を伴う災害派遣では他の装備以上に重宝され、給水支援・生活支援の必須アイテムとなる。
この車両が所属する「第101補給大隊」は、中部方面隊管内における需品類の供給・サービス業務を担当(装備品の補給は関西補給処の管轄)しており、野外入浴セット「京の湯」は大規模災害の現場において入浴支援活動にも携わります。

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〈重装輪回収車(2019年)〉
装輪装甲車・重量装輪車専用のレッカー車で、その大型車体・馬力を生かして高射特科用の中距離地対空誘導弾や対空レーダーのしゃたベースにもなった。戦車部隊に対する整備部隊では装軌車両専用のレッカー車である「戦車回収車・装軌車回収車」も配備される。
この車両は第8高射特科群に対する支援を行う「第302高射直接支援中隊」の車両で、03式中距離地対空誘導弾の牽引を担当しています。

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〈74式特大型トラック(2019年)〉
三菱ふそう・スーパーグレートをベースとする7トントラックです。人員輸送よりも資材・物資輸送でその威力を発揮します。年によって積んでいるものが変わることもあり、資材搬送車(普通科などで資材などを運ぶ際に使用される小型の装軌車)やショベルカー(施設科)、フォークリフト(駐屯地内)などのケースもあります。
「輸送隊」では、物資だけでなく戦車・装軌車といった速度の出せない車両の輸送(主にセミトレーラーなど)にも用いられており、方面隊における物流の中核をになっています。

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〈不発弾輸送車(2019年)〉
本土空襲の際に投下された爆弾・焼夷弾が爆発しないまま地中に埋まってしまった場合、70年以上もそのままになっていることがあります。不発弾回収車は信管撤去により完全不発化された爆弾を処理施設まで搬送するのに使用されます。搬送する物が物のため、緊急車両の指定を受けています。


[衛生科]
中部方面衛生隊は方面隊の活動時に衛生活動を担う部隊として活動しており、2020年新型コロナウイルスの流行に際しては消防・警察・自治体・病院に対する防疫・院内感染防止対策の指導、検疫・療養者支援活動に従事しています。(師団・旅団では後方支援部隊隷下の衛生隊が、連隊以下の部隊では本部管理中隊隷下の衛生小隊などが担当)観閲行進では野戦用救急車と野外手術システムが参加しました。

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〈野戦用救急車(2018年)〉
一般の救急車(消防・駐屯地業務隊の高規格救急車)が2人まで収容できるのに対し、野戦用救急車は最大5人(担架で収容できる人数)まで収容可能である。その収容力を生かして大規模な転院にも動員されることがあり、病院救急車・民間救急車とともに大規模病院の移転などでその実力を発揮しています。

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〈野外手術システム(2018年)〉
野外手術システムは野戦病院でその威力を発揮、負傷者の診察・初期外科手術を行うために必要な医療機材一式を備えています。初期手術を受けた患者は後方にある自衛隊病院をはじめとした医療機関に搬送され、さらなる治療を受けることになります。

[会計科]
方面隊隷下の各駐屯地において経理・予算管理・入札管理業務に携わる中部方面会計隊は規模こそ小さいものの、部隊の運営に関して必要不可欠な部隊であり車両も保有していることから最低でも中隊規模の部隊として扱われることが多い。使用車両は73式小型トラック3台で、特殊車両の多い中部方面隊の行進参加部隊では最も規模が小さい。
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〈中部方面会計隊(2019年)〉
73式小型トラックは自衛隊のあらゆる部隊で使用される汎用車両であり、そのバリエーションも多岐にわたる。会計隊では一般型の物が使用されていますが、使用用途により、「緊急車両指定を受けた車両」「警務隊用」「誘導車対応」「無反動砲搭載型」とさまざまなタイプが存在する。

[施設科]
中部方面隊管内には第4施設団の隷下に2つの施設群が存在しており、陣地の構築・障害処理・架橋設備の設置など戦闘職種となる部隊の進出・活動を支援します。観閲行進では海岸線での障害構築(水際地雷原敷設車)・架橋設備(浮橋・機動支援橋)・障害処理(地雷原処理車)が参加。
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〈水際地雷敷設装置(2018年)〉
海岸線に配備され、水陸両用戦部隊の装甲車両が進入してくるのを防ぐ水際障害(対戦車地雷)を敷設するための車両です。方面隊では唯一の水陸両用車のため、地雷・地雷敷設装置を外した状態で災害派遣(人員の上陸や資材の陸揚げ・水中捜索時の母船など)に出動することがあります。この車両は和歌山駐屯地から参加。

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〈92式浮橋(2018年)〉
通常の仮説橋を架橋できない場合に使用されるフロートタイプの架橋設備です。通常はこの部材に取り付け部・位置調整用ボートを用い仮説橋・艀として使用されます。

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〈07式機動支援橋(2018年)〉
90式・10式戦車に対応する架橋設備として開発されました。この車両は架設車とよばれる車両で、機動支援橋の展開・撤収で使用するための専用アームが取り付けられています。

