けぇ がるね?日記

ネパールの首都、カトマンズから発信しています。

嵐のあと...Nepali Times記事抄訳

本日10月17日の週刊英語新聞 Nepali Times の記事 After the Storm から抄訳し、内容をご紹介したい。


執筆者は、同紙編集長兼発行人であるKunda Dixt 氏。彼はネパールの気象、山岳、航空問題に深い造詣があり、これらの分野について他の日刊紙とは違う分析や切り口を毎回提供してくれている。

今週前半にアンナプルナ・ヒマラヤ地域で起こったトレッカー、登山者、地元住民の気象遭難事故について「季節外れの、予想外の大雪」としか紹介されていない現状に、一石を投じている。メディアのみなさんには、南アジアにおけるサイクロンの影響という、基本的気象知識を持ってもらいたい。そして過去にも、同様の原因で、似たような事故が定期的に発生している現実に気づいてほしい。以下、記事の抄訳である。

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今週アンナプルナ地域で発生した暴風雪(ブリザード)と雪崩事故は、ヒマラヤ地域に向かうトレッカーへの早期気象警告の必要性を、再度知らしめるものとなった。

この原稿を執筆している木曜日(発行日前日)現在、マナン/ムスタン地域だけで死者32人。85人と連絡が取れずにいる。火曜日(暴風雪当日)、隣接するマナスル周遊トレッキングのラルキャ峠(Larkya Pass)の通過を予定していた数十人規模のトレッカーについては全く情報がない。

近年のヒマラヤにおいて、同様の暴雨雪や雪崩事故が発生したのははじめてのことではない。雨期の終焉後に発生するベンガル湾の台風(サイクロン)は、非常に危険な存在であり続けている。
  • 1995年11月、ゴーキョにおいて13人の日本人と11人のネパール人が亡くなっている。
  • 2005年10月には、ネパールとフランスの登山者18人がマナンのカングルの雪崩で死亡している。
(雨期終了後の)秋は降雨に見舞われることは少ないが、一方、ベンガル湾ではサイクロンの発生シーズンである危険性を無視してはいけない。

気象分析専門家Ngamindra Dahal氏は
「携帯電話とインターネット接続が確保されているアンナプルナ周遊コースでは、天候だけを避難することは出来ない」 
「これは予想出来なかった悪天ではない。本質的問題は、何故事前に警告が出されなかったのか?である」
  • インドとネパールの気象局は、今回の巨大サイクロンHudhudがもたらす危険性について情報を発信していた。
  • 国際TV放送は、ネパール中部及び西部での豪雨について予告していた。
  • 嵐の2日前から、ネパールの報道では、降雨が稲刈りシーズンに及ぼす悪影響についても警告していた。
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情報はあったにも関わらず、ヒマラヤの高所で行動していたトレッカーに何故伝わらなかったのか?これこそが大きな問題である。

考えられる原因として、
  • 天気予報の信憑性が低く、今回も「狼少年」として軽く考えられていた。
  • 公式な、独立性のある早期警報システムが欠如していた。
アンナプルナ地域は日曜日(10/12)まで秋の快晴が続いていた。それが一夜にして劇変し、10月14日火曜日には高所での暴風雪となり、多くのトレッカーとガイドたちが閉じ込められてしまった。

トロン峠やラルキャ峠の通過は、(トレッキングと云うより)登山に近いものである。高所での長時間にわたる厳しい行動となり、同時に悪天候の影響が状況をより悪化させる。悪天候の中ではトロン峠越えを強行すべきでないし、ガイドたちもそれを許してはいけない。

政府関係者が来たり来る天候の悪化を認識するだけでは不充分だ。山岳地帯にいるトレッカーや観光客に、早急かつ効果的にこれを伝達することが肝要である。このため
  • 報道メディア
  • トレッキング業協会 TAAN
  • ネパール登山協会 NMA
  • ヒマラヤレスキュー協会 HRA
  • 携帯電話会社による一斉ショートメッセージSMS
  • 高所にあるロッジへの連絡
  • 5千メートルを超えるトレッキンググループの衛星電話携行の徹底
これら対策の必要性は明確なのにも関わらず、トレッキングだから...と軽く考えられている。

高所における天候は、急変するというのに... 

ネパール、1,000ルピー札の都市伝説

本日2014年10月16日、ネパール日刊英文紙 The Himalayan Times 記事を抜粋紹介する()カッコ内文章は当ブログによる注釈。 題して
「1,000ルピー紙幣に描かれた象の画像、野生動物専門家さえも困惑」

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The Himalayan Times 元記事(英文)リンク

ネパールにおける紙幣流通は、1945年より始まった(それ以前はコインのみであった筈)。現在に至るまで最高額紙幣である1,000ルピー札は、1969年12月にはじめて紙幣印刷された。この時の図柄は、表は当時のマヘンドラ国王肖像。裏面はアンナプルナ連山と山村風景であった。 / リンク元ページ

その後1974年12月からは裏面の画像が長い牙を持つ象に変更され、現在まで継続されている(表面は歴代国王、共和制樹立後はエベレストと変遷)。
ネパール紙幣の変遷ページ(一部記事と齟齬する年代表示あり)。

ネパール・ラストラ銀行(ネパール中央銀行、日本で云うなら日銀)発行のネパール紙幣・コイン一覧によると、この図柄は「雄のアジア象」と説明されている。しかし、(野生動物)専門家は疑問を持っている。

図版の象は、アジア象とアフリカ象両方の特徴を有している。
象の専門家ナレンドラ・プラダン氏はThe Himalayan Times取材に対し証言した。

頭頂部にふたつの突起があるところはアジア象の特徴である。
しかし、身体と耳の大きさは、アフリカ象の特徴を示している。
肩の高さが頭部より上であるのも、アフリカ象的である。

