ネパール−インド国境地帯タライ地方で続く民族対立暴動に対して、本日ネパール時間午後3時から、コイララ首相の声明が発表される見込みだ。首相官邸での取材(撮影)につきネパール国営メディアだけでなく、外国の報道関係者にも声がかかった。
ネパールの政治形態に、連邦制を取り入れることが発表されるのではないか?と、注目を集めている。ただしこれは、ネパールを「民族ごとの小国連合」にしてしまう危険性をはらんでいる。ネパール全体での民族による政治権力分布も是正されるべきだが、今度は、全国的には有力民族だが小国内では少数民族になる例も出てくるだろう。このような場合、激しい近親憎悪が起こり得るのではないだろうか。
全ての民族の文化は尊重され、侵されざるべきものである。しかし、同時に、民族を越えた「ネパール人」としてのアイデンティティを形成しなければ、国が成立しない。
問題なのはこれまで、この「ネパール人」としての「文化」が、政治的・経済的に優位を占める特定の民族の、利益に基づく側面があったことだ。
ネパールは今まで、民族や宗教対立の(殆ど)無い国として知られてきたが、このフレーズは、支配的民族の「奢り」に立脚する視点だったのかもしれない。
劣位に置かれてきた諸民族は、穏やかな表情の裏に、深い遺恨を代々持ち続けてきたと思う。これらが、今回のタライ暴動の原因のひとつといえるだろう。そしてこれを、政治的に利用しようと画策した勢力もあった模様である。
ネパールの諸民族の地位と権利の保全。併せて、民族を越えたネパール国家の再構築は、ネパール民主化の大きな柱である。
民主主義という政治形態は、運営するのが簡単ではないね。
でも、民主主義以外に道はないんだよね。ネパールでも。