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阪急電鉄では2020年8月ごろより、『列車防護無線』の供用が開始されたようです。
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【そもそも『列車防護無線』とは?】
「列車防護無線」は、人身事故や踏切事故・列車脱線事故・ホーム等からの転落・線路内侵入といった列車を緊急に停車させ安全を確保しなければならない事態が発生した際に、運転台からの操作だけで周辺列車を停車させるための無線信号システムです。阪急電鉄では、これまで「列車無線」や「手旗・合図灯」による対向列車防護によって対応し、駅や踏切ではATSと連動する非常通報システムによって両方向からくる列車に対する列車防護を行なってきました。しかしながら、これらの方法にはいくつかの欠点が存在しており、
・踏切やホームに人がいない場合、非常通報システムを起動させることができず列車を止めることができない可能性がある
・一度運転指令所を経由して相手の列車に停止指示を出さなければならないため、指令所との通信がタイムロスにつながる可能性がある
・現場付近にカーブが存在している場合、カーブの途中や過ぎたところで手旗・合図灯を視認することになり、その段階で非常停車を行っても既に手遅れの状況に陥っている可能性がある

など、後続列車の追突・対向列車による多重事故の発生につながる危険性が存在しています。

「列車防護無線システム」は運転指令所を介せずに直接停止信号を周辺の列車に送信することが可能となります。これによって「対向列車が目の前まで接近している段階で事故等が発生し、どんな手段を用いたとしても二次被害を回避することができない」状況でない限りは二次被害の防止・被害軽減を図ることが可能となるのです。


【今回導入された「列車防護無線」とは?】
相互直通をおこなっている「大阪メトロ堺筋線」「能勢電鉄」では既に列車防護無線が導入されており、今回阪急電鉄が全線に導入した列車防護無線システムは能勢電鉄で採用されている方式をそのまま阪急電鉄で使用しています。このタイプは、もともと能勢電鉄「日生エクスプレス」乗入対応車と2010年以降の能勢電鉄新規導入車で先行導入された大日電子製のもので、設置当初より「阪急-能勢」両方の防護無線に対応できる設計となっていました。
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[能勢電鉄5100系・7200系の列車無線システム]
阪急・能勢対応型の列車無線機と列車防護無線の操作装置(いずれも大日電子製)を搭載、能勢電鉄では既に列車防護無線の運用が開始されていたため防護無線の電源(能勢)が入っている状態になっています。1700系・3100系の場合、無線バッテリーの電圧計が付いていることを除けば基本的に5100系・7200系と同一の機器配置となっています。

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[2020年7月まで1700系・3100系で使用されていた列車無線]
既に列車防護無線が導入されていた能勢電鉄では、NEC製の列車無線機に列車防護無線の機能が併設されていました。このタイプは「能勢」のチャンネルしか受送信できないため、阪急線内では可搬式の無線機を別途持ち込んで使用していました。

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[阪急京都線の「阪急-市交」対応型無線機]
列車防護無線機取付工事未施工の地下鉄乗り入れ対応車両の無線機です。大阪メトロ堺筋線では列車防護無線システムの導入をおこなっており、無線本体に発信ボタン(「非常」のカバーで隠されている)がついています。

[阪急京都線(地下鉄乗り入れ対応車)の列車防護無線]
無線機本体(「阪急-市交」・市交防護無線付)と列車防護無線機(「阪急-能勢」防護無線)が別々に設置、走行している場所によって発信ボタンの場所が異なる。


[山陽電車の列車防護無線]
高速神戸駅〜阪急神戸三宮間を走行する山陽電鉄の車両にも列車防護無線機が新設されているのが確認されており、「阪神・山陽-阪急」という識別パターンが使われているようです。また、このタイプには試験用のボタンは付いていません。

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[列車防護無線準備工事施工車]
搭載準備工事の施工を受けただけの車両では、設置予定の部分に「ダミーボックス」とよばれるカバーがかけられています。

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[準備工事すら施工されていないケース]
編成中間に封じ込められ、かつ営業運転に必要な設備を有していない先頭車や置換対象車であった神宝線3000系列では列車防護無線機の設置準備工事すら施工されていない状態で使用されています(いました)。準備工事の施工を受けた車両(5000系・5100系の一部など)でも置換対象となった車両の廃車が実際に行われたケースも確認されています。

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[中にはこんなパターンも・・・]
準備工事の過渡期にはこのように中途半端な設置例も確認され、
・旧型無線機
・防護無線機設置準備工事施工(発信ボタン部)
・防護無線機設置済(無線機車上装置本体)
なんてのが神戸線でありました。

コメントを投稿される際は必ずご確認ください。(本記事では66系での対応(堺筋線)については確認できていません。66系への設置有無に関するコメントを投稿されてもこれに関しては一切の返信ができませんのであらかじめご了承ください。)
http://blog.livedoor.jp/uppi_natettyan/archives/22094005.html



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