一方、世界自然保護基金WWFネパール事務所に勤務する別の専門家は、異なった見解を表明した。
図版の象をアジア象ではない、と断定することは出来ない(アジア象と仮定することが出来る)

耳の大きさは、アフリカ象ほど大きくはない。
身体の形はアジア象に似ている。
しかし、この図柄は(アジア象の)自然な姿を描いてはおらず、美的に再構築されたものと考えられる。

アフリカ象とアジア象の比較 一般論

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(紙幣発行の当事者である)ネパール・ラストラ銀行は、図版の由来についての認識を示す事が出来ない。曰く、

かなり以前に採用された図版であるため、誰がこれを採用したのか?どこから抜粋/引用した図柄なのか?我々は知らない。
しかしながら、美術作品ではない。

同時に、ラストラ銀行担当者は以下のようにも証言した。
紙幣に描かれた全ての動物図版を、ネパール国内で生息するものに変更することを予定している。

予定通りに進めば、1,000ルピーの動物図版は近々に、チトワン国立公園で誕生した双子の赤ちゃん象とその母親に変更される。


紙幣にまつわる不思議が、40年間も放置されてきた。過去千ルピーは超高額で一般的に流通していなかったとしても、少なくともここ10年は日常でも目にする、手にする、使用する紙幣として身近である。
信じるか信じないかは、あなた次第です(キッパリ指さし)。
やりすぎ都市伝説かいな?ハローバイバイ、関暁夫〜

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以下、当ブログの見解。

現行1,000ルピーの象は、チトワンなどで観光客を乗せている「人に飼われているアジア象」とは違う印象だと思う。しかし、私自身が2002年、バルディヤ国立公園でカルナリ河の中州で「野生の雄象」と遭遇し、気づかれて威嚇され、恐怖で逃げ惑った時...威風堂々とした象の姿。長い牙。現実はどうあれ、私の頭の中ではこの図版そっくりなものとして記憶 されている。

こちらに突進してくるかのごとく、象は1歩、歩み寄ってきた。その時の恐怖。踏み殺されると感じた。野生の象がどんだけ恐いか。ふと、その時、象に気づかれる直前に撮った写真を探してみた。

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あれ?牙短い。え゛っ?記憶では1メートル以上、うにょ〜んと突き出ていたと思ったのに。記憶って、アテにならな〜い!!

最後に、ネパールの象さん、典型的なイメージ。

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ジャングルサファリで人を乗せる象さんたちの過酷な飼育環境とか、象の結核蔓延など悲しいお話しもあるが、それはいつか、別の機会に...

ヘリパイロット「だけ」懲罰とは?

ヘリを使ったエベレスト登頂、中国女性登山家王静(Wang Jing) さんについての続報が続いている。英文紙としてネパール最大の発行部数であるThe Himalayan TimesのRajan Pokharel記者がこの件、ずっと取材を続けている。

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2014年7月3日 The Himalayan Times (画像クリックで当該記事リンク)

王静さんに対しネパール政府は、エベレスト登頂証明書を発行したこと。ネパールの観光業界紙が主催した彼女に対する顕彰式典に、登山を管轄する文化・観光・民間航空省の事務次官も来賓として出席したことはこのブログでも既に記事にしたとおりである。

一方王さんをキャンプ2まで/から、ヘリに乗せてフライトを行ったFishtail Air社のイタリア人パイロットMaurizio Folini氏に対しては民間航空局(CAAN) の指導により、調査の決定が出るまで飛行停止処分(社のフライト人員名簿からの除外)が出されている。Folini氏はその後、ネパール国内での飛行が出来ないためイタリアに帰国していることが確認された。

Folini氏は9,000時間の飛行経験があり、昨年はエベレストの7,800mからのレスキューという超人的飛行も成功させている。記事によれば彼はヘリパイロットだけでなく、登山ガイドでもあるという。Folini氏は「あのような登山には賛成出来ないが、会社に所属するパイロットとして飛行を実施しか選択肢はなかった」と、当時の状況を説明している。

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【以下、私の論評】
Fishtail Air社はヨーロッパ式山岳ヘリレスキュー技術導入に積極的である。レスキュー飛行により数多くの人命を救う可能性の高いパイロットFolini氏が、一握りの外国人登山家とこれをサポートするネパール人の行動によって飛行停止処分を受けたことは、大変遺憾なことである。

同時に、王さんに登頂証明書を発行したのも、Folini氏に飛行停止処分を出したのも、同じく文化・観光・民間航空省(の内部)であり、決定の間に矛盾がある。敢えて踏み込むなら、登山を管轄する観光産業部の動きがおかしいし、その背景について何らかの疑惑を感じている人も少なくない。

登山家の側やヘリ運航会社マネジメントにはお構いなし。外国人パイロットだけが処分を受ける事となれば。それは明確なトカゲの尻尾切り。世界的に大きなニュースにならないとしても、非常に恥ずかしい、ネパールにとって不名誉な出来事となるだろう。ネパール観光業界にとっても、汚点がまた増える。

The Himalayan Times紙とRajan Pokharel記者には、今後とも期待して報道の成り行きを注目している。 

王静さんの登頂認定、ブログ記事追記

本日UPした「すっきりしない、エベレストの結末」記事について、情報を追加する。

フランスの通信社AFPによると、ネパール政府の見解として、王さんの「キャンプ2までヘリで飛行し、登山機材をここにデポしたあと再度ヘリでベースキャンプに戻り、そこから徒歩で登山活動を開始し登頂した」という主張に基づき調査。登頂を認めたとのこと。AFP元記事(日本語)

