けぇ がるね?日記

ネパールの首都、カトマンズから発信しています。

2014年05月

エベレスト、ヘリ疑惑?

ネパール側からの今季ただひとりの外国人エベレスト登頂者、王静 Wang Jing さんの登頂公認について、ネパール政府との間に疑義が生じる可能性がある。

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The Himalayan Timesオンライン版記事(クリックで本日付紙面記事にリンク)

現地報道によれば、政府に文章で提出した王さん側の報告は以下の通り。5月9日から23日までのエベレスト登山において、彼女自身はベースキャンプから上の登山活動に一切ヘリを使用していない。雪崩の危険あるアイスフォールも、自分の足で登り下りしている。ヘリの使用は、機材と2名のスタッフをキャンプ2まで運んだだけである。

一方、ネパールのヘリ運航会社Fishtail AirのキャプテンMaurizio Folini氏によれば、5月10日彼が操縦するフライトで王さんをキャンプ2まで運び、下山時も同じくキャンプ2から拾ってフライトを行ったとのこと。

ネパールでは環境保護の観点から、エベレストベースキャンプより上へのヘリ飛行は、レスキュー活動等人道的に必要不可欠かつ、ネパール政府からの飛行許可を得たものでなくてはならない。今回考えられる問題点としては、

1.彼女のキャンプ2への/からのフライトの事実
2.これが政府許可のものであったか/否か
3.許可を受けないフライトであったとしたら、これに対する罰則
4.クライマー自身ヘリフライトを使用した登頂を、政府が登頂と認めるか/否か
   (飛行許可のあり/なしによっても、判断は左右されると思う)

であろう。王さん本人はマッキンリー登山終了後6月19日に再度カトマンズを訪れ、登頂証明書を受け取る予定だという。

政府という権威の登頂公認と、登山界の「モラル」としての判断が生じるだろう。ただし、登山のモラルは流動的であり、(たとえネ政府の登頂公認を得られなくても)近い将来王さんが、「画期的登山方を確立した人」となる可能性もある。ヒラリーさんの頃は、バクタプルから歩き始めていた訳だし。それを考えれば、ルクラへの飛行やベースキャンプへのヘリ入山など、ショートカットである。現在これらが問題視されない変化を、考えたい。

反面、常識的推測から彼女はC2の登山下山にヘリを使ったことは事実と見えるが、これを隠し通しての登頂申請であれば、登山以前のモラルとして受け入れ難いものを感じる。

蛇足であるが昨年、三浦雄一郎さんが登頂下山途中キャンプ2からヘリで下山したことについて。これは、疲労困憊した三浦さんに対する「レスキュー」であり、モラルとしての問題も発生しない。と、私は思う。極端に歩行スピードが遅くなった、または歩けない三浦さんがアイスフォール帯を歩いて下山したとしたら、長時間の行動中に雪崩事故に巻き込まれる可能性が増大した。途中で歩行不可能になったら、命が危ない。ご本人のみならず、前後左右を固めるガイドさんやシェルパさんの命まで危険にさらすこととなった。

今年、アイスフォール帯のルート工作が、王さんの時期は為されていなかった可能性がある。であれば彼女も堂々と、ヘリを使用した正当性をネパール政府や登山界に主張すべきである。事実を秘匿しての登頂申請であるとしたら、これは大変に残念な事である。

中立の態度で、事実関係の公表を待ちたい。 

エベレスト登頂者、既にマッキンリー登山の途に

ネパール側からのエベレスト、今季ただ一組の登頂。ただひとりの外国人登頂者となった中国人女性登山家Wang Jingさんは5月23日午後6時20分(ネパール時間)の登頂後、昨日5月25日にヘリを使い、カトマンズまで一気に下山した模様だ。雪崩事故のあったアイスフォールを通過するキャンプ2(または、キャンプ1)からベースキャンプまで徒歩であったのか?それとも下山もC2/C1からヘリを使ったのかについては、現地報道を見るに不明である。

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The Himalayan Times 2014.5.26 (写真クリックで元記事サイトにリンク)

現地紙に拠れば、エベレスト街道最大の集落であるナムチェでは、「シェルパが今季エベレスト登山の中止を強制していなかったことの象徴」として、Wang Jingさんは地元住民からの歓迎を受けたとのこと。エベレスト登山は強制的な中止をされていない。常にオープンである。という姿勢を示し続ける(しかしそのために有効かつ積極的な介入はしない、無責任な / 括弧内、報道ではなく私の論評ネパール政府にとっても、歓迎すべき出来事となった。

