英国のBBC国際放送ラジオ・ネパール語サービスと、ネパールの民間TV局カンティプールの共同企画、「サジャ・サワール(みんなが思っている疑問・質問)」 という番組が秀逸だ。
これは、ネパールの普通の人たちが、政治的指導者たちに鋭く質問をすることが出来るという公開番組。収録場所に集まった人だけでなく、ネパール全国に通信員をおくBBCラジオの機動力を発揮して、全国から草の根からの質問を、音声で集めている。
第1回はコイララ首相に質問しよう!であり、2回目はマオ派最高指導者プラチャンダ氏が回答者であった。この様子はBBCラジオの国際放送だけでなく、カンティプールのTV番組としても放送される。
2回目まで観た印象では、両リーダーとも、自己弁護の詭弁は堂々としたもの。どんな厳しい質問が来ても、論理をすり替えながら自己と自分の政党が正しい!と主張する【話芸】は、名人芸である。
しかし、TVというのは恐ろしいメディアである。特にプラチャンダ氏に対して、自分や家族がマオ派の迫害によりこんな被害を受けているという学生や女性からの、切々とした問いかけを受けるとき。これを聞いているときの、プラチャンダ氏の表情が、なんとも.......
心の底から、困ったなぁ。痛いところを突かれてるなぁ。そりゃ、ワシらの活動家が良くないよなぁ。弱い者虐めしちゃってるなぁ。ワシ、何で、こんな番組に出ちゃったんだろう。
と、顔に書いてある。これをTVカメラは、超アップで捉える。
ラジオ放送では、この映像は想像できない。何故なら、自分の答えに入ると同時に、プラチャンダ氏はいつもの鉄仮面で、堂々と蕩々と、自己の論理を展開するから。
次回放送の番組3回目は、統一共産党党首であるマダブクマール・ネパール氏。これまた、ネパール政界の「発言ぬらりひょん」と称せられる妖怪である。あっ、命名したのは私です。何か文句あったら、自分の心に収めといてくださいね。
BBCラジオとカンティプールTVは、いい仕事をしている。
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ネパール語の読み書きできる方は、このURLから音声聴取できる(BBC用デバナガリ・フォントダウンロード必要)。