AFPの記事を更に詳細に紹介したHindustan Times紙によれば(英語)、 上記ネパール政府見解をAFPに対して述べたのは、文化・観光・民間航空省の中で観光産業全体を統括する次官補Madhu Sudan Burlakoti氏。

王さんを顕彰したのはネパール政府ではなく、観光に関するネパールの業界紙Gantabya Nepalであり、国際登山賞名目もこの業界紙独自に作ったものである。ここに観光省の次官は来賓として出席していたようだが、賞状とトロフィーを授与したのはマオ派に属する元の観光大臣であった。当初制憲議会国会のネムバン議長が授与するという噂であったが、実際は現閣僚でない政治家となる。など、スケールダウンした模様。登山界として、評価に値しない顕彰と見るのが妥当であろう。

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「ヘリでベースキャンプに戻って歩いて登った」という話が湧いて出ていることに関し、ネパール登山界における確実な筋に確認を取ってみた。しかしそこでは、これは初耳!と向こうに驚かれる始末。王さんが行きも帰りもキャンプ2まで/からヘリを使用しこの区間を歩いていないことは、確認が取れていることであるそうだ。

政府が登頂証明書を発行したこと自体、新聞記事を見るまで知らなかったとのこと。昨日の顕彰式典についても招待されておらず、然るべきネパールの登山界とは別な人間関係で行われたものであるそうだ。

ここからは私の推測であるが、大変な異常事態の中果たした登頂であるため、ヘリの使用について(登山倫理のみならず、法令にも抵触する無断飛行も含め)黙認し政府が登頂を認めた。のであれば、いろいろなことがいろいろな方法で可能なネパールにおいて、あり得る話である。 

一方政府がまともに「ベースキャンプから歩いた」と認めたのであれば、そこには根本的に嘘で固めたやりとりが存在する。としか思えない。 

不可解は不可解なままで終わるのか? ブログには書けない話も多過ぎだ。

すっきりしない、エベレストの結末

今季エベレストネパール側から、唯一登頂を果たした登山隊を率い、ただひとりの外国人登頂者である中国の女性登山家、かつ、アウトドアブランド経営者である王静(Wang Jing)さん。しかし彼女はベースキャンプからキャンプ2の間を登山下山共にヘリコプターを使用した。この背景には、4月に起こったアイスフォールでの大規模雪崩事故とその後の現地大混乱がある。

世界7大陸の最高峰+両極点踏破最短早回り記録に挑戦中であった王さんは、長年彼女をサポートしてきたHimalayan Experience商業登山隊の撤退後、新たに自分独自の登山隊を結成。自分をサポートするシェルパチームを率いて、5月23日エベレストに登頂した。

しかし、

1.キャンプ2への/からのヘリフライトが、正式にネパール政府の承認を取っていなかったと見られること。

2.ベースキャンプから上部の登山活動にヘリを使用した事への、登山のモラルに関わる疑問。

3.下山後、ネパール政府に対する報告で当初ヘリの使用を隠匿しようとしたと見られる行動があったこと。その後ヘリ使用を認めたが、通訳の間違いと主張。

などの問題があり、彼女に対するネパール政府からの登頂証明書が発行されるかどうか?注目を集めていた。

結果としてネパール政府は登頂証明書を発行しただけでなく、王さんの(いろいろな意味で)冒険的エベレスト登頂に対して国際登山賞顕彰まで行った。これらの記念セレモニーが昨日、カトマンズ市内のホテルで挙行された。

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2014年7月1日 The Himalayan Times紙より(写真クリックで元記事リンク)

ネパール政府による登頂証明より、世界の登山界では権威を認められているHimalayan Databaseには、【航空機の補助を得た登頂】と、但し書き付きで登頂が記載されているという(米国の登山評論家Alan Arnette氏による情報)。

今年春のエベレスト登山隊全面撤退の責任がネパール政府になく、登山隊が自主的に撤退したのだ。としたいネ政府にとって、彼女の登頂は有り難かったに違いない。結論としてヘリの不正使用疑惑を不問としただけでなく、賞を贈って顕彰までしてしまった。

現在のエベレスト登山では、ネパール側ルート最大の難所となる(ベースキャンプからキャンプ2までの間にある)アイスフォール帯のルート工作はネパールの環境保全団体が請け負っている。各登山隊はこれに対して通行料を支払い、その資金が団体の活動資金となっている。このWin-Win的活動の流れは政府の許可を得て行われている筈であり、王さんの登山時このルート工作が為されていなかった時点で政府が介入し、足で歩く登山による登行/下山ルートを確保すべきであった。または、今回の特殊な状況から、キャンプ2へのヘリ使用を政府が認めるべきであった。

同時に登山隊も事前に、そして下山後もヘリ使用をオープンに認め、今季の特殊性と自分たちの正当性を包み隠さず主張すべきであった。

登山村社会の掟を破って王さんに同行したシェルパさんたちは、彼女が学校に高額の寄付を行った村の出身であるらしい。またネパールの高所ヘリ運行会社にも、投資家として出資しているという。王さんの既成概念を突き破る行動力には感嘆するが、結局、お金。という臭いも感じられる。

エベレスト登山に関しては(も)ネパール政府は、何もしない。登山料という高額な収入だけ欲している。無責任。というイメージが再確認されたと思うのは、私だけだろうか?