過去の報道でこの登山隊が最終キャンプを出発したのが午前9時との報道があったが、本人へのインタビューでこれは間違い、前日の夜9時に出発。5月23日午後6時20分登頂し、最終キャンプ帰着は出発から26時間近くかかったとのこと。ルート工作をしながらの登頂であったため、大変に過酷な登頂となったそうである。

世界7大陸最高峰登頂+両極地踏破世界最短記録(5ヶ月)を目指す彼女は、既に昨日夜、最後の登頂目標となるマッキンリー登山のため、ネパールを出国済みとのことだ。


今回、彼女の登山スタイルについては、産業として確立された欧米商業登山隊との確執も噂されている。伝統的、と云われた極地法スタイル登山家からは「革新的、または異端」と捉えられた商業公募登山隊業界からも「異質」と感じられる、登山ルートへのヘリ使用を厭わない、財力と意志の力に基づく新しい登山スタイル。

さらに新しい登山スタイルが生まれたことは、確実である。

変革を続けるエベレスト登山が正しいものであるかどうか?の論議が巻き起こるであろう。一方、世界最高峰のいただきを目指す外国人がいる限り、これを生活の糧とするネパールの人たちと、産業としてもっと発展させたい(利益を上げたい)ネパールを含む世界中の登山エージェントが存在する限り。もっともっと、先に先に、信じられないような出来事が今後も起こっていくだろう。誰にも止められない。

何故なら、これを規制/制限すべきネパール政府の存在が「アレだから」である。 ネパールは、パラダイス。シャングリ・ラ、ではないけれど.....

Wang Jingさん、エベレスト登頂

ネパール現地報道によれば、中国の女性富豪登山家Wang Jingさんは5月23日、ネパール側からエベレストの登頂に成功した模様である

通常、標高7,900mのサウスコルに設置する最終キャンプを夜中に出発し、正午過ぎまでには登頂。日の明るいうちに最終キャンプまで下山する。しかし今回何があったのか不明であるが、午前9時に最終キャンプを出発。登頂は夕方6時20分であったと伝えられている。5人のサポートシェルパも同時に登頂した。夜を徹しての下山となったであろう。

Wang Jingさんの登山継続については、元々の所属商業登山隊Himexとの確執も伝えられている。Himexはニュージーランド出身の登山家ラッセル・ブライス氏が率い、顧客とシェルパ双方の安全かつ、優れた登山サービスを提供する著名な商業登山会社である。Himex社の登山撤退、そして中国政府からの(チベット側からの)登山許可取得出来なかった事を受け、Wang Jingさんはネパール人経営の全く別の会社から7人のスタッフを雇用した。登山許可の問題をどのようにクリアーしたか?詳細良く分からない。

アイスフォール帯を歩いて通過するのではなく、ヘリをチャーターして人員と物資を一気にキャンプ2にあげた。一説では数百万円をかけ、ヘリを20往復させたという。未確認の情報では、彼女自身、ネパールの高所ヘリ運航会社の出資者であるとも。いやはや、札束か?

Wang Jingさんは長年、エベレスト等の登山で主流となっている商業公募登山システムにおいて「多くのネパール人と外国人が尊敬する」ラッセル・ブライス氏の顧客であり、彼のシステムでサポートを受けてきた。今回この関係が、非常に深刻に決裂した模様である。下山後、5月29日のエベレスト初登頂記念日で、ネパール政府から「今季ただ一人のネパール側登頂者」として栄誉を授けられるとの噂もあるが?さて。

先ずは無事に下山することが先決であるし、シェルパさんたちの安全も願いたい。

ローツェへの単独登頂を目指しているブラジル出身のアメリカ国籍クレオさんについては、キャンプ3に到着したとのニュースのあと未だ続報ない。これまた、とにかく生きて下山してもらいたい。


それにしても、一体全体何があったのだろう?今年のエベレストは、不可解なことだらけである。

ラトマチェンドラナート、巡幸予定

現在パタン旧市街マンガルバザールとラガンケルの中間地点Thatiに鎮座ましましているラト・マチェンドラナートさま。昨日のRadio Sagarmathaニュースに拠れば、6月19日(木)にここから最終地点のジャワラケルに巡幸される吉祥の日付が占星術により決定された。