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〈07式機動支援橋(2018年)〉
こちらは橋節運搬車、架設車と組み合わせて橋節をつなぎ合わせることで橋脚のない橋梁(全長最大60メートル)を架設することができます。

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〈92式地雷原処理車(2018年)〉
73式砲牽引車をベースととして開発された地雷原の啓開を行うための車両。処理用爆弾を1本のワイヤーに繋いだロケット弾を使用することにより1発で多数の地雷を処理することができ、戦車等が安全に進入できる環境を効率よく作るのに使用されます。

[戦車部隊]
74式戦車を主力装備とする戦車部隊は、強力な機動火力として普通科・施設科部隊の戦闘を支援します。本州の戦車部隊は機動戦闘車隊への置き換えが進められており、第14旅団では第15普通科連隊に、第3師団では第3偵察隊に吸収・16式機動戦闘車への置換えにより方面隊管内からその数を減らしつつあります。
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〈74式戦車(2017年)〉
他国の同世代戦車よりも車高が低く、油圧式の姿勢制御装置を搭載することで61式戦車をはじめとする第1・第2世代戦車よりも自衛隊が得意とする稜線射撃・待ち伏せで有利な車両となった。後継車両は10式戦車・16式機動戦闘車で、10式戦車は北海道・九州を中心に、16式機動戦闘車は本州の部隊や即応機動連隊の機動火力として導入されています。


74式戦車が通過し終わると音楽隊は大空の演奏を行いつつ退場、観閲部隊指揮官が終了報告のため再度登場するのに続いて訓練展示の準備に取りかかります。


▲もくじ▲
 
【部隊解説】
[後方支援隊]
2017年〜2020年:中部方面後方支援隊(桂ほか)
車両整備や補給・輸送といった戦闘・戦闘支援部隊を支援する役割を持つのが「後方支援」部隊であり、中部方面後方支援隊は方面隊に直属する主要な部隊に対して支援をおこないます。本部・補給・輸送部隊が桂駐屯地に、整備部隊が方面隊隷下部隊が所在している各地の駐屯地に分散配置され活動をおこなっています。

[衛生科]
2017年〜2020年:中部方面衛生隊(伊丹)
各地の衛生隊(衛生小隊などを含む)・自衛隊病院は2020年初頭より続いている「新型コロナウイルス感染症」に対応するため自主派遣・災害派遣の主力として活動しています。主要な活動は、
・生活支援(感染者・隔離待機者の入院・滞在施設における医療サービス・給食等の支援活動)
・検疫活動支援(空港・港湾における入国時のPCR検査支援・入国者の待機施設移送支援)
・防疫指導(警察・消防・自治体などへの感染防止対策の講習会開催)
・治療支援(自衛隊病院での感染者受け入れ・他病院での医療活動支援・患者搬送)
など、全国各地に所在する衛生科職種の部隊が感染拡大防止対策・感染者対応に力を注いでいます。

[会計科]
2017年〜2020年:中部方面会計隊(伊丹)
中部方面隊管内における隊員給与・旅費等の計算、方面隊で使用する備品・駐屯地施設の運営委託入札といった金銭が関わる事項を担当する「中部方面会計隊」は、伊丹駐屯地を本部として、師団および旅団司令部・一部の普通科連隊(第8・14・37普通科連隊)・施設群が所在する駐屯地に会計隊、それ以外の駐屯地(自衛隊病院が主要施設である川西駐屯地をのぞく)には会計隊派遣隊がそれぞれ派遣されています。規模が小さいため、駐屯部隊関連の事項に関しては駐屯部隊から人員が派遣されてくることもある(会計隊・会計隊派遣隊は駐屯地全般の会計処理

[施設科]
2017年:第7施設群・第4施設団(大久保ほか)
2018年:第6施設群・第4施設団(大久保ほか・豊川)
2019年:第7施設群・第4施設団(大久保ほか)
2020年:第6施設群・第4施設団(大久保ほか・豊川)
第4施設団は直轄(近畿・中国に駐屯)、第6施設群(東海・北陸に駐屯)、第7施設群(近畿・北陸に駐屯)隷下で分散配置され、中部方面隊管内全域における戦闘部隊の施設支援を担当します。四国に施設群が配置されていないのは、第8施設群(1999年に廃止、中国地方の第4施設団直轄部隊に再編)があった名残りだろうか。第8施設群にあった施設隊の一部が現在の「第14施設隊」として四国全域を担当し、必要に応じて第4施設団の部隊が派遣されるかたちをとっています。

[戦車部隊]
2017年〜2020年:第3戦車大隊(今津)
中部方面隊管内の戦車部隊はかなり不可思議な
配置のされかたをしており、第3戦車大隊と第10戦車大隊は今津駐屯地(第3師団管内)に、第13戦車中隊と第14戦車中隊(2018年廃止)は日本原駐屯地(第13旅団管内)と実弾演習を行う際に長距離移動を伴わない駐屯地に2隊固めて配置されています。万が一第3戦車大隊が偵察戦闘大隊に移行して千僧(第3偵察隊の駐屯地)に移動した場合、今津駐屯地の管轄エリアがどうなるのかが心配なところです・・・。