来年春の登山シーズンの動向は、国際的に注目を浴びると思う。この時日本からは、エベレスト/富士山同時清掃活動をひっさげ、 エベレスト/富士山姉妹山提携を推進している方たちが、エベレストの現場から忌憚ない発信をするべく乗り込んでこられること。引き続き関心を持ち続けたいと思う。

今年のモンスーン予報

通常、6月10日前後からはじまるネパールのモンスーン。ネパール気象局の観測予報によれば、今年は例年より1週間から10日遅れての始まりとなり、雨量も少なめとのこと。

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関連新聞記事(画像クリックでオンライン版記事にリンク)

今年4月にインドのプーネパールで開催された南アジア気象学会においては、今年はエルニーニョ現象の影響を受ける可能性が指摘されている。

Tips on Monsoon in Nepal;
 ネパールへのモンスーン到達日平均値は6月10日前後であり、平均して105日間となる。この期間中に、年間降水量の75%の降雨が記録される。

 昨年2013年は(1952年以降)最長のモンスーンとなり、6月14日に到達し127日間続いた。この間、1455.3mmの降雨を記録。2012年、1343.9mm。2011年1320.3mm。

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観光オフシーズンとなるモンスーン期間中。山はほとんど見えない。しかし在住者にとっては、うれしい季節でもある。

水力発電、しかも流水型ダムが主流のネパールでは、川の水量が直接発電量に影響する。渇水期の秋〜冬は毎日10時間以上の計画停電に見舞われる。しかし雨の豊富なモンスーン期間中、停電時間は大幅に減る(それでも毎日数時間は停電なのが普通)。

緯度は奄美大島と同じという南国であり、しかも高地のカトマンズは直射日光強く乾燥も酷い。雨の時期だけは湿気あり、肌や髪、爪に優しい気候となる。木々や草木の緑も美しい。田植えの終わった田園風景など、息をのむような美しさである。観光客も少ないので、普段泊まれない高級ホテル等もオフシーズン割引をする事がある。特に在住者限定のパッケージは大変にお得。観光地も空いていて、のんびり出来る。

し・か・し、有視界飛行の割合が高いネパール国内線で事故が起きやすいのもこの時期。特に山岳路線は、モンスーン明けまで乗りたくないのが正直なところだ。 

エベレスト、ヘリ疑惑?

ネパール側からの今季ただひとりの外国人エベレスト登頂者、王静 Wang Jing さんの登頂公認について、ネパール政府との間に疑義が生じる可能性がある。

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The Himalayan Timesオンライン版記事(クリックで本日付紙面記事にリンク)

現地報道によれば、政府に文章で提出した王さん側の報告は以下の通り。5月9日から23日までのエベレスト登山において、彼女自身はベースキャンプから上の登山活動に一切ヘリを使用していない。雪崩の危険あるアイスフォールも、自分の足で登り下りしている。ヘリの使用は、機材と2名のスタッフをキャンプ2まで運んだだけである。

一方、ネパールのヘリ運航会社Fishtail AirのキャプテンMaurizio Folini氏によれば、5月10日彼が操縦するフライトで王さんをキャンプ2まで運び、下山時も同じくキャンプ2から拾ってフライトを行ったとのこと。

ネパールでは環境保護の観点から、エベレストベースキャンプより上へのヘリ飛行は、レスキュー活動等人道的に必要不可欠かつ、ネパール政府からの飛行許可を得たものでなくてはならない。今回考えられる問題点としては、

1.彼女のキャンプ2への/からのフライトの事実
2.これが政府許可のものであったか/否か
3.許可を受けないフライトであったとしたら、これに対する罰則
4.クライマー自身ヘリフライトを使用した登頂を、政府が登頂と認めるか/否か
   (飛行許可のあり/なしによっても、判断は左右されると思う)

であろう。王さん本人はマッキンリー登山終了後6月19日に再度カトマンズを訪れ、登頂証明書を受け取る予定だという。

政府という権威の登頂公認と、登山界の「モラル」としての判断が生じるだろう。ただし、登山のモラルは流動的であり、(たとえネ政府の登頂公認を得られなくても)近い将来王さんが、「画期的登山方を確立した人」となる可能性もある。ヒラリーさんの頃は、バクタプルから歩き始めていた訳だし。それを考えれば、ルクラへの飛行やベースキャンプへのヘリ入山など、ショートカットである。現在これらが問題視されない変化を、考えたい。

反面、常識的推測から彼女はC2の登山下山にヘリを使ったことは事実と見えるが、これを隠し通しての登頂申請であれば、登山以前のモラルとして受け入れ難いものを感じる。

蛇足であるが昨年、三浦雄一郎さんが登頂下山途中キャンプ2からヘリで下山したことについて。これは、疲労困憊した三浦さんに対する「レスキュー」であり、モラルとしての問題も発生しない。と、私は思う。極端に歩行スピードが遅くなった、または歩けない三浦さんがアイスフォール帯を歩いて下山したとしたら、長時間の行動中に雪崩事故に巻き込まれる可能性が増大した。途中で歩行不可能になったら、命が危ない。ご本人のみならず、前後左右を固めるガイドさんやシェルパさんの命まで危険にさらすこととなった。

今年、アイスフォール帯のルート工作が、王さんの時期は為されていなかった可能性がある。であれば彼女も堂々と、ヘリを使用した正当性をネパール政府や登山界に主張すべきである。事実を秘匿しての登頂申請であるとしたら、これは大変に残念な事である。

中立の態度で、事実関係の公表を待ちたい。 

エベレスト登頂者、既にマッキンリー登山の途に

ネパール側からのエベレスト、今季ただ一組の登頂。ただひとりの外国人登頂者となった中国人女性登山家Wang Jingさんは5月23日午後6時20分(ネパール時間)の登頂後、昨日5月25日にヘリを使い、カトマンズまで一気に下山した模様だ。雪崩事故のあったアイスフォールを通過するキャンプ2(または、キャンプ1)からベースキャンプまで徒歩であったのか?それとも下山もC2/C1からヘリを使ったのかについては、現地報道を見るに不明である。

