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JR・阪神西九条駅から難波や本町など大阪市中心部へ向かうルートは、今でこそ阪神なんば線や大阪環状線、国道43号線などが存在する。これらはモータリゼーションの発展や架橋技術の発達、水上輸送の衰退によってもたらされてきたものだが、それ以前はこのルート上にある安治川が障害となり舟でしか行き来できない状態だった。今回はその場所にある面白い建築物を紹介する。
 
安治川隧道、このトンネルは日本初の 「沈埋式トンネル」であり、歩行者にとっては重要な交通路として使われているトンネルである。
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 かつて、安治川は交通量の多い河川のひとつであり、多くの運搬船が往来するため架橋が困難な地域として多くの渡し舟が行き来していた。安治川隧道はその中でも「源兵衛渡」と呼ばれる渡し舟(明治30年に源兵衛という人物が始めた渡船)の交通量増加に伴う輸送力増強を目的に大阪市がトンネル化したものが安治川隧道である。

安治川隧道南口にある「源兵衛渡」交差点、渡船当時の面影を残すのは交差点名くらいである。

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安治川隧道南口、 佇まいはどこか機械式駐車場のようにも見える。
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出入口は階段1箇所、歩行者・自転車用エレベーター1基、現在は閉鎖されている自動車用エレベーター2基がある。エレベーターはオーチス製で58人乗りと高層ビルのエレベーター並みの収容力を持つ。このトンネルでは両岸のエレベーターで自動車をトンネル道路部へ下ろし、トンネル車道部を自走で通過、再びエレベーターで地上へ戻る方式で車両を通していた。

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自動車エレベーターのランプ
現役当時はエレベーターの行先方向をランプで表示していた。南口には注意書が書かれているが判別できないほどに劣化が進んでいた。
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車両エレベーターの呼出スイッチ
1977年の使用停止以後搬器ははずされているため当然動作しないものの、押すことが可能。
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トンネル内部
トンネルは現在人道部だけが使用でき、車道部はトンネル耐震化工事の補強スペースとなっている。
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トンネル北口
隣接しているのは阪神なんば線延伸部。

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歩道部エレベーター(地下から)

【解説:安治川隧道】
安治川隧道は1944年に完成したトンネルで、日本のトンネルとしては初めての「沈埋式(あらかじめトンネル本体を別の場所にで作り、現場で掘削した場所に埋め込んで建設するトンネル工法の一つ)」トンネルとして建設された。このトンネルの完成により西九条〜九条間の利便性が急激に高まり、完成当初は安治川河口部にある軍需工場への通勤輸送を含め多くの人や車両が通過した。

概要
名称:安治川隧道
最寄り駅:JR大阪環状線・阪神なんば線西九条駅、大阪メトロ中央線・阪神なんば線九条駅
利用料金:無料
脚注:歩行者自転車専用道路、自転車は利用時間規制あり