その日から4日目の6月22日(日)、国家元首である大統領臨席の下、(宝石を縫い付けられたご神体のチョッキを見せる)ボトジャトラが行われる見込みである。この日は、カトマンズ盆地内限定の祝日となる。
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ご神体が置かれた山車現在地と、ボトジャトラ開催地の位置(地図クリックで拡大)

ボトジャトラの頃には、カトマンズ盆地にもモンスーンが到来しているはずである。ビクラム暦2071年祝祭日一覧も、ボトジャトラ日付暫定的であるが更新した。
http://japanepal.com/calendar/2071.html

エベレスト続報; 女性登山家2名登山継続!?

驚いた!

アメリカと中国の女性登山家が、ネパール側のルートからエベレストと、(キャンプ3までの登山ルートをエベレストと同一とする)世界第4位の高峰ローツェ(8,516m) への挑戦を継続しているという。

4月18日に発生した雪崩事故に対する鎮魂と、その後ベースキャンプで発生したトラブル(関連記事リンク)を原因として、全ての登山隊が撤退したと思われていた。しかし、諦めず挑戦を続ける登山家がいた。いやはや、驚いた!

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本日のThe Himalayan Times、トップニュース(記事詳細は画像クリックでリンク)

写真右; エベレストを目指す中国のWang Jing さん(40) は7名のサポートシェルパを雇用。ナムチェからエベレストベースキャンプ入りの後、登山活動をする計画だ。彼女は"Life at Altitude"という著作があり(作家か?)、「高峰の雪の蓮 (Alpine Snow Lotus」という別名で著名だと云う。登山の経歴も8千メートル峰7つに登頂を果たすなど、見た目の美しさだけではない華麗なる登山家だ。

写真左; ローツェに挑戦する米国のCleonice P. Weidlich さん(51) は、クレオというニックネームで知られる女性登山家。エベレストには2010年に登頂しており、2012年10月には彼女にとって8つめの8千メートル峰として、マカルーにも登頂するという経歴だ。 今回は既にベースキャンプより下にあるゴラクシェップ(5,164m) からヘリコプターを使い、アイスフォールを飛び越え、6,500m前後にあるキャンプ2に到着しているという。今回の行動で特に注目すべきは、クレオはシェルパを連れず/シェルパに連れられず、たったひとり、単独での登頂を目指している。ガチや!

なお、両者ともに(別々の)商業公募登山隊の一員として登山許可を取得している。彼女たちが登頂を果たした暁には、それぞれの隊の他の隊員たちの登山許可5年間有効の特例が破棄される(隊員全員が撤退とならず同隊から登頂者が出るため)可能性について、ハンドリングエージェントとネパール観光省登山局の間で確認が行われている模様である。

同時に、クレオのキャンプ2へのヘリ飛行は(ベースキャンプより上部という飛行制限区域)運行申請や許可がないままに行われた模様で、これまた、事実関係の調査が進んでいるらしい(関連新聞記事)。


それにしても、心臓に毛の生えた登山家がいたものだ。しかも両者ともに女性。絶対に生きて帰ってきてもらいたいし、サポートするシェルパを殺さないように。出来れば登頂も果たしてもらいたい。詳細分からないが、カトマンズから声援を送る。

死ぬなよ!な..... 

FMラジオの混戦、混線?対策

全国で300以上のFMラジオ局が認可されているネパール。カトマンズにおいても近い周波数がいくつもの放送局に割り当てられており、ダイヤル式の旧型ラジオでは混線してチューニング難しい。Wikipedia情報

私がよく聞く局の中で、最大手のKantipur FM 96.1MHzは、カトマンズ交通警察の運営するMetro Traffic FM 95.6MHzと混線する。我が家の地域ではTraffic FM の出力が大きく、95.2MHzのStarFMもあって三つ巴。Kantipurを聞くためにはデジタルチューニングのラジオがないとほぼ無理である。

現在のカトマンズでは、ラジオをラジオ受信機で聞く世帯は少数派。大多数は携帯電話で聞いているため、チューニングもデジタル。なのだが、アンテナとなるヘットセットをつなげないと聞けないことも多く面倒だ。