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The Himalayan Times 2014.5.26 (写真クリックで元記事サイトにリンク)

現地紙に拠れば、エベレスト街道最大の集落であるナムチェでは、「シェルパが今季エベレスト登山の中止を強制していなかったことの象徴」として、Wang Jingさんは地元住民からの歓迎を受けたとのこと。エベレスト登山は強制的な中止をされていない。常にオープンである。という姿勢を示し続ける(しかしそのために有効かつ積極的な介入はしない、無責任な / 括弧内、報道ではなく私の論評ネパール政府にとっても、歓迎すべき出来事となった。

過去の報道でこの登山隊が最終キャンプを出発したのが午前9時との報道があったが、本人へのインタビューでこれは間違い、前日の夜9時に出発。5月23日午後6時20分登頂し、最終キャンプ帰着は出発から26時間近くかかったとのこと。ルート工作をしながらの登頂であったため、大変に過酷な登頂となったそうである。

世界7大陸最高峰登頂+両極地踏破世界最短記録(5ヶ月)を目指す彼女は、既に昨日夜、最後の登頂目標となるマッキンリー登山のため、ネパールを出国済みとのことだ。


今回、彼女の登山スタイルについては、産業として確立された欧米商業登山隊との確執も噂されている。伝統的、と云われた極地法スタイル登山家からは「革新的、または異端」と捉えられた商業公募登山隊業界からも「異質」と感じられる、登山ルートへのヘリ使用を厭わない、財力と意志の力に基づく新しい登山スタイル。

さらに新しい登山スタイルが生まれたことは、確実である。

変革を続けるエベレスト登山が正しいものであるかどうか?の論議が巻き起こるであろう。一方、世界最高峰のいただきを目指す外国人がいる限り、これを生活の糧とするネパールの人たちと、産業としてもっと発展させたい(利益を上げたい)ネパールを含む世界中の登山エージェントが存在する限り。もっともっと、先に先に、信じられないような出来事が今後も起こっていくだろう。誰にも止められない。

何故なら、これを規制/制限すべきネパール政府の存在が「アレだから」である。 ネパールは、パラダイス。シャングリ・ラ、ではないけれど.....

Wang Jingさん、エベレスト登頂

ネパール現地報道によれば、中国の女性富豪登山家Wang Jingさんは5月23日、ネパール側からエベレストの登頂に成功した模様である

通常、標高7,900mのサウスコルに設置する最終キャンプを夜中に出発し、正午過ぎまでには登頂。日の明るいうちに最終キャンプまで下山する。しかし今回何があったのか不明であるが、午前9時に最終キャンプを出発。登頂は夕方6時20分であったと伝えられている。5人のサポートシェルパも同時に登頂した。夜を徹しての下山となったであろう。

Wang Jingさんの登山継続については、元々の所属商業登山隊Himexとの確執も伝えられている。Himexはニュージーランド出身の登山家ラッセル・ブライス氏が率い、顧客とシェルパ双方の安全かつ、優れた登山サービスを提供する著名な商業登山会社である。Himex社の登山撤退、そして中国政府からの(チベット側からの)登山許可取得出来なかった事を受け、Wang Jingさんはネパール人経営の全く別の会社から7人のスタッフを雇用した。登山許可の問題をどのようにクリアーしたか?詳細良く分からない。

アイスフォール帯を歩いて通過するのではなく、ヘリをチャーターして人員と物資を一気にキャンプ2にあげた。一説では数百万円をかけ、ヘリを20往復させたという。未確認の情報では、彼女自身、ネパールの高所ヘリ運航会社の出資者であるとも。いやはや、札束か?

Wang Jingさんは長年、エベレスト等の登山で主流となっている商業公募登山システムにおいて「多くのネパール人と外国人が尊敬する」ラッセル・ブライス氏の顧客であり、彼のシステムでサポートを受けてきた。今回この関係が、非常に深刻に決裂した模様である。下山後、5月29日のエベレスト初登頂記念日で、ネパール政府から「今季ただ一人のネパール側登頂者」として栄誉を授けられるとの噂もあるが?さて。

先ずは無事に下山することが先決であるし、シェルパさんたちの安全も願いたい。

ローツェへの単独登頂を目指しているブラジル出身のアメリカ国籍クレオさんについては、キャンプ3に到着したとのニュースのあと未だ続報ない。これまた、とにかく生きて下山してもらいたい。


それにしても、一体全体何があったのだろう?今年のエベレストは、不可解なことだらけである。

ラトマチェンドラナート、巡幸予定

現在パタン旧市街マンガルバザールとラガンケルの中間地点Thatiに鎮座ましましているラト・マチェンドラナートさま。昨日のRadio Sagarmathaニュースに拠れば、6月19日(木)にここから最終地点のジャワラケルに巡幸される吉祥の日付が占星術により決定された。

その日から4日目の6月22日(日)、国家元首である大統領臨席の下、(宝石を縫い付けられたご神体のチョッキを見せる)ボトジャトラが行われる見込みである。この日は、カトマンズ盆地内限定の祝日となる。
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ご神体が置かれた山車現在地と、ボトジャトラ開催地の位置(地図クリックで拡大)

ボトジャトラの頃には、カトマンズ盆地にもモンスーンが到来しているはずである。ビクラム暦2071年祝祭日一覧も、ボトジャトラ日付暫定的であるが更新した。
http://japanepal.com/calendar/2071.html

エベレスト続報; 女性登山家2名登山継続!?

驚いた!

アメリカと中国の女性登山家が、ネパール側のルートからエベレストと、(キャンプ3までの登山ルートをエベレストと同一とする)世界第4位の高峰ローツェ(8,516m) への挑戦を継続しているという。

4月18日に発生した雪崩事故に対する鎮魂と、その後ベースキャンプで発生したトラブル(関連記事リンク)を原因として、全ての登山隊が撤退したと思われていた。しかし、諦めず挑戦を続ける登山家がいた。いやはや、驚いた!

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本日のThe Himalayan Times、トップニュース(記事詳細は画像クリックでリンク)

写真右; エベレストを目指す中国のWang Jing さん(40) は7名のサポートシェルパを雇用。ナムチェからエベレストベースキャンプ入りの後、登山活動をする計画だ。彼女は"Life at Altitude"という著作があり(作家か?)、「高峰の雪の蓮 (Alpine Snow Lotus」という別名で著名だと云う。登山の経歴も8千メートル峰7つに登頂を果たすなど、見た目の美しさだけではない華麗なる登山家だ。

写真左; ローツェに挑戦する米国のCleonice P. Weidlich さん(51) は、クレオというニックネームで知られる女性登山家。エベレストには2010年に登頂しており、2012年10月には彼女にとって8つめの8千メートル峰として、マカルーにも登頂するという経歴だ。 今回は既にベースキャンプより下にあるゴラクシェップ(5,164m) からヘリコプターを使い、アイスフォールを飛び越え、6,500m前後にあるキャンプ2に到着しているという。今回の行動で特に注目すべきは、クレオはシェルパを連れず/シェルパに連れられず、たったひとり、単独での登頂を目指している。ガチや!

なお、両者ともに(別々の)商業公募登山隊の一員として登山許可を取得している。彼女たちが登頂を果たした暁には、それぞれの隊の他の隊員たちの登山許可5年間有効の特例が破棄される(隊員全員が撤退とならず同隊から登頂者が出るため)可能性について、ハンドリングエージェントとネパール観光省登山局の間で確認が行われている模様である。

同時に、クレオのキャンプ2へのヘリ飛行は(ベースキャンプより上部という飛行制限区域)運行申請や許可がないままに行われた模様で、これまた、事実関係の調査が進んでいるらしい(関連新聞記事)。


それにしても、心臓に毛の生えた登山家がいたものだ。しかも両者ともに女性。絶対に生きて帰ってきてもらいたいし、サポートするシェルパを殺さないように。出来れば登頂も果たしてもらいたい。詳細分からないが、カトマンズから声援を送る。

死ぬなよ!な..... 

FMラジオの混戦、混線?対策

全国で300以上のFMラジオ局が認可されているネパール。カトマンズにおいても近い周波数がいくつもの放送局に割り当てられており、ダイヤル式の旧型ラジオでは混線してチューニング難しい。Wikipedia情報

私がよく聞く局の中で、最大手のKantipur FM 96.1MHzは、カトマンズ交通警察の運営するMetro Traffic FM 95.6MHzと混線する。我が家の地域ではTraffic FM の出力が大きく、95.2MHzのStarFMもあって三つ巴。Kantipurを聞くためにはデジタルチューニングのラジオがないとほぼ無理である。

現在のカトマンズでは、ラジオをラジオ受信機で聞く世帯は少数派。大多数は携帯電話で聞いているため、チューニングもデジタル。なのだが、アンテナとなるヘットセットをつなげないと聞けないことも多く面倒だ。

我が家にも遅ればせながらブロードバンドネットが架設され、ネット環境のためのインバータ電源をセットしてからは、ネット経由でラジオを聞くことが増えた。私が愛用しているのは、iPadに入れているTunein Radioというアプリ。これを使ってネパール国外にいる時も、KantipurやRadio Sagarmathaを聞き、BBCラジオの英語やネパール語放送を聞いて、最新のニュースをチェックしている。

ネパール語でニュースが理解出来ることと、間違っていたり偏っている報道を見分けることにさえ注意すれば、FMラジオニュースは情報源として貴重な存在となる。テレビと違い、ネパールの長くて厳しい計画停電中も聞けるしね。

ディスカバリーチャンネル エベレスト雪崩の悲劇

ディスカバリーチャンネル エベレスト雪崩の悲劇


テレビクルーの出来る事は、伝えること。

先進国メディアにより「再構築」された。様々な事実の中から「再構築」されたドキュメンタリーであることを念頭に。それでも尚、このテレビドキュメンタリーから「現場」を推測することに、大きな意味がある。

野口健さんのアクションと、ネパール登山の転換点

山をはじめとした環境保全活動で知られる、アルピニスト野口健さん(40)。今回のエベレスト雪崩事故では、過去4回登山活動を共にしたシェルパが犠牲になった。

国際的にはこの「エベレスト登山史上最悪の事故」が大きく取り上げられたが、ヒマラヤ登山と馴染みの深い日本においては「日本人が犠牲になっていない」ことが原因で、報道の扱いは非常に小さかった。ヒマラヤ登山でのシェルパの献身的活動を高く評価し、登山事故で亡くなったシェルパ遺児の教育活動も続ける野口さんは、日本円約1千万円(10万ドル)の義援金を贈る事を決定し、急遽カトマンズ入りした。

読売新聞記事
朝日新聞記事
共同通信配信に基づく、スポーツニッポン記事

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ネパール登山協会(NMA) アンツェリン・シェルパ会長(右)、サンタ・ラマ筆頭副会長(左)と共に、野口健さん 2014年5月4日 NMA事務所にて

この義援金はネパール登山協会(NMA)を通じ、シェルパに対する社会福祉基金、特に遺児の教育に対しての活動に使われる事となった。現在ネパール政府とNMAは、ヒマラヤ登山に携わるネパール人「シェルパ社会福祉基金」の設立準備を進めている。この活動に対し、外国から最初のまとまった金額支援となった。