我が家にも遅ればせながらブロードバンドネットが架設され、ネット環境のためのインバータ電源をセットしてからは、ネット経由でラジオを聞くことが増えた。私が愛用しているのは、iPadに入れているTunein Radioというアプリ。これを使ってネパール国外にいる時も、KantipurやRadio Sagarmathaを聞き、BBCラジオの英語やネパール語放送を聞いて、最新のニュースをチェックしている。

ネパール語でニュースが理解出来ることと、間違っていたり偏っている報道を見分けることにさえ注意すれば、FMラジオニュースは情報源として貴重な存在となる。テレビと違い、ネパールの長くて厳しい計画停電中も聞けるしね。

ディスカバリーチャンネル エベレスト雪崩の悲劇

ディスカバリーチャンネル エベレスト雪崩の悲劇


テレビクルーの出来る事は、伝えること。

先進国メディアにより「再構築」された。様々な事実の中から「再構築」されたドキュメンタリーであることを念頭に。それでも尚、このテレビドキュメンタリーから「現場」を推測することに、大きな意味がある。

野口健さんのアクションと、ネパール登山の転換点

山をはじめとした環境保全活動で知られる、アルピニスト野口健さん(40)。今回のエベレスト雪崩事故では、過去4回登山活動を共にしたシェルパが犠牲になった。

国際的にはこの「エベレスト登山史上最悪の事故」が大きく取り上げられたが、ヒマラヤ登山と馴染みの深い日本においては「日本人が犠牲になっていない」ことが原因で、報道の扱いは非常に小さかった。ヒマラヤ登山でのシェルパの献身的活動を高く評価し、登山事故で亡くなったシェルパ遺児の教育活動も続ける野口さんは、日本円約1千万円(10万ドル)の義援金を贈る事を決定し、急遽カトマンズ入りした。

読売新聞記事
朝日新聞記事
共同通信配信に基づく、スポーツニッポン記事

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ネパール登山協会(NMA) アンツェリン・シェルパ会長(右)、サンタ・ラマ筆頭副会長(左)と共に、野口健さん 2014年5月4日 NMA事務所にて

この義援金はネパール登山協会(NMA)を通じ、シェルパに対する社会福祉基金、特に遺児の教育に対しての活動に使われる事となった。現在ネパール政府とNMAは、ヒマラヤ登山に携わるネパール人「シェルパ社会福祉基金」の設立準備を進めている。この活動に対し、外国から最初のまとまった金額支援となった。

NMA会長アンツェリン氏は

「外国からの支援金については、その金額と同額をNMA側からも拠出するパートナー資金を創設する。これにより、外国からの善意にネパールの自助努力も合わせ、倍額の資金を確保出来る。野口さんの迅速なアクションにより、ネパール側の活動に弾みがついた」

と、発言した。一方、野口さんは

「今回、ネパール国内に社会福祉基金創設が自発的にはじまったことが大切であり、自分はこれに協力する」

写真
通訳を介し、過去共に登山をしたエベレスト雪崩事故犠牲者の、お嬢さんを励ます(一般人の方に対しては、トリミングと画像処理でプライバシー保護しました)2014年5月5日 NMAでの記者会見終了後

犠牲者の家族に支給される保険金や弔慰金は一時的なもので、数年で使い果たしてしまう。継続的に、遺児の教育に対する支援が不可欠であること。個別の事故、個人に対する支援ではなく、シェルパコミュニティに対する社会福祉システムを構築する必要性について、野口さんとNMAの基本姿勢は一致している。

まとまった資金の、時を置かない支援。これを活かすシステム作りに対する人脈。これまでの地道な活動が活きた、野口さんによる効力ある活動である。


しかしネパール登山界については、釈然としない側面も垣間見られた。

事故の後、シェルパたちの理にかなった要求を政府側も認めたにも係わらず、今期ネパール側からのエベレスト登山は全面的に撤退となった。ベースキャンプにおいて特定の政治勢力が介入し、シェルパたちが望んでいない別の要求を掲げ、登山中止を暴力的に行ったこと。身の危険を感じる脅迫があったことは、下山した登山関係者複数の証言から明らかになっている。

NMAや登山業界の中では、誰と誰が脅迫行為の首謀者であったか特定もされている。

しかし、暴力装置を擁する政治勢力への遠慮があるのか、このことを触れたがらない。ネパール政府関係者も

「政府は登山活動継続を呼びかけた。もし本当に暴力的行為があったのなら、各登山隊は公式に、ネパール政府に申し立てをすべきである。これがあれば厳正に対処するが、それが提出されていないのに、一部メディアはネガティブキャンペーンを行っている」

と、メディアを悪者にしている。

今日の記者会見において野口健さんは

「シェルパの社会福祉を充実させるのと同時に、もし、特定の政治勢力による登山への介入が事実であったなら、これをきちんと解決する事が大切である。隠さず、勇気を持って事実を分析しなくてはならない。これが為されなければ将来においても、政治問題による登山撤退が起こりうる。そうなれば登山だけでなく、ネパール観光全体が致命的悪影響を受けるだろう」

と警告した。

会見に出席していたネパール政府観光省高官や、ネパール観光業界の重鎮は、この呼びかけを表立って認めようとしなかった。しかし、そこ、ここでネパール語による内輪話では、登山オペレーター業界代表と政府が早急に対応を協議すべきとの相談もしている。

外国人に知られたくない。外国人に指摘されたくない。ネパール人だけで「こっそり」対処したい。

ネパールの登山において、2014年春は大きな「転換点」として後世に記録が残る。そんな気がしてならない。「ネパール登山の終わりの始まり」として記憶されない事を願うばかりである。

シェルパの尊厳を踏みにじる、汚い政治ゴロ

http://www.thehimalayantimes.com/fullNews.php?headline=+Did+politics+climb+Mt+Everest+after+avalanche%3F&NewsID=412931

今回のエベレスト登山中止の裏に、マオ派政治勢力の存在。私も聞いていたうわさ話を裏付ける現地報道。数日前の記事で恐縮だが、ネパール人登山オペレーター筋からこれを裏付ける、信頼出来る直接情報を得られたので紹介する次第。

統一ネパール共産党・毛沢東主義、通称マオ派党首プラチャンダ=ダハール氏のひとり息子、プラカーシュ・ダハールは素行と女性関係に問題を抱えると云われる人物。しかし家族には溺愛されているようで、父親の権力を利用したとしか思えない経歴を重ねている。そのひとつとして2012年、マオ派による平和登山隊隊長として、エベレストに登頂を果たしている。

ネパールの主要なヒマラヤ登山においては、リエゾンオフィサーという政府からのお目付が、各登山隊に派遣される。通常、派遣前研修を履修するなど一定の基準を満たした公務員が任命されるのだが、有能なヒマラヤ登頂者の中からも少数選出される。今回エベレストの中国登山隊リエゾンとして、この、マオ派党首のボンボン・プラカーシュが任命されていた。彼は4月18日の雪崩死亡事故直後にベースキャンプ入りしたらしい。

現地報道や私の得た情報に拠れば、今シーズンのネパール側からのエベレスト登山隊全てへの撤退は、プラカーシュとその一味により主張された。言葉や態度による暴力、脅迫が、エベレストベースキャンプで展開された。これに反対する者には、村に残る家族に危害を加えるとの圧力もあったらしい。今はカトマンズでの安楽な生活に毒されたとは云え、10年間の内戦を経たマオ派。しかも党首の息子がその場でバックにつく勢力からの圧力は、ベースキャンプという下界から隔絶された環境では異様な恐怖となったこと。自分自身過去、そこで2ヶ月近い時間を(登山隊スタッフとして)過ごした人間として理解出来る。

ヒマラヤ登山に従事するネパール人高所ガイド、スタッフの待遇・補償体制改善要求自体は健全な、あるべき主張であった。ネパール政府もこれに、応えた。しかしその後に起こった暴力的登山活動撤退圧力は、政治的野心に満ちたものであったようだ。

マオ派政党としての党利党略に基づいた行動か?党首の息子によるスタンドプレーか?

登山との係わり薄い、低地・中間山地のヒンズー教ブラーマン族のプラカーシュ。2年前、彼ををエベレストに登頂させ、強引にヒマラヤ登山との関係性を構築。今回も事故発生以前に、政府リエゾンに任命していたあたり。ネパールの象徴たるエベレストへの、マオ派政治勢力浸透作戦の一端が垣間見られる。山岳関係者でもある、とあるシェルパの方が、絞り出すような声で、吐き捨てるように云った。

「ヤツらは、シェルパの遺体を政治利用しやがった!」

汚い。あまりに薄汚れた出来事だ。許し難い。 
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