NMA会長アンツェリン氏は

「外国からの支援金については、その金額と同額をNMA側からも拠出するパートナー資金を創設する。これにより、外国からの善意にネパールの自助努力も合わせ、倍額の資金を確保出来る。野口さんの迅速なアクションにより、ネパール側の活動に弾みがついた」

と、発言した。一方、野口さんは

「今回、ネパール国内に社会福祉基金創設が自発的にはじまったことが大切であり、自分はこれに協力する」

写真
通訳を介し、過去共に登山をしたエベレスト雪崩事故犠牲者の、お嬢さんを励ます(一般人の方に対しては、トリミングと画像処理でプライバシー保護しました)2014年5月5日 NMAでの記者会見終了後

犠牲者の家族に支給される保険金や弔慰金は一時的なもので、数年で使い果たしてしまう。継続的に、遺児の教育に対する支援が不可欠であること。個別の事故、個人に対する支援ではなく、シェルパコミュニティに対する社会福祉システムを構築する必要性について、野口さんとNMAの基本姿勢は一致している。

まとまった資金の、時を置かない支援。これを活かすシステム作りに対する人脈。これまでの地道な活動が活きた、野口さんによる効力ある活動である。


しかしネパール登山界については、釈然としない側面も垣間見られた。

事故の後、シェルパたちの理にかなった要求を政府側も認めたにも係わらず、今期ネパール側からのエベレスト登山は全面的に撤退となった。ベースキャンプにおいて特定の政治勢力が介入し、シェルパたちが望んでいない別の要求を掲げ、登山中止を暴力的に行ったこと。身の危険を感じる脅迫があったことは、下山した登山関係者複数の証言から明らかになっている。

NMAや登山業界の中では、誰と誰が脅迫行為の首謀者であったか特定もされている。

しかし、暴力装置を擁する政治勢力への遠慮があるのか、このことを触れたがらない。ネパール政府関係者も

「政府は登山活動継続を呼びかけた。もし本当に暴力的行為があったのなら、各登山隊は公式に、ネパール政府に申し立てをすべきである。これがあれば厳正に対処するが、それが提出されていないのに、一部メディアはネガティブキャンペーンを行っている」

と、メディアを悪者にしている。

今日の記者会見において野口健さんは

「シェルパの社会福祉を充実させるのと同時に、もし、特定の政治勢力による登山への介入が事実であったなら、これをきちんと解決する事が大切である。隠さず、勇気を持って事実を分析しなくてはならない。これが為されなければ将来においても、政治問題による登山撤退が起こりうる。そうなれば登山だけでなく、ネパール観光全体が致命的悪影響を受けるだろう」

と警告した。

会見に出席していたネパール政府観光省高官や、ネパール観光業界の重鎮は、この呼びかけを表立って認めようとしなかった。しかし、そこ、ここでネパール語による内輪話では、登山オペレーター業界代表と政府が早急に対応を協議すべきとの相談もしている。

外国人に知られたくない。外国人に指摘されたくない。ネパール人だけで「こっそり」対処したい。

ネパールの登山において、2014年春は大きな「転換点」として後世に記録が残る。そんな気がしてならない。「ネパール登山の終わりの始まり」として記憶されない事を願うばかりである。

シェルパの尊厳を踏みにじる、汚い政治ゴロ

http://www.thehimalayantimes.com/fullNews.php?headline=+Did+politics+climb+Mt+Everest+after+avalanche%3F&NewsID=412931

今回のエベレスト登山中止の裏に、マオ派政治勢力の存在。私も聞いていたうわさ話を裏付ける現地報道。数日前の記事で恐縮だが、ネパール人登山オペレーター筋からこれを裏付ける、信頼出来る直接情報を得られたので紹介する次第。

統一ネパール共産党・毛沢東主義、通称マオ派党首プラチャンダ=ダハール氏のひとり息子、プラカーシュ・ダハールは素行と女性関係に問題を抱えると云われる人物。しかし家族には溺愛されているようで、父親の権力を利用したとしか思えない経歴を重ねている。そのひとつとして2012年、マオ派による平和登山隊隊長として、エベレストに登頂を果たしている。

ネパールの主要なヒマラヤ登山においては、リエゾンオフィサーという政府からのお目付が、各登山隊に派遣される。通常、派遣前研修を履修するなど一定の基準を満たした公務員が任命されるのだが、有能なヒマラヤ登頂者の中からも少数選出される。今回エベレストの中国登山隊リエゾンとして、この、マオ派党首のボンボン・プラカーシュが任命されていた。彼は4月18日の雪崩死亡事故直後にベースキャンプ入りしたらしい。

現地報道や私の得た情報に拠れば、今シーズンのネパール側からのエベレスト登山隊全てへの撤退は、プラカーシュとその一味により主張された。言葉や態度による暴力、脅迫が、エベレストベースキャンプで展開された。これに反対する者には、村に残る家族に危害を加えるとの圧力もあったらしい。今はカトマンズでの安楽な生活に毒されたとは云え、10年間の内戦を経たマオ派。しかも党首の息子がその場でバックにつく勢力からの圧力は、ベースキャンプという下界から隔絶された環境では異様な恐怖となったこと。自分自身過去、そこで2ヶ月近い時間を(登山隊スタッフとして)過ごした人間として理解出来る。

ヒマラヤ登山に従事するネパール人高所ガイド、スタッフの待遇・補償体制改善要求自体は健全な、あるべき主張であった。ネパール政府もこれに、応えた。しかしその後に起こった暴力的登山活動撤退圧力は、政治的野心に満ちたものであったようだ。

マオ派政党としての党利党略に基づいた行動か?党首の息子によるスタンドプレーか?

登山との係わり薄い、低地・中間山地のヒンズー教ブラーマン族のプラカーシュ。2年前、彼ををエベレストに登頂させ、強引にヒマラヤ登山との関係性を構築。今回も事故発生以前に、政府リエゾンに任命していたあたり。ネパールの象徴たるエベレストへの、マオ派政治勢力浸透作戦の一端が垣間見られる。山岳関係者でもある、とあるシェルパの方が、絞り出すような声で、吐き捨てるように云った。

「ヤツらは、シェルパの遺体を政治利用しやがった!」

汚い。あまりに薄汚れた出来事だ。許し難い。 

リングロード拡張工事の現実

カトマンズの真夏を彩る、大木に咲く紫のジャカランダ並木を撮ろうとリングロードに出てみたら。花はまだちらほらしか咲いていない。

その一方、カトマンズのカランキからパタン郊外を通り、再度カトマンズのコテソールまでのリングロードは、拡張工事の真っ最中。

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リングロードとは、カトマンズとパタン市をぐるりと囲む、27kmの郊外環状道路である。今から30年ほど前、中国政府の援助により完成した。

市街地の拡大と郊外に開発されている住宅地とのアクセス。急増する車両やバイク。急激な都市化の進むカトマンズ首都圏の需要を満たすため、今回も中国の無償援助により対向4車線ずつ、計8車線の道路に拡張が進められている。現在第1期工事として、カランキ〜コテソールまで9km区間が工事されている。

これまでの道路部分が中央にあり、その左右、グリーンベルトとして残されていた空き地が掘り返され、排水溝等の工事が為されているのだが。

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道路部分の昔の埋め立てと、30年間のアスファルト舗装の層により、新規拡張部分との間に大きな段差が生じている。

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これは今後盛り土をして、道路と同じ高さになるのであろうが。現在掘り返して、ガードレール等の防御も無しに車やバイク、歩行者が通行している。横に置いた自転車と比べて、段差の高さが分かる。

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今のところ大きな事故は起こっていないが、乗客を満杯に詰め込んだバスが突っ込みなどしたら。大惨事になる事、この写真からだけでも想像出来るだろう。
 
いやはや、チャイナ式土木工事。しかも、ネパール。命あっての物種である。 

パタンのクマリ

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カトマンズ旧王宮地区のクマリの館に住まわれるロイヤル・クマリだけでなく、カトマンズ盆地内には何人かのクマリが現在でも存在している。由緒正しきネワール族の、吉祥の印を持って生まれた少女が、生きている女神さまとして国家や地域の信仰の対象になっている。

女神でいる間は外出や食物に対する規制もあるが、近年では女神期間中の学校教育にも配慮が為されるようになったと聞く。カトマンズクマリのように通学できない場合は、学校の先生がクマリの元に出向いての個人教授となるようだ。

パタンのジャワラケル交差点〜クマリパティ(文字通り、クマリの東屋)は昨日今日、ストリートフェスティバル。食べ物や衣類の露天、ヘビメタバンドのコンサートという下世話な環境の中、パタンクマリのお目見えも行われていた。

祭りの最終日には国家元首も臨席するパタンのラト・マチェンドラナートをはじめ、パタンの神聖なる祭りや儀式には欠かせない、街の守り神である。

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ラト・マチェンドラナート、祭りはもうすぐ

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カトマンズ盆地に雨期の到来を知らせる、パタン、ラト・マチェンドラナートのご神体を乗せる山車が、今年も伝統通りの技法で準備されている。今年は5月3日に巡行が始まり、1ヶ月から2ヶ月にわたってパタン旧市街地各地に巨大な山車が曳かれていく。祭りの終焉の頃には、盆地に豊作をもたらすための雨期が始まる。

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エベレスト、続報 Apr. 24_21:13

情報源;

本日のロイター電
http://www.reuters.com/article/2014/04/24/us-nepal-everest-idUSBREA3H06L20140424?feedType=RSS&feedName=everything&virtualBrandChannel=11563 

ネパール時間20:45からのBBCラジオネパール語国際放送


内容は同じ。本日エベレストBCを訪れた交渉団のトップに直接取材(ロイターは次官。BBCは大臣) 。

ネパール政府が今期の登山活動を一括中止決定することはない。

各登山隊の状況判断を尊重する。

登頂に失敗した場合2年以内であれば再度挑戦できる規定があるが、今回は特例として5年以内であれば再度登山料払うことなく今回の登山許可で再挑戦を認められるよう、閣議決定にかける。
 

BBCは現地のネパール人高所ガイドに電話インタビューしていた。曰く、アイスフォールの状況良くないし、家族も今回は登山活動を辞退するように云うが、どうやって外国人メンバーに納得してもらうかが問題だ。とのこと。

登山を中止する登山隊が増加した場合、アイスフォールの通過危険性の問題以外にも、上部のルート工作をするマンパワーや機材が決定的に不足する。登山継続の登山隊には、慎重のうえにも慎重な活動が望まれる。 

エベレスト、続報 Apr. 24_12:55

エベレストベースキャンプから発信する、ピークフリークス登山隊のブログに拠れば、ベースキャンプで行われたネパール人ガイド・スタッフとネパール政府の話し合いの結果により、今シーズンのネパール側エベレスト登山が全て中止されることで合意した。現在のエベレスト登山許可は、今後5年間有効にすることも合意された模様である。
http://peakfreaks8000.blogspot.com/ 

ネパール政府からの公式発表はまだ出ていない。ひとつの未確認情報としてお伝